(夜の出来事)
それは寒い夜の日の出来事だった。
その日何故か俺はなかなか寝付けず、ベッドの中で何度も寝返りをうっていた。
仰向けの状態で目を軽くつぶっていても、体がむずむずして右をむく。
その状態でまた軽く目をつぶっていても、また体が落ち着かずに左を向く。
「ぅ・・・」
左を向いた瞬間、クレイからうめき声が聞こえた。
隣でこうも寝返りをうたれてちゃそうスヤスヤと寝れねぇだろうな。
気の毒だと思って寝返りを打つのを我慢していたが、やっぱり体がむずむずしてくる。
クレイの眠りを妨げないようにゆっくりまた寝返りをうつことにした。
ギシ・・・。
やべ。
ギシ・・・。
俺なりに慎重に寝返りをうったつもりだったが、ベッドの軋む音がした。
しかし、音が小さかったからかクレイは気づかず、スヤスヤと寝息を立てていた。
不思議なのはそこからだ。
ギシ・・・というベッドの軋む音が、俺が寝返りをうった後にも聞こえてきたのだ。
首だけ動かして、隣のクレイを見てみたが。
クレイはさっきと同じでスヤスヤ寝息を立てていた。
じゃぁ、誰だ?
ギシ・・・。
またベッドの軋む音が聞こえた。俺は目をつぶって耳を澄ました。
ギシ・・・。
壁の向こうから、か?
この壁の向こうといえば、パステル、ルーミィ、シロが寝ている部屋だ。
大方、ルーミィの目が覚めてパステルを起こしてる、そんなとこだろ。
そう思い込んで俺はまた軽く目をつぶった。
が。
ベッドの軋む音は止まず、むしろ前より音が大きくなっていた。
そしてギシ・・・と前まではゆっくりだった音がギシギシと今では速度を増している。
おかしい。
そう思って、俺は壁に耳をくっつけた。
微かに聞こえてきたのは。
「あ・・・んぅ・・」
パステルの、俺の愛する女の、淫らな喘ぎ声だった。
「ん・・はぁん・・・」
こういう場合、どーすりゃいいんだ。
耳を離してそのまま何も無かったかのように寝れば良いのか?
それとも、このままパステルの喘ぎ声を聞き続けるか?
・・・俺は少し迷ったが、後者を選んだ。
次の日。
俺とパステルの目にくっきり隈があったのは。
言うまでもない。