さっきまでの西日はゆっくりと姿を消していって、
それを追うようにに薄い三日月が沈もうとしていた。
お風呂に入りたいな。
そう言ったパステルの唇を塞いで、抱きしめて、染み付いた海の香りを吸う。
首筋に塩の結晶が付いていて、それを舐めとると彼女は少しだけ身じろぎした。
「ちょ…ちょちょ…ちょっと待って、ほんとに、お風呂…」
「…駄目。もう待てない」
羽織っていた薄いパーカーを脱がせて、水着の肩紐を引っ張った。
首の後ろでリボンに結ばれているそれはいともたやすく解ける。
「…海の味がする」
「え?」
「パステルの身体」
「そ、そんなこと言ったら…クレイだってするわよ」
「そうなのかな?」
「そうだよ」
胸に暖かい感触…
パステルの舌がおれの胸を這っていた。
「う…」
「ほら…、しょっぱい」
小さくて、可愛い耳が見える。
その耳にかけられた、濡れた髪の毛。
指が、腕がおれの背中に回されたので、おれもパステルの背中の紐を解く。
乾いた音を立てて、水着が床に落ちた。
「あっ。…取った」
「取っちゃった」
「…」
「駄目?」
「駄目じゃ、ないけど」
「けど?」
「けど」
言いながら、彼女の指がおれの背中を降りて、水着の中へ差し入れられる。
「…仕返ししちゃうもん」
既に膨張していたおれの欲望を包み込んで、パステルはしゃがみこんだ…
ひんやりとした感触。
パステルの手は冷たい。
その指で引きずり出されて、おれの身体は熱く昂ぶった。
「もう、こんなに大きいよ…クレイ」
冷たくてさらさらで柔らかい手のひら。
こわごわとおれに触れながら、彼女は舌先で刺激を与えてくる。
「もっと…大きくしてあげる」
裏の筋をつぅっ、と舐めあげて、両手でしごく。
十分に焦らして、喉の奥まで飲み込むように吸い上げる。前後する。
いつの間に、おれの好きな動作を覚えたんだろう…
こうしてくれ、とリクエストしたことはないはずなんだけどな。
いつの間にか翻弄されるようになってしまった。
と、激しい動きを止めて、パステルはまた立ち上がった。
一生懸命すると酸欠になっちゃうんだよね、と言っていたっけ。
熱にうかされたような瞳で、おれを見上げた。
そのままくちづける。
「ありがとう」
「ううん…気持ちよかった?」
「よかった。このまま最後までして欲しかった」
「…駄目。そしたらクレイばっかりずるい。わたしも…してほしいもん」
「どうしてほしいの?」
「して…ほしい」
「具体的に」
「…この間、してくれたこと」
「それじゃわからないよ」
「わ…わかってるでしょ?」
「…さあ?違うかもしれないから、言ってみて」
「…」
「…」
「…舐めて、欲しいの…」
「どこを?」
「どこをって…」
「ここ?」
「んあっ!…違うよ、そこは…そこも好きだけど…そこじゃなくて…」
「どこ?」
「…」
「…」
「ク…クレイの意地悪…」
「たまには、いいだろ?」
「いやだよう…」
「しょうがないな。じゃあ、舐めてほしいところ、おれに良く見せて」
ベッドに腰をおろして、開かれた両脚の間に、おれはかがみこんだ。
そこは潤んで、夕闇の微かな灯りに照らされてきらきらと光っていた。
そこはピンク色で熱を持って、火照っている。
「や…そんなにじっと見ないで…」
「…見るよ」
パステルの全てを見て、触れて、閉じ込めて、抱きしめたい。
おれは膨らんだ花弁を押し開いて、その上で真っ赤に充血しているクリトリスにキスをした。
「あっ…!」
唾液でしっかりと湿らせて、舌先で嬲る。そのたびに彼女の白い首がのけぞって、ウエストがよじれる。
「んくっ…はぁ、ああん、あ…!やあ、だめ、そこは…あぁ!」
「駄目なら…やめようか?」
「…や、やめないで、お願い…ああん!クレイ、クレイ、クレイ…っ!!」
彼女の手がおれの髪の毛をくしゃくしゃにしていく。
髪の毛を触れられるのは好きだ。
正確にいうと、こうして舐めているとき、髪の毛に触れられるのが好きだ。
しっとりとした指がおれの髪の毛を梳く。
その間にも、おれは舌を動かし続けた。
「あぁ…あん、あん、も、もう…我慢できないよ…」
「…」
「クレイ、お願い…あん!」
「どうしたらいい?」
「…」
「教えてくれよ」
「意地…わ…あぁっ…るぅ…」
「言って…」
「お願い…ク…クレイの固くなってるとこ…わたしに、わたしに挿れてっ…!!」
「じゃあ、ベッドに手をついて」
おれの指示に、パステルは少しよろめきながら従った。
小さくて白い尻が目の前に突き出される。中指を唾液で濡らして、その間にある割れ目をなぞった。
「すごい…トロトロだ、パステル…」
「やぁ…っ」
声に合わせて尻が揺れる。
くねる身体。背中の骨が浮き沈みして、差し込む月の光にぼんやりと輝いていて…
たまらなくなって腰を掴んで引き寄せ、花弁を割り開くようにおれは屹立した自らのモノを突き立てていた。
「…あぁっ…」
深くため息をつきながら、彼女の身体はおれを強く締め付けた。
初めてしたときから変わらない、むしろ良い反応を示すようになっているんじゃないかと思う。
最初の一瞬いつも、このまま放出してしまいたくなってしまうような快感が全身を駆け巡るんだ。
「パステル…」
呼びながら後ろから乳房を包み込んだ。世界で一番柔らかいそれを揉みしだきながら、ゆっくりと奥に捻じ込む。
緩める。
押し込む。
ぐぐっ、と擦り付けてかき混ぜるようにすると、また彼女は大きく背中をくねらせた。