「よお」  
 古着屋の扉を開けて、俺は軽く挨拶をした。  
 店の奥にはこちらに背を向けて棚を整理する女が一人。  
 「あぁ、トラップ、いらっしゃい」  
 小柄な体を捻り、とびきりの笑顔でマリーナは出迎えてくれた。  
「どうしたの?」  
「いや、別に用事じゃねえんだけどな、なんとなく」  
 曖昧に返事をした俺は客用に置いてあるソファに腰をおろした。  
 マリーナは「そう…」と言って赤や黄色の服をまた棚に並べはじめる。  
 旅に出るまで毎日見てた後姿をまた目に焼き付けてやろうかとじっと見続けた。  
 おめえ、俺が何しに来たか大体わかんだろ?誰も連れずに一人で来たんだぜ?  
「そういえば、これ、トラップにあげようかと思ってたんだけど」   
 マリーナは思い出したように棚の下にあった黒いマフラーを手にとって広げて見せる。「どう?」と 
それを差し出された。  
 少し広めで凝った編みこみがしてある。悪くねえな。けど…。  
 俺はそのマフラーごとマリーナの手を握って、引き寄せた。  
 今必要なのはそれじゃねえんだ。  
 バランスを崩したマリーナの小せえ体を受け止めて抱きしめる。  
「とらっ…」  
「なんつーか、とっきどきおめえがすんげー欲しくなっちまうんだよなぁ…」  
 時々なんかじゃねえ、女抱くとき、ほとんどマリーナの顔がちらつく。でも、俺が素直にそうはいえ 
ねえの分かってるよな?  
 俺はそう思いながらソファにマリーナを押し倒した。少し店の入り口を気にする様子に構わず口を塞ぐ。  
 舌を絡ませて、久しぶりのマリーナの体の感触を味わおうと着ているセーターの下に手を潜り込ませた。  
 さらさらしてやわらけえ…。  
 セーターをたくし上げてマリーナの胸を見つめた。  
 この胸見ると、思い出すんだよなあ。  
 
 
 
14ぐらいの時、俺とマリーナで少し遠くにある小さな湖に行った。  
 そこは時々俺が一人になりたい時によく行った場所で、俺の知る限り他に来るやつはいなかった。  
 初めて連れていってやった場所にマリーナは珍しそうにあたりの景色をみて「こんな所あったなんて」 
と驚いてた。  
 その隣に立って、俺はこう聞いたんだっけ。  
「おめえさ、寝たことあっか?男と」  
 なーんも考えてなかったのかよ、俺は、なんて今思い出すと苦笑いしちまうぜ。  
「な、な、無いにきまってるでしょ!」  
「んじゃ、俺とやってみようぜ」  
 顔真っ赤にしてあわててそういったマリーナに俺も少し赤くなりながら言った。  
「そんな、でも…」  
「やってみたく…ねえ?」  
「その、そりゃ、やってみたいけど…」  
 恥ずかしそうにうつむいてる顔をみながら俺はなぜか急いでマリーナにキスをしてた。  
「服、脱ごうぜ」  
「…けど…うん」  
 今考えればやるだけなら外だったし全部脱ぐ必要もねえんだけど、何かぎこちなく二人で服を脱いだ。  
 俺の服を下に敷いて、マリーナの体をそこに寝かせる。俺は胸の前に組まれてたマリーナの両手をどかした。  
 まだ成長しきってない胸を見ただけで、俺はもう起ち始めてた。内心びくびくしながらそこに手を置く。  
「やわらけえ…」  
 ほとんど無意識に出た言葉にマリーナの顔はさらに赤くなった。  
 俺は今度は胸に口をつけて舌を這わせた。もう片方の胸を揉むと、マリーナの息があらくなるのが分かった。  
 足を広げさせてじっとその真ん中を見る。  
 すげえ…、こんななんだ。  
 
「トラップ…そんなに…見ない…で…」  
「あぁ?ああ、わりい、わりい」  
 俺はマリーナの声で自分がそこを見つめてたことに気づいて、あわてて前戯ってやつに戻った。  
 そこに指を入れるときつくて、ほんとにこれで入んのかよと大分でかくなっていた自分の物を見た。  
 首筋や胸の先、考え付くところ全部を舌でなめて、指でやさしくならしてやる。  
 とろっと中から液が出始めて、俺はそこで初めて少しほっとした。  
 もうそろそろ、か…?  
 俺は指を抜いて、自分の物を入れようとした。確かに入れようとはしたんだ。だが…  
 …これって、どうやって入れればいいんだ?  
 マリーナのそれと自分のこれがどうしても一緒になる気がしなくて俺は自分の物をもっておろおろす 
るしかなかった。  
 その時、俺は不覚にもマリーナの腹の上に放ってしまった。  
 白い液体をびっくりしたようにマリーナが見る。俺は顔から火が出るんじゃねえかってぐらい顔面が 
熱くなるのを感じた。  
「わりい、だいじょぶだって、今度はうまくやっからよ」  
 それからしっかりと入れて、俺は初めて女の体のすごさを知ったきがしたんだよな…。  
 
 
 
「とらっぷ…なに、考えてるの…?」  
 うるんだ目でマリーナが俺を見ていた。ソファに押し倒されたまま、マリーナは俺の愛撫を受けていた。  
 随分前の記憶。確か髪も肩までいってなくておろしてたっけか。  
「いや、少しな…」  
 俺はマリーナのスカートの中の既に濡れている下着を降ろしてそこをなめた。  
「や…あん…ん」  
 
 色っぽい声を聞いてさらに舌を奥に押し込む。マリーナは俺の頭に手を置いて身をよじった。  
「感じてんなあ…んじゃ、もっとやらしい感じにすっか?」  
「え…?」  
 俺は少し意地悪く笑って不思議そうなマリーナを立たせる。そして壁に手をつかせた。足を開かせて、 
俺もズボンに手を掛ける。  
「俺もただ冒険してたわけじゃないんだぜ…」  
 耳元でそう囁き、スカートをたくし上げて一気に貫いた。  
「ああ!…あああ!!」  
 後ろから胸を揉み首筋をなめながらマリーナに腰を打ち付ける。  
 じっとりと汗をかいた肌が余計にたがいの体をくっつけているようだった。  
「…ん……あっ…あん…」  
 中をいじくりまわしてマリーナの感じる所を探っていく。  
「や…あんっ……やだっ……」  
 壁にもたれかかるマリーナの体を支えながら少しスピードを上げる。  
「いっ……あっ…ああっ」  
 すいついてくるみてえ…  
 やっぱ、すんげえ気持ちいいよ、おめえん中…。  
「あああ!!」  
 マリーナが声を上げるのと俺が果てるのはほぼ同時だった。  
 俺が自身を抜くとマリーナの太ももに白い液体が伝う。マリーナは力が抜けたようにずるずると床に 
膝をついた。  
「まだまだこれからなんだけど、俺は」  
「ばか…」  
 俺は後ろからマリーナの首にキスをした。  
 
 
 
「あれ?そのマフラーどうしたの?」  
 宿に帰ると俺の首元を見てパステルが不思議そうに聞いてきた。  
「あん、これか?今、マリーナのとこで」  
「マリーナ、店にいたの?だったら一緒に行きたかったのに、何で言ってくれなかったのよ」  
 すねたようにパステルが口を尖らせた。  
「あぁ?別にいいだろが。いちいちおめえらなんか連れていっけかよ」  
 俺の楽しみがなくなっちまうだろが。  
 
 

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