「まあ、その程度の腕で、よく持った方だといえる。だが……遊んでいる暇は、無いんでね」
にやり、とギアが微笑み、反対の手で……そう、片手で、長剣を振り上げた。
――――!!
殺される。
トラップが殺される。わたしのせいで。
わたしを連れて逃げるために、トラップが……
それはもう無我夢中だった。
ギアの剣が、ゆっくりと振り下ろされようとしたその瞬間。
わたしは、トラップとギアの間に、無理やり身体を割り込ませた。
ドスッ!!
身体を通り抜ける気配。噴出す血。
ギアも。トラップも。目を見開いて、わたしを見つめていた。
……ああ。
これが……自分の考えで、自分のやりたいことをやる、ってことなんだ。
目の前が真っ暗になる。剣が身体から離れ……
わたしは、その場に崩れ落ちた。