「おめぇってさ、シャボン玉みたいだな」
目の前に飛んでいた大きなシャボン玉が一つ、ぱちんと弾けて消えた。
あーあ・・せっかく大きいのができたと思ったのに。
「聞いてっか?」
「え?あ、ああ、聞いてるよ」
確か、私がシャボン玉みたいって話よね、うん。またシャボン玉を作りながら、トラップに返答した。
「でも、なんでまたいきなり・・・?」
「いや、何となくよ。シャボン玉って、何処に飛んでくか分かんねぇじゃん?
そこが、方向音痴のお前と似てるなーって・・・」
むかっ!人が気にしてることを!!
「な、何よソレ!」
私は迷わず言い返す。
「だったら、トラップはあれだね。んーと、蜂蜜!」
「はぁ?蜂蜜・・・?」
ピッタリだと思った。粘っこいとこは、トラップの嫌味攻撃。甘いとこは、私への・・・。
って、何考えてるの、私!
自分で考えておきながら、自分で興奮してるのが分かる。絶対顔真っ赤だよ〜。
「へぇ・・・」
そんな私を見てか。いたずらっ子の子供の目をしたトラップが、私の髪を撫でる。
「蜂蜜、ねぇ・・・」
そして、その髪に軽く口付ける。
「知ってっか?シャボン玉って蜂蜜入れたら長く持つんだってよ」
その台詞に答える前に、私の唇はトラップに奪われていた。
「ん・・・」
甘い、味がする。そして、ザラリとした感じ。
その熱い舌に負けないよう、私も必死でやり返す。
交わる舌は、熱を持って、私をとかす。
舌が離れたかと思うと、その熱は私の胸へ徐々に近づいていく。
「やっ・・・」
びくんと、体が反応する。
「いい加減、慣れろっての」
「だ、だって・・・」
気持ちよすぎるから。
「まぁ、そーゆー新鮮な反応をずっと続けてくれんのはありがてぇけどな」
そう言ってトラップはこっちを向いて、にやりと笑った。褒めてるのか、貶してるのか、分かんないけど。
相変わらずコイツの反応は、面白い。
何度目か分からないっていうのに、まるで最初の時のようだ。
ゆっくりとパステルの胸を愛撫しながら、俺は思った。
「ん・・やぁ・・・・」
この、声と顔に、男がどれほどそそられるかコイツはきっと分かってないんだろうな、
軽く乳首の先端を噛んでやる。
「ひゃっ・・・」
また、びくりと体を反応させる。
余った右手を、パステルの下腹部に持っていく。
そこには、明らかに湯ではないモノがあった。軽くそこに触れ、優しく指を動かしていく。
「あ・・んぅ・・・」
ぷっくりした唇、火照った肌。
最初は何て色気のねぇ女なんだと思った。でも、今は全然違う。
逆に、俺が何もねえように思えるほど、恐ろしく色気を持った女。
その色気に負けじと、
「もっと、声だして良いんだぜ」
パステルの耳元で囁く。火照った肌が、さらに熱くなる。俺の指にも力が入る。
もっと、もっと乱れてくれよ。
一瞬、快感に頭が真っ白になりそうだった。
下腹部に感じた、その快感はまだ続く。さっき声をだっして良いと言われたけれど・・・そう言われると余計出すのが恥ずかしくなる。
唇を軽く噛み締めた。
「無理すんなって」
トラップが苦笑しながら言う。つまんない意地だからいいの。
「どうせ、我慢できないんだからよ」
う・・・。正直、限界だった。トラップの指は、私を狂わせる。
「やだっ・・・」
指が、私の中に入ってくるのが分かる。
「ん・・・」
私の中に侵入したそれは、次第に激しく暴れまわっていく。
「はぁ・・・ぁ・・んぅ・・・!」
噛み締めていたはずの唇から漏れる、乱れた声。やっぱり、我慢できなかった。
「やっぱり、な」
トラップの顔に、にやりと笑みが浮かぶ。でも、手は止まらない。
「ん・・ひゃぁん・・・」
快楽は、さらに増していき、そろそろ限界が来そうだった。けれど。
もーすぐ、限界だな。そう思って俺は、パステルの中から指をゆっくりと抜いた。
「え・・・?」
急に止んだ快楽に、パステルは戸惑いの表情を見せる。
「俺は、満足してないんだ」
そう言って、俺はパステルの手を俺のものへと導いた。
何をすればもう分かっているんだろう、ゆっくり手を上下に動かし始めた。
何度やっても慣れる気配の無いその手の動きが、逆に俺を興奮させる。ゆっくり、ゆっくりと。
「う・・・・」
声が漏れる。
「次は、舐めてくれよ・・・」
そう言って、俺はバスタブの縁へ腰掛けた。
パステルはほんの少しだけ躊躇した表情を見せたが、何も言うことなく、口付けた。
舌を使って、先端を隅々まで舐めていくパステルの顔には、最初の頃の迷いは見えない。
成長したもんだ。
「気持ちいい?」
少し上目遣いのパステルが、俺に問う。気持ちよくない、わけがない。
「あぁ・・・当たり前だろ」
「そう・・・」
パステルは、うっすらと笑みを浮かべた。
もう、コレを入れてくれてもいいんじゃないかな。
充分に大きくなったトラップのものを見て、私はふと思った。
回を増すごとに、どんどんと考えが淫らになっていく自分が分かる。
「ねぇ・・・トラップぅ?」
潤んだ目で彼を見上げると、何が言いたいか分かったらしく、彼は立ち上がった。
「そこに、手ぇついとけ」
バスタブの縁に私は言われたとおり、手をつく。
トラップの目の前にお尻を突き出すような、そんな姿勢だ。やっぱり、恥ずかしい・・・。
「ひゃっ!」
トラップの生暖かい舌の感触を、そこに感じた。溢れる蜜をすする音が、室内にいやらしく響く。
「なぁ、シャボン玉には蜂蜜がいいって・・・本当だな」
「え?なんで?」
「長持ち、する」
「どーゆー意味よ!?」
あまり深く考えないことにしておく。考えたら、また頬が赤くなりそうだから。
「いれっぞ・・・」
もう、入れる痛みはあまり感じない。ゆっくりと入るそれは、熱く、硬い。
「ん・・・」
完全にトラップが私の中に入ると、ゆっくり動き始めた。
「はぁ・・・んぅ・・・」
彼の動きに合わせて、自然と声が出る。声にあわせて、お湯もバシャバシャと音を立てる。
「もっと、もっと激しく動いてぇ・・・」
「いやらしい奴だな・・・」
ふっと、トラップがため息をついたのが分かる。それと同時に、もっと強く、彼を感じた。
「あ・・!はぁ・・、あぁ、んぅ・・!!」
必死で抑えても、声はそれなりに出てくる。
お湯のはねる音も、さらに増し、私とトラップが重なる音もまた増す。
相変わらず、コイツの中はきつく、温かい。
俺はそろそろ限界に近づいていた。
「パステルっ・・・もう、いきそうだ・・・」
「トラ・・プぅ・・・私、もぉ・・・」
俺の中で、何かが弾けた。
そして、パステルもぐったりとした様子で、目を閉じていた。
「トラップは、やっぱり蜂蜜」
「お前は、シャボン玉だろ。
俺が割れないように、迷わないように見守ってねぇと、すぐどっか行っちまうから」
「・・・そうかもね。
だから、トラップ。割れないように、蜂蜜パワーで守ってよ」
「なんだよ。そりゃぁ・・・」
「なんだろうねぇ・・・」
キスは、蜂蜜みたいに甘かった。
でも、甘いと感じたのは、味じゃなくて。
トラップの愛なんじゃないかと、思った。