『心臓を貫いた。
剣ではなく。口づけで。
胸に残る赤い痕。
君よ。その痕の意味を知らないままで。
どうかそのまま別れよう。
仄暗いわたしの想い。
知らないままで、別れよう。』
いつものおれなら、絶対に手にしないものを、おれはまた手にした。
それはピンクの装丁の、いかにも恋愛小説!と力説してそうな本だった。
おれはよく知らねえが、巷で大流行してるらしい。
アホくさ。んなもん読んでる暇あんなら、生ものの男に声かけりゃあいいじゃねえか。
おれはそう思うんだが、それでもなぜか、この本を読むのをやめられねえ。
「心臓を、貫いた」
何度も読み返したせいで覚えちまったフレーズ。
口づけて、男の心臓に痕をつけて逃げる女。
バカじゃねえの、そのまま押し倒して既成事実でも作っちまえよ、なんぞとおれは思うわけだが。
女ってのはわかんねえ。そのまま何もせずに逃げる女に共感するそうだ。
知らず知らずのうちに、左胸に手をあてていた。
そこに、赤い痕が残っていたことがある。
まあ、多分虫にでも食われたってのが正解なんだろうが。
どうにも、おれはそれに納得いかなかった。
誰かが、おれにへったくそなキスマークをつけていった。
そうとしか、思えねえんだよ。パステル。
「今、いいか、パステル」
「え、ああ、トラップじゃない。急に声かけてくるからびっくりした」
家の裏口に腰かけていたパステルは、力なく笑う。
何もかも諦めちまったような、こいつに死ぬほど似合わねえ笑い方。
今日こそ問い詰めようと手に持っていた本の内容と、その笑い方に、おれはピンとくるものがあった。
こいつ、逃げようとしてんのか。
なんでそう思ったのかはわからねえ。
だが、それはおれの、こいつをずっと見てきたおれの、勘だった。
「なあパステル。この本知ってるか」
おれがずいとその本を差し出すと、パステルはびくりと肩をふるわせた。
あいかわらず嘘の下手な奴。
「え、うん。今すっごく人気の小説でしょ?恋愛ものなのに、トラップも読んでたの?」
「おめえも読んだのか?」
「わ、わたしは、読んでないけど。あらすじくらいは知ってるよ。これでも物書きのはしくれだからね。」
「これさ。おめえが書いたんじゃねえの」
逃げるなよ。暗にそう言い含めるみてえにして、おれはパステルをじっと見つめた。
パステルはひきつったヘンな笑い方をしてやがる。
あんで、そんなに嘘つくのが下手なのに、こんな真似しやがった?
「ば、バカなこと言わないでよ、トラップったら。書いた人に失礼じゃない!」
「心臓を貫いた。剣ではなく。口づけで」
着ていたシャツの胸元をはだけてやる。
左胸に手をあてて、顔色を変えたパステルを嬲るように眺めた。
やっぱ、おめえか。
「おめえだろ。へったくそなキスマークつけやがって。しかもそれを小説にするたあ、中々商売人だな」
「ち、がう。知らない!わたしそんなことしてない!」
「なんでだ。なんで、こんな真似した」
じわじわと、獲物をしとめるみてえに。おれはパステルに追い打ちをかける。
おれは卑怯もんだからな。言わせてえんだよ。パステル。
おれが、好きだって、な。
「好きでもねえ男の胸に、キスできんのか、おめえ。見直したぜ」
「おねがい・・・トラップ。許して」
「許す許さねえの、話はしてねえよ。なんでこんな真似した?」
パステルは泣き出しそうな顔のまま、黙り込んだ。
おれは、ためこんでたものを、どうしようもなくなって、押し付けた。
適当に、唇に唇を押し付けるだけのキス。なんだこりゃ。甘え。
「と、らっぷ?」
「逃げんのか。この本の女みてえに。おれから?」
「トラップに、何がわかるの!?」
急に怒りだして、おれを突き飛ばすパステル。
おれが持っていた本を奪い取って、地面に叩きつけた。
その上に、ぽたぽたと涙が落ちる。って、泣くなよ。頼むから。
「トラップには、わからないよ。わたしが、どれだけ恐いか。
わたし、自分がこんなに嫌いになったの、初めて。全部、トラップのせいなんだから!」
「わかんねえな。何にも、わかんねえよ!
ちゃんと言えよ!おれにどうして欲しい。パステル!」
「わたしのこと見て!好きだって言って!かわいいって言って!
魅力的だって思って!抱きしめて!キスして!
わたししか、トラップにはわたししかいないんだって思ってよ!」
「もうとっくに思ってる」
これ以上ないほど素早く丁寧に、おれはパステルをかっさらう。
ぽかんとした間抜けな表情のパステルに、また唇を押し付けた。
どこもかしこも、やわらけえなあ。おめえ。
「と、とらっぷ?あのね、えっと?」
「おめえが、好きだ。」
「ごめん、え、展開についていけない?」
「おめえの、その鈍感で思いこみの激しいとこかわいいよな?」
「それ褒めてないよねえ?」
「まっ平らと思わせて案外ある胸とか魅力的だよな?」
「まっ平ら!?失礼な、ちゃんとあるわよ少しは!!」
真っ赤な顔で抗議してくるパステルを抱きしめて、半端に開いた口に舌をねじ込む。
目を見開いて、おれを叩いてくるが無視。
これくらいさせろよな。おれが、どんっだけ我慢したと思ってんだ。
「ぷはっ!と、トラップ、窒息させる気!?」
「鼻で呼吸しとけ」
我ながら丁寧なレクチャー後、再びキス。
奥に逃げようとする舌を無理矢理吸いあげ、貪る。
ときおり口が外れて、パステルの口からあえぐような声が漏れる。
やべえ。それは反則だ。煽るつもりなんかないんだろうが、勝手におれは煽られる。
荒い息を吐きながら、パステルから身体を離した。
唾液が口の端からこぼれて、やらしい糸をひいてやがる。
「ふぁ、あ、トラップ?」
「してほしいんだろ」
小説の中の薄暗い女の欲望。男に欲しがられたい。自分だけ欲しがれと憤る。
おめえの、ことなんだろ?パステル?
「おれに、欲情してほしいんだろ?」
「ばか」
「どうして欲しいか言えよ。なあ。まさか抱きしめてキスして終わりってこたあないだろ?」
つう、とあごから鎖骨まで指でなぞる。食べものみたいな柔らかさだな。
びくりと反応して、恥ずかしげに顔をそむけるパステル。
「言わねえなら、喰っちまうぜ?」
所在なく持ち上げられたパステルの手に噛みついた。
パステルは、小さくうなずいた。
「あ、トラップ、パステル飯食いに・・・?」
「悪いクレイ。パステル借りるな」
「あ?ああ。」
呆けているクレイとキットンを押しのけて、さっさと自分の部屋に戻る。
キットンの野郎がお幸せに、なんぞとふざけたことをぬかしていた。
「と、とらっぷ?」
声をかけてくるパステルをとりあえず無視する。準備はきっちりしとかねえとな。
めったにかけないドアの鍵までかけて、カーテンをきっちり閉める。
準備万端になったところで、まごつくパステルに小説を放り投げた。
「うわ?ちょ、ちょっと」
「してみろ」
「へ?」
「それでやったことだよ。おれに、してみろ」
にやにや笑いながら、ベッドまで追い詰める。
ひきつった笑顔のパステル。あんだあ?そんなエロい話書いといて、純情ぶんなよ。
「ん?まずはどうすんだっけ?寝静まった男の口にキスと。
・・・っつうか、おめえ実際したわけ、キス?だとしたら重罪だぜ?大事にとっといたファーストキスだったんだからよお?」
「う、嘘!?わたしでさえすんでるのに、トラップがまだなんてあるわけない!」
「はあ!?誰としやがった!」
もちろんパステルの初めては全部おれのものだと決めつけてたもんで、これには驚いた。
パステルはもじもじしながら、ギア、と答える。
「おーおーそうですか。ご自分はさっさと幸せにすませといて、おれのファーストキス奪っちゃったわけですか。へええ。しかも同意もなしに?」
「う、ううう。だからごめんってばあ」
「許してほしかったらしてみろよ。キスして、顔中舐めまわして、心臓にキスマーク」
「か、顔中舐めたりなんかしてないでしょ!」
再びの抵抗をさらりとかわして、ほれ、と唇をさしだした。
パステルは少しの間迷って、観念したのかついばむようなキスをした。
「見本みせてやっただろ?これで終わりかあ?」
ううー、とパステルは無駄にあがくが、無視だ無視。
べえ、と舌を突き出して、パステルをじっと待つ。
待つのは得意なんだよ。ずっと待ってたからな、おめえを。
「下手でも、怒らないで・・・」
「上手かったら、逆に怒る」
なにそれえ、と情けない顔になって、パステルは舌を差し出してきた。
生温かくて濡れた舌同士が絡み合う。ざらざらした表面が気持ちいい。
パステルの舌を誘いこんで、おれの口内をなぞらせる。
おれよりも熱い舌が、ゆっくりと焦らすように頬の裏側をつついていく。
なんだこりゃ。キスっつーのは、こんな意識がふっ飛ぶようなもんだったのか?
呼吸がもたなくなって、口を外して空気を貪る。視線は、パステルから外さねえけど。頬を赤く染めて、おれと同じように大きく深呼吸するパステルがやたら色っぺえ。
「あーやべえ。パステル。止まんねえ・・・!」
半分とじかけたまぶたに、かみつくようにキスしてた。
まつげ、意外となげえのな、おめえ。ついでにすっと通った鼻筋を舌で撫でてやる。
上唇を軽く噛んで、下唇を舌で舐めた。
どっこもかしこも。あんで、そんな。おれを酔っぱらわせるような甘さなんだ?
「と、トラップ・・・!」
耳を噛んでいると、今までより敏感な反応が返ってくる。
体をこわばらせて、何かに耐えるようなパステルに、やたら刺激される。
虐めてえ。目茶苦茶にしてやりてえ。おれのことだけ感じてろよ、今だけでいいから。
そんなどうしようもない熱をこめて、耳の輪郭を舌と指で弄ぶ。
「あ、あぁっ、やだぁ」
「あんだあ?耳だけで感じてんのかあ?」
わざと耳元で囁いてやる。おーおー。耳まで真っ赤じゃねえか。かわいい奴。
ガブリと耳に噛みついたまま、ブラウスのボタンに手をかけた。
ほっそいうなじがあらわになって、なんでか笑いがとまらねえ。
「たまんねえ・・・」
ボタンがとれていくたびに、おれの目の前に涎が垂れそうな光景が広がる。
なんとも滑らかな、宝玉みてえな肌。くっきり浮かぶ鎖骨。
下着に包まれた、若干控え目な胸。
それは直視したら、暴走すんな、と奇妙に冷静に考えてた。
だがなあ。ここまできてそれを拝まずにいられるかっつーの。
「ぎゃあああトラップなにどこさわってるのよいやああああ!!」
「おめえなあ。もうちっと色気のある声出せよ。萎えるぞさすがに」
まあ、言葉とは裏腹にこれ以上ないくらい興奮してっけどな!
手始めに下着ごとつかんで揉みしだく。うおお。なんだこのやわらけえ物体!
いや、なんつうか、ただやわらけえだけじゃねえ。指を押し返してくる弾力もあって。
要約すると、今なら死んでもいい。
「うううう。見ないでぇ」
「アホかおめえは!ガン見するに決まってんだろ!」
「トラップのバカぁ!」
ブラのホックをおそるおそる、しかし手早く外して、その物体とご対面。
なだらかな丸みの頂点に、桜貝みたいな突起。
つつましげなくせに、やけに存在感のあるそれを、指で弾いた。
ふるん、とつられて胸ごと揺れる光景に、脳を揺さぶられる。
「ちょ、ちょっとちょっと待ってよトラップ!ひゃあああ!」
ずい分色気のねえ嬌声だな、とからかうこともできない。
口でそれを含んでいた。固くしこる感触が、心地いい。ずっと舐めていてえなあ。
あいた手で、もう片方の乳房をこねくり回す。肌の温度が上がったのがわかった。
漏れる嬌声が期待通りのものに変わってく。
「も、やだ、トラップ、だめ、やだったらあ」
「じゃあ、やめっか?ん?」
膝の上に抱え直して聞いてやる。パステルは涙目になって唇をかみしめた。
だあら、言ってんだろ?虐めてえってよ。
「前から思ってたんだけどよ。おめえの泣き顔、そそるな」
「!!は、はあ!?」
「だからついな、こう、虐めたくなっちまうわけよ。わかる?」
わかるわけないでしょ、と怒るパステル。怒った顔もかわいいよなあ。
駄目だ、おれ。溺れてると思ってたが、それよかひでえ。沈みきってた。
「つけてくんねえ?キスマーク」
シャツを脱ぎすてて、パステルの前に素肌をさらした。
もちろんパステルの上半身にはまんべんなくおれのキスマークをつけてやった。
白い肌にちらばる痕が、いやらしすぎてどうしようもねえ。
「い、痛かったら、止めてね」
「ああ」
おずおずと、パステルはおれの心臓のあたりに吸いついた。
濡れた感触もいいもんだが、それよりもだ。
おれにパステルが吸いついてるっつー光景がたまんねえ。
「ど、どうかな」
「んー?はっきりしねえな。もちっと強く吸ってみろよ」
パステルが口を離すと、薄く色づいた痕が見えた。
十分満足な出来だったが、駄目出ししてやる。一か所といわず何か所もつけてくれよ。
また感じる、濡れた感触。茹だった頭に、とどめの一撃を喰らったな、こりゃ。
パステルを抱えあげて、ベッドに押し倒していた。
びっくりした顔で、おれを見上げてくるパステル。
だあら。上目遣いやめろよな。理性をやすりにかけられてるみてえだからよ。
「え、と、トラップ!?」
「痛いかもしんねえ。でも止められそうにねえ」
スカートをまくって、色気も素っ気もねえショーツに手をかけた。
パステルは、さすがにあんな小説書いたから理解したのか、小さくうなずく。
悪い、と謝って、ショーツをはぎとった。
スカートからちらちら見えてた太ももを、心ゆくまで撫でる。
これがまた、胸とは違った感触で、いい。むっちり中が詰まった感じだ。
「と、トラップ。スカート、邪魔じゃない?」
パステルが腰を浮かせて、ホックに手をかけていた。
脱いでくれんの、とからかう。真っ赤になりながら、パステルはスカートを脱いだ。
脱がすのも楽しいが、恥じらいつつ脱ぐところを見るのもいいかもしれねえ!
よし次はそうしてもらうか。
次回のめくるめく快楽を妄想してにやにやしてたら、パステルが口を尖らせていた。
「どうかしたか」
「何、考えてるの?やらしい」
「そうだよ。おめえのことと、やらしいことしか、おれは考えてねえ」
結んだままだったパステルの髪を、なぜかほどきたくなってほどいた。
癖のある金の髪が、背中にふわっと広がる。一房手にとってキスしてた。
できることなら、全身キスしてえ。おめえは全部、おれのだって。
「パステル」
名前を呼んで、こっちを向いたパステルの口を貪った。
ぎこちなく手を伸ばして、おれを抱きしめるパステル。
体がゆるんだことを確認して、そこに手をかけた。
「ひゃぁ、あん!」
びくびくと、パステルが反応して、のぼせてた瞳が潤む。
何それ、と泣きそうな声で聞いてくる。
答えるかわりに、また指を前後させてやる。こっちもひくひく反応してる。
「感度いいなあ、おめえ」
「や、トラップ、そこ、なんかヘン!」
「濡らさねえと、きついだろ?」
またこわばるパステルの体をなだめて、膝で足を割る。
その足のつけ根、まだ拝んだことのないそこを直視する。
じんわりと蜜が漏れだした、淡い色のそれ。
反応しきって限界のはずのおれのものが、きっちり反応しやがった。
「挿れてえ・・・」
思わず声に出していた。やべ。パステルひくな。
そっと窺うと、パステルはおれをしっかり見つめて、うなずいていた。
心臓が、跳ね上がる。そりゃここまできて我慢しろっつーのは無しだが、それでも。
いいんだな。おれを、受け入れてくれんだな。
「トラップ」
「ん?」
「わ、わたし初めてだから、嫌って言っちゃうかもしれないけど、でも、嫌じゃないから。その、ええと、さ、最後まで、して?」
「なるべく、痛くしねえように努力する」
おれがそう返すと、パステルはくすくす笑った。
あんだよ。痛くしねえって言いてえけど、できねえもんはできねえの。
「わたしね、トラップのそういうとこ、好き」
「ぶぁか。最中にそゆこと言うんじゃねえよ。がっついちまうぞ」
「いいよ。食べちゃって?あんまり、食べ応えないかもしれないけど・・・」
「んなことねえよ。こんな食べがいのあるもんは、おめえ以外知らねえ」
何度目かの、舌を絡ませるキス。
応じるパステルの動きも段々大胆になってきて、体が火照る。
キスしながら、濡れた場所を指で広げた。
花びらみてえ、と思いながら指でいじる。パステルの体が痙攣するみてえにひきつる。
「感じてんのか?」
意地悪く聞いてやると、潤んだ目でうなずかれた。
素直に答えたご褒美に、もっと気持ちよくしてやるよ。
つぷ、と物欲しそうに蜜をこぼしてたそこに指を差し込む。
きつい。狭い。熱い。そのくせ中が絡みついてきて。
入れただけでイきそうだな、こりゃ・・・。
「はぁ、あ、と、らっぷ、そこ、だめえ」
「痛いか?」
パステルはふるふると首をふって泣き出す。
おかしくなりそう、と熱っぽい声で返してくる。
そ、その声は反則だろうが!ずきり、とおれのものが痛む。
「じゃ、ここは」
「ふあぁぁぁん!」
広げて剥き出しになっていた突起をつまんでやると、面白いくらい乱れた。
中にさしこんでいた指に、細かな震えが伝わってくる。
漏れる、くらいだった蜜が、どばっとあふれてくる。
おれの手まで、蜜で濡れてきて。が、我慢できそうにねえなあ。
指を増やして、中をひっかくように動かしてやる。
さすがに痛いのか、身をよじるたびに突起をつまんでなだめてやる。
口がさみしいので、胸の突起も舌でいじってやった。
上はおれの唾液まみれて、下は自分の蜜にまみれたパステル。
改めて眺めると、なんちゅーヤらしい光景だこりゃ。
「あ、んん、とらっ、ぷう?」
おれの手が止まったことに不満なのか、パステルが腰を揺らす。
だあら、おめえ本当に初めてか!?なんだその悩殺っぷりはよ!
「いれて、いいか?」
我慢の限界だ。早すぎると言うなら言え。もー無理。もたねえ。
パステルは小さくうなずいて、きて、と答えた。
窮屈すぎて痛くなってたズボンと下着を手早く脱いだ。
腹にくっつきそうになってたそれを、パステルがじっと眺める。
いや、さすがにそこまで見られると恥ずかしいんだが。
「あんだ?恐くなったか?」
「ち、違、ううん、恐い、けど。トラップなら、平気」
「・・・」
「と、トラップ?」
「だあら、かわいいこと言うなっつうの!」
思わずイきそうになったぞ。マジで。
ごめんね?と不思議そうに謝るパステルにまたキス。
足をぐいっと持ち上げて、そこにあてがえるような体勢にする。
「は、恥ずかしいよお」
「おれのことだけ見てろ。あと、手、背中に回しとけ」
「う、うん」
ゆっくりと、パステルの手が背中に回された。
触られてるっつーのは、いいもんだ。おれもパステルを抱きしめ返す。
「行くぞ」
耳元で囁いて、十分に濡れたはずのそこに、おれのものをあてがった。
ずちゅ、と軽く先端が飲みこまれる。
パステルが悲鳴を上げた。相当に痛いんだろうな、と思うのにやめられねえ。
「ぱ、すてる、爪立てろ。ひっかいて、いい」
「あ、とら、っぷ、でも、あああ!」
手を握りしめていたパステルは、それを聞いておれの背中に爪を立てた。
普段なら痛いんだろうが、それ以上に気持ち良すぎて何も感じられねえ。
指に伝わってきた感触どおり、パステルの中は最高だった。
ぎゅうぎゅう締め上げてくる。溶けそうにあちい。
このままだともたねえ、と思ったおれは、悪いと思いながら一気に腰を進めた。
「あっあぁぁぁあああっ!」
パステルの悲鳴が、遠い。
な、んだこりゃ。気持ちいい。いやいいっつうか、出る!
快感に目がくらんで、そこを味わう余裕もねえ。
ぎりぎりまで中に、いてえのに、無理だ。
あわてて引き抜いて、手で受け止める暇もなく。
「あ、と、らっぷ・・・」
パステルの体の上に、熱を吐きだしていた。「わ、りい。すぐ」
ぬぐわねえと、とは思うんだが、快感に揺さぶられた頭がうまく働かねえ。
全身脱力。重いだろうなあ、と思いながらパステルにのしかかってた。
せめて呼吸ぐらい整えねえと、と思うが整わねえ!
仕方ねえだろ!おれも初めてなんだからよ!
「わり、すぐ、どくから、ちょっと・・・」
答えのかわりに、パステルはおれを抱きしめた。
何を言っていいかわからねえから、おれもパステルを抱きしめる。
二人分の鼓動だけ、聞こえてくる。
唐突に、自分に似合わねえ言葉が口をついてでた。
「・・・パステル、好きだ」
うん、わたしも、とすぐに返事が返ってきて。
体をつなぐよりも、しっかりと合わさったような感覚に、震えた。
ああ、本当に、好きだぜ。パステル。