「・・・あれ?」  
 洗濯したシャツを干して、着替えて、おかしなことに気付いたの。  
 なんだか、大きい?  
 袖はあまるし、裾は長いし、おっかしいなあ。  
 首をかしげてると、タイミングよくトラップが通りかかった。  
 なぜか上半身裸の。  
 「っきゃあああああ!な、なんでなんにも着てないのよ!ばかあああっ!」  
 「ぶぁか野郎っ!それはおれの台詞だっ!おめえ、おれのシャツ洗いやがったな!」  
 「へ?」  
 きょとん、としてトラップが差し出してきたシャツを見る。水色のシャツ。  
 ちなみにいまわたしが着ているのも水色のシャツ。  
 なんでかトラップとお揃いになっちゃたんだよねえ。  
 ってまさか!  
 「こ、これトラップのだったのお!?」  
 「だあら、そうだって言ってんだろ!さっさと返せよ!」  
 「うそうそうそー!」  
 どおりで大きいわけだ。ため息をついて、裾に手をかけて。  
 「って、トラップ、あっち行ってよ!着替えるから!」  
 トラップの手からわたしのシャツをひったくって、怒鳴る。  
 トラップはいつもの通り、誰がおめえみたいな幼児体型の着替え云々、と言って後ろを向いた。  
 なによ。つい言い返そう、としたけどやっぱりやめた。  
 「これ、ちょうどいいの、トラップ」  
 「はあ?」  
 にんまりと笑って、後ろを向いてたトラップの耳をひっぱる。  
 トラップは驚いて、こっちを振り返った。  
 「ほら、これ、長いでしょ?スカートはかなくてもいいんだ。」  
 「・・・はあ!?」  
 「ここ、ベルトしとけば、よくない?」  
 ウエストのあたりをきゅってしぼって、聞いてみる。  
 トラップは面白いくらい真っ赤になって、うろたえてた。  
 へっへえんだ。まあでも、実際問題できないけどね?  
 男物だからサイドに深めに切りこみが入ってるの。  
 まあつまり、下着だけだとものすごい所まで太ももが見えちゃうのよ。  
 「ば、ばっかじゃねえの!?できもしねえのに、言うんじゃねえよ!」  
 「えーどうしよっかなあ?」  
 内心にやにやしつつ、下にはいていたスカートのホックをはずしてやった。  
 とさっと軽い音を立てて、スカートが落ちる。  
 「!!!!」  
 「ほら、案外大丈夫、じゃない?」  
 にっこり笑って聞いてみたら、ありゃま。  
 トラップは電光石火の速さで逃げ出していた。  
 ふん。乙女をからかった罰よ。罰。  
 あ、ちなみに今は下にスパッツはいてるからね。  
 なんでかクレイに怒られたんだ。船に乗るならスパッツはいてくれって。  
 なんでかな?  
   
 

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