「ふーっ。疲れたー」
そのままベッドへと吸い寄せられるように倒れこむ。
今日は、久しぶりにアルバイトの日だったわたし。貧乏パーティのわたし達にとってアルバイトなんて全然当たり前のことで全然珍しいことじゃないんだけど。
最近、ちょっとは冒険者らしくまともに冒険もしてたから、本当に久しぶりのことなんだ。
でもまぁ、急遽パーティ全員総動員(もちろん、ルーミィとシロちゃんは留守番してるんだけどね)でこうやって働かなきゃいけなくなったのは、もちろん、我がパーティが誇る赤毛のトラブルメイカーのせいなんですけれども!
「わりぃ、パステル。金、全部すっちまった」
わたし達がみすず旅館へ帰る途中に、トラップはへらへらと笑いながら手を合わせて言った。
「んもー。知らないわよ。自分でなんとかしなさいよね!」
トラップが自分のお金をギャンブルで浪費しようがわたしには関係ないもんね!
『これが何倍にもなって戻ってくるんだぜぇ』なーんて言ったって1Gも貸さないんだから!
わたしが冷たく突っぱねるとトラップはさらにへらへらしながら、
「いやー、わりわりぃ。賭けた金が自分のじゃねえってことも忘れちまっててさあ」
なんて言うんだもん。
「トラップ!まさか、お前!」
クレイがわたしとトラップの間に割って入った。
「いやー、ちょっくら財務担当さんの財布からちょろっと失敬しただけだぜぇ?そこら辺歩いてる奴らの財布ちょろまかした訳じゃねぇから、ちったぁ良心的ってもんだ」
そんなこと言いながら鼻歌を歌ってる。
ん?
てことは、つまり…。
わたしは自分の首から提げていたお財布を開けてびっくり。
えええ?なんでこんなに少ないのよう!
今日はみずず旅館のご主人に、宿代をまとめて払いに行こうと思ってたところだったのだ。
だから、ちょっとはお財布もあったかかったはず…なのに!
えーと、ひのふのみの…、ってほとんど入ってないじゃないのー!
「トラップー!」
わたしだけじゃなくて他のみんなもトラップをじとーっとにらんだ。
「お前、よくもそんな…ったく、ちょっとは反省してるのか!」
そう言ってクレイはトラップの頭をゴン!と思いっきりグーで殴った。
「いてっ!…ったく…殴るこたぁねーだろ、殴るこたぁ」
「何言ってるんですか、殴られるようなことしてるのは、トラップ、あんたでしょう?」
キットンもあとに続くようにトラップを責めたてる。
「るせー!なくなっちまったモンは、もうしょうがねぇだろ?おめぇもなー、財務担当だったらその辺に財布置きっぱなしにするなよなー!」
そう言いながらあっという間に雑踏の中へと姿を消していった。
「ったく、しょうがない奴だなぁ…」
クレイも小さくなる赤毛を見つめながらため息をついた。
それを思っていたのはその場にいた全員が思っていたことで。
全っ然!!悪びれてないんだもん!
ほんっとに、しょうがないやつ!
次の日からそれぞれ働き口を決めて何とかアルバイトをし始めたわたし達。
わたしはシルバーリーブに新しくできた服屋さんで働くことになった。
服屋っていうと、エベリンのマリーナの古着屋さんを思い出しちゃう。マリーナ、元気で本当の両親と暮らしてるかなぁ?
この服屋さんなんだけど、割と安くて質もいい。デザインもシンプルでおしゃれだし。
シルバーリーブでは珍しいからか連日、すごい数のお客さんが訪れる人気店なのだ。
お店が繁盛してるってことはとってもいいことなんだけど。
とっても忙しいんだよね。常に立ったままお客さんのぐちゃぐちゃに引っ掻き回した服を一枚一枚丁寧に、かつ早く畳まなきゃならない。
きれいになったと思っても、また引っかきまわされる。
はあああ。もう、畳んだって意味ないような気がするんだけどなあ。
そう思いながら畳むから、ついちょっと雑になる。そうすると、店長さんに怒られちゃうから気も抜けない。
一日中立ちっぱなしだから、もー、足がパンパン。
服はかわいいんだけど、終わりごろにはそんなところに目がいかなくなっちゃうほど疲れきってしまっている。
そんなんだから、帰ってきたらベッドに直行して休みたくなる。
こうやって寝転がっていると、自然と目が重たくなってくる。
うん、ちょこっとだけ、みんなが帰ってくる、ちょこっとだけ。
そうそう、ご主人は宿代ももうちょっと待ってくださるって言ってくれたんだよね。
いつものことながら、ほんとに申し訳ないけど、ありがたい。
だから、もうちょっと、頑張らなくっちゃ…。
「…パステル」
ふわっとわたしの髪を撫でる大きな手の感触。
うっすら目をあけると、なんだか暗いようなほのかに明るいような視界。
まどろみながらも、その感触があまりに気持ちよすぎてそのまま意識を失いそうになる。
とろんとしたまま夢と現実の曖昧な場所をさまよっていたとき、わたしの唇に何かが触れた。
「…ふにゃ…?」
うっすらと目を開けると。そこにはやさしい鳶色の瞳。
わたしと目が合うと、うれしそうににっこりと笑った。
「おはよ」
「きゃっ!」
一気に現実へと引き戻された。
「クレイ!こ、こんなとこで何やってんのよ!」
身体を起こしてクレイに向き直った。
でもまだ頭は半分寝ぼけていて、熟睡していたせいなんだろう、なにがなんだかよくわかってない。
さ、さっきの、なんだったの?
な、なんでクレイがこんなとこにいるの?
さっと唇に手をやると、口の周りがベショベショに濡れている、と同時にむわっとちょっと生臭いような唾液の匂いが鼻の奥まで広がってきた。
ぎゃーーーーーー!
は、はずかしーーーーー。
わたしったらヨダレ垂れ流して熟睡してたんだ!しかも、クレイがしっかり見てたかもしれない…。
思わず口の周りを両手で隠しながらくるっと後ろを向いた。
「拭いてあげるよ」
そう言いながらわたしの背後からクレイがかぶさって来た。
そのまま回される大きくて太い腕、その手にはタオルが握られていた。
ええ、顔を出せってこと?ヨダレでベショベショに濡れてるんだよ?
ううー、そんな恥ずかしいところ、これ以上見せられないぞ。
そのまま無言でタオルを取って顔に押し付けた。
と、同時にクレイの汗ばんだ酸っぱい匂いと石鹸の匂いが混ざった匂いがわたしの鼻腔をくすぐった。
思わずちょっとドキッとしてしまう。
それにしても、カッコ悪いなあ、わたし。
「ごめん、さっきバイトでちょっと使ったから臭いかもしれないけど」
クレイはわたしの顔を後ろからちらっと覗かせて言った。
それでも身体のほとんどはわたしにくっつけたまま。服越しだけど、久しぶりに感じたクレイの体温に身体が自然に熱くなってくる。
「ううん!…わたし、この匂い、すき」
なんだかたまらなくなっちゃって。
振り返ってクレイの胸にぎゅーっと自分の顔を押し付けた。
「ちょ、パステル!」
クレイがわたしから身体を離そうとしたけど、今度はわたしの腕がしっかりと回されていた。
シャツの下から、むわんとむせ返るように香る汗の匂いと、それと同時に甘いような香ばしいような嗅いだだけでとろけてしまう匂いに、最上級の幸せを感じる。
でも、それと同時に息が出来なくなるくらい、きゅっと心臓を握られてしまう。
クレイの匂いを全身で感じて、まるで守られてるみたい。
クレイは、わたしが自分から抱きついてきたのでちょっと最初は戸惑ったみたいだけど、だんだんと優しくわたしを包み込むように抱きしめてくれた。
ふふっ、しあわせ!
「…疲れてる?」
わたしは顔を起こしてクレイを見上げた。
彼は引越し屋さんでバイトをしている。この時期は何かと引越しが多いから毎日大変なんだろうな。いやいや、引越し一件だけでも大変だと思うけど。
「んー、今日は割と楽な方だったんじゃないかな。それより、パステル相当疲れてるんじゃないか?」
「ごめん、ちょっと寝るつもりが、だいぶ寝ちゃったみたい」
窓の外を見ると、いつの間にか外は真っ暗。
気づけばテーブルの上にはクレイが持ってきてくれたのか、明かりが置いてあった。
「みんなは?まだバイト?」
「いや、猪鹿亭。パステル熟睡してたから」
げげ、わたしったら、そんなに寝てたの!?うー、起こされた記憶なんて全然ないぞ。
つくづくカッコ悪いよなあ、わたし。
しかもクレイは、わたし一人を置いて出かけられないからってきっと残ってくれてたんだ。
バイト帰りで、お腹も空いているのに。
「ごめん、クレイ」
そう謝ったわたしに、クレイは返事の代わりに唇を重ねた。
ちゅっと軽く吸われるようなキスに、思わず全身の力が抜けた。
一瞬でわたしから顔を離すとやさしく微笑んだ。
「久しぶりにパステルにこういうこと出来るから、いいの」
うわーーーーーーーーーーーー。
は、恥ずかしい。そ、そういえば、ふ、二人っきりっていうのも、久しぶりかも。
それに、それに、こういうことって…?
思わず想像してしまったわたしの顔はみるみる赤くなっていくのが自分でも分かった。
「でも、パステル。疲れてるだろ?立ち仕事ってきついよな」
わたしが一人で悶々としているのをよそに、クレイが声をかけた。
うう、クレイってほんとに優しい。そういう優しいところが好きなんだよね。
そんなのキスひとつで治っちゃうよ!なーんて思うけど、肉体的にはちょっときついものがあった。
「う、うん…。ちょっと脚がパンパンで痛いんだよね」
タイツを履いてるからあんまり見た目には分からないんだけど、ほんと、足が棒になるとはよく言ったものだ。
「じゃ、マッサージしないとな」
「え、う、うん」
そう答えてはみたものの、どうやったらいいかなんてよくわかんないし…。
ただ揉むだけでいいならやるけど、ほんとに効果あるのかなぁ?
そう思いながらなんとなく自分のふくらはぎをもみもみと握ってみる。
「おれがやってあげるから、脱いで」
「えっ!?」
ぬ、脱げって?い、今、脱げって言った?
マッサージってことは脚のマッサージに決まってるけど、でもそれ以外にどっか他にもマッサージするのかもしれないし。関節とか、筋肉が関係してる、とか。
あー、でもでも、今は二人っきりだし、何が起こるかわかんないような状況だし。脱げってことは、やっぱりそういうことなの?
えーっと、ど、どうしよう。ま、まだそんな心の準備っていうものが…。
またしても一人で悶々とするわたし。
そんなわたしをよそに、クレイはわたしのスカートをめくりあげて、タイツのゴムに手をかけた。
「ほら、パステル。腰、浮かせて」
「う、うん」
わたしから皮を剥ぐようにするっとタイツを脱がせていったクレイ。急にひやっとした外の冷気が直にわたしの太ももをなぞった。
うー…、やっぱりそうだったんだ。そうなるんだ。
ど、どうしよう。今日ってちゃんとした下着つけてたっけ?ピンクのだっけ?ううん、それは昨日着たやつだから、えーっと、んーっと…。
一人でえらく別のことを心配していると、クレイはわたしの足の裏に手をやった。
「カチカチだな。ここをやわらかくほぐさないとな」
そう言って硬くなってしまった足の裏のつま先から、丹念にマッサージし始めた。
あれ?
あ、やっぱりマッサージしてくれるんだよね。
あーもう、なに考えてるんだろ、わたしったら。やーらしーなー、もう。
一日中立ちっぱなしで固まってしまった足の裏に、クレイが自分の指の第二関節でぐいぐいっと押した。
たまに、それが土踏まずのやわらかいところを刺激されると、飛び上がるくらいに痛かったんだけど。
丹念にゆっくりマッサージしてくれたおかげで、だいぶ楽になってきた。
「ふー、ありがと、クレイ」
クレイはうれしそうにうなずいた。
「じゃあ、今度は足首からふくらはぎだな」
そう言ってわたしの正面に向き直った。
ぎゅっと足首を握られ、そのまま絞るようにぎゅっ、ぎゅっと握る。
力加減が絶妙で、ちょっと刺激がたまらなくいい。イタ気持ちいいって言うのかな。
「クレイ、ほんとに上手だね!」
そう言うとちょっと照れくさそうに笑った。
「痛かったら、言ってくれよ。力加減、人にやってるとあんまりわからないから」
「大丈夫。すーっごく、楽になってきたもん。それよりも、どうして、こんなこと出来るの?」
「なんとなくね。ま、自己流なんだけど。でも、効果は抜群だぜ」
「そうなんだ」
なんてことを話しながらも、クレイはずーっと休まずにわたしの足を揉み続けた。
帰ってきたときの脚と比べたら、断然楽になった。だって、パンパンにむくんじゃって、足首なんかどこへ行っちゃったの?って位に腫れてたもんね。
ぎゅっと指で押さえたら、そのままくっきりと痕が残っちゃうくらい。
こんなに長いことマッサージしてもらったのなんて初めてだった。
指とか腕とか疲れちゃうんじゃない?ただでさえ疲れて帰ってきてるのに。
そんなことをクレイに言ったら、「おれは大丈夫。さ、こんどは肩だから」なんていってくれるんだもん。思わずそれに甘えてしまった。
「横になった方が、パステルも楽だよ」
そう言ってうつぶせの姿勢で寝転ばされてしまった。こうしてると、再び睡魔が襲ってきそうになる。
わたしの身体にクレイがまたがるような姿勢(と、いってもクレイの身体は浮かせてくれていた)で再び肩を揉みだした。
「ふーっ」
思わずため息が出ちゃう。
クレイってほんとに上手なんだね。
そのままじっくりと肩から上腕までゆっくりとぎゅっ、ぎゅっとほぐされていく。
身体の疲れのかたまりなんてどっかいっちゃいそうだ。
やさしく、たまに強くわたしのツボを知り尽くしてるように刺激してくるんだもん。
だんだんとクレイの手が背中からゆっくりと下のほうに移動し始めていく。
そうそう、脚だけじゃなくて手も使うんだよね。
んー、だんだん力が抜けてきたぞー…。そ、それに、なんだか…ねむたくなってきちゃったかも…。
半分まどろみながらクレイのマッサージをされてたんだけど、なんだか身体がほんのりあったかくなってきた。
いや、熱くなってきたのかな。それに、なんだか、変な気持ち。
クレイの手が腰から下を指圧してるんだけど、身体の内側から熱くなってきて、なんだか息苦しくなってきた。
「…んふぅ」
溢れるように漏れ出したのは、自分でもびっくりするくらいのいやらしい声。
どうしたんだろ、ただ身体をほぐしてもらってるだけなのに。
どくん、どくんと心臓が大きな音を立てている。
衝動がつきあげてきそう。
そのままクレイに身を任せていると、急に下着の上からあそこの筋をすっとなぞられた。
「ひゃあぅっ!」
びくっと反応する身体。
それと同時に全身を駆け抜ける快感。
「パステル…」
クレイは荒い息を吐きながら、わたしの上に被さった。首を片手で持ち上げられると、唇にクレイがしゃぶりついてきた。
ぐちゅ、じゅるっと音を立てながらお互いを食べるような激しいキス。
唾液を転がしながら、舌でまさぐりながら、お互いを激しく求め合う。
キスしている間も、もう片方の手でわき腹を撫でるようにふわっと触られる。うう、くすぐったいようでなんだか気持ちいい。
「…んんっ」
唾液まみれになりながらキスをしている最中も、クレイはわたしへの愛撫をやめようとはしない。
おしりを円を描くようになぞったり、ぎゅっと握ったり。
おしりの付け根からあそこの近くの肉をふにっと握られると、身体は正直にびくんと反応する。
ぷるぷるとしびれるような刺激。なんだか感じすぎてトイレに行きたくなっちゃう。
「ク、クレイ…うっ」
べちょべちょになった顔を起こすと、クレイはなんだかぼんやりとわたしをみつめている。
そのまま身体を起こすと、今までお尻を撫でていた右手をゆっくりとわたしの太ももの間に滑らせてきた。
「…ひっ」
触れてるか、触れてないかわからないような感覚。
なんだかくすぐったいんだけど、もっと触ってほしくなっちゃう。
太ももの奥のほうでは、熱を持ちながら蜜が溢れるように流れ出している。
「ああん、クレイ…」
だんだんと身体をわたしの下半身に移動させながら、クレイはもう片方の手でわたしの服をめくり上げ、ブラジャーをしたままの胸をあらわにさせた。
「んっ」
すすす、っとブラの隙間から入り込むちょっとごつごつした指。
ぷにゅっと乳房に触れたかと思ったら。
わたしの小さな胸の小山の周りをそっと撫でたり、一番敏感なところを避けるようにやさしく撫でるだけだった。
ううー、なんだかまどろっこしい。もっと触ってほしいのに。
こうしてる間にもじゅわっと下半身が濡れそぼっているのがわかる。
ゆっくり時間をかけながら、クレイはわたしの色んなところを撫でたり、自分の唇を這わせてわたしの秘部へとたどり着いた。
そこには、大きなシミを作った水色のパンティがスカートの間から顔を覗かせている。
「あーあ…パステル、こんなに濡れて…」
クレイはわたしの太ももの間から顔を覗かせながら言った。
ううう、そんなところから見ないでよう。そんなこと言わないでよう。
ちょっとの羞恥心がさらに神経を高ぶらせる。
そしてパンティの隙間からするっと指を入れたかと思うと、にゅるっとわたしの愛液でいっぱいになったそこに触れた。
「ひぃいいん!」
今までに感じたことのないような快感が身体の奥底から電流になって駆け巡った。
爪先がぴいんと伸びていく。
「パステル、感じてるのか…?」
はあはあと荒い息遣いのクレイ。ほの暗い部屋の中でも、ちょっとクレイの顔が赤く染まっているのがわかる。
わたしはコクンと首を縦に振った。
体中が甘くしびれている。
「んっ…」
どうにかしてほしい。頭の中までおかしくなっちゃいそうなんだもん。こんな風に理性がとんじゃいそうになるなんてこと、今までなかったのに。
カチャカチャっと部屋に響く金属音。
この時間が、本当にじれったい。ああっ、クレイ。
ファスナーを降ろすと、今にも飛び出しそうにぱつんぱつんに膨らんでいるボクサーパンツ。それをそのままぐいっと下げると、びよん、としなりながらクレイのペニスが飛び出してきた。
ズボンを脱ぎ捨てて、わたしの前に向き直ったクレイ。そのままわたしの脚をがっと広げると、腰を近づける。
わたしもそれに応じて自然と腰を軽く浮かせたいところなんだけど。
で、でも、クレイ…。わたし…。
「ほら、パステル、パンツ穿いてたら出来ないぞ」
「えー、クレイ、脱がせて…」
自分で脱ぐなんて、なんか積極的すぎるよね。恥ずかしいんだもん。
甘えたように言うと、クレイは「…しょうがないな」と言ってずるっとパンティを脱がせてくれた。
そのままスカートを腰までたくし上げて、わたしの腰を掴む。
「うっ」
決壊したようにあふれ出す蜜に身体を震わせる。
思わずちょっともぞもぞと身体をよじった。
「ふう」
一息つくと、クレイは自分のペニスの竿を持って、わたしの中に入れようとした。
下腹部にぐっと力が入る。
が、クレイは亀頭でわたしの入り口をなぞっている。ヌラヌラと濡れた亀頭が触るたび、わたしの頭の中が狂ってしまいそうだ。
ねえ、早く挿れて!
そう言えたらどんなに楽だろう。
「ああん、ねえ、クレイ…」
「…なに、パステル」
「……んっ」
「…何?黙ってちゃわからないよ」
そう言いながら、またまたわたしの割れ目をなぞった。
入れるようで入れない、いつもの優しいクレイにしてはすっごく意地悪な気がした。
「…やだぁ」半分泣きそうになりながらつぶやいた。
「何がいやなんだ?」
入れて、なんてこんなこと言えないよ。
「……!」
先っぽがにゅるっと微かに入った感覚がした。が、それもすぐに抜き出されてしまう。こんなにじらされて、ほんとにどうにかなっちゃいそうだ。
「いやぁ…、い、れてぇ…」
思わず本音が出てしまった。
わたしの顔を見るとクレイは満足そうに笑って深く腰を沈めていった。
ずん!
「んああああああっ!」
わたしの中に広がっていく、クレイの甘い痛み。
開放されるように、そのまま理性と意識はスパークした。
それからわたし達が果てるまでそれほど時間はかからなかった。
そして、わたしは初めて到達した感覚に、まだ頭の中がぼんやりしている。
顔に手をやると、そこには白濁色の液体に姿を変えたクレイの想い。少し手に取ると、鼻を突き刺すような生臭いなんともいえない匂いが鼻腔まで突き抜ける。
でも、なんだかとっても愛しい匂い。
舌ですくって口の中にどろんとした液体を入れる。そのままゴクっと呑み込むと、喉を突き刺すような刺激がした。
ちょっと辛いし、喉はイガイガする。はっきり言って気持ち悪いけど、クレイのだから、と思うとなんだか後をひくような感じがする。
「パステル…」
「…へへ、なんだかマッサージどころじゃなくなっちゃったね」
わたしたちは布団の中で抱き合いながら言った。
「でも、こういうマッサージも、たまには悪くないだろ」
ちょっと照れながらクレイは笑った。
うん、って言うのがちょっと恥ずかしい。
「今度は、優しくしてね」
ちょっと口を尖らせて言うと、クレイは意地悪っぽく笑って答えた。
「エッチなパステルってかわいいな」
「んもー!恥ずかしいってば!」
そう言ってわたしはクレイの胸に顔を押し当てた。
さっきよりもより感じるクレイの匂い、このままずっといたいって、心からそう思った。