トラップは私を抱えたまま、結局部屋の前まで連れてってくれた。  
 こういうのってなんか、ちょっとうれしい。いつものトラップだったらぜーったい、こんなことしてくれなかったもんね。  
「ありがと。もう歩けるから大丈夫」  
 しかしトラップはわたしを下ろそうとはせず、抱えたまま部屋のドアを開けるとそのまま入っていった。  
「ちょっと!いいってば!いい、いい!」  
 部屋では相変わらずルーミィとシロちゃんの寝息が聞こえてくる。薄暗い部屋ではなんとなくベッドの位置ぐらいしか分からない。  
 トラップは抵抗するわたしを無視し、ルーミィとシロちゃんが寝ている横の空いているベッドに降ろした。  
 微妙な空気。  
 わたしが横になったままの体勢でトラップをみつめると、ちょっと意地悪そうな目をして笑った。  
「ここなら出来るだろ」  
「えっ……ちょ、ちょっと」  
 そう止める上にかぶさるように四つん這いになる。トラップの体はわたしを逃がさないように覆っていた。  
 さっきのおかみさんの言葉がよみがえる。  
『やるなら部屋でやんな』って…えええええ。  
 あー、でもこの状況って絶対そういうことなんだよね、キスまでしちゃったんだもん。でもそれ以上先のことなんて話でしか聞いたことないし、どうしよう。  
 うー…どうしていいかわかんないよ…。  
 思わず、喉がゴクンと鳴った。  
 
「ルーミィ達が起きちゃう……」  
 わたしはちょっとだけ抵抗してみた。自分の本心は分からない。このままどうなるかが知りたいくせに、ちょっと戸惑ったり。  
 したい、なんて言えないし。したいのかは、わかんないけど、このままトラップと最後まで…いたい。  
「だぁら、静かにやんだよ」  
 小声でトラップは答えた。  
 静かにって…。やっぱり、やるの?  
 トラップと一緒にいたいけど、わたしは初めてなんだもん。  
 そ、そりゃ、最終的にどういうことをするのかはわかるけど、でも、その前にどうしたらいいかわかんないし、怖いし。  
 わたしがどうしていいかわからなくて困った顔をすると、トラップは少し残念そうな目をしてわたしを見た。  
 その顔がどうしようもなく愛おしくて、無言でコクンと頷いた。  
   
 トラップはうれしそうに笑って  
「大丈夫だかんな」と言った。  
 トラップ、ちょっと怖いけど、やっぱり…好きなんだもん。わたしだって今夜このままトラップと一緒にいたい。  
 
 
 トラップはわたしの顔を見て、再び目を閉じた。  
 反射的にわたしもそっと目を閉じると、サラサラの前髪がわたしの頬にかかる。少し熱っぽくて、湿っぽいトラップの唇が重なる。  
 そのままトラップはゆっくりとわたしの上に覆いかぶさった。初めて感じた男の人の重み。  
 ずしっとわたしの体は覆われ、重みに対する息苦しさなのか、愛おしさからなのか、重ねた唇から声がふっと漏れた。  
 わたしの唇を吸い上げ、ゆっくりと味わう。くちゅっとした音に、身体はじゅんとなる。  
 ゆっくり、ゆっくりとお互いを味わう。口から溢れ出す唾液一滴も逃さないようにしゃぶりついた。  
   
 わたしはまさかトラップとこんな事になるなんて思ってもみなかったけど、今は彼しか考えられなかった。重ねる度に、伝えられる好きの気持ち。  
 目を開けて目の前のトラップを見る。  
 トラップはわたしを味わいながらも、片手でわたしの頭を撫でた。髪をくしゃっとさせながらわたしの顔を見る。  
 思わずわたしは微笑んでしまう。  
 
 不意に、トラップの顔がわたしから離れる。夢から覚めるようにわたしは目を開ける。  
 トラップはちょっと身体を起こすともう片方の手でわたしのネグリジェのボタンを外しだした。  
「あっ……」  
 急にすっとした風が胸元をなでる。  
 そ、そうだよね。男の人と二人でベッドに寝ていてキスだけ、で済むわけないもん。でもやっぱり、脱がないとダメ、なのかなぁ?…うー……さむい…。  
 脱がされていくことへの緊張からなのか、寒さからなのか、思わずちょこっと身震いしてしまう。  
 トラップはそんなわたしに気づいたのか、わたしを一旦起こすと、身体の下にあった布団を無言で二人の上にかぶせてくれた。  
 ふふっ。トラップにこんな優しいとこがあるなんて。  
   
 わたし、トラップが好き。  
 わたしはうれしくなって彼の首にしがみついた。  
 
 胸元まで空けられたわたしのネグリジェの裾を、太股の方からたくしあげながらゆっくりと脱がせてゆく。その下から真っ白のパンツとブラが顔を出した。  
「…やっ」  
「おめぇらしいな」  
 そう言いながら、トラップはわたしの背中に手を回すとカチッという音がした。急にすとんと身体が軽くなったと同時に、肌が外気にさらされ反射的に全身がぶるっと震えた。  
 ちょ、それってどういうこと?そりゃ、今日の下着ははっきりいってそんなかわいいものじゃないし、ちょっと使い込んでるけど…あー…恥ずかしい。あんまり見ないでほしいなぁ。  
「あれっ…?」  
 ふと自分の身体を見ると、ブラを外されておっぱい丸出しの状態だった。トラップの手にはいつわたしから外されたのだろう、ブラが握られていた。  
 い、いつのまに!  
 彼の目はじっとわたしの胸に釘付けになっていた。  
 カーッと顔が赤くなっていく。  
「ゃんっ」  
 わたしは思わず自分の胸を両手で隠した。が、それも彼の強い力でガッと外されてしまった。  
「きゃっ」  
 み、みてる…トラップがわたしの胸を、見てる…。うー…そんなに見ないでよぉ。・・・どうせ、小さいんだから。  
 初めて異性の前にさらす恥ずかしさ。わたしの小さな胸の膨らみはトクン、トクンと大きく脈打っていた。  
「…やだ、あんまり見ないで…」  
 小声で言うと、トラップは急にわたしの胸元に頭を沈めて、わたしの乳房をぎゅっと掴み、片方を口に含んだ。  
「…んふっ」  
 わたしの身体に電撃のような快感が走った。それは胸から、下腹の奥の方から、じわっと溢れて指先まで全身に駆け抜けていき、我慢できずにわたしは声を漏らす。  
 赤ちゃんのように安心したような顔でちゅう、ちゅうと音を立てて乳首を吸うトラップ。  
 そのたびに、わたしは全身からあふれ出す快感に身をよじった。  
 なに、これ、なんかすごく気持ち、いい…  
「や、ん…トラップ…」  
 乱暴にギュッと鷲づかみされ、乳首の突起を甘噛みされると、痛みと同時に激しい快楽がわたしの全身を駆け巡っていく。  
 わたしの胸をちゅうちゅうと吸いながら、トラップはわたしの顔を舌から目だけで覗き込む。  
 どうしようもない気持ちよさに、恍惚の表情を浮かべているわたしの顔をじっと見つめられ、恥ずかしくて、でも止められなくて、濡れてしまう。  
 
「ああっ」  
 ギアとのキスでも愛液が溢れるほど濡れてしまったわたしは快感を覚えてしまったのか、徐々にせりあがってくる快感に再び身体は燃えるように熱くなり、じわっと濡れる。  
 
「トラップぅ…」  
 たまらなくてわたしは呼んだ。そんな様子に彼は上体を起こすと、おもむろに自分の着ていた服を脱いだ。  
 上半身があらわになる。  
 たまに上半身だけ裸でいるときもあるから、見るのは別に初めてじゃないけど。こんなにじっくり見たことはなかった。  
 トラップって細い細いって思ってたけど、男の人の身体なんだ…  
 うん、わかってたんだけど、こうやって改めて見たことがなかったんだもん。  
 胸板にほとんど筋肉はついていないけど、腹筋は六つにちゃんと割れていた。  
 わたしだけを抱く細い、けど広く感じる身体。  
   
 そのまま、彼は自分の履いていたズボンに手を伸ばし、ベルトをカチャカチャと外しだした。静かな部屋に吐息と金属音が交じり合って響きわたる。  
 ファスナーをおろすと今にも飛び出しそうに勃起したペニスがトラップのパンツの中にいるのがはっきりとわかった。  
 グレーのボクサーパンツの膨らんだ先端はしっかりと濡れていた。思わず「ドキッ」となる。  
 立ち上がり、その場で下着とズボンを一緒に脱ぐと、陰毛の茂みからぴょこんと反りあがったペニスが顔をだした。  
 初めて見る男性器にわたしは目が釘付けになっていた。  
 な、なんか生物みたい…ピクピク小刻みに動いていたり、先っぽから汁がチロチロ出てきてるし。  
 トラップのほんのり赤黒い色のペニスは、ぴくっと動くたびに先走りが溢れるように流れてきた。  
「あんだよ、あんまり見るんじゃねえよ」  
 トラップはちょっと照れを隠すようにふてくされて言った。  
 そりゃね、わたしだって昔お父さんとお風呂に入ったときに見たことはあるから初めてじゃないんだけど。  
 こんな重力に逆らうように直立してるところなんて見たことないもんね。  
 思わず食い入るように見つめていると、トラップはとんでもないことを口にした。  
「舐めてくれ」  
 って、ええっ!?  
 わたしが、これを舐めるの!?  
 そ、そんなこともするの!?  
 わたしが目を点にさせていると、そんなわたしの困った顔にトラップは思いっきりわたしの目の前にずい、と自らを突き出してきた。  
 ううー。きいてないぞ、そんなこと。  
 でも、トラップがすきなんだもん。なんでもしてあげたいって思うのは、おかしいことじゃないよね?  
   
 
 わたしは意を決してトラップ自身に向き合って、恐る恐る握ってみる。  
 がちっと強張ったペニスの表面は今にも溢れそうなくらいに引きつっていた。  
 うわ、か、硬い。ギンギンに張っちゃってる。痛くないのかな。しかも、これってこの前の冒険でキットンが騒いでいたキノコの形にそっくり。  
 そんなことを考えていると先っぽの方からのぞいているキノコの傘からヌラヌラと汁が流れ出してきた。  
 ぽたっとこぼれ落ちそうになる汁を、わたしは舌先ですくって舐めた。  
「・・くっ」  
 むせ返るような体臭に、ふにゃんととろけてしまう。  
 トラップのペニスを覆う陰毛が鼻の下に触れる。  
 キノコの先端に唇を重ねると、トラップはちょっと身体を仰け反った。  
 そうしている間にも、だんだんとこの卑猥な行為にわたしは喜びを覚えてしまっていた。  
 
 見上げると、トラップは目を閉じてうっとりとした表情を見せる。じゅるじゅると溢れ出る先走りを味わいながら、もっともっとトラップが欲しくて、割れ目を舌でなぞる。  
「んあっ・・・パステルっ、や、やべぇ・・・」  
トラップはわたしの口からペニスを離すと、恍惚から覚めないとろんたした目をしてわたしを見た。  
 荒い息を一息つくと、わたしの上に再び四つんばいに乗っかった。  
「はぁ・・・はぁ・・・今度は、おめえの・・・番、だかんな」  
 そう言うとわたしの履いていたパンツを器用な手先でするするっと脱がした。  
 さすがは盗賊。  
   
 わたし達は一糸纏わぬ姿になって布団の中でお互いの体温を確かめあう。  
 するとトラップはわたし背中に手をのばし、わたしを抱いた。  
「好きだ」  
 ふふっ。  
 思わず顔がほころんでしまう。  
 何回聞いてもうれしくてたまらない言葉。  
 布団の中にもぐりながらお互いの身体に唇を這わせた。  
「・・・ん」  
「くっ・・・」  
「ふぅっ」  
 トラップはわたしの唇、頬、耳、首すじ、肩、胸、お腹というありとあらゆるわたしの身体に熱っぽい唇をあてながら、わたしの髪を撫でたり、頬や胸や背中に触れた。  
 その度にわたしは声を上げることを止められなかった。  
 トラップ、もっと触って、もっと、もっとわたしを触って・・・  
 恥ずかしいのに、体中の全細胞がトラップの身体を激しく求めている。  
 トラップの片手がおへその下の方からもっと下の方まで撫でていくと、わたしの茂みに手が触れた。  
「・・・!」  
 手の腹を恥骨に沿って撫で下ろしていきながら、細長い指を、わたしの割れ目にあてがった。  
 その瞬間に、ぐちゅっと卑猥な音が部屋に響きわたる。トラップのちょっとひんやりした指がわたしのあそこにゆっくりと沈んでいく。  
「・・・ひゃあうっ」  
 な、なんか、は、入ってるっ。んっ、わたしの、カラダに、トラップが、入ってるっ。  
 なに、これ、なんでこんなに、熱いの?  
 肉襞を押し上げながらぐっと押し込まれたトラップの指。思わず仰け反って激しく喘ぐと、トラップに口を塞がれた。  
「バカ、静かにしろっつっただろ」  
「ごめぇん・・・」  
 だって、なんだかすっごく気持ちよくなっちゃったんだもん。  
「すげー濡れてる。ほんとに感じやすいんだな」  
 はずかしくって思わずトラップから目をそらす。  
 わたしはギアからされたことを思い出してしまった。ギアから言われたように、こんなに濡れてしまうなんてわたしはやっぱりいやらしいのかな。  
「脚、広げろ」  
 言われるがままにわたしは両脚を広げ、蜜で濡れそぼったあそこをトラップに突き出した。しかし、トラップに強引にもっと広げられてしまった。  
 い、いたいっ。これ以上広げられないってば!  
「これじゃあ入れられねぇな」  
 トラップはわたしの両膝を曲げると、腰の下に手を入れ、自分の方へとわたしの身体を寄せた。秘部がむき出しになり、トラップに丸見えの状態になる。  
 ちょっ、こんな格好しなきゃならないの!?思いっきり、トラップに見えちゃってて。  
 なんだか、わたしったらカエルが仰向けにひっくり返ってるみたいなんだもん。  
 恥ずかしさと甘い気持ちにわたしの意識はもうろうとなった。もうどうにでもなっていい。  
 トラップはわたしの割れ目に静かに腰を落とすと、わたしの膝に片手をつきながら、はあっと大きくため息をついた。  
 「挿れるぞ」  
 低い声に、息がとまる。  
 肩が小刻みに震えた。わたしも大人になる。  
 
 トラップの亀頭がわたしの入り口に微かに触れると、反射的に足を閉じようとしてしまった。  
 それをぐいっと力ずくで押さえつけられる。  
「力抜けよ」  
 ん、だって、いざそんな大きなものが入り込む、なんて考えると・・・やっぱり、こわいよぉ。  
 ほんとにわたしに入るのかなぁ?  
 急にそれまで全てさらけ出してたというのに、きゅうに自己防衛が働いてしまい、貝のように身を閉じてしまう。  
 力を抜くって?どうやったらいいんだろ、はぁ〜、リラックス、リラックス、はぁ〜。  
 妊婦のように呼吸を繰り返すと、トラップはわたしの広げた脚の間から上半身に抱きついた。  
「怖くねぇから」  
 そう言って、再びわたしにキスをした。あったかい唇に、わたしは氷が溶けていくようになる。  
 お互いを舐めあいながらも、トラップが片手で自分の股間に手をやりつつごそごそしている。  
 
 
 すると、突然。  
「・・・!」  
 
 
 鮮烈な痛みがわたしを襲った。  
「やっ、いた、ぃたい、いたいっいたいっ」  
 思わず顔をしかめて叫んだ。  
「ちょ、無理、むり、ごめん、まって」  
 あまりの痛さに、大声で叫んでしまった。トラップが慌ててわたしの口を塞ぐ。  
 ヒダヒダに隠された、わたしの入り口。トラップの亀頭がそこに入ろうとしただけで、鋭い刃物で切られるような痛みが走った。泣き出しそうになる。  
 トラップもわたしの様子にびっくりして、思わず挿入しかけたペニスを引っ込める。  
「やっぱ痛え?」  
 返事も出来ず、ただただ首を上下に何度も振って応えた。でも、これを乗り越えなかったら、トラップとひとつになれない。  
 どうしていいかわからず、わたしは本当に泣き出してしまった。  
 したいのに、身体が拒んでできない。  
 世の中の愛し合う男の人と女の人は、こうしてもっともっと愛を深めていくなら、わたしだって、愛したいよ。  
 トラップに、抱かれたい。  
「そんなに痛えなら、やめるか?」  
 心配そうにトラップがわたしを覗き込む。  
 いや、やめないで・・・  
 わたしは今度は首をしっかり横に何度も振って答えた。  
 
「・・・わたしの、初めてを、あげる」  
 言っちゃった・・・。  
 もう、後戻りは出来ない。  
 するとトラップは唇を重ねてきた。とっても、とても優しいキスに、わたしの時間は止まってしまう。  
 唇の間から舌をねじ込ませられ、わたしはそれを激しく吸い上げるように求める。  
 再び、張り詰めていた感覚がゆるゆる溶けていった。  
 トラップを受ける準備なら、ちゃんと出来ている。  
 ふっと顔を起こすと、トラップは  
「おれだって、初めてなんだよ」  
 と言って、チュッと軽くキスした。  
 なんだかうれしくなって、おもわずふふっと笑った。  
 あんだよ、というような顔をして照れを隠してふくれたような顔をしたトラップに、わたしは声には出さないで『すき』と言った。  
 
 トラップはとってもやさしい目でわたしを見つめたまま、再び自分の腰を落とした。さっきの痛みがふっとわたしの頭を掠めた。  
 わたしの下の口はぱっくりと開いて、トラップを飲み込もうとしているのが寝ているわたしからも見えた。卑猥な姿にわたしは思わず感じてしまう。  
 「怖く、ねぇから」  
 そう言いながらもわたしの肩に置かれた手がちょっと震えている。  
 わたしは大きく深呼吸をし、ふーっと長く息を吐いた。  
 再びペニスがヴァギナにあてがわれる。ちょっとやわらかいのに、カチカチになった不思議な感触の先端に、わたしは息を吐き続けた。  
「んああああああああっ!」  
 先端がわたしの中に入り込んでいく。メリメリっと音がした気がした。何も考えられない。やっぱり痛い。いたい。  
 初めてのセックスは痛い、と聞くけど好きな人とのセックスでもこんなに痛いのかな。ひとつになりたいと思うことは、こんなに痛いことなのかな。  
 身体が上下に引き裂かれるような激痛に、ぎゅっと目をつぶると涙がにじむ。  
「ああっ、いたい、いたいっ」  
 そう泣こうが、わめこうが、トラップはより深く腰をぐぐっと沈めていく。天地がひっくり返ったかのような痛みを味わいながら、薄目で犯されていく肉体を見つめた。  
「っく・・・やべ、きちぃ」  
 荒い息を肩でしながら、トラップはわたしの中ににじりにじりと入っていく。  
 わたしの中ではこんなにトラップを求めているはずなのに、痛みによって彼を拒んでいるようだった。  
 不思議な異物感を下腹部の辺りに感じて目をやると、わたしの中にトラップが途中まで入ってきていた。  
 結合部を見て、思わず動物みたいだなぁと思ってしまう。  
「は、入ってる・・・?」  
「もう、ちょい、・・・くっ」  
 そう言うとわたしの腰を押さえつけながらぐっと腰を落とした。  
 下腹部に走るずん、という衝撃。わたしはトラップをすっぽりと根元まで飲み込んでいた。  
「ああああああっ!」  
 痛みと同時に、今までに味わったことの無い、弾けるような快楽。  
 奥のほうまでトラップのでいっぱいになる。  
 ようやくわたしたちは、一番近くまで来れたんだ。  
 うれしくって、一粒の涙がわたしの頬を流れて伝わった。  
「あふっ」  
「やべ、パ、パステル・・・」  
 にゅるんとした感触がして異物感がすっと消えていくと、お腹に生暖かい何かがかかった。  
 
 短い夢から覚めるように目を開けると、トラップはぐったりしたような、苦しいような顔をしている。  
 何かに解放されたようにわたしの片足に身体をもたれた。  
 お腹をみると、そこにはトラップの吐き出した熱い思いが白濁色の液体に姿を変えていた。  
 ぷん、と甘いような酸っぱいようななんともいえない匂いがした。  
「わり、おめえの中、気持ちよすぎた」  
 トラップはほっとしたようなちょっと苦しそうな声で言うと、近くにあったティッシュをとり、精液を拭いてくれた。  
 身体を起こすと鈍く残る痛みと残物感がして、思わず顔をしかめる。わたしの秘部から太股を伝わって、シーツには真っ赤な跡が残されていて、ぎょっとした。  
 でも、それと同時になんとも言えない幸福感に包まれた。  
「痛くしちまって、ごめんな」  
 申し訳なさそうなトラップにわたしはしっかり彼に向き合うと  
「トラップ・・・だいすき」  
 普段のわたしはぜーったいこんな大胆なこと言えないけど、全部見せちゃったこの人になら素直になれる。  
 トラップはわたしをギュッと抱きしめた。  
 
「ねぇ、ぱーるぅ。それ、とってぇー」  
 ルーミィの声ではっと我にかえる。ああ、いけない。わたしったらボーっとして。  
 今は遅めの朝食をとりにメインクーン亭にいる。  
 あれからわたし達は抱き合いながら寝てしまったみたいで。  
 でも、部屋が明るくなるときにトラップはもうわたしの隣にはいなかった。  
 さみしかったけど、ちょっと安心してわたしは再び睡魔に襲われてしまい、わたしとトラップは寝坊してしまったのだ。  
「いつも寝起きの悪いトラップならわかりますけど、パステルが寝坊とは珍しいですねぇ」  
 と、わたしが起きてきたときにキットンが言ってたもんな、くう。  
 
「ねぇ、ぱーるぅ。きのう、おなか、いたかったんかぁ?」  
 
 ぎくっ!!  
 予想もしていなかったルーミィの発言に、持っていたコップを滑って落としそうになる。  
「ぶっ!!」  
 絶妙のタイミングでトラップが飲んでいた水をふきだして、むせ始めた。  
「うわっ、おい、トラップ!」   
 クレイがトラップの背中をさすってやる。  
「どうしたんだ、パステル?」  
 ノルが心配そうにわたしを覗き込んだ。ううう、その話題から離れてよう。  
   
「なんかねー、きのうルーミィがしおちゃんとねてたらねー、ぱーるぅがおおきあこえで『いちゃー、いちゃー』ってないてたんらお」  
 ひやっとした悪寒がわたしの全身に走り、思わずその場に固まるわたし。  
 顔面蒼白とは、まさにこのことだ。  
「なんだ、パステル、調子悪いのか?・・・そういえば、ちょっと顔色も良くないみたいだしな」  
 クレイの心配をよそに、わたしは頭の中は大パニック状態。  
「そ、そうかな?は、はは。ごめんねー、ルーミィ。そ、そーそー!お腹痛かったんだよね。起こしちゃった?」  
 ひきつった顔のまま聞くとルーミィは無邪気な顔で答えた。  
「ぱーるぅのこえはきこえたんらけど、そのまましおちゃんとねちゃってたんらー」  
 そう言うとニーッと白い歯を出して笑った。  
「そうだったんデシか?ぼく、知らなかったデシ」  
 テーブルの下にいたシロちゃんもわたしのすぐ隣に来て言った。  
   
 思わず胸をなでおろすわたしとトラップ。  
「パステル、腹痛ならよく効く薬があるんですよぉー。何か持ってきましょうか?」  
 軟膏を・・・と言いたいのをぐっとこらえる。実は、まだひりひりした痛みが残ってて、普通に歩けないんだよね。情けないんだけど、ちょっとがに股になっちゃって。  
「ううん、ゆっくり休んでたら治ると思うから大丈夫。ありがと」  
 笑顔でキットンに断ると、それまで黙っていたトラップが  
「けっ!たるんでんじゃねーの」  
 といつものように悪態をついてきた。しかし、少し照れているような感じでいつもの憎たらしい感じがしない。  
 わたしはなんとなく調子が出ないトラップに対して、  
「うるさいなー」  
 としか言えなかった。あああ、何かわざとらしい。  
 
 とにかく、わたし達は付き合うことになったんだから。  
 わたしはうれしくなって、思わず顔がほころんでしまった。  
 
「パステルおねーしゃん」  
 メインクーン亭を出た後、わたしの後ろからシロちゃんがトットコ歩きながら声をかけた。  
 「なあに?シロちゃん」  
 「ごめんなさいデシ。ちょっとお話したいことがあるんデシけど、いいデシか?」  
 シロちゃんの顔がなんだかとっても真剣だったので、わたしは2人(一匹?)で話を聞くことにした。  
 
 
 近くの公園のベンチに腰掛けると、シロちゃんはわたしのことを困ったような顔でみつめていた。  
「どうしたの?シロちゃん。何かあったの?」  
「・・・パステルおねーしゃん、ごめんなさいデシ。ぼく、さっき嘘ついちゃったんデシ。ルーミィしゃんがおねーしゃんの声を聞いたとき、ぼく、ほんとは起きてたデシ」  
「・・・・・・・・・・・・・・・。」  
「でも、この前おかーさんに会ったとき、おかーさんから言われてたんデシ」  
「おねーしゃんが、いつか部屋に男の人と2人で入ってきて、ベッドに潜っても、寝たふりしてなしゃいって。それから、おねーしゃんがいたい、いたいって泣き出してもジッとしてなきゃだめよ、って言ったデシ。」  
「・・・・・・・・・・・・・・・・。」  
「それから、この事を聞かれても知らないって答えないとだめって言われたデシ。ぼく、何でかわかんなかったからおかーさんに聞いたんデシけど、大きくなったらわかるって言われたデシ。今はまだわかんないデシけど・・・これで、よかったデシか?」  
 
 シロちゃんはキラキラとした黒目でわたしを見上げた。  
 わたしは返事に困りながら、本当に胃が痛くなってきてしまった。  
 
 
END  
 
 
 

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