ここはギボン亭。 
わたしは、ミモザ王女になりすまして、ギアとアルメシアンと三人でキスキン国を目指してるんだけど。 
ついに、メレンゲたちに襲撃されたの! 
しかも、ダンシング・シミターっていう下手な軍隊の二小隊分くらいの働きがあるっていう、何やらギアと因縁がある傭兵まで現れて、わたしは指の先まで震え、心臓は早鐘のよう。 
今回は撃退に成功したんだけど、どうなっちゃうの!? 
「では、わたくしは部屋に戻りますな」 
アルメシアンはそう言って隣りの部屋へと戻っていった。 
ギアはダンシング・シミターとの次の戦いに思いを馳せているのか、部屋のソファーに深々腰掛け、腕組みをしたまま黙り込んでいる。 
「ギア、何か飲む?」 
「ああ。そうだな。頼むよ」 
と言っても、水しかないのよね。 
わたしは水差しからグラスに水を注いでギアに渡した。 
「ありがとう、パステル。それにしても暑いな」 
「そうね。窓、閉めきってるから」 
まぁ、こういうときだから仕方ないんだけど。薄着のわたしでも少し暑い。 
「脱いでもいいか?」 
「へ?ああ、うん」 
そういえば、ギアってば上着着てるし、すごく暑そうだ。 
ギアは上着を脱ぎ捨てる。そして、下に着ていたTシャツまで脱いでしまった。 
あ、あの? 
華奢だけど、筋肉質な体をさらけ出したギア。わたしは目のやりどころに困ってしまう。 
ど、どうしよう! 
そんなわたしの動揺なんてつゆ知らず、ギアはグラスの水を一気に飲み干した。 
「水、ありがとうな」 
ギアは空になったグラスをわたしに差し出した。 
わたしがそのグラスを受け取ると、突然、 
「パステル」 
ソファーに腰掛けたまま、ギアはわたしのウエストに手を回して、ぐっと抱き寄せた。 
ひゃあぁぁぁ。 
な、なに?この状況は!? 
体がこわばって、グラスを持ったままの手にも力が入る。 
そして、ギアは両手でわたしのウエストを掴んで隣りに座らせた。 
「ギ、ギア?」 
やっとの思いで声が出る。 
「……」 
うう。何で何も言ってくれないのよ。 
ギアは熱っぽい目でわたしをじっと見つめながら、わたしが握りしめたままのグラスを取り上げ、テーブルの上に置いた。 
「パステル……」 
ギアはわたしの髪の毛を優しくなでると、そのままわたしの頭に手を添えて、目を閉じて、顔を近づけてきて……! 
キ、キ、キ、キス──!? 
ひゃあー。 
わ、わたし、ギアとキスしてる! 
ドキドキドキドキ。「ん…っ」 
これは……ギアの舌よね!? 
ひゃ…っ。唇をツンツンされて、くすぐったいような、何ともいえない感覚。 
「んん…っ」 
ギアの舌がわたしの口に入ってきちゃった!  
くちゅり、くちゅり。 
やだ。音が……、ギアの舌がわたしの舌に絡むたびに、恥ずかしくなるような音がする。 
だけど、ギアとのキスはイヤではなくて……、変な感じ。だんだん体の力が抜けて、腰が砕けそう。 
ギアの腕はそんなわたしを支えるように、肩を抱いている。だけど、その密着感も何て言うか……、落ち着かない。しかも、ギアってば、上裸だし! 
「あんっ」 
ギアの舌がわたしの首筋をなぞる。初めて感じる感覚にビクッとしてしまう。 
くすぐったさにも少し似た感じに体が逃げそうになるけど、ギアの腕はしっかりとわたしの肩を抱いていた。 
 
「あっ」 
かぁっとほっぺが熱くなったのが自分でもわかる。 
だって、だって、ギアが舌を尖らせて、わたしの胸の谷間に向かってツーッと舐めてるんだもの! 
恥ずかしくて、わたしは顔をそらしてしまう。体を舐められるなんて……! 
「ひゃあ…っ」 
ギアは空いてるほうの手で、わたしの胸を弄り始めた。 
胸の谷間を上下に動くギアの舌にわたしはまたビクッとしてしまう。 
「はぁぅ…っ、ギア、どうしたの?」 
「わかってないのか……?」 
「だって……、こんなこと、初めて、だし……」 
「そんな挑発的な格好をしておいてよく言う」 
「え…?」 
ギアはわたしが後ろでひとつにまとめ三つ編みしてる髪を手に取り、口づけるとそれをほどいた。 
ふわりと髪の毛が広がる。 
「胸はこんなに見せてるし、ずっとパンツ見えてるよ」 
「う、うそぉっ」 
た、確かに、わたしが来てるチュニック風の寝間着は胸元が開いてて、ミニ丈でサイドにはスリットまで……! 
「パステル、小さいパンツ履いてるから……お尻もチラチラ見えてたし」 
「そんな……!」 
うう。アルメシアンやダンシング・シミターやメレンゲたちにも見られた………わよね。なんでわたしってば、こうも隙だらけなんだろう! 
「やっと、わかってくれた?普段もあんなミニスカートだし……おれはもう限界だ」 
「限界って……、ひゃあっ!」 
わたしはギアに押し倒された。ギアはわたしの足を自分の足でこじ開けて、太ももをなで上げると、下着の上から……アソコに触れた。 
「静かに……、アルメシアンに気づかれる」 
「やあぁんっ」 
そんな!静かにって言われても、そんな風に触られたら、声が出ちゃうってばー! 
ギアの指先は確実にわたしが気持ちよくなる場所をわかっていて、今まで味わったことのない快感がとめどなく湧き出す。 
「ソファーじゃ無理だね」 
そう言ってギアは、いつかのダンジョンのときみたいに、わたしをソファーから抱き上げた。 
そして、わたしをベッドに横たえると、あっという間に寝間着を脱がせ、下着をするりと取り上げた。 
「やだ…!」 
だって、わたしってば裸にされちゃったんだもの。こんな姿、誰にも見せたことないってば。 
恥ずかしくて、恥ずかしくて、わたしが困っていると、それに追い討ちをかけるように、カチャカチャと小さな金属音。 
ま、ま、まさか! 
そう、そのまさかだったのだ。 
ギアは素早くベルトを外すと、一気にズボンを下ろした。 
ひゃあぁぁぁ。 
ギアも裸になっちゃった……!この状況って……! 
「ん…っ」 
ギアはわたしにのしかかると、唇を合わせて、ぎゅっと抱きしめてきた。 
裸で触れ合う感触に、わたしの心臓はさらに早鐘のようになってしまう。 
また、とろけそうなキスをされて、アソコをギアの指先でいじられて……わたしはもう腰が砕けていた。 
「入れるよ」 
「え…?」 
ズンッと、何か固いものがわたしの中に押し込まれる! 
「や……っ!痛いっ!」 
「ごめんな、パステル。最初だけ我慢してくれよ?」 
そう言ってギアはわたしにキスをする。痛がるわたしの声をそうやって押さえ込む。 
わたしの中に入ったのが何か……わかるんだけど怖くて、認めたくなかった。 
「んんっ」 
さらに深く、それは侵入してくる。 
一気に押し込まれた衝撃でわたしはビクンッと体を震わせる。 
「声は出すなよ」 
「あぁっ」 
そんなこと言われても無理!絶対、無理!だって、ギアが腰を動かすたびに、今まで体験したことのないすさまじい快感がわたしの体を突き抜けるんだもの……! 
これをどう我慢しろって言うのよ!? 
「パステル……、感じてくれてるの嬉しいけど。アルメシアンに聞かれてもいいのか?」 
「アァッ、あんっ、そ、それは……っ!」 
アルメシアンに聞かれるのは困るんだけど。でも、でも、すごく気持ちいい……っ。男の人に抱かれるのが、こんなに気持ちがいいことだとは思わなかった。 
「いっそ、聞かせてみるか……?」 
「ひゃあんっ、ダ、ダメぇ、ギアっ、あっ、あんっ」 
ギアはわたしの胸をわしづかみにしながら容赦なく腰を振る。 
「パステル……!」 
「ギアっ、ギア…っ、んん……っ」 
わたしがあえぐ声をギアのキスが絡めとる。 
わたしは体も唇も声もギアに食べられてるような甘い錯覚に陥る。それがさらに気持ちを高めていく。 
「好きだ……パステル」 
あのときの何倍もドキドキしながら、囁かれる愛の言葉。わたしはその言葉でさらにとろける。 
「ギア…っ、わたしも、好き」 
自分でもびっくりするくらいうわずった甘い声。わたしどうしちゃったの? 
「パステル……嬉しいよ」 
またとろけるようなキスをされて。だけど、ギアの腰の動きは激しくなる。気が遠くなって……ギアの荒い息づかいや呻く声が聞こえて……いつの間にかギアがぐったりとわたしにのしかかっていた。 
「好きだ」 
ギアはわたしにキスをして、力いっぱい抱きしめた。 
ぎゅっとされて、すごく幸せ……。 
ギアのことが愛おしい。 
「ギア、好きよ」 
「おれも」 
飽きもせずキスをして、まだ気づいたばかりの気持ちを確かめる。 
「好き」 
「ああ。大好きだよ、パステル」 
ギアの微笑みにわたしはさらに満たされる。 
優しく心に芽吹いた気持ちに浸りながら、わたしはギアと強く強く抱き合った。 
 
おわり 

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