「なあ、シミター申し訳ないだが、」
「ああ、おれもお前さんに頼みがあるんだが。出発は明日にしないか?」
相棒の意外な申し出に驚く。
「……いいのか?」
「は?おれがお前さんに頼んでるんだぞ。どうなんだ?」
「……すまない」
「そんな泣きそうな顔しなさんな。お嬢ちゃんを待たせてるんだろ?行け」
そこまで情けない顔してないぞ。いや、してるのか?
「明日お嬢ちゃんの部屋に迎えに行くよ。そのつもりなんだろ?」
ニヤリと笑う相棒。
「いや……、それはわからない」
「お前さん何言ってんだ?そんなんじゃいつかのお宝みたいに横からさらわれるぜ?奪っちまえばいいんだよ。無理にでも抱いちまえ。お前さんなら大丈夫だ」
「まったく……。いや、ありがとう」
ストレートな物言いに思わず苦笑いしてしまったが。
その言葉の裏から、相棒の優しい気持ちが伝わってきて心が温かくなった。
「ま、がんばれや。明日な」
ボンッと相棒に肩を叩かれ嬉しく思う。
こいつはきっといい相棒になってくれるな。
頼もしい相棒に感謝しながら、おれはパステルの元へ戻った。
おわり