目の前の赤いノート。
クレイのやつが目を皿にして読んでたノートだ。
ギアの野郎に会いに行って留守のはずの、あいつの部屋に人の気配を感じて覗いたらこれだ。
声をかけてもよかったんだが、どうやらそれは気まずい。
空気を読んだ俺はクレイがいなくなったのを見計らってパステルの部屋に来てみた。
盗賊の本能ってやつだ。
好奇心じゃねぇからな?
クレイがあれだけ夢中になっていたものを放ってはおけねぇだろ?
さっそく、獲物を発見だぜ。
なになに?
「!!!!!!!!!!!!!!!!」
おいおい。勘弁してくれよ。
おめぇは一体何を勉強してるんだ?
ノートに見せかけた本。
怪しさ満点じゃねぇか。いや実際怪しいけどよ。
言葉に出すにははばかれることが、まるで、教科書みてぇに詳しく解説されてやがる。
けっ。ご丁寧にしおりなんかはさみやがって。
おめぇは、ギアにこういうことをしてやってるのか?
だぁぁぁー。
ギアならおめぇを幸せにしてくれると思うぜ、かっこつけて言った言葉。
その言葉は真実だ。気に食わねえが、あいつならパステルを幸せにするだろうよ。
だが、それと俺の気持ちは別だ。
お宝ってやつは盗まれるためにあるんだぜ。
待ってろよ?
おわり