シーツにくるまりながら、じゃれあっているのは、わたし、パステル・G・キングとギア・リンゼイ。
久しぶりの再会の夜をエベリンで過ごしているの。
「そろそろ休憩は終わりだ」
わたしに覆いかぶさるギア。
「ん……っ」
合わさる唇。
もぉ。ギアはえっちだなぁ。
休憩って言うほど休んでないじゃない。
そう。わたしたちはさっきまで愛し合ってたばかり。
愛し合ってた、と言っても、途中まではわたしが一方的で、最後はギアの独壇場だったんだけど。
それは、わたしがケッコー通販で買った、教科書、で覚えてきたことで、いつもわたしをいじめるギアを逆にいじめようとしたからなんだ。
ま、最後はいつも通り、わたしがいじめられて終わったんだけど。
しかも、いつもより激しくね。
あはは……。
「さっそく試してみるか?」
ニヤリとするギア。悪い予感……。
「な、なによ?」
「興味あるんだろ?」
「えぇっ!?」
ギアは驚くわたしを無視して、さっきわたしが彼の手首を縛ったベルトで同じようにわたしの両手首を縛り上げた。
「パステルは似合うね、かわいいよ」
うう。縛られてる姿が似合うとか、かわいいとか。嬉しくないってば!
もぉー。
「ギアー?」
「不服そうだな?」
ギアはそんなわたしを楽しそうに見る。
「えっちなんだからー」
「あのさ、パステル。今さら純粋ぶっても無駄だからな?さっきあんなことをしておいて」
いじわる!
ふっと笑うとギアは床に脱ぎ捨ててあるジャケットを手に取った。
そしてポケットをごそごそすると黒いネクタイを取り出す。
あれれ?ネクタイなんか持ってたんだ。
黒地に黒で柄が入っててオシャレ。
デートのときつけてくれたらよかったのにな。
「落ち着かないから外してたんだが。まさかここで役に立つとはな」
ひぇぇぇー。まるで獲物を見つけた獣のようなギア。いたぶるような楽しげな目線が怖い。
な、何する気!?
「ギ、ギア?」
「パステル、楽しい時間の始まりだ」
ギアはそう言うと、黒いネクタイでわたしに目隠しをした。
「やっ、やだっ!?な、なに──っ!?ギアっ!?」
「いいね。すごくそそられる」
「ま、待って!やだやだやだっ!こんなの!」
だって、両手首を黒いベルトで縛り上げられたうえに、黒いネクタイで目隠しって……っ。
「恥ずかしいのかい?」
「だって……っ」
「どう恥ずかしい?言ってごらん?」
「やぁっ……んっ」
首筋を舐め上げられて、ぞわぞわっとする。
目が見えないことで、感覚が研ぎ澄まされて……いつもより敏感に感じてしまう。
抱かれた肩から感じるギアの腕の感触。さわさわと肌をくすぐるギアの無造作に伸びた長い髪の毛。
ギアの唇と舌と唾液の音が混じって、小さくピチャピチャという音をたててる。
「ほら。言えよ?どうなんだ?」
「ぁ……ゃんっ。ギ、ギアに見られてる……こんな姿……」
「どんな姿だ?」
「し、縛られてる……目隠しされて……ひぁ……っ」
「それだけじゃないだろう?」
「は、裸で……縛られて……」
「何をされている?」
「そ、そんな?ギアわかってるじゃない?」
「パステル、いいから。言うんだ」
「ゃあ……んっ。胸、胸を揉まれたり……アソコを……いじられたり……してる……」
「それで……パステルの体はどうなってる?」
「き、気持ちよくなってる……」
「そうじゃないだろ?わからないか?」
ギアの指先が乳首を弾くように動く。アソコに伸ばされた手はわざとらしいくらいグチュグチュといやらしい音を立て始めた。
「ぁふぅ……乳首が堅くなって……アソコが濡れてる……」
「よく言えたね。かわいいよ。こんなに質問ばかりじゃ君も恥ずかしいだろう?そろそろ許してやるか」
優しい口調のギア。
わたしがほっとしたのも束の間だった。
「んぐ……っ」
次の瞬間、わたしの口の中に大きな塊が押し込まれる。
それが何かもちろんわかった。
ベルトで縛られて手の自由を奪われ、目隠しで視界を奪われ、口にギアのモノを押し込まれて、今度は言葉を奪われる。
「ほら、さっきしたみたいに上手に舐めるんだ」
「はむ……ぅっ」
それならせめて手も使わせて欲しい。
わたしがやりにくそうにギアのモノを舐めていると、
「手の代わりに、もっと口を使ってもらおうか」
ギアは乱暴にわたしの髪の毛を掴むと、腰を使い、グイッと押しこんできた。
「んぅぐ……っ」
喉の方にまでギアが入ってくる。
苦しいってば!
ギアが腰を引いて解放されたと思ったのも束の間、また押し込まれた。
「くぅ……っ。パステル…ぅう…っ」
わたしがえづくのもお構いなしに、その動きが繰り返される。そのたびに、ギアは呻くような声をもらす。
そういえば、こういうのが気持ちいいって、あの本にも書いてあったかも。
でもでもでも!
これ以上はホントにイヤ!
わたしは縛られたままの両手でギアに抵抗する。
やっと、口の中からギアが引き抜かれた。
「もう無理なのか?」
「無理……!」
「まだそこまでは覚えてないんだな」
「お、覚えるって!?」
「いろいろ覚えてきたんだろ?」
「うっ……、ううん?」
これを追求されるのは困るのよね。
ギアだって、ケッコー通販使ってるから、バレてる可能性もあるけど。
「そろそろ白状してもらおうか?パステル、どこで覚えてきたんだ?」
「えーっと?」
しどろもどろになるわたし。だって言えるわけないもの。
「教えるんだ」
「ひゃっ」
耳元で低く囁く声。熱い息づかいにゾクゾクする。
「教えないと入れてやらないからな」
そ、それは嫌……っ!
「ず、ずるいわよ……っ、ギアってば」
「こんなに欲しがってるのにな」
ぬぷぬぷと出し入れされる指。
「ゃんっ、それだけは……、んんっ」
荒々しく合わせられる唇。
胸のふくらみに伸ばされた手は痛いくらいに乱暴だ。
「……おれに隠し事するのか?」
「んぅ…っ!?」
ますます激しくなる口づけ。
そんな状態じゃ言えないじゃない!?言いたくもないんだけど。
「強情だな、これならどうする?」
「ひゃっ」
ギアはわたしの太ももを胸につくくらいぐっと持ち上げた。
「や、やだ…っ」
「恥ずかしいだろ?」
「ん……」
「自分の姿を想像してごらん?」
「やぁ…っ」
「縛られて、目隠しされて……その上、丸見えだ」
わたしの羞恥心を煽るように、ギアの低い声が囁く。
「やぁだ……」
「なんでそんなに素直じゃないんだ?体は正直なのに」
そして、出し入れされてた指は、今度はもっと的確にわたしの内部を刺激をしてきた。
「あぁあっ」
電流のように快感が走る。
さらに、ギアはむき出しになってる部分をこすり始めた。
「やぁぁあ…んっ」
もう、限界……かも。ギアが欲しい。
「おれだって我慢の限界だ……早く言えよ?」
「ひゃぁんっ、言う、言うから……っ」
うう。言いたくないけど仕方ない。
「ほう?」
「ケ、ケッコー通販で……買った、の。その……、そういう……、教科書……を」
わたしが顔を真っ赤にしながら消え入るような声で言うと、
「そんなことだろうと思ったよ」
くくっと笑うギア。
「ギ、ギア!?」
「すまないな、パステル。いじめてみたかっただけだ」
「そんなー!?」
そうじゃなくても、もうさんざんいじめてるじゃない!?
「お詫びに気持ち良くしてやるよ」
とろりとギアの先端を濡らす感触。入り口から溢れ出すわたしの体液がギアのモノをぐちょぐちょに濡らした。
「あぁっ、ぁぁぁんっ」
ズブズブズブズブ。
挿入しやすいように、十分に潤ったギアのモノがわたしの中に入れられていく。
すんごい堅い……!
すっかり慣れてしまったのに、少し痛いくらいの挿入感だ。
「これで満足か……?」
腰を動かして、性器をこすりつける……いやらしい行為。
「あっ、ぁんっ、ぁぁんっ」
き、気持ちいい……!
わたしはギアにされるがまま声を上げる。
「いつからこんないやらしい子になったんだ……」
「ギ、ギアのせい、だよぉ……っ」
「そうだな。君はずいぶんスケベな子になってしまった」
「やぁぁ……っ」
「もうすっかりコイツの虜だな……」
ギアはそう言うと、入り口近くまで引いたモノを一気に奥まで突き上げた。
「ひゃあぁんっ」
強い刺激に思わず、大きな声を上げてしまう。
「体ばかりどんどん大人になっていくんだな。パステル、まだ子供なのに」
「あぁ…ん…っ」
そんなわたしにしたのはギアなのに。
「パステル、舌出して」
「ん……」
「いい表情だ……目隠しされて舌を突き出して……かわいいよ」
ギアはそう言うと、わたしの舌をペロリとして吸い上げた。
くちゅくちゅと絡んでくるギアの舌にされるがままになる。
唾液が混じり合う。抜き挿しされ放題の下半身でもきっと二人の体液が混ざり合ってる。
乱舞する快楽が体の深い部分から、体中に広がっていく。
「ひぁ……っ」
「そろそろ、か……?」
激しさを増すギアの腰の動き。
「あぁっ、あぁ、あん、あ、あぁぁ──っ!」
「ぅく……っ、ぱ、パステルぅ──っ」
ドクンっと大きく脈打って、欲情を放出したギア。
ギアは、その後、数回こすりつけて出し切ると、そのままがっくりと、のしかかりキスをしてきた。
果ててもまだつながってる部分から、ギアが出したばかりの白濁とした液体がトロトロと流れ、足を伝っていた。
やっと、目隠しと両手の拘束から解放される。
そこにあったのは、ギアの優しい瞳。
いつもそうなんだ。
あれだけいじわるばかりするのに、終わったらとびっきりの優しい瞳でわたしを見つめてる。
「パステル、ごめんな。手首赤くなってる」
ギアはそう言うと、ぶつぶつと小声で何かを呟きながらわたしの手首を包みこむ。
ふわぁっと優しい緑色の光。
ほんのり暖かくて気持ちいい。
「ギアったら。わざわざヒールしてくれるなんて」
大げさだなぁ。心配しすぎだってば。
嬉しいけど。
「痛々しいパステルは見てられないからね」
そう言って、すっかり赤みが引いた手首に口づける。
「ありがとう、ギア」
ギアは嬉しそうな顔。普段はすごーく優しいんだよね。
「どうした?」
「んー。普段のギアは優しいなぁって思って」
「優しくされて……満足できるのかい?」
「そ、それは……!」
「だろ?おれはわかってるんだよ」
くくっと笑うギア。やっぱり普段もいじわるかも。
「もぉー」
わざとすねてみせるわたしの肩を抱き寄せ、ギアは優しいキスをする。心地いい。
そういえば、なにか忘れてるような?
「パステル、本は?」
「え?ああ……!」
そうよ。わたしは結局ギアに白状してしまったんじゃない!
うう。恥ずかしい。
「見せてくれよ。もういいだろ?」
「ギアってば……えっち」
「それはお互いさまだ」
「そうかも。……って、ちょっとー!なにを言わせるの!?」
「パステル、顔真っ赤だよ?かわいいね」
そっと触れ合う唇。
やっぱりいじわるだ。
「で、本は?」
ギアは諦めない。
「本はシルバーリーブに置いてきたわよ。うっかり見つかったら困るなと思って」
「手元にないほうが心配じゃないか?」
「うーん?それもそうかも」
言われてみれば……。
このときは、まさかギアのいう心配が的中してるとは夢にも思わなかったんだ。
そう、わたしたちがこうしてる間にも、あの本は……。
わたしがそのことに気づくのは、シルバーリーブに帰ってからである。
おわり