「あぁ、いいぜ。俺もパステル達と行こうと思ってたし。」  
 
パステルたちの借金を返すための偽の王女事件が終わり、  
俺はマリーナに呼ばれ、彼女の家に行って、今度は本物の王女を  
救うのだと事情を聞かされたところだった。  
 
「しかし、よく似てるな。以前一緒にパーティを組んでた  
サニー・デイズもパステルに似ていたけど、ここまでじゃなかった。」  
そうなのだ。  
今、目の前にいる同じ表情でこちらを見ている少女二人は、  
まるで双子のようにそっくりだ。  
よく見れば違いはあるが、ドアを開けて入ってきたときは、  
正直戸惑った。  
しかし、好きな人が王女に似ているというのは、  
………うれしくも、恥ずかしくもあった。  
 
 
「マリーナ、ちょっと…」  
 
パステルがマリーナを呼び出し、なにやら耳打ちしている。  
「ごめん、わたしパステルとちょっと出かけるから、  
明日の準備に取り掛かって、後はくつろいでいて頂戴。」  
と言って、マリーナがパステルを連れて出て行く。  
 
「用意っつってもなぁ、俺ら別に用意するようなものあんまないし。」  
「そうだなぁ、どうしてよっか。」  
クレイとトラップが言う。  
マリーナはギアなら安心だ、と言ってくれたが、この二人はどう思って  
いるのだろう。  
「じゃぁ、俺はストロベリーハウスに一旦戻るよ。  
一応辞めることだけ伝えてくる。」  
俺がそう言って出て行こうとすると、  
「あぁ、ギア!」  
とクレイに制止された。  
「なんだ?」  
「あの、パステルのことくれぐれも宜しくお願いします!」  
クレイはこちらに向き直って、正座した。  
部屋にいた他の男どももこちらを向き、みな神妙な面持ちをしている。  
(ルーミィとシロは寝ていた)  
ただ一人、赤毛のシーフを除いて。  
「あぁ、もちろんだ。」  
俺はみなを安心させるように言った。  
「頼みます。」  
クレイの言葉にこくりとうなずき、その場を離れる。  
歩きながら、考えた。  
パステルがどれほど大切にされているかが、先ほどの短い  
やり取りで伺えた。  
パステルが偽の王女役をやってストロベリーハウスに  
監禁されていた時、俺がパステルに告白したことを知ったら  
連中はどんな顔をするんだろう。  
肌寒い冬の空の下、そんなことを想像して、  
口元が緩むのを感じた。  
 
 
「ギア、ここにいたのね!」  
 
 
ストロベリー・ハウスへの報告も終わり、メインクーン亭で  
一人酒を飲んでいたところに、マリーナがやってきた。  
「あぁ、パステルとの話は済んだのか?」  
「えぇ、まあね。なんだやっぱり気になる?」  
彼女はそういって俺の正面の椅子に手を掛ける。  
喉に通っていた途中のビールがぐっと詰まる。  
「ぐっ、…ゲホッ」  
「やぁね、冗談よ。」  
いたずらっ子のような顔でマリーナが微笑む。  
「あ、あんたもなんか飲むか?」  
俺は気を取り直して、話をそらそうとした。  
「ううん、これからすぐにキスキンに向かわなきゃいけないし。  
それよりも……」  
マリーナはここで一旦言葉を切り、少し寂しげな表情をした。  
「5日後なのよ。」  
「??」  
「パステルの誕生日」  
「なっ……」  
がたんっと、思わず席を立つ。  
マリーナは少し困ったように、言った。  
「わたしがあんなこと言い出さなければパーティのみんなと誕生日  
迎えられたと思うんだけど。  
だからせめてギア、あなた…」  
「ああ、分かった!」  
俺はあわてて、店を出て行く。  
今、後ろでマリーナはどんな顔をしていることだろう。  
笑っているかもしれない。  
…でも、ここまできたならば。  
 
 
おれは今、すでにシャッターのおりた知人の宝石屋を、  
あわててたたき起こそうとしている所だ。  
五日後に控えた、彼女へのプロポーズを決心して。  
 
 
こっくり、こっくり  
がたんっ、ごつ!  
「いっ、いったーい!」  
目から火花。  
どうやら小説書いている間に寝こけてしまったらしい。  
思いっきり頭から机にぶつかってしまった。  
「パステルおねーしゃん、大丈夫デシか?」  
シロちゃんが心配そうに見上げている。  
「あ、はは、大丈夫、大丈夫!」  
とかいいながら頭をさする。と、こぶができているではないか!  
あーぁ、どうりでヒリヒリするよ、もう。  
こぶっこちゃんでも貼っておこうかな…  
「って、やばっ!今、何時?」  
私はあわてて机から立ち上がった。  
「もうすぐ5時になります。」  
私の質問に答えた主は、たった今ドアから入ってきたジョシュアだ。  
「ぱーるぅ、るーみぃおなかペッコペコだおう!」  
そのジョシュアに抱っこされて一緒にやってきた我が家の食いしん坊が言う。  
「ごめんねー。今から作るから、良い子で待っててね?ルーミィ」  
「うん!るーみぃ、しおちゃんと良い子で待ってるお」  
「わんデシっ」  
うっふふ、二人ともかーいぃなぁ、もう。  
 
 
もうお気づきの方もいらっしゃると思いますが、ここはわたしの故郷の町、ガイナ。  
そう、わたし帰ってきちゃったんです!  
 
あのキスキン国での騒動の後、どうしようか、すごく迷ったけれど、  
わたしなりにいっぱい考えて出した結論。  
 
わたし……ギアと、一緒になりたいって、思ったの。  
 
そしてその旨をパーティのみんなに話し、ルーミィとシロちゃんを連れて、  
故郷に帰ってきたというわけ。  
帰ってきたときは、ガイナのみんな歓迎してくれたし、それ以上に驚いてたかな?  
なにせ、だんな様付き、で帰ってきたからね。たはは。  
ジョシュアも歓迎してくれて、最初はわたしが結婚したと聞いて、  
驚きもしたけど本当に喜んでくれて、気を使って家を出ようかとまで  
言い出したんだけど、結局今までどおり一緒に住んで、ルーミィやシロちゃんの  
面倒を見てもらうことになった。  
 
パーティはあの後、わたしとルーミィとシロちゃんが抜け、代わりにマリーナが  
入ることになった。  
みんな喜ぶかと思ったけど、何よりわたし達との別れを惜しんでくれて…。  
いけない、そんなことと考えると泣きそうになっちゃう。  
後でリタからの手紙で聞いた話だと、みんなはキスキン国からの謝礼で(わたしも貰ったけど)  
なんとシルバーリーブに家を建ててしまったんだそうだ!  
すごいよねーっ。  
みんなには今度必ず遊びに行くと手紙にしたためた。  
 
それから、ギア。今ではわたしの旦那様。  
きゃぁー、なんだか照れくさい。  
一緒に住んではいるけれど、今は特別警備隊というのに参加していて  
(なんでも100年前のモンスターが各地に現れているとか)  
ガイナを中心とした周りの村々の警備を任されている。  
それからなんと、あのダンシングシミターまで一緒なんだよ!!  
なんだか、あのあとよっほどギアのことを気に入ったのか、  
ガイナまでついてきて、ギアと一緒に特別警備隊のお仕事をしている。  
 
っと、早く夕飯の支度しないと、ギア達帰ってきちゃう!  
 
こんこんっ  
 
ドアのノックする音。  
「どうぞ。」  
ドアノブがかちゃりと回って、ギアが入ってきた。  
「あぁ、ギア。今日もお疲れ様。」  
「そっちこそ、まだ仕事中なのか?」  
そういって、あつあつのホットミルクを差し入れてくれる。  
「あ、ありがとう。」  
そうなの。わたしまだ小説かいてるんだよねー。  
もちろん昔のパーティの話もまだ書いてるんだけど、今はギアが特別警備隊で  
仕事してるから、ギアから見聞きしたことを書いている。  
「パステル、こっちおいで。」  
ギアは自分が腰掛けていたベットの隣にわたしを座るように促した。  
カップを一旦机において、ギアの隣に座る。  
すると、わたしの肩をギアがやさしく抱き寄せた。  
「…パステル」  
ギアの優しい瞳が近づいてきて、そして……  
「えっ?」  
そう思ったときにはもう唇をふさがれていた。  
ギアが今度は両手でしっかりわたしを抱きしめる。  
そしてその間も、その薄い唇を決して離さなかった。  
「…ん、っむぅ」  
わたしもギアの肩に両手を回した。  
「…ギア」  
「パステル」  
互いの名前を呼び合い、わたしはギアと見つめあった。  
 
「パステルッ」  
「あっ…」  
ギアに押し倒される。  
でも不思議と抵抗する気にはならない。  
「っあ、あのね、ギア」  
わたしの上に覆いかぶさるギアの、かっこよさときたら!  
「どうした?」  
優しい微笑でギアが聞く。  
「わ、わ、わたし、ね。こ、こういうの、初めて、で。」  
緊張して声が上ずる。  
いくらわたしでもこれから始まることは分かってはいるけど、  
わたしはしたことが、ない。  
そんなふうにわたしが一人アタフタしていると、ふっと笑って、  
「大丈夫、優しくするから。」  
と、頭をなでてくれた。  
 
 
「はぁっ…、あ、あんっ」  
ギアがわたしの寝巻きを脱がしながら、  
首筋を舐め、乳房を揉み、指でわたしの体をなぞった。  
「んっふぅ、…あ、…やん」  
わたしはあえぐ声と荒くなる息をとめることができない。  
エッチって、こんなに気持ちいいものなんだ。  
「かわいいよ、パステル」  
そう言って、ついにギアが下着に手をかける。  
 
って、わたしってば、下着の上に毛糸パンツはいてるじゃんよーっ!!  
うっわー、なんでさっき寝巻き脱がされたとき気が付かなかったんだろっ!?  
超が100個つくほど恥ずかしい!頭グルグルで、顔から火が噴き出そうなほど  
真っ赤になってしまった。  
「ごっご、ごめん!わ、わたし…」  
何に謝ってるのか分からないほど「ごめん」を繰り返し、一人でパニックに陥っていると、  
それまで黙ってみていたギアが、いきなり「ぶはっ」と吹きだした。  
なんかおなか抱えて、くくっと笑っている。目には涙までためてるし。  
へっ?なに、なに??  
頭の中にクエスチョンマークをいっぱい作っていると、ギアは涙をぬぐいながら、  
「やっぱりいいな、パステルは」  
と言って、わたしの後頭部に手を回した。  
毛糸パンツのどこがいいのだろう…とか思っていたら、ギアはわたしの後頭部を  
引き寄せ、キスをした。  
「…っん」  
わたしは目をつぶる。  
んんっ!?  
と、…こ、これは、ギアの、舌!?  
夫婦になってまだ一ヶ月ではあるけど、毎日いってらっしゃいとお帰りなさいの  
キスをしていたわたし達。だけど、ディープキスって実は初めてだ。  
ギアのねっとりとした舌がわたしの口内を犯し、舌に絡まる。  
くちゅくちゅっと湿った音が静かな部屋に響く。  
「んむ、…ふぅ…ん」  
ギアとわたしの唾が口内で絡まりあい、その度わたしは体がだんだん火照っていくのを  
感じていた。なんだろう?な、なんか体がムズムズするよ〜っ!  
「…はっ」  
やっと唇が開放されたときは、ギアとわたしの唇に唾液の糸が引いていた。  
ふぅっと、息をついて、ギアの顔がわたしから遠くなる。  
そして、…今度こそ本当にわたしの下着を脱がせた(毛糸のパンツもね)。  
ギアの眼前にわたしの秘部があらわになる。  
 
どうしようっ、電気消しておけばよかった!  
覚悟していたはずなのに、身体見られるのがこんなに恥ずかしいなんてっ!!  
そんなわたしの恥ずかしさも無視してギアはわたしの秘部に釘付けになっていた。  
「あっの、ギ、ギア?…あんまり見ちゃ、ヤダ」  
わたしはそう言って足を閉じようとしたが、それをギアは許さず、わたしの両足を持って  
再度カエルがひっくり返ったようなポーズにされた。  
「パステル、きれいだよ。もっとよく見せて?」  
「やぁ…ん」  
ギアのそんな言葉にあそこが熱くなる。愛液?っていうのかな?  
なんだかあそこがすごく湿ってるような気がする。  
と、ギアがわたしの股間に顔をうずめる。  
「えぇ、ギア!?」  
しかしもう遅い。  
ぴちゃぴちゃと卑猥な音を立てて、ギアが、その、わたしのあそこを、  
な、舐めてるっ!  
「ギアぁんっ!そんなとこ、あん!き、汚いよぉ、だめぇっ」  
ギアの頭をつかんで必死に説得を試みるけど、ギアも快楽も止まってくれない。  
しかも困ったことに、ギアに舐められて気持ちよくなると、またあそこが  
濡れてくるようなのだ。  
「んんっ!も、もう…ダメ…」  
気持ちよくなり過ぎてもうどうにかなってしまいそうだった。  
するとギアは顔を上げ、ようやく許してくれた。  
「パステル、俺のも、気持ち良くしてくれる?」  
ギアは少し息を荒げながら、甘えたような口調でわたしに言った。  
そして、カチャカチャとベルトをはずし、服を脱ぎ、あっという間に裸になり、  
わたしの目の前に……えぇと、こ、これは…  
「舐めてごらん?」  
男の子のソレを初めて目のあたりにしたわたしだったが、  
…こんなに大きくなるものなのっ!?お、おちんちんって。  
本でしか読んだことなかったので、びくびくと動く大きなモノにちょっとショックを受けた。  
わたしは、はじめて見るものへの戸惑いと興奮を覚えて、赤い顔でギアを見上げる。  
相変わらず、そこには優しい笑顔があって。わたしはギアと本当の夫婦になる決心をした。  
よしっ!な、舐めればいいんだよね?  
ベットに四つんばいになり、右手でいきり立ったモノを持って、口にくわえてみる。  
「んんっ…」  
け、けっこう大きいっ!!  
半分くらいしかはいんないかも。  
それでもギアに気持ちよくなって欲しいしね。  
舌を動かして必死で舐めた。  
「くっ…、う、パ、パステルっ!」  
ギアが呻く。えっ、気持ち良くないのかな?  
気持ち良いと言うより、苦しそうだ。  
わたしは慌てて、本で見たとおり、手も動かしてみた。  
「っあぁ、…ハァハァ…い、いいよ、」  
いいよ、ってことは、気持ちいいよってことだよね?  
だんだん口や手が疲れてきたけど、せっかく気持ちよくなってきてくれたんだもんね、  
ギアのためにわたしは一生懸命がんばった。  
上下に動かす手を速めてみる。  
「あっ、あっぱ、パステルッ!もう、いっい!」  
…えっ?どして?  
 
口からくわえていたモノを離す。  
ギアはどっとベットの上に膝をついた。  
息をさっきよりも荒げて、わたしよりも疲れているようだ。  
(おちんちんは相変わらず、びくんびくんと元気よさそうだけど。)  
「…ギ、ギア?」  
心配になって声を掛ける。  
「…パステルっ!!」  
「きゃっ!」  
勢いよく押し倒される。  
「もっ、我慢できない!」  
不意をつかれたわたしが抵抗するまもなく、ギアはわたしの秘部に先ほどのモノを  
突き刺した。  
「…っっああぁんんっ!!」  
突然の、これまで感じたことのない刺激に、わたしの身が悶える。  
さっきギアに愛撫された時の快楽なんて比にならない。  
ギアがわたしの中でゆっくりと動き始めた。  
「ひいぃっん!…はぁあっ!!」  
こ、こんなに…こんなに、なんてっ!!  
「パステル、すごく、…いいよ。気持ちいい…」  
わたしの上に体重を預けながらギアが言う。  
わたしも……こんなに気持ちいいなんて、知らなかった。  
それから、こんなに、入るなんて。  
ギアが上下するたびに逃れようのない、電気のような快感が体中を駆け巡った。  
「はあぁっ、あん!…はぁんっ!」  
この家には、ジョシュアもルーミィもシロちゃんも一緒に住んでいる。  
壁を突き抜けて、声が漏れてしまうんじゃないかってくらいわたしの喘ぎ声は  
快楽に比例して大きく、そして止まらなかった。  
ギアがわたしを突き刺すたび、じゅぷっじゅぷっと濡れた音がする。  
実際、わたしからあふれ出た体液は、太ももをツタってベットを濡らしているようだったし、  
濡れるほどにギアの動きがだんだん早くなっていっているのを感じた。  
 
「パステル、足上げて」  
えっ?なんで?  
ギアはぼけっとしているわたしの足を容赦なく持ち上げ、  
そして自分の肩にわたしの膝の辺りまでを乗せてしまった。  
「?えっ?」  
そして、ギアはもう一度ずぶりとわたしの中に進入する。  
「っっあ、あぁひいいぃっっ」  
ギアのペニスがわたしの膣の奥深くまで到達し、わたしはおもわず身体を  
反らせた。  
痛みとともに襲い掛かる、脳髄を駆けるなんともいえない快感。  
腰が自然と浮き、口からだらしなくよだれが垂れる。  
だけど、ギアは唾液を拭いている暇を与えてはくれず、  
さっきよりも速いスピードで、ずぼずぼとわたしを最深部まで射抜いた。  
そのたんびに、わたしとギアの肌がぶつかり合い、パンパンッと激しい音がした。  
「ひぃあああぁぁあっ!あぁっ…あ、はぁああんっ!」  
もはや喘ぎとも叫びとも言うような声を上げて、わたしはひらすら  
快楽の中におぼれる。  
ギアの肉棒と、わたしの膣壁が擦れるたび、えもいわれぬ興奮が頭の中で弾けていく。  
 
どのくらいの間二人でそうしただろうか。  
突然、熱い高揚感のようなものが秘部に集中するのが分かった。  
「あっあっ、ギ、ギアァーーっ!!あ、熱いよぅ!」  
わたしがギアに懇願するように訴えると、ギアは嬉しそうに、むしろいままでよりも  
スピードを速めて貫く。  
「ああんっ!そんなに、はぁん!…したらぁ、ハァ…お、おまんこがぁっ!  
とろけ、ちゃう、よぉーっ!!」  
「いいよっ、…パステルッ!!い、一緒に、いこう」  
ギアの激しさは増す一方だ。  
わたしのあそこは限界に達した。  
「あぁーーっ!ギアッ、もっダメん!なんか、あっ、出ちゃうよぉっ!!」  
「…くっ、俺も、もうっ!あっ、な、中に出すぞっっ!!」  
「っあああぁぁーーーんっ!!」  
びゅるっびゅくんっびゅくんっ!ビシャァァッ!  
 
わたしの中で、何かが弾けた。  
トロっとしたものがあそこからあふれ出てくる。  
これは…ギアから出てきたもの?それともわたしの?  
分からない。  
行為が終わり、わたしが息も整わないうちにそう思っていると、  
ギアが隣に寝そべり、頭をなでてくれた。  
「初めてだったろう?痛くなかったかい?」  
「…ううん、大丈夫。」  
これは嘘だ。本当は痛かったけど、我慢して言わないことにした。  
だってそれ以上に気持ちよかったし、何よりギアとひとつになれたことが幸せだった。  
「ねぇ、ギア!」  
「うん?」  
「男の子と女の子、どっちが欲しい?」  
「…うーん。」  
ギアはちょっと困った顔をしながら、すっかり冷えてしまったミルクのカップに  
手を伸ばした。  
「女の子かな?」  
「へぇー、なんでなんで?」  
「うん。」  
そして、少し照れくさそうに頬をかきながらギアは言った。  
「…子供にやきもち妬かなくて済むからね。」  
 
――1年後。  
ギアの意に反して、クレイやトラップと仲良く戯れるその子は  
男の子になるわけだが、それはまた、別のお話。  
 
                         終わり  
 

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