「ふぁ〜」  
歩きながら、両腕を頭上に思い切り伸ばして欠伸をする。  
首や腕を回すとゴキゴキと音がする。  
「わぁ…すごい音。ごめんねクレイ。  
ずっと、変な体勢で寝てたでしょ?」  
ちょっと顔を赤らめて、申し訳なさそうに謝ってくるのは  
俺の左隣を歩いているパステル。  
胸にしっかりと原稿入りの封筒を抱きしめている。  
「え?…ああ、ちょっと凝ってるかな?  
でも、ストレッチすればすぐ治るよ。大丈夫大丈夫!」  
今朝の事を思い出して、顔が赤くなってくるのを見られないように  
もう一度首を上に向けてグルグルと回す。  
 
「ぱぁるぅ〜!くりぇ〜!はやく〜!!」  
「はやくデシ!」  
印刷所に続く道の先でルーミィとシロがぴょんぴょん飛び跳ねている。  
「ほら、〆切間に合わないぞ?」  
「え?ああっ!そうだね!」  
そう言うなり、慌てて駆け出そうとしたパステルは、とたんにつまづく。  
「わわっ…!」  
「おっと…!しょうがないなぁ…」  
パステルの右肘を捕まえて転びそうな体を支えてやると  
そのまま右手を握ってゆっくりと走り出す。  
「行くぞ?」  
笑いながら振り返る。  
ビックリした顔をしていたけど、すぐに特大の笑顔がはじけた。  
「うん!」  
 
今日は上天気だ。宿に帰ったら、竹アーマーの虫干しだな。  
洗濯物を干すパステルの隣で。  
 

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