とあるダンジョンのワープトラップで彼らはダンジョン内でバラバラにされた。
トラップが気がつくと一人でダンジョンの行き止まりに立っていたので、とにかく合流しようと仲間を捜しに駆け回った。
小一時間ほど探すと、パステルとルーミィを見つけた。
「きゃあーこないでー!!!このぉ!!」
叫びながらも、パステルの手にはショートソードが握られていてルーミィをかばいつつモンスターと戦っていた。
レベルの低いモンスターとはいえ、五体を相手に戦ってパステルはかなり息があがっていたが丁度1体倒したようでモンスターが倒れた。
彼女が横移動しながら構えたのでトラップは間を縫うようにパチンコを放った。
バチン
鈍い的中音
「加勢するぜ」
と彼も参戦する。今の一撃で弱ったところをパステルがショートソードで切りつける。
残りもなんとか退治し終わった頃に他のメンバーがやってきた。
後で話を聞くとモンスターがいる場所はパステルとルーミィがとばされた所だけで、後はほとんどいなかった。
モンスターのいた奥には宝箱があり、小さいながらも宝飾品が入っていた。
このクエストでパステルとトラップだけ経験値を得たが二人とも疲労していて、シルバーリーブの彼らの家につくと爆睡してしまった。
朝になって他のメンバーは起きてバイトやら家財道具づくりをする。
昨日活躍した二人は起こすのが可哀想だから寝かせといてあげようと気遣ってそのまま起こさないでみんな出払ってしまった。
トラップが寝返りをうつと何かに触れた。
クレイか…と思ったがクレイの体からほど遠いようなやわらかな感触に思わず眠気が吹っ飛ぶ。
「なっ?!」
目を開けるとさっきの寝返りのおかげなのか、彼の手がしっかりとパステルの胸に乗っていた。
出来心というか、ほぼ本能で五本の指に力をいれると、ムニュとマシュマロのようにしっかりとした手応えを感じる。
どうやらブラもしていないようなので、パジャマの上からうっすらと主張する突起に彼はわき上がる感情を押さえ込むのに必死だった。
散々馬鹿にしてはいるが、初めて出会った14才から比べたら体つきもだいぶ女らしくなってきている事をその手で実感した。
「う〜ん」
パステルが動いたので、急いで手を引っ込めるとゴロリとトラップの方に寝返ってくる。
パステルはトラップの顔に触れると寝ぼけたままニヘラと笑った。
ルーミィの顔に触っているつもりらしい。
彼女はルーミィのぽよぽよするほっぺたに触れているはずなのだが、やけに骨っぽいようなチクチクするような妙な感覚に眠さを堪えてえいやと目を開けると、顔に触れたままトラップと目が合う。
「よお!」
トラップはニタニタしながら声をかけるが
事態が把握できずにパニック状態のパステルは、パクパクと口を開けては思わずトラップの頬を引っ張った。
「あだだだ!あにすんだよ」
「わっゴメン!」
パステルは我に返って手を離すが、またからかわれると覚悟してとりあえず謝った。
「みんな出払っちまったみてーだな。まあ戦闘したの俺らだけだから奴ら気を使ったんかな
あんた昨日かなり頑張ったしな」
からかわれると思いきや、意外な事にあのトラップがらお褒めの言葉をいただいて、パステルは拍子抜けした。
「トラップ…何か変なものでも食べたの?」
わざとらしく心配するパステルをコツンと小突くとトラップはつづけた
「出会った頃から比べたらちゃんと戦うようになったしな。まだまだだけどちったあ冒険者らしくなったんじゃね?」
「自分じゃわからないけどね。出会った頃からと言えばトラップ、
背が伸びてるし、いつの間に髭なんか生えてるしびっくりしちゃった」
パステルはさっきの手触りが髭だったんだと思わずじっくりトラップの顔を見た。
「いや、びっくりしたのはこっちだぜ?パステルちゃん。あんた寝ぼけて顔は触るわキスするわ、あんな事も」
パステルが寝ぼけていた事をいい事にある事ない事パステルにいうと、
「なっ!嘘ー!?」
真っ赤になって後ろに後ずさる。
寝ぼけた時の記憶をたどろうと唸ったりブツブツいったりする彼女をニヤニヤと見るトラップに気がついて、パステルは絞めにかかる。
「ところで、トラップは何にもしていないでしょうね?」
ヘッドロックをしながら疑問をぶつけるパステル
「ばっ馬鹿そんな事…」
思わず上擦った声で答えるトラップをジト目で見る。交渉の時にポーカーフェイスで振る舞う彼とは思えないほどの同様ぶりに絞めるのをやめてしまう。
トラップの冗談に対抗して聞いてみたのに瓢箪から駒というのか意外な反応にパステルは怒るどころか興味を持った。
「だってトラップは色気がないとか出るとこ引っ込むとかいうから、そういう対象じゃないと思ってた」
トラップは気まずそうに頭をガリガリ掻きながら答える。
「最初は寝返りしたら胸に触っちまったんだ。でも好きな女だったらもっと触りたいのが本音だ
俺、出会った時からずっとアンタの事好きだったんだ」
最後に真剣な眼差しを向けられ冗談ではないと鈍感なパステルにも理解できた。
思い起こせば、ピンチの時に文句言いながらもいつも助けてくれるのがトラップだった。
彼と気まずかった時は本当に辛かった。
「……私もトラップの事が好き」
ようやく自覚した彼女自身の気持ち。
トラップはパステルの両頬にそっと手を添えて深いキスをした。