「きゃあぁぁっ!」
マリーナの悲鳴が響く、彼女の前には毛むくじゃらのモンスター。
「…あ……」
盗賊団の中で育ち、危ない橋も渡ってきた。けれど、自身に襲い掛かるモンスターに放心状態になってしまっていた。
突然モンスターの動きが止まった。目の前に翻るマント。
「!?」
「ガウゥ…!」
『マリーナ大丈夫?ともかく私の後ろに!』
パステルの放ったクロスボウがモンスターの足に刺さっている。
「ガアァァッ!!」
荒々しい叫びと共に襲い掛かってきた。
ザシュッ!!
ショートソードの一閃。
モンスターが倒れた。
『もう大丈夫だからね!』
いつもの明るいパステルの笑顔に、安堵とそれとは違う気持ちが生まれたのはこの時だった。
…………それからは、エベリンに彼女が来るのが、今まで以上に楽しみになった。
私の知らない貴女を少しでも多く、見たい。
そう思う様になっていた。