眠っているパステルの顔を眺めていた。
明かりはない。
窓の外をちらりと見ると、半分よりもすこし足りない月が沈もうとして、頼りなく光を放っている。
パステルの鼻がくっきりと照らされていて、まつげが長い影を落としていた。
髪の毛を撫でて指で梳いて、小さい耳を改めて見つめる。
パステルの一部分。
毎日一緒にいるのに、今夜はひとつひとつ新しいものをみつけている気分で、どんなに眺めても見飽きることがなさそうだった。
眺めているだけでは物足りなくて、指でそのかたちをなぞってみた。
と。
「…ん」
「あ、…起こしちゃった?」
「…あれ…クレイ…?」
「寝てていいよ」
「…寝ちゃってた?わたし…」
「うん、ぐっすり」
そのままたっぷり10秒視線を合わせてから、パステルは急に背中を向けてしまった。
恥ずかしい…
どうして?
だって。わたしたち。
うん。
だって。
うん。
うんじゃなくて…
…可愛い。
どうしようもない気持ちになって、その背中ごとパステルを抱きしめた。