多分、利害が一致した、っていうのは、ああいう状態のことを言うんだろう。
「おめえにとっても、悪い話じゃねえだろう?」
「・・・そうね。けど、一つだけ約束して。パステルを泣かせないって」
「わあってる。誰が・・・頼まれたって泣かせたりするかよ。おめえこそ・・・わあってるな?」
「今更、逃げたり隠れたりする気なんかないわよ。見くびらないで」
そんなやり取りと共に、幼馴染との密談は終わった。
みすず旅館のきれいとはいえない部屋の中で、わたしはクレイと向き合っていた。
もう一人の幼馴染。こうして会うのは久しぶりだけれど、優しそうな眼差しは、それでいてどこかきりりとひきしまった表情は、何一つ変わっていない。
「悪いな、マリーナ。久しぶりなんだから、パステルと話したかっただろう?」
「あ・・・ううん、わたしは、別に」
「トラップの奴もなあ。・・・気持ちはわからなくもないんだけど、もうちょっと我慢を覚えた方がいいと思うんだよな、俺は」
「あらあら。まさか、あの鈍感なクレイがそんなことを言うなんて」
わたしがわざとらしく「クスリ」と笑ってみせると、クレイは、頭をかいて、「そんなつもりはなかったんだけどな」とつぶやいた。
「トラップの奴にさあ、恨みがましい目で見られたよ。ちょっとは気を使えって」
「トラップらしいわね」
「せっかくマリーナが来てくれたのに、今日はキットンの奴が、ノルとルーミィとシロと一緒にどこかに出かけててさ。こんないいチャンスは滅多にない! って言われちゃうとなあ」
俺も弱いな、と首を振る彼に、わたしは「それがクレイのいいところよ」と答えて、微笑んだ。
本当に、何も変わっていないと思う。
わざわざそういう日を狙って、わたしがシルバーリーブを訪ねてきた、と。
疑うことさえできないのがクレイ。わたしの、好きになった人・・・
「・・・でも、ちょうどよかったわ。わたしも、パステルから相談されていたから。ちょっと、二人きりになるチャンスを作ってあげなきゃ、って思ってたのよね」
「そうなのか?」
「ええ。もしもキットン達が出かけてなかったら、わたしが彼らを連れ出すつもりだったの」
嘘。何もかも、嘘。
わたしがこうしてここに居るのはトラップに頼まれたからだし、キットン達が出かけていったのも、トラップが裏から手を回したから。
わたしも、その頼みを引き受けた。だから、わたしもトラップと同罪・・・もちろん、そんなこと、クレイに伝えるわけにはいかないけれど。
「なかなか、チャンスが無いって」
「え?」
「だから、パステルが。トラップとなかなかそういう機会がない、って」
わたしの思わせぶりな言葉に、クレイは、ぱちぱちと目を瞬いた。
鈍感なあの人のことだから、まず無理だろう、とわかってはいたけれど。予想通り何もわかっていない姿を見ると、つい笑いがこみあげてきてしまう。
「チャンスって、二人きりになるチャンスのことか? そうかあ、パステルもそんな風に思ってたのか」
「・・・」
「それは、悪いことしたな。今度、それとなくキットンに言ってみるよ。いつもってわけにはいかないけど、たまにならルーミィ達の相手を引き受けてやってもいいし」
「違うわよ、クレイ」
どこまでもほのぼのとした笑みを浮かべる彼の言葉を遮って。わたしは、そっと身を寄せた。
もっとも、クレイは少しも気づいた様子はなかったけれど。
「違うの。二人っきりになるチャンス・・・それも、そうだけどね? それだけじゃないのよ、パステルの悩みは」
「・・・え?」
「だって、せっかく恋人同士になれたのよ? 散々遠回りしてきたあの二人が。そういう関係になったんだから、やっぱり・・・ね? 色々やりたいことも、あるんじゃない?」
たっぷりと深い意味をこめて、思わせぶりな言葉を囁いた。
そこまで言っても、クレイはしばらくの間戸惑っていたけれど。さすがの彼も、意味を理解するのに数分とはかからなかった。数十秒はかかったみたいだけど。
「なっ・・・なっ・・・ま、マリーナ、それって・・・」
「あらあら。クレイ、顔が真っ赤」
「俺の顔なんかどうでもよくて! そのっ・・・」
期待通りの反応を見せるクレイを、じーっと見つめていると。彼は、いたたまれなくなったらしく、そっと目を伏せた。
「・・・まさか、パステルがそんなことを?」
「不思議じゃないでしょ? パステルだって、もうすぐ18・・・立派な女なのよ?」
「・・・」
「クレイ。あなた、パステルのことを『女』なんて思ったことなかったでしょう? パーティーの仲間で、家族で、言ってみれば可愛い妹。そんな風に、思ってたんじゃない?」
「・・・ああ」
「トラップのことも?」
「ああ」
素直なところは、彼のたくさんある美点の一つだろう。
「確かに・・・そうだよな。マリーナの言う通りだ。出会ったときさ、ルーミィと一緒に泣いてた彼女が、小さな妹みたいに見えて。守ってやらなきゃって・・・多分、それをずっと引きずってたんだな」
「それって、パステルにとってとても失礼よ、クレイ」
「わかってるよ」
わたしの言葉に、クレイは苦笑いを浮かべた。
「今度、謝っておかないとな」
「謝られたって困るでしょうに。悪い、と思うのなら、彼女の『悩み』に協力してあげたら?」
「・・・協力?」
後になって、思う。
わたしの言葉には真実なんか何一つ含まれていなくて、本当はトラップの悩みなのに、何もかもパステルの悩みのように見せかけた。その言葉を、クレイは疑おうとはしなかった。
もしも、わたしが正直に話していたら・・・何かは、変わったのかしら?
クレイはあれで生真面目な人だから。パステルが望んでもいないのにとんでもない、パステルが大切なら、少しは我慢しろ! って、トラップに説教でもしそうよね。
「そう、協力。きっとね、トラップだって心の底では望んでると思うのよ。でも、あいつ、昔から変なところで意気地が無いじゃない。気になる女の子を散々からかって、それなのにいざ相手が泣き出したら途端におろおろするような、そんな奴だったでしょう?」
「ああ、確かに」
わたしの例えに「全くだ」と頷いて。クレイは、わずかに身を乗り出した。
「そう考えたら、確かに協力してやれることは協力してやりたいな。いつまでも子供扱いしてた、お詫びもしたいし・・・なあ、マリーナ。何をすればいいと思う?」
「・・・そうねえ」
「二人っきりの時間を増やしてやればいいのかなあ。それくらいなら、いくらでも・・・」
「それだけじゃ駄目よ、クレイ」
だんだんと、計画が核心に近づいてきた。
そのことを悟って、わたしは、わずかに身を乗り出した。
「それだけじゃ駄目。二人っきりにするだけなら、今だって・・・あの二人にはね、もっと荒療治が必要なのよ」
「荒療治?」
「そう」
そう言って、わたしは。
クレイの肩をつかむと、そのまま、自分の唇を押し当てた。
しばらくの間、クレイは何をされているか、よくわかっていないようだった。
けれど、さすがに鈍感なクレイも、今自分がしている行為が世間で何と呼ばれているか・・・くらいは、わかったらしい。
「ま、マリーナ・・・」
迫るわたしの身体を恐れるようにして、クレイは後ずさった。
どん、と壁に大きな背中が突き当たる。まさにその壁の向こうにトラップとパステルがいるんだ、ということを、彼は、理解していたんだろうか?
「ねえ、クレイは当然知ってるわよね? この宿の壁って、とっても薄いらしいじゃない。パステルによくこぼされたわ。隣の部屋のいびきがうるさくて、眠れないことがよくあるんだって」
「・・・」
ごくん、と、クレイが大きく息を呑んだ。
ほんの数センチ前に迫るわたしの顔を、ついさっきまで自分のソレに触れていた唇を、きつい視線で凝視していた。
「雰囲気って、重要だと思わない? 流されてる、なんて言い方、わたしは好きじゃないけど・・・ね? 隣の部屋から『そんな声』を聞かされて・・・そうなりたい、って願ってる恋人同士が、我慢できると思う?」
「マリーナ・・・な、何、言ってるんだ?」
クレイの顔が引きつって見えた。多分、つい数分前までは「妹」としてしか見ていなかっただろう「女」の顔を見つめて、不自然なくらい乾いた口調で、つぶやいた。
「悪い。俺には、マリーナが何を言ってるのか全然わからない」
「わからなくてもいいわ。わたしはわかってるもの・・・それで、十分」
広い肩に手を置いて。わたしは、もう一度唇を押し当てた。
不意打ちだったさっきとは違って、避けることは簡単だったはずなのに。クレイは、逃げようとはしなかった。
ただ、驚いていた。今、自分に起きているできごとに。・・・本当に、悲しいくらいに、予想通りの反応。
「クレイ」
言いながら、そっと彼の太ももの上に座り込んだ。
下着越しに触れる彼の脚は、ズボンの上からでも硬い筋肉に覆われていることがわかった。
ときどき「ぴくり」と揺れる体が、絶妙な刺激を与えてきて。奥底に眠る官能を、叩き起こした。
「あ・・・」
びくっ! と、クレイの肩が引きつった。
わたしの唇から漏れる、悩ましげな声を耳にして。「信じられない」という目を、向けてきた。
そう。あなたはそうでしょうね・・・ずっとずっと、パステルと同じように、わたしのことも子ども扱いしていたあなたなら。信じたくは、ないでしょうね。
でも、わたしはずっと前から「女」だったのよ。きっと、パステルよりもずっと前に。
あなたの前でだけは。
「クレイ・・・」
潤んだ視界の中で、彼を求めた。
そっと手を伸ばして、目の前のシャツをはだけた。あらわになったのは、これまでの過酷な戦いを物語る、傷だらけの上半身。
わたしの知らないその傷一つ一つに、くちづけを与えた。
力をこめれば、そこに赤い斑点のような印が浮かび上がって。クレイがわたしだけのものになった・・・と、そんな錯覚を、与えてくれた。
「マリーナ」
くちづけを繰り返すたび、彼の吐息が荒くなっていった。
気づかないふりをして自分の上着に手をかけると、そっと、手首を捕らえられた。
「駄目だ、マリーナ」
「どうして?」
まっすぐに聞き返すと、クレイは、一瞬息を呑んだ。
「どうして駄目なの? わたしはいいの。いいから、こんなことをやってるのよ。わたし達のおかげで、トラップとパステルが望んだ形で結ばれる・・・その手伝いができる。それだけの、ことじゃない」
「だって」
ぐいっ!
本気で抵抗されれば、力じゃ、とても敵わない。
服を脱ぎ捨てようとするわたしを遮って、クレイは、苦渋が見え隠れする表情で言った。
「でも、駄目だよ。こんなのは駄目だ。他の形でなら、いくらだって協力する。だけど・・・」
「他の形って、どんな形?」
「・・・」
「ほら・・・答えられないでしょ? それとも、これ以上にいい方法が、あるの?」
そう言いながら、わたしは、クレイの抵抗に逆らわず、あらわになった胸に、自分の頬を押し当てた。
「わたしは、ずっとここに居るわけじゃないのよ。もう明日には、エベリンに帰らなきゃいけない」
「・・・それは・・・」
「わたしに、親友の悩みを解決させてよ。・・・ね?」
ふっ、と胸に息を吹きかけると、クレイの動きが、止まった。
自分から動こうとはせず、けれど、わたしの動きを止めようともせず。
ただ、わたしの顔を見つめていた。
「逃げないで、自分の気持ちに正直になって」
腿の間に感じる、硬く張り詰めた感触。
さっきまでは、それは筋肉の硬さだと思っていた。けれど、今、わたしの中心部をわずかに突き上げているのは、明らかに脚よりももっと奥にある・・・
「クレイ」
もう一度キスを。唇のわずかに隙間に舌を差し入れると、まるで、生き物か何かのように、クレイの舌が絡んできた。
クレイにとっては、それは本能、獣欲めいた感情に突き動かされただけなんだろうけれど。
わたしは、嬉しかった。例え欲情しかなかったとしても、心から、嬉しいと感じた。
クレイは、もう逆らわなかった。むしろ、弱々しくはあるけれど、自分から求めようとしていた。
重ねるたびにキスは深くなっていって、唇と唇を、唾液の糸が繋いだ。
汗ばんだ服を脱ぎ捨てると、クレイの手は、吸い寄せられたようにわたしの胸元に向かった。
多分、成長したわたしの体を見るのは初めてだったんだろう。
白い、張り出した胸を見て。ただ一言だけ、「きれいだ」とつぶやいてくれた。
「・・・いつの間にか、こんなに、きれいになっていたんだな・・・マリーナ」
「ありがとう・・・あなたもね」
会話の間に混じる吐息は荒い。紅潮しているに違いない顔を見られるのが恥ずかしくて、思わず顔を伏せると、彼は、優しく「顔を上げて」とつぶやいた。
「・・・ずるいよ、マリーナ。俺には逃げるなって言ったくせに」
「クレイ・・・」
「そんな、可愛い顔で」
ふっ、と、クレイの顔が緩んだように見えた。
胸の上に感じた違和感。ついで走った柔らかい感触に、びくっ! と、背筋が強張った。
「やぁっ・・・」
「止められなくなったら、どうするんだ」
ぽつりとつぶやいて、クレイは、わたしの肩に手を置いた。
そのまま・・・
わたしの体を、床に組み敷いた。
ごつんっ! と、互いの足が壁に当たって、結構な音を立てた。
その音からもわかる。ここの壁は・・・本当に、薄い。
多分、わたしのあられもない声は、向こうの部屋でもはっきりと聞こえているはず。
「クレイ・・・」
鍛えられた太い指が、わたしの太ももを走って。
そのまま、スカートの内側へと潜り込んで行った。
経験なんてなかっただろう。それは随分と不器用な動きには違いなかったけれど、わたしの体にクレイが触れている。それだけで、十分だった。
「っ・・・」
「マリーナ?」
「違う・・・大丈夫。続けて」
ほんのわずかな刺激でも、自分のその部分が潤いを見せていることには気づいていた。
クレイを思って、自分でしていたときよりも。それはずっと早くて、ずっと熱かった。
きっと大丈夫って、そう思ったのに。ねじいれられたクレイの指は、思ったよりもずっと大きくて。わずかな痛みが、走った。
でも、そんな痛み、これまでの痛みに比べたら、痛みでも何でもなかった。
「うあっ・・・クレイ・・・クレイ、クレイ!」
大声をあげて、クレイの首にすがりついた。それが目的なんだから、と言い聞かせて、わざと派手な声をあげた。
ぬるぬるしたものが自分の太ももを伝っていくのがわかった。わたしの体を、クレイはやすやすと片腕で受け止めて・・・
そして、言った。
「自分の思い通りに振るまってもいいのか?」
「・・・え?」
「ずっと、多分色々押さえつけてたんだと思う。俺はパーティーのリーダーだから、とか、騎士の家に生まれたんだから、とか、立派な先祖を持ったんだから・・・とか。色んなプレッシャーを受けて、その期待にこたえなきゃ、こたえたいって、ずっと思ってたんだと思う」
「・・・」
「でも、トラップと・・・マリーナだけは、俺のわがままを許してくれたよな。おじいさまに色々言われてる落ち込んでたとき、いつも二人が慰めてくれた。いつも二人が励ましてくれた。俺は俺だって」
「クレイ」
「だから、今も。俺は、俺の思うままに・・・君を傷つけるかもしれない」
それでもいいか、と聞かれて、迷わず頷いた。
ああ、やっぱり。こんなときでも、クレイはクレイなんだ・・・
貫く痛みは覚悟していたよりもずっと大きくて、引き裂かれたような絶叫をあげた。
壁の向こうがなんだか騒がしかったけれど、もう、そんなことなんか忘れていた。
わたしは、今、クレイに抱かれている。クレイと一つになれた。
それだけで、十分だった。
隣の成果がどうだったのかなんて知らない。
けれど、わたしの目的は、十分に果たせた。それだけで、十分。
トラップ・・・あんたの方がうまくいったのかどうかは知らない。でも、わたしはやれるだけのことはやった。失敗したとしたら、それは、あんたのせいだから。
そっと心の中で囁きかけて、脱ぎ捨てた服をまとった。
スカートにわずかに血がついていたけれど、目立つってほどでもないだろう、きっと。
「・・・ありがとう、クレイ」
「・・・」
わたしの言葉に、クレイは無言。
「本当に、ありがとう。・・・わたしを手伝ってくれて、ありがとう。わたし、これでパステルとの約束を果たせた。彼女に顔向けができる。本当に、ありがとう」
うつむいたまま、一気に言った。あくまでもパステルのためなんだって繰り返して、震える手元を、見られないようにした。
きっと、クレイにとっては、迷惑なだけだろうから。
彼には故郷に立派な婚約者がいるし、何より、彼にとってのわたしはただの幼馴染で妹のような存在でしかなかった。
これは、一夜の・・・夜じゃないけど・・・過ち。
わたしは、それで構わない。
「じゃ、じゃあ、わたし・・・下で、何か・・・」
「マリーナ」
不意に気まずさを感じて逃げようとした。今にも泣きそうな顔を見られたくなくて、クレイに背を向けようとした。
その動きを止めたのは、ついさっきまでわたしの中を蹂躙していた、クレイの手。
「逃げるな」
「・・・クレイ?」
「せめて、俺の話を聞いてからにしてくれ」
じっ、とわたしを見つめる黒い瞳。その顔がやけに大人びて見えて、まるで、知らない人みたいだった。
「聞いてくれないか、マリーナ。俺はさ、多分知らないうちに自分を押さえつけるのに慣れていたんだと思う。マリーナが言うように、俺は鈍感だから。押さえつけてるってことに、自分でも気づいてなかった。だから、それを苦しいとも感じなかった」
「・・・」
「でも、俺は、今初めて苦しいと思ったんだ・・・俺とそういう関係になったって言うのに、平然としてる君の顔を見て。何でもないって顔して、『パステルのためなんだ』って言う君を見て・・・すごく、苦しかった」
ズキリ。
クレイの言葉が、胸に響いた。
わたしは、何かを間違えたのかもしれない。クレイはわたしの気持ちをわかってくれないって、ずっとそう思っていたけれど・・・
わたしも、自分で思っていたほど、クレイの気持ちをわかっていなかったのかもしれない。
「教えてくれないか、マリーナ。俺は・・・このまま、君の前でだけは、自分の思いを抑えなくてもいいのか。これからも、ずっと、君の前でだけは自由でいていいのか・・・君と一緒にいたいって、そう思ってもいいのか」
「・・・」
「マリーナ?」
答えるよりも先に、目の前の体のすがりついていた。
答えるまでもないでしょう、って、何度も何度も繰り返しながら。
言い訳も何も含まれていない、本心だけのキスを、クレイと、初めて交わした。