人の気配のねぇみすず旅館。  
俺はメッセンジャーのバイトが急遽休みになり、ひとり、部屋でベッドに転がっている。  
朝飯を食って、一応バイトには出かけたんだが、今日は急ぎの郵便がなんと1通もないそうだ。  
さすがは天下に名だたるド田舎、シルバーリーブ。  
よもや、郵便屋が休みになるとは思わなかったぜ。  
そりゃこんなちいせぇ町・・・いや、村じゃ、直接会ったほうが早えーもんなぁ。  
出勤するなり回れ右で旅館に帰ってきたが、しんとして人の気配はない。  
 
クレイは武器屋のバイトだよな。  
あいつは頼まれもしないのに、出勤時間に1時間以上もフライングででかけ、朝から店中を掃除してるらしい。  
まめで結構なこった。俺には真似できん。したいとも思わねぇけど。  
 
キットンは薬屋で店番か?ああ見えて薬剤師として重宝がられてんだそうだ。  
大丈夫か?薬屋。医療事故の危険性を考えねぇのか?  
世論を揺るがす大規模薬害とか見つかっても、知らんぞ、俺は。  
 
ノルはちびっこエルフとシロを引きつれ、散歩に出かけたんだろう。  
あいつらはひとたび外出すると、大抵夕方まで帰ってきやがらねぇ。  
散歩といいつつ、いったいどこまで長旅に出てんだか。  
 
残るはひとり。無敵の方向音痴にしてマッパー、うちのパーティ唯一の女、パステル。  
職業選択に難あり、冒険者人生の選択に失敗としか言いようのねぇ奴。  
静かなのは原稿書いてやがんだろ。  
昨夜も夜中まで電気点いてたからなぁ。ご苦労なこって。  
ということは・・・今、このボロ旅館には、あいつと俺のふたりだけか!?  
恐ろしくラッキーなシチュエーションに今頃気づき、興奮のあまり思わず飛び起きる。  
 
ああそうさ、潔く認めよう。  
俺は密かにあの天然ボケ女に惚れている。おうよ、文句あっか。  
その程度はと聞かれれば、惚れて惚れて惚れぬいているといっても過言ではねぇくれえに!  
・・・  
そう。  
例えあいつが、俺でなく、俺の親友のことが好きだったとしても。  
あいつは間違いなく、太鼓判つきでクレイに惚れてんだろうと見受けられる。  
格段に勘の鋭い俺様でなくたって、誰だって見てりゃわかるっつーの。  
でも、だからといってあきらめきれるもんでもねぇんだよ。  
幸か不幸か、クレイの方はわかってんだかわかってねえんだか、いつもと変わらん。  
まだ両思いモードに突入してる気配もねぇしな。  
 
ということはだ。  
俺にだって満塁サヨナラホームランの可能性はあるわけだよな?  
しかも今日は俺とあいつのふたりきり!  
この、無意味に人数だけ多い大所帯パーティで、ピンポイント狙ったようにあいつと俺だけが残るなんて!!  
これは、神が与えたもうたチャンスではなかろうか。  
男トラップ、この千載一遇の機会を逃すんじゃねぇ!  
さぁどうする?俺様。  
 
とりあえず、部屋の様子を伺う。→心配してやるフリをして近づく。→喰う!!  
 
おし、これだ。この作戦でいこう。  
そんなのは作戦とはいえねぇという批判は聞き流させてもらうぜ。  
ま、女なんてのは、とかく雰囲気に弱えからな。  
例え他に好きな男がいたって、押して迫ってこられりゃ、イヤとは言えねぇもんだろ?  
それも俺様みたいな男前ときたら。  
全身を駆け巡る武者震い。俺は気合も新たに階段を駆け上った。  
 
階段をあがって左の突き当たりにあるのは、パステルとチビ2匹の部屋。  
もとい、俺の愛しい女の、これからご馳走になろうかという女の!部屋だ。  
そう思うだけで、汚ねぇぼろドアまでも神々しく見えるのはなぜなんだろうか。  
無駄にあがりっぱなしのボルテージに後押しされ、一気にドアを開けてなだれ込みそうになる。  
い、いや待て、俺。落ち着け、落ち着くんだ。  
あいつだって原稿の最中、いきなり飛び込んじゃー喰えるものも喰えん。いや違った。  
「忙しいのよ!」とかって相手もしてもらえんかもしんねぇ。  
ここはひとつ紳士的にだな、ノックでも・・・とドアの前に立つ。  
 
あれ?ドア、開いてやんの。  
ほんの数ミリ、程度開いたドアに、ノックしようとした手がとまる。  
俺様の耳にささった、有り得ない音声。有り得ないパステルの声。  
 
「あ・・・んっ、やぁ・・・」  
 
!!!  
こ、これは!  
はーっはーっ、いかん、一瞬にして呼吸困難だ。俺様ともあろう者が。  
お子様だとばかり思ってたが、まさかあいつ、ひとりで・・・?  
ひとりで、その、ナンだな。  
性欲処理をほどこしていらっしゃる、と・・・  
あんなことやそんなことにまで俺の妄想は膨らむ。勢い余って股間までも。  
み、水くせぇなぁ、そんなことなら俺に一言言ってくれればよぉ!  
よよよし、俺がひとつ、手伝ってやろうじゃあねぇか。  
ここは知らん顔をして部屋に入り込み、四の五の言わせずに押し込み強盗させてもらおうじゃねーの!  
さぁいくぜ俺、気合は十分だ。一発深呼吸。  
 
「おい、パステル!」  
 
覚悟と下心とかたく手を握り合い、煩悩に魂を売った俺は、迷わず部屋に突入した。  
その目に入ったのは・・・さっき耳に聞こえてきた声より、何倍もやばい光景だった。  
 
それは、原稿書いてたはずの、パステル  
そして・・・いつの間に帰ってきたんだか、バイトに行っていたはずのクレイ。  
ふたりそろって、ベッドの上で、服脱いで、つまり裸で、ソの真っ最中だったってわけだ!  
うおぉぉぉ・・・俺様玉砕。しかも最悪なケース。  
こいつら・・・いつの間にできあがってやったんだ?  
しかもしかもしかも、こっこんなコトまでしやがって!  
ふたりそろってニブさにおいては最強の癖して、なんちゅう生意気な・・・  
すっかりソノ気になってた、俺のかわいい息子様の行き場をどうしろと!?  
 
何のコメントすら発することもできず、奥歯をギリギリと噛み締めて立ち尽くす俺。  
眼を丸くして固まった状態のふたり。  
あぁはいはい、悪うござんしたね。  
邪魔者は撤収致します、っつーの。ちくしょぉぉぉ・・・っ。  
 
「あ、悪ぃ。邪魔したな」  
 
全身全霊をこめて冷静さを装い、涙をのんで回れ右する。  
無神経にも、そこへ話しかけてきたのは、コトの当事者、ベッドの上のパステル。  
ほっといてくれ、かまわねぇでくれ。俺はひとりになりてぇんだ。  
しかし。  
俺はこいつの言葉に、本気で耳をかっぽじりたくなった。  
 
「あートラップだぁー・・・いいとこに来たねぇ」  
 
語尾にハートマークのつきそうな甘ったるい声。  
 
「い、いいとこ!?どういう意味だよ、そりゃ!」  
 
てめぇら、俺に見せ付けたかったってのか!?  
拳を固めて震える俺に、こともあろうにパステルの上に乗ったままのクレイが言いやがった。  
 
「ちょうど、トラップ呼ぼうかって言ってたとこなんだよ。  
 よくわかったなぁ、お前」  
「よ、呼ぼうかって何なんだよ!?」  
 
俺様、ひとりでパニクる。  
いやそりゃパニクるだろ、あたりめぇだっ!  
しかもクレイ、そのシチュエーションに似合わないさわやかさは一体・・・  
 
「いやぁ、パステルがトラップも一緒がいいって言い出したもんだから」  
 
それでいいのか?おい。  
しれっと答えたクレイは、パステルに軽くキスすると(って、あっさりするんじゃねぇ!)、よいしょとベッドから身を起こして俺のほうに近づいてきた。  
まだ途中だったようで、紺色のボクサーパンツを履いたまま。  
なんとなくほっとする・・・って違う!ほっとしてる場合じゃねぇ!!  
混乱のあまり、不覚にもめまいを感じている俺の腕を取るクレイ。  
 
「ほら、遠慮してないでこっち来いよ」  
 
いや、遠慮してるっつーかですね、あの・・・  
ファイターの貫禄十分のごつい腕で、ぐいっとベッドの方へ押しやられる。  
よろけてベッドの端に手を突く俺に、ほとんど裸のパステルが、ぺとりとひっついてきやがった。  
この場合、じっくり見るのも変といやー変なんだが、どうしても眼がそらせない。  
初めて眼にする真っ白い肌に、クレイの愛撫の跡があちこち残る胸元。  
とことんガキだと思っていたが、どうしてどうしてこりゃまた・・・俺の性欲煽るにゃ十分だわ。  
ってそりゃそうだろ!好きな女の裸だぞ!?  
 
「ねートラップぅ、どうしたのぉー?  
 うふふ、一緒にしよーよぉ。ほらぁ脱いで脱いでっ」  
「おい・・・おめぇ、クレイと付き合ってんじゃねえの?」  
 
パステルは俺のささやかな反論には耳を貸さず、その細腕に似合わぬ勢いで俺をベッドに引きずり込み、ひょいひょいっと手際よく俺の服を脱がせやがった。  
普段あんだけ不器用な癖して、そのスマートさはなんなんだ?  
呆然として反応もできずされるがままの俺。  
パステルはてろんとした笑顔を浮かべ、さらに恐ろしいことを口にした。  
 
「だってぇ、わたし、ふたりともだいすきだもーん。  
 どうせならふたり一緒がいいんだもーん」  
 
ほとんど全裸で、あっさりと裸にされた俺の体に擦り寄ってくる。  
う、やばい。  
さっきからうずうずしていた股間が、一気にすっくと立ち上がった。  
 
「わぁ!トラップってば元気だねえ。きゃははっ」  
 
あの、パステルさん?  
この女に、なんか別の人格が降臨してるのは気のせいだろうか。  
 
「と、いうことなんだって。  
 ま、一番大事なのはパステルの気持ちだからな。  
 お前も好きなんだろ?彼女のこと。ならいいじゃないか」  
 
よくない、よくありません。  
クレイ、おめえってそんな奴だったっけか?  
長年つきあってきて、俺は、お前がそんな奴だったなんざ、本気で知らなかったぞ!  
俺の心の叫びは一切無視。  
俺の服を手回しよく脱がせ終えたパステルは、おもむろに屈み込んだ。  
 
「よいしょっと」  
 
ぬお!?  
股間がいきなり生あったかいものに包まれる。  
恐る恐る眼をやると、パステルが何の躊躇もなく、俺のナニにしゃぶりついてやがった。  
 
「・・・う・・・おぉ・・・」  
 
思わず漏れる声。  
だってよ、何を隠そう、俺は堂々のチェリーボーイ様だ。文句あっか。  
そりゃ機会は腐るほどあったが、好きな女が手近にいるんだから、どうせならあわよくば・・・って考えるのが普通だろ?  
あ、いや。そう考えると俺って、既にクレイに出遅れてんのか・・・  
どっぷりと落ち込む俺の気持ちをよそに、俺の中心部はどんどん熱く膨らんでいく。  
ぅおぉーー、てめぇ、なんでそんなに巧いんだよ?  
裏スジなんか舐めまわしやがって、誰に仕込まれた、誰に!  
顔が童顔なぶん、俺のイチモツとの対比が、あまりにもエロすぎる。  
シーツを握り締めて快感に耐えていると、目の前の女が甘い息を漏らした。  
 
「あ、や、クレ・・イぃ。・・・はぁ・・・ん・・・」  
 
そして俺はまたも眼を疑う羽目になる。  
何回疑えば気が済むんだ?俺。  
さっきまで俺の様子を面白そうに見守っていたはずのクレイ。  
奴は、四つんばいになったパステルの後ろに座り、パステルの下着を簡単に剥ぎ取って。  
そして、その部分を慣れた手つきで愛撫していやがったんだ。  
こんな異様なシチュエーションに戸惑う風もないクレイ。  
頼むから、さわやかな微笑み浮かべて、んなことするなっつーの。  
クレイは片手でパステルの胸を揉みしだきながら、残る片手の指をパステル自身に埋め込んだ。  
くちゅ・・・ぬちゃっ・・・といやらしげな音が響く。  
 
「こんなに濡らして・・・ほら、見てみろよ、トラップ」  
 
んなもん、見せんでいい!  
クレイの指先には、艶っぽく光る液体。  
ほんのり色づいてとろりとした蜜が、奴のごつごつした指をつたう。  
と、ぺろりと舐めとるとそのまま、パステルの丸くて白い尻を押し開き、その部分に食いつくクレイ。  
吸い付き、舐めまわし、敏感な突起を舌で弾く。  
パステルは器用にも、喘ぎながら健気に俺のナニを舐め続け、  
 
「ひゃ・・・あ、やぁ・・・だめ、もう・・・欲しいよぉ。  
 ・・・ねえぇ、入れて?」  
 
涙目で俺を見つめるパステル。  
かわいい。かわいすぎる。  
おかげさまで俺様、あっさりと自分を見失いそうになってるぜ。  
情けない話、もうパンパンに張り詰めさせられ、既に臨界点。  
い、いかん。早いぞ早すぎる。我慢しろ!俺!  
 
涼しい顔でパステルのそこを嘗め回していたクレイは身を起こすと、おもむろにひょいとパステルの身を抱き起こした。  
その動作と連鎖的に、パステルの口から引き出されて解放される俺自身。  
あわてて飛び退り、ベッドヘッドに背中を押し付ける。  
正直なところ、俺は相当に混乱していた。  
デビュー戦の俺には、いくらなんでも刺激が強すぎる。  
何が悲しゅーて、人生初のセックスでいきなり3Pせにゃならんのだ!  
 
「おいトラップ、やんないのか?  
 パステル、もう我慢できないってさ」  
 
頼むから、そのへんの女がイチコロになりそうな笑顔で、んなこと言わねぇでくれ。  
頭を抱える俺に、何を勘違いしたのかクレイは、  
 
「仕方ないなぁ、お前って意外と、いざという時度胸ないんだから」  
「なんだと!?」  
 
断じて、おめえにだけは言われたくねぇぞ!  
思わずつかみかかる俺を軽くあしらうと、クレイは俺の両手をまとめ、そのへんにあったリボンでしばりつけやがった。  
さすがはファイター、俺の抵抗なんぞ気に留める様子もない。  
 
「はいどうぞ、パステル」  
 
っておい、どうぞじゃねえ!  
反論するも、俺はベッドの枠に強制拘束。両手万歳状態だぞ?冗談じゃねぇ!  
 
「お、おい、何の真似だよ、はなせぇっ!」  
「だーめ。トラップ、この期に及んで逃げちゃいそうなんだもぉん」  
 
代わりに答えるパステル。いや、おめえには聞いちゃいねぇ。  
焦る俺ににっこりと笑い、よいしょっとばかりに俺の体をまたぎ、ナニを自分の秘所にあてがうパステル。  
そのままのしかかるように俺にしがみつくと、一気に俺自身はパステルの中に飲み込まれた。  
ずぶり、という効果音とともに。  
・・・  
き・・・気持ちいいじゃねぇか・・・  
クリトリスを俺の恥骨にグリグリと押し付け、一心に腰を振るパステル。  
髪は乱れ、汗は飛び散り、口からは扇情的な喘ぎ。  
そのパステルをいとおしそうに眺めていたクレイは、ベッドの横にたつと、パステルの口の中に自分のものねじ込んだ。畜生、俺のよりでけぇ。  
ためらいもせず、吸い上げるパステル。  
 
ベッドに縛り付けられた俺に、またがって喘ぐパステル、その口にフェラさせてるクレイ・・・  
今や俺ら3人は、押しも押されぬリアルタイム3P状態。  
なんなんだよ、こいつら。なんでこんなに手馴れてんだ!?  
ま、まさか俺が知らないだけで、実はノルだのキットンだのを混ぜてやってるとか言わねぇだろうな。  
おまえらがそこまで畜生道におちてるとだけは、俺は思いたくねぇぞぉ!!  
 
俺の葛藤なぞ知らず、顔を真っ赤に染めて、自分自身に俺のモノをくわえこんだパステル。  
ねっとりと濡れてまとわりつく襞が、遠慮会釈なくぐいぐいと締め上げてくる。  
必死で抑えていた俺の理性は軽くぶっちぎれ、真っ白にハレーションが起きた。  
我慢できず、パステルの中に一気に精液を解き放つ。  
その刺激にやられたのか、パステルはのけぞりながら叫んだ。  
 
「あ・・・も、だめ・・・クレイ、もうイっ・・ちゃうよぉ・・・」  
「俺も、もう・・・いいか?パステル」  
 
額に汗を浮かべたクレイはそのままパステルの口内に果てた。  
同時に全身を震わせてイッたパステル。  
くそ、俺が一番手だったか。  
何とはなしに悔しい気分にとらわれながら、激しい動きにほどけてくれた手首の戒めを外し、パステルの中からずるりと自身を抜き取る。  
かわいそうにな、お前も。  
初めてだっつーのに、こいつら2人にさんざ弄ばれちまって・・・  
密かに己をなぐさめていると、へたりこんでいたクレイにパステルが抱きつき、濃厚なキスを交わしていた。  
はぁ・・・見せ付けてくれるねぇ、おめぇら。  
ってこの言葉は、この際あまりにもそぐわねぇが。  
しばし唇をあわせていたふたりが離れると、今度はパステルが俺にすりよってきた。  
 
「ねートラップぅ、気持ちよかった?」  
「・・・あぁ」  
「えへへ、だーいすきぃ」  
 
にへら、としまりのない顔。  
この野郎、やっぱりかわいいんだよ。馬鹿野郎が。  
思わずがしっと抱きしめてしまう。  
嬉しそうにしがみついてくるパステル。  
それを苦笑しながら眺めていたクレイはおもむろに立ち上がり、服を着始めた。  
 
「トラップ、一本貸しな」  
「は?」  
「今回はお前にゆずったからな。初めてだったんだろ?」  
「・・・ま、まぁそうだけどよ」  
「次回は俺が下だぞ」  
「下って・・・えーと・・・」  
「ま、深く考えるなよ。さて、シャワー浴びてくるか」  
 
言葉に詰まる俺を残して、再度情熱的なキスをパステルに残すと、極上のさわやかな笑みを浮かべ、奴は部屋から出ていった。  
あぁ、なんだか今日は、クレイがえらく大人に見えるぜ・・・  
 
「あ、わたしもお風呂はーいろうっと。  
 じゃあ、後でね、トラップ!今日はお昼、猪鹿亭で食べようねっ」  
 
陽気ににぎやかに軽やかに、愛する女はクレイの後を追って行ってしまった。  
今度はおふたりでシャワーですか。ソープごっこですか、あぁそうですかっ。  
 
重い、とてつもなく重い疲労感とため息。  
なんでこんなことになっちまったんだか・・・  
次回って、またこの取り合わせでやるのかよ?  
ってことは、絶対俺とクレイはセットになるわけ?  
・・・・・・  
今後のことを考えても一向に埒はあかねぇ。  
人として、なにかとても大切なものを失ったような気もするが・・・  
俺は、とりあえず今は考えないようにしようと、静かに目を閉じた。  
 

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