水原と私が付き合い始めて、約4ヶ月。その間にはいろいろなことがあった。
だが、やはり一番の思い出はロミオのように危険を冒してまで夜分に不法侵入してまで会いに来てくれたことだろう。
私がこんな風に話題にするといつも水原は顔を赤くし、不法侵入とかはやめてくれだの、ロマンがないだのと不平不満を言う。
時々私はこれをネタにしてからかっている。からかっているときの水原は面白いからだ。
もちろん恥ずかしいから2人だけのときだけの特別な話題。
婚約はなかったことになったものの、まだ父は完全には諦めてないらしい。
だが今では兄が味方になってくれているのでひとまずは安心である。
どういう風の吹き回しか知らないけれど兄は私と水原とを認めてくれたらしい。
こうして一段落しているとき、ある問題に私は気がついた。いや、一段落しているからこそだろう。
私に会いに来てくれて、私が部屋の中に誘ったとき水原が言った言葉が未だに実行されていないからである。
簡単に言うと婚約の問題が落ち着いたら結ばれるよう画策するという言葉だ。
だが、水原はあの日以来自分からは何もしてこない。私が脅したりして何とかしてくれる程度だ。
水原は言ったことは守る男だろう。それは私の件である程度確信にまでいたった。
しかし、一度失われた機会を取り戻すのは難しいのだろうか。きっとそうなんだろう。
だが、あんまり何もされないと少し不安になる。そこで水原のために、なにより私のためにも水原を誘ってみることにしたのだ。
ここ2週間ほど、お嬢の様子が変だ。
なにが変かって言うと難しいが、最初の一週間ほど、やけにキスをせがんできたり体をすり寄せたりしてきた。
最初のうちは頭が真っ白になったり、慌てふためいたりしていたがお嬢の含みのある笑顔でからかわれていることに気がついてからはあまりに過剰に反応することをやめた。
ここまでならなんとか恋人同士のいちゃいちゃでまだ済んだかもしれない。
だけど、その次の週からエスカレートしていった。
今家に誰もいないから泊まりにこないかと誘われたり、キスもディープキスへと変わった。
お嬢、もしかして何か新しい問題でも出たのか?
だから不安になってこんなことをしているんだろうか。
これはやはり直接聞くべきだと、会話が会話だけにハルに休みをもらって自分の家で話を聞くことにした。
余談だがハルに休む理由を尋ねられたので答えると「頑張れ」の一言だけを述べあっさりと許可が出た。これもこれでひとつの事件だったのだが。
「お邪魔します」
「どうぞ…」
俺は暗い面持ちでお嬢を部屋に招き入れる。
何が飛び出すのだろうか、聞いてはいけないものなんじゃないか?と呼び出したはいいものの頭の中で悪いことばかりが頭をぐるぐると回っていた
だが反対にお嬢の足取りが若干軽い。これはお嬢が上機嫌な証拠だ。
なんで上機嫌なんだ?と少し疑問に思いつつ自分の部屋に案内した。
「こ、ここが水原の…」
今度は少し緊張した声色だ。
お嬢は、男の部屋に入るのに躊躇いがあるのか?少々意外だ。
「気にしないで入ってくれ」
としか言えなかったが、お嬢は言葉少なく少し顔を赤らめ部屋に入った。
またお嬢の様子が何かおかしい。そう確信した俺は長期戦になることを覚悟してお茶と茶菓子を用意しに部屋を出た。
部屋に戻ると、カーテンは閉められ何故かお嬢は布団で横になっていた。
…何がどうなってるんだ?
「水原、早く入ったらどうだ?」
その言葉に頷きながらも疑問が拭えない俺は素早くテーブルに置きテーブルに着いた。
そして横になったままのお嬢を見てしばし。
「……」
不安げな、それでいて期待の含まれた目でじっと見つめられていた。
「……」
「…水原、お前何しているんだ?」
「へ?」
何、って何?あ、なるほど
「お嬢、話があるんだ」
「う、うん。なんだ?」
お嬢は布団を口元を持っていき大分赤くなった顔を隠した。
もうお嬢の行動はこの時点でまったく意味がわからなくなっていたので単刀直入に聞くことにした。
「お嬢、今といい最近といいどうしたんだ?不安があるなら何でも相談に乗る!だから話してくれないか?!」
長い沈黙が部屋を支配する。
そして沈黙はお嬢から破られた。
「水原、私のここ最近の行動の意味、そして私がここに横になっている意味が全くわからないのか?」
静かな怒りという形容が正しいのだろうか、お嬢からプレッシャーがでている。ここで下手な回答はできない。が、自分にできる回答は意に添えないものだけなので素直に答えた。
「…2つ予測がある。1つはからかわれている。これが有力候補だ」
「2つ目は?」
「もしかしてたら何かまた面倒ごとが舞い込んできたのかと。それで不安になっていろいろと積極的になったのかなって…」
お嬢は体を起こしてこめかみに指を当て、いかにも頭が痛いんですといわんばかりにため息をついた。
「そうだな、お前はそういうやつだった。回りくどいことをした私が悪かった」
そういうとお嬢は俺の唇を奪い、俺をゆっくりと押し倒していった…
「水原、お前は婚約もろもろの問題が収まったらあの手この手で私を抱こうと画策すると言っただろう?」
お嬢はちょっと目を伏せながら続けていった。
「だが落ち着いてからのここ数ヶ月お前はどうだ、誘うどころか積極的にキスも手を繋いでくることもしないじゃないか…流石に不安になったぞ?」
「お嬢…」
ここ最近、そして今もやけにお嬢が積極的だった理由を聞き申し訳ない気持ちになった。
「水原…私は―」
「お嬢、そこから先は俺が言うよ。…大分遅くなったけど、抱くよ?」
「…もちろんだ」
カーテンが閉められ日も大分傾いていたため部屋はもう薄暗くなっていた。
床に敷かれていた布団の上で笑穂は上半身を既に裸にされて横たわっていた。
「は、恥ずかしいな…」
目尻に涙を浮かせ見つめてくる熱い視線で見つめられた。
涼は本能の赴くままに滅茶苦茶にしたい欲望をぐっと理性で収めて笑穂の唇を奪う。
「んっ、…はぁ……水原…いや、涼のほうがいいかな?」
「そうだな…俺も名前で呼んだほうがいいか?」
そういうと笑穂は微笑を浮かべてキスのお返しをした。
涼はそこから長いキスのあと舌で笑穂の唇に触れた。
「ん…。ふぁ……ふふっ……んぁ…」
ここ最近で慣れた舌が触れ合うキスは、独特の雰囲気なのか、深く扇情的になっていく。
そしてゆっくりと、笑穂のふくよかな胸へ手を当てた
「んむ…あ、……優しくな…」
「あぁ、わかってる」
初めて男に胸に触れられた笑穂は鼻をならす。涼は力加減に細心の注意を払いつつゆっくりと笑穂の乳房を揉み転がす。
そして左右の胸の頂ツンっと指でつつく
「ふぅぁ…んん…」
そして口はだんだんと首筋へ移りキスを降り注いだ。
暫く経つと胸の突起はだんだんと充血してぷっくりと膨らみ、今度はそれを指で摘み始めた。
「笑穂、好きだ…」
「んぁ…私、もだ……やっ」
涼は膝で笑穂の股を少し開いた。
「笑穂……さわっていいか?」
そして黙ったまま涼の手をとり自分の秘部へ押し当てた。
「優しく、な…」
そのまま涼は下着の上からゆっくりとクレバスを少し強めになぞった。
そこは既に大分濡れており下着はもはや履けるものではないだろう。涼は下着を脱がせ笑穂の大事な部分に指を突き入れた。
「んんん〜〜――」
笑穂は体を少しビクンと震わせ涼の唇を奪い、今までで深いキスをした。
「ふぁ…ん、んぅ……」
上からも下からも卑猥なぴちゃぴちゃという音で二人はさらなる高みへと高まっていた。
「じゃあ…笑穂いいか?」
笑穂は息が荒く胸を激しく上下させ今まで一番無邪気そうで妖艶な笑みを浮かべた。
その笑顔にキスをひとつ落とし、涼はゆっくりと腰を進めた。
「〜〜!!」
笑穂は顔をゆがめ涼の背中に手を回し痛いぐらいに抱きしめた。それでも努めて笑顔を作ろうとしている笑穂に涼は精一杯の愛を伝えようと笑穂を優しく抱きしめた。
もちろん涼も少々苦しそうな表情を浮かべながらもなおも力を入れて入れていく。
ようやくすべて入ったころにはお互いに脂汗でびっしょりになっていた
「はぁ…はぁ……」
「ふぅ…ふぅ…入った…な…」
そう言うと笑穂は若干涼の体に回した腕に込めた力を抜いた
「動いて、いいぞ…」
「いや、落ち着いてから―」
「ふぅ…我慢、するな…。私、のことは…気にしなくてもいい」
納得がいかない顔をしながらも、理性よりも本能が勝り、涼は腰を揺らし始めた
「ん、ん、ん、…あ、ふぅ…」
腰を打ち付けるたび笑穂の豊満な胸がたぷたぷとゆれる。
「ふぁん…相当痛いと聞いていたが…想像よりはいいな」
そう言うと本当にそうなのか、幾分か柔らかな笑みを浮かべた
「りょ、う。気持ちい、いか?」
「あぁ、気持ちいい。笑穂だから気持ちいいぞ」
その言葉に満足したのか笑穂は今度は優しく抱きしめた。
じゅぷじゅぷと結合部から漏れる音はだんだんと間隔が早くなり、力強くなっていった。
「笑穂、笑穂!」
「ふあぁ、涼!中、中で!今、日は大丈、夫だから!」
そしてだんだんと小刻みになり涼の腰が大きくグラインドし、それが止めとなった
『〜〜!!』
二人は大きな絶頂に達し折り重なった。
夜も更け、笑穂も帰宅する時間が近づいてきたので着替えを済ませ残りのわずかな時間をいちゃいちゃと過ごしていた。
「笑穂、本当に大丈夫か?」
「だから大丈夫だ。それにしても涼は結構乱暴なんだな?びっくりしたぞ?」
いたずらな笑みを浮かべ、柔らかなキスをふっと1つ。そして涼がお返しに掠めるようなキスを。
「さて、じゃあそろそろ帰ろう。じゃないと涼が父に殺されるからな」
「冗談でも恐ろしいからやめてくれ…」
あのときの笑穂のお父さんは本当に怖かった…。あの時はまだ怒りの感情があったから立ち向かえたものの、今回後ろ暗いところがあるため絶対に無理だ。
そうして、部屋を二人して手を繋いで部屋を出る。
眼前に映るはドアから少し離れたところに着く1人の影。
「わ、わたし何も見てないよ?うん、今日はちょ、ちょっとね?」
見間違うこともない。明鐘の姿だった。
「あ、あの…お楽しみ、でしたね?」
その言葉に2人は顔を赤らめ、1人は自らの妹を説得にもう一人はその光景を苦笑いしながらも見つめていた。