「ただいまー」  
 わたしはドアを開けて,中に声をかける。パタパタとスリッパの音がして  
「お姉ちゃん! おかえりなさい」  
 出迎えてくれたのは,妹のあやめだった。そのままわたしに抱きついてくる。  
「ひさしぶりー,元気だった?」  
「ふふ,元気よ。あやめも元気そうね」  
 抱きしめた頭を,ぽんぽんと叩く。この子もずいぶん背が伸びたかしら。  
「お母さん達は?」   
「二人とも相変わらずだよ。明後日帰ってくるってさ」  
「そうだっけ。たまには,夫婦水入らずもいいよね」  
 そう。わたし達の両親は三日前から旅行に出かけていて,あやめが一人で留守番をしている。  
 私の方もちょうど春樹さんが出張するということで,帰省を勧められたのだ。  
「お姉ちゃんと二人きりなんてひさしぶり。嬉しいなあ」  
 私の手から荷物を受け取ると,跳ねるようにして中に入っていく。私は苦笑しながら,後からついていった。  
 リビングに入ると,わたしを迎える準備をしてくれていたのか,テーブルの上にお菓子やジュースが  
並べられている。  
「さ,座って座って」  
 促されるまま座り,わたし達はジュースで乾杯した。そして用意してくれたお菓子をつまみながら,楽しく  
話し込む。  
「あやめはどうなの? 彼氏は出来た?」  
「やだなあお姉ちゃん。出来るわけないでしょ」  
 手を振って否定するあやめ。そうは言うけれど,姉のわたしから見ても充分に可愛らしい子だと思うのだが。  
ちょっともったいないなあ。  
 そう言うと,  
「あはは,いざとなったら水原さんでも誘っちゃおうかな」  
 と笑いながら答えた。うん,本気かどうかはともかく涼君ならお似合いかもね。  
 
 そんな風に,時が経つのを忘れてわたし達はおしゃべりしていた。そして,午後6時をまわった頃。  
「お姉ちゃん,今日の夕ご飯は店屋物でいいよね? ピザでも頼んでみる?」  
 とあやめが提案した。  
「そうねえ。二人しかいないし,それもいいよね」  
「じゃあ,もうちょっとしたら電話するね。ちょっと早いけど,先にお風呂でも入る?」  
 わたしはちょっと迷ったけれど,  
「そうね,そうさせてもらおうかな」  
「わかった。入れてくるから待っててね」  
 あやめがお湯を張ってくれる間,わたしは春樹さんに電話をかけた。向こうは,かなり忙しいらしい。  
珍しく声に疲れが滲んでいた。  
「お姉ちゃん,入れたよー」  
「うん,ありがと」    
 わたしは電話を切り上げ,パジャマを持ってバスルームに向かった。久しぶりの実家のお風呂だ。鼻歌を  
歌いながら服を脱ぎ,中に入る。  
 体を洗っていると扉の向こうから,あやめが声をかけてきた。  
「お湯加減はどう?」  
「ちょうどいいよ。あやめも一緒に入る?」  
「えっ!? うん,入る入る!」  
 あらあら,冗談で言ったつもりだったのだけれど。  
 体を流し終えたところに,あやめが扉を開けて入ってきた。  
「あら……」   
 わたしは一瞬目を奪われた。それほどに,あやめの体は綺麗だったのだ。  
 全体的にほっそりとした体つきだが,胸やお尻など出るところは出ている。腰はきゅっとくびれていて,無駄な  
脂肪がない。肌もつやつやしていて,湯気によく映えていた。  
「やだお姉ちゃん。そんなに見つめないでよ」  
 恥ずかしそうに,体を隠すあやめ。  
「ふふ,ごめんなさい」  
 笑って湯船に入ろうとしたとき,後ろから抱きすくめられた。  
「お姉ちゃん」  
「やっ,ちょっとあやめ!」  
 背後から廻したその手で,わたしの胸を揉んでくる。  
「んふふ,お姉ちゃんの体柔らかいな」   
「もう!止めてってば」  
 ついよろけて,マットの上にぺたんと座り込んでしまう。手を離すことなく,揉み続けるあやめ。そして耳元で  
ささやいてくる。  
「ね,お姉ちゃん,いいでしょ。昔みたいに気持ちよくしてあげるからさ」  
 そうして熱い吐息を耳に吐きかけ,耳たぶを舌でくすぐる。  
「ひゃんっ,あっ…もう……だめえ…」  
 わたしはあやめの手を振りほどこうとしたが,手に力が入らない。耳への愛撫を続けられているうちに,わたしの  
中からはぞくぞくした快感が湧き起こってきていた。  
 
「あっ…はぁん,んふっ…あぁ…」  
 あれから,わたしは座り続けたままあやめの愛撫を受け続けていた。すくいあげるように胸を揉まれ,先端を指で  
弄られる。細い指先で全身をなぞられ,今はわたしの大事な部分を責めていた。  
「やっああんっ…もう,あやめ,すごい上手…」  
「ふふっ,いいでしょ」  
 あやめはわたしの弱い所を,よく心得ている。耳たぶをくすぐっていた舌で,首筋をなぞり,背中を縦に這わせる。  
そして頤に口づけされた後,肩口にキスの雨を降らす。  
 恥ずかしながらわたしの大事な部分は,とめどもなく濡れていた。あやめの指がそこをなぞり,内側を優しく  
かき回す度に締め付け,喘ぎ声を漏らしてしまう。  
 体の内側から熱くなり,上気した背中を汗が伝い落ちるのがわかる。  
「お姉ちゃん,いい表情してる。……じゃあ,マットに横になって」  
 言われるがままにマットに体を伸ばした。ひんやりした感覚が心地よい。  
 ボディソープを掌に落としたあやめが,マッサージをするかのような手つきで,私の全身に塗りたくっていく。  
「んっ…ふぅ…んんっ」  
 ビクッと体を震わせてしまう。そしてあやめが,のしかかるように私に体を重ねてきた。そして右手はわたしの  
大事なところにあてがわれる。そのままゆっくりと体を前後する。  
「ああっ…あっ,くうっ…はぁ」  
 わたしの胸の先端とあやめの胸が擦りあって,電流のような刺激を生む。大事なところに差し込まれた指は  
さっきより丁寧にかき回してくる。思わぬ快感に,わたしは大きく両脚を開いてしまった。  
「お姉ちゃん…キスしよ」  
 ねっとりとしたキスを交わす。舌を差し入れ,お互いの唇を吸い合う。どうしてこんなに気持ちがいいんだろう。   
そう思わずにはいられなかった。  
「どう? もしかしたら春樹さんより気持ちいいでしょ」  
 いたずらっぽく訊くあやめに,わたしはこくんと頷いた。  
「ねえ…あやめ,わたし…もう…だめっ」  
 絶え間なく責め続けてるあやめの指遣いに,わたしは絶頂に達しようとしていた。大事なところからは,くぐもった  
ような水音が聞こえてくる。  
「いいよ,お姉ちゃん」  
 そう言うと,あやめはわたしに覆い被さり,再び耳を責め始めた。体の上と下を同時に責められ,わたしは一気に  
頂点に上りつめてしまう。  
「あやめっ…あっ!はぁあん…ああ…ああああっ!」  
 びくんと体を突っ張らせ,わたしはあやめの頭を抱きしめた。  
「はぁ……」  
 そのまま荒くなった息を整えながら,快感の余韻に浸る。   
 
「ね? よかったでしょ,お姉ちゃん」  
 わたしを抱き起こしたあやめが,シャワーで体を流してくれる。これではどちらが姉かわからない。  
「もう…強引なんだから…」  
 こつんとあやめの頭を小突く。  
「ふふっ,まだまだ夜は長いんだよ。何たって今日は二人っきりなんだから」  
 そしてわたし達は,優しくキスを交わした。  
 

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