キンコーンカンコーン
チャイムが今日の授業の終わりを告げる。
俺が帰り支度をしていると…
「おい、水原」
「なんだ、お嬢?」
俺に声をかけてきたのは、お嬢こと「陸奥 笑穂」お嬢とは少し前から付き合っている。
「この後空いてるか?」
「空いてる言えば空いてるけど…なんでだ?」
「いやなに…お前に少し話があってな…」
俺はやけによそよそしいお嬢の態度に疑問を覚えたが、黙ってお嬢についていった。
「で、話ってなんだ?お嬢」
お嬢に連れられ辿り着いたのは帰り道の途中にある小さな公園だった。
「水原」
「なんだ?」
「お前本当は私の事どう思ってる?」
えっ!
俺は思いにもよらぬお嬢の言葉に驚いた。
「お嬢…どういう意味だ?」
「お前は私に同情してるだけじゃないのか?」
「な、何言ってるんだそんな分けないだろう!」
お嬢は淡々と話し続ける。
「私には親に決められた婚約者がいると聞いて、それが哀れに思っただけじゃないのか?」
確かに俺はお嬢の事を多少なりとも哀れに思った。
「けど私は嬉しかった…でもこのまま水原に同情されるだけで愛されることがないと思うと怖くなった…」
「お嬢!」
ガバッ!
俺は思わずお嬢を抱き締めた。