「んぅ・・・は、ぁ・・」
グチュグチュという音と、時折漏れる吐息のような声が部屋を満たす。
自分の声とその卑猥な音しか聞こえないことに、カノンは
いくらかの安堵と後ろめたさを感じた。
(っ・・・すまない・・・)
蕩けるような快感の中、どこか冷静だった頭の一部でそうつぶやき、
指の動きを少し早めた。
早く、早くと自分を追い詰めるようにより自分の敏感なところ
を攻め立てると、
「っ・・・あああっ!」
脳を焦すかのような甘い電流が走ると共に、
ぐったりとカノンはシーツに自身を投げ出した。
(・・・最悪だ)
こんなことを、しているだなんて。
甘い、蕩かすような快感が引いていった後には、
身を滅ぼしたいような罪悪感だけが残った。
「ごめん・・・」
両目からあふれる涙が頬を伝い、シーツに染みを作る。
それを見ているようで見ていない虚ろな瞳で、カノンは呟いた。
「ごめん・・・真矢・・・」
同姓の友を思いながら達してしまった自分が、醜い物にしか感じられない。
何度も相手に聞こえることはないだろう謝罪を呟き、シーツに顔を埋めて
体を震わせた。