どのくらいのじかんがたったのだろう。
判然としない頭で、総士は考えていた。
思い出せるのは、自らの名前、そして一つの強い想い。
かえらなければ――
だが、どこに?
そんな風にして、随分長い間混沌とした空間を漂っていた。
そんな時、声が聞こえた気がした。
「…し、そこ……る」
とても暖かく、優しい声。その声が、眠っていた総士の心を呼び醒ます。
失われていた記憶が蘇える。
竜宮島、ファフナー、フェストゥム、同化、一騎、そして―――
「総士、貴方はそこにいるよ」
つばき、乙姫。
「つば…き…」
まだうまく動かない身体を必死に動かして応える。
「おれは…そうか、ここは…」
「うん、総士はフェストゥムと同化してミールの中に取り込まれたの。」
段々と頭がはっきりしてくる。
「総士、大丈夫?」
顔を覗き込む乙姫の顔が見える。視力も回復してきた。
「乙姫、お前も…」
「…うん、私は島のミールになったんだ。
だから、皆城乙姫という人間はもういないの。
ここにいるのは皆城乙姫の残留意識…」
「それももうすぐ消えてしまうの。だから、最後に総士に 逢いたくなって…」
えへへ、と照れるがその瞳からは大粒の涙が零れ落ちる。悲しい笑顔。
それは切なくも美しく、触れたくてもままならない自分を呪う。
「だからさ、総士、私からの最後のお願い。私を抱いて。」
「……!」
「身体は結ばれてはいけない運命だったけれど、せめて心だけは。
心だけは、総士のもとに置いていかせて」
不思議と迷いはなかった。ここは意識下の世界。
それは心の奥底に押し込めてきた想い、そのものだったから。
「…わかった、乙姫。お前を抱こう。」
乙姫を抱きしめる総士。その右手が乙姫の身体をまさぐる。
アルヴィスの制服の隙間へと手を入れ、服を脱がしていく。
まず上着を、そしてシャツを脱がし上半身を裸にした。
乙姫が身体をくねらせる
「えへへ、やっぱり恥ずかしいよ」
「何いってんだ、自分から言い出したくせに」
言いながら総士は乙姫のまだ揉める程には発達していない小さな膨らみを撫でた。
優しく、外側からその中心の蕾に向かって。何度も、何度も。
掌全体で包み込んで、その柔らかさを味わう。
乙姫の身体が赤みを帯びてきた。
乳首を口に含んだ。口の中で転がしてその味を楽しむ。
「ぁっ…」
乙姫の口から微かに声が漏れた。総士を抱きしめる手に力が入る。
手はそのまま胸を愛撫したまま、おっぱいを口と舌、それと歯で弄ぶ。
胸全体を嘗め回し、乳首を吸い、甘噛みする。その度に乙姫の反応はいっそう大きくなっていく。
そのさなか、右手だけが乙姫の身体のラインをなぞるように下半身へと降りていった。
スカートを脱がすと、中から飾り気のない白のパンツが現れた。
総士はそのまま乙姫の、女の子の最もデリケートな部分へと手を触れる。
「…んっ」
乙姫が身体を震わせる。
そこはすでにかなりの湿り気を持っていて薄い布越しにもその熱さが伝わってくる。
そのまま割れ目に沿ってなぞる。
軽く爪をたてて少し強い刺激を与える。
「はぁんっ!」
びくん、と乙姫の身体が跳ね上がる。
そのまま連続して布の上から陰核の辺りに刺激を与え続ける。
「くぅ…はぁっ…そう…しぃ…」
そして総士はパンツへと手をかけた。ゆっくりと引き降ろす。
乙姫の秘所が露わになっていく。これまで兄妹といえど決して見せることのなかったその部分が。
「綺麗だな、乙姫」
「ぁっ…やめてよ…総士…」
本当に綺麗だ、と率直に思う。そこはほのかな桜色をしていて、全く穢れがなかった。
まだ毛は生えていないが、それが逆に性器の美しさを際立たせていた。
「んんっ…」
総士はそこにくちづけする。そしてそのまま割れ目を舐める。上に、下に。
まるで乙姫の全てを味わい尽くすかのように、執拗に。
「はぁんっ…総士…きもちいいよぅ…」
膣の中までも舌をいれて溢れ出す愛液を味わう。
「はぁっ…あっ…総士…私も…総士のを…」
「乙姫…、いいのか?」
「うん…、私だけ気持ちいいんじゃ、不公平でしょ…?」
おもむろに総士はズボンを脱いだ。すでにそのパンツははちきれそうになっている。
そしてそのパンツもが勢い良くおろされ、総士のいきり立ったモノが飛び出した。
「えへへ…うれしい。総士が私の身体でこんなに興奮してくれるなんて」
躊躇することなく総士の男根を握る。
「こんなに熱いんだ…」
興味深そうに眺める乙姫。はむ、と不意に口をつける。
「んっ…ふむぅ…」
乙姫がその小さな口で総士のものを頬張る。
口の中で舌を動かし全体を綺麗に舐め上げる。
とても初めてとは思えないほどのテクニックに想像以上の快感が襲ってくる。
総士のムスコがどんどん硬さと熱を帯びてくる。
「くっ…乙姫っ…もうっ」
「んんっ!?」
イってしまった。
乙姫の口の中でびくびくと震えながら白濁液を放出する総士の分身。
こくん、とそのまま精液を飲み干す乙姫。
「えへへ、上手だったでしょ?」
と、屈託のない笑顔で笑う。
総士の肉棒はまだ硬さを失っていなかった。
「乙姫…そろそろ…」
「うん、総士、いいよ…」
乙姫を仰向けに横たえて正常位の形をとる。
すでに秘所はそこから湧き出る蜜でトロトロに潤っている。
そこに屹立したモノをあてがい蜜を潤滑油代わりに一気に挿入した。
「っあっ!」
乙姫が一瞬苦しそうな表情を見せる。
紅い血が一筋、乙姫の身体をつたう。
「平気か?乙姫…」
「うん、平気。大丈夫だよ…総士」
それでも総士は慎重にゆっくりと腰を動かす。
乙姫に痛みを与えないよう、ゆっくりと。
だんだんと乙姫の体の硬直が解けてきた。
「んあっ…、大丈夫、もっと動いてもいいよ…」
その言葉を信じて総士はピストン運動を速める
「はぁん…やぁ…はぁっ…あっ…」
乙姫の中はとても狭く、締め付けはとてもきつい。
気を抜くとすぐにイッてしまいそうだ、と緩急をつけてリズミカルに腰を振る。
「ふぁぁ、気持ちいいよっ、総士っ」
「乙姫、俺も…」
2人の体がシンクロしながら絶頂へと向かっていく。
「はぁん…はぁっ…はぁっ…そうっ…しっ…私っもう…」
「ああっ、俺も…もう…」
「はぁぁんっ、あぁっ――――!!」
「うっ…」
乙姫が達するのと同時に総士も乙姫の中で果てた。
「総士、そろそろいくね」
「乙姫…」
「大丈夫。私は竜宮島に還るだけ。だから、総士も早く帰ってきてね」
「ああ、必ず」
乙姫の体が指先から消えていく。
「さよなら…総士…」
何もいわずにキスをした。軽く、唇が触れる程度の。
「総士」
「まだキスしてなかったからな」
目は合わせない。合わせられなかった。
「ありがとう、総士…」
また混沌へとおちていく。1人きりの、孤独な世界。
いや、違うな。
この温もりが暖めてくれる。
1人では生きていけないから、寄り添う相手を求める。
きっと、誰もがそうなのだ。たとえそれがフェストゥムであっても同じ。
寄り添う相手が欲しかったのだ。
ただその方法がわからなかっただけ。
近づいては傷つき、傷ついては離れる、ヤマアラシの葛藤。
暗闇の向こうへ呼びかける。
「おい、フェストゥム。俺は、ここにいるぞ」