● ● ●  
 
「はぁ………」  
 早朝の星川家前で、コウタはでっかいため息をついていた。  
 
 カチ……カチ……。  
 
 コウタはため息と共に、腕に嵌めたブレスのボタンを何度も何度も押している。  
 だが、ブレスから耳になじんでいたはずの獅子の雄叫びは聞こえてこない。  
「エクスカイザー……」  
 それは大切な宇宙の友達、エクスカイザーとの友情の証だった。  
 しかし、エクスカイザーは地球での任務を終え、遥か彼方の宇宙へと帰っていった。  
 いつかはこの日が来るとは思っていたが、こんなにも寂しいだなんて思ってもみなかった。  
 
「コウタ君……」  
 そんなコウタを、コトミは心配そうに見つめていた。  
 元気が取り得だといっていいくらいのコウタがあれほど落ち込んでいるなんて。  
 理由はどうあれ、コウタのそんな姿を見たくはなかった。コウタはいつもの、笑顔と元気に満ち溢れた姿が一番だ。  
 自分はそんなコウタが好きだから。  
「わたしが元気付けてあげなきゃ……」  
 コトミはそう決心すると、コウタの元へと駆け寄った。  
 
 
「コウタくん」  
「コトミちゃん……?」  
 コウタが顔を上げると、そこにはコトミが立っていた。  
「どうしたの? まるで大切な友達とお別れしたみたいな顔してる……」  
 その問いかけに、コウタの表情が翳った。  
 実際そうだったのだが、エクスカイザーとコウタの友好関係を知らないコトミには知る由もない。  
「どんな友達とお別れしたのかはわからないけど……コウタ君にはわたしがいるじゃない」  
 コトミは意を決して、その言葉を囁いた。  
「コトミちゃん……」  
「それに、コウタ君のお父さんやお母さんやフーコさん、タクミ君、徳田さん……みんながいるわ」  
 続いた言葉は、少女のささやかかテレ隠しだったのだろうか。  
 それでも、コウタは改めて思い出した。  
「僕にはたくさん、友達がいるんだ……そして」  
 大切だと思う人もいる。  
 その人は、大事なことを思い出させてくれた。  
「僕、朝ごはん食べて元気出してくる!」  
 コウタは目尻に浮かんでいた涙を拭い去ると、いつもと同じ笑顔で立ち上がった。  
 そして、玄関へ向かって走り出す。  
「待って……」  
 
「ど、どこ行くのコトミちゃん……?」  
「いいから、こっちに来て」  
 コトミは走り出したコウタの服の裾を掴んで、車の陰へと誘い込んだ。  
 真っ白なボディに赤が映える、今は物言わぬガルウィングのスポーツカー。  
 ちょうど車体の陰になって外から見えないところで、コトミはようやく足を止めた。  
「どうしたの、コトミちゃん……?」  
「朝ごはんより、わたしがコウタ君を元気にしてあげるね……」  
 少女の健気で、そして背伸びした決意。  
「コト……んっ!」  
 コトミは頬を僅かに赤く染め、コウタの肩に手を置いておもむろに唇を重ねた。  
 そのまま3秒ほど経ってからコトミは唇を離した。  
「コトミちゃん…!?」  
「えへ……奪っちゃったね」  
 照れくさそうに、くすりと微笑むコトミ。  
「こういうのは男の子からって思ってたけど、逆っていうのもアリだよね?」  
「え、う……あの……」  
 突然のことにしどろもどろになるコウタ。  
 これまでもコトミを抱きしめたりチューを期待したり、微妙にマセていたものの、実際にやられると何も出来なくなってしまった。  
 硬直し、うまく言葉が続かないコウタに、コトミは再びくすくすと微笑を零した。  
「コウタ君。友達も大事だけれど、ホント言うなら……たまにはでいいから、わたしだけを見てて欲しいな……」  
「あ………う、うん」  
 ぽりぽりと頬を掻きながら、自分でも情けないとしか思えない返事をするコウタ。  
「……あ。コウタ君ったら……」  
 不意にコトミの視線が下に向けられた。  
「……? あ!」  
 小学生といっても、コウタも男だった。  
 この突然の出来事にも、しっかりと男の子が反応している。硬直しているのは、何も動きだけではなかったようだ。  
「でも、ちょっと嬉しい」  
 コトミは微笑みながら、コウタの前に跪いた。  
 そして、ゆっくりと手をコウタのズボンへと伸ばす。  
「ちょ、ちょっとコトミちゃん!」  
「だ、大丈夫……わたしだって、わかってるから」  
 仮にも、赤ちゃんの作り方を授業で学んでいる年齢である。  
 ソレがナニしてにゃんにゃんすることだって、頭ではちゃんと理解している。  
 だから余計にコウタはコトミの突然の大胆行動に焦った。  
 しかし、その先に待ち受けるコトに対する好奇心が、それを阻害することが出来なかった。  
 
「わ……やっぱり実際に見ると、違うね……」  
「………」  
 コトミは硬直したコウタの男の子をまじまじと見つめ、感想を漏らした。  
 対するコウタは、されるがままですっかり押し黙ってしまった。  
 普通、こういうのは逆じゃないだろうか、とは思うものの、まさに急所を握られていてはどうすることも出来ない。  
「……痛くない?」  
「うん、大丈夫……」  
 コトミは好奇心の赴くままにコウタの男の子を弄繰り回した。  
 さわさわと撫でてみたり。軽く握ってみたり。  
「うぁ……っ」  
「コウタ君、可愛い……」  
 そのたびに見せるコウタの反応が可笑しく、だんだんコトミもエスカレートしていった。  
 もはや先ほどまでのテレはない。  
 あるのは年相応の無邪気な好奇心と、似つかわしくない妖艶さだった。  
「コウタ君、剥いてあげるね……」  
 しばらくいじっていると、コトミは先端に被っている皮が剥けることに気づいた。  
 なぜ皮を被っているのか、剥くことに何の意味があるのかはわからなかったが、出来るものはやってみればいい。  
 ただそれだけの理由で、コトミは指できゅっとコウタの皮を剥いてやった。  
「あっ……コトミちゃ…・・・!」  
 言い知れぬ快楽に、コウタはもうマトモに喋れなかった。  
 その反応に、ますますコトミが少女から女へと変わっていく。  
「コウタ君……こうしたら、気持ちいいの?」  
 コトミはコウタの男の子をしごき挙げながら、その先端にちろりと舌を這わせた。  
 いつか、大掃除のときにたまたま目にした父親秘蔵のエロ本から得た知識だった。  
 あの時は、恥ずかしさのあまり、そのページを目にしただけで燃えるごみ送りにしてしまったあの本。  
 女の人が、男の人のをおいしそうにしゃぶっているページ。ソレが今、微妙に役に立っていた。  
「だ、ダメだよコトミちゃん……そんなところ! うっ……」  
 コウタは背筋を駆け上がる快楽を堪えながら、必死にコトミを押し止めようとした。  
 しかしコトミの舌使いは早まるばかりで、止めようとはしない。  
「コウタ君のなら、大丈夫だから……ちゅ……」  
 あの時はこうする意味がわからなかったが、今ならわかる気がした。  
 味なんてわからなくても、好きな人のをこうしているだけで幸せな気がする。好きな人が気持ちよくなってくれれば、自分も心地よかった。  
「んちゅ……ちゅぶ……くち……」  
 次第に舌の動きがが大胆になっていき、あふれ出てきた唾液を満遍なくまぶしていく。  
 そしてついに、コトミは大きく口を開けて、コウタの男の子を口の中で包み込んだ。  
「くぅ……コトミちゃんの口……熱……」  
「ふぉお? ふぉかっは……」  
 コトミは口に含んだまま、上目遣いでコウタを見上げながらもごもごと囁いた。  
 それから手を添え、口の中で舌を目いっぱい使いながらコウタに奉仕する。  
 
「んふっ……ちゅ……ぐちゅ……じゅるるる……」  
「ぴちゅ……んぐ……」  
 事を始めてまだ5分足らずしか経っていないというのに、2人にはいままでで最も長く一緒に過ごしているような感じだった。  
 2人はいつの間にか、お互いの性器に奉仕し合っていた。  
 コトミが幼いながらに男を発揮した剛直にしゃぶりつき、コウタが愛液の滲んだ幼い割れ目に舌を這わせている。  
「コウタ君、コウタ君……」  
「コトミちゃん……」  
 お互いの名前を呼び合い、次第に声が熱っぽくなっていく。  
 それぞれに、経験したこともない何かが身体の奥から湧き上がってくる。  
「コトミちゃん……っ、な、何か出そう……っ!!」  
「コウタくぅん、わたしも何か来ちゃう……ッ!!」  
 コトミがコウタの男の子を、口の奥で目いっぱい吸い上げた。  
 同時に、コウタがコトミの割れ目を押し広げ、膣内に舌をねじ込ませる。  
 
「あぁぁ―――っ!!」  
「うっ……!」  
 
 びゅるるっ!! びくっ、びるるっ、ぶしゅっ!!  
 
「んぐっ……!!」  
「はぁっ、はぁあ……」  
 コトミの口の中で熱いものがぶちまけられ、コウタの身体の上でコトミの小さな身体が小刻みに痙攣し、跳ね上がる。  
 2人は初めて同時に絶頂を向かえ、荒い息をついていた。  
「コウタ君……」  
「コトミちゃん……」  
 2人は熱っぽく見つめあい、再び唇を重ねた。  
 
 
 
「元気でたみたいね、コウタ君」  
「うん。ありがとう、コトミちゃん」  
 あれから大慌てで服を調えた2人。車庫から出ようとしたところにパパが現れたのにはびっくりしたが、どうやら秘め事はバレていないようだった。  
 それから朝ごはんもそこそこに、学校へと向けて出発した。  
   
(エクスカイザー。僕、またひとつ大切な宝物を見つけたよ)  
 コウタは繋がれた手の相手をちらりと見て心の中でエクスカイザーに語りかけた。  
(この宝物は、ガイスターにだって絶対、盗ませないよ。僕が必ず、守ってみせるんだ)  
 コウタはこの日、少年から少し成長した。  
 たったひとつの宝物を守る、勇者へと。  
 
 
 
 
 
オマケ  
 
「私は宇宙のどこにいても、君をずっと見守っている……」  
 エクスカイザーはその言葉通り、どういう手段をつかってか、その光景を一部始終観察していた。  
「どうした、エクスカイザー?」  
「いいや、なんでもない。ちょっと地球人の営みについて学んでいたところだ」  
 エクスカイザーは同僚に訪ねられ、答えた。  
「なかなか興味深かった……どうやら、コウタも大人になったようだ」  
   
 宇宙は、今日ばかりは平和だった。  
 
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