「ん…ん……」
「ん、つぐみ…んっ…」
気付いたときには、俺の唇とつぐみの唇が重なっていた。
柔らかくぷりぷりとした凹凸。求めるように、互いが互いを埋めるように…。
つぐみの唇は仄かに甘いような感じがして…俺は自然とつぐみの後頭部に手を回すようにして、さらに深く味わおうとする。
「ひゃ…ひゃけし…ん、く…」
つぐみは少し驚いたような声を漏らしたが、すぐ瞳を閉じ、俺を誘うように、そっと唇の隙間を開く…。
俺はその空間に下唇を滑り込ませ、そっとつぐみの唇を自分の唇で挟み込む。するとつぐみの身体がびくりと跳ね…るが、何もない。
顔を紅潮させるだけで、懸命に耐えるように目をぎゅっと閉じてるだけで…。
ええい、可愛いじゃないか。こういじめたくなった。
「ん…んっ…ちゅ…れろ」
不意打ち一番。挟み込んだ唇に…舌を這わせる。瞬間…。
「ん…!?」
がぶ。
「ぎああ!!」
唇を、噛まれた。本気で。
つぐみから唇を離し、痛むそこを撫でながら、何するんだよ。な視線を送りながら、声を掛けてみる。
「い、いきなり…なにふんだよ…」
いかん。涙交じりになってしまった。つぐみは恨めしそうな視線を向け、唇を押さえながら間合いを取っている。
「舐める…なんて、卑怯じゃない…それに、いきなりすぎ」
「は…? ん、ああ…悪い」
どうやら、舐められるのは恥ずかしかったようだ。
俺は痛む唇を舐めながら、真っ赤な顔をしたつぐみに近づいていく…。
「じゃ、今度はいきなりじゃないぞい? 予告付きだ」
「ば、馬鹿。そういう意味じゃ…ふむっ…」
つぐみの言葉を塞ぐように再び唇を重ねた…。今度は唇の境目に舌を当てがい、舌の先でそこをなぞる…。
つぐみはさっきみたいに身体を震わせていたが、段々身体の力は抜けていき、俺に全てを委ねてきた。
細い体躯を抱き締め…また、唇を重ねる。ぬくもりを交わしあいながら…。