「ねぇ少年・・・・ 私達どうなっちゃうのかな?」
自分の肩を抱き、涙を滲ませ不安げに俯く優。
「このまま助けもこなくて、暗い海の中に沈んじゃうの?やだ・・怖いよ。」
「だ、大丈夫だよ。きっと何とかなる。だから・・・元気だしてよ。」
隣に座る少年はいつになく弱々しげな優を何とか励まそうとする。
正直、少年も不安だった。
励ましの言葉も空しく響き、二人の気持ちがどんどん沈んで行く。
「よし! ここは俺に任せるんだ、少年!」
「―――武?」
そんな空気を打ち破り、武が二人の前にやってきた。そして。
「しっかりしろ!優っ!!」
パシンっ!
「っっ!?」
乾いた音がした。武が優の頬を叩いた音だ。
赤く染まる頬を押さえる優。そして次の瞬間、
「痛いじゃないのよ!このバカ倉成っ!!」
バキっ!!
「ぐはぁっ!!!」
絶妙のカウンターの一撃。見事なまでの手首を使った当身技、虎拳が武の右頬を捉える!
流石は優美清春香菜。戯れの出来ない女であった。
「ああ? た、武ぃ?」
少年の見守る中、その場に沈む武。
しかも回転しながら。ナイスパンチ優!
「まったく頭くるわね! ほらあっち行こ、少年。」
「え、ああ、ちょっと〜〜〜〜。」
少年の手を引き、その場を離れる優。
入れ替わりに、様子を見ていたつぐみが武の元にやって来た。
「・・・・大丈夫?」
「フっ。見たか。アイツの拳はまだ錆び付いちゃあいないぜ。」
見事、優を立ち直らせたものの、ちょっと予想と違う展開に。
照れ隠しにつぐみ相手にボケてみたが今度も外し気味な感じな武。
「バカ。」
つぐみの一言でオチがつく。
結果オーライ。のようなそうでもないような、そんなLeMUでの一コマ。