食事も終えた後の団欒の一時。  
チラチラと横目で時計を気にしながら、隣のつぐみが小さな溜息をついた。  
 
「それにしてもホクトと沙羅は遅いわね…何してるのかしら?」  
「ああ、スマン。そう言えばさっき、優…いや娘の方か、あっちから連絡があったぞい」  
 
 その言葉に、記憶の引出しの奥底へと仕舞い込んでしまっていた、ある出来事が蘇える。  
さらりと俺がその事を口にすると、つぐみは可愛らしい仕草で小首を傾げて何度かパチパチと瞳を瞬かせた。  
 
「へ?」  
「今夜はあっちに泊まらせるから心配するなってさ。すっかり忘れちまってたな」  
「もう…忘れないでよ、そんな事。お陰で心配しちゃったじゃない」  
 
 途端に頬を膨らませて、拗ねた様な表情を浮かべる。  
無用な心配をしていた自分が気恥ずかしいんだろうか?  
僅かに朱に染まった頬。意識して尖らせた赤い唇。  
 
 17年振りに再会してからどれだけの時間を過ごしたのか。  
度々こうして見せてくれる様になった、つぐみのまるで少女の様な仕草は、何とも可愛らしい。  
 
 俺がくしゃくしゃと長い髪の毛をかき乱す様にして頭を撫でると、  
そのままそっと、俺の肩口へと体を預けてくれる。  
あの時匂った麝香とは異なる、ふわりと柔かな…つぐみの甘い体臭。  
 
「あはは、正直スマンかった。それよりさ…つぐみ」  
「…何?な、何よ、その……嬉しそうな表情は」  
「いや、まぁ…その、何だ。久しぶりに二人っきりだな〜なんて思っていたりするわけなんだが」  
「………」  
 
 鼻腔を擽る甘い匂いと、触れ合った部分から伝わる温もりに  
…まぁ、その、つまり、すっかりそう云う気分になってしまった訳で。  
 
 我ながら、ムードもへったくれも無いものだとも思うが、これも生物の持つ自然な欲求の一つ。  
そう自分自身を納得させる事にしておこう。  
 
 俺はそっと腕を回して、少しだけ呆れた様な表情を浮かべるつぐみの体を抱き寄せた。  
つぐみは特に抵抗するでも無く、素直に俺に身を任せてくれる。  
柔かな膨らみの感触。さらさらと流れる黒髪の感触。  
つぐみから伝わる全ての感触が…じんわりと俺を包みこんでいく。  
 
「折角の機会をフイにするのも勿体ないなどと、個人的には思う訳だ、うむ」  
「………バカ」  
「今夜は、朝まで…食べちまって良いよな」  
「ふふふ…良いわよ。その代わりに、私も武を食べさせて貰う事にするから……」  
 
 そして…先に唇を塞がれたのは俺の方だった。  
少しだけ濡れたつぐみの赤い唇が俺の唇に押しつけられて来る。  
そっと舌でなぞってみると、まるで誘っているかの様に、微かな隙間を作り出してくれる。  
 
―――ぴちゃ…ぴちゃ、くちゅっ…  
 
 そうして開かれた隙間を縫う様にして舌を差し入れると…  
すぐに、嬉しそうなつぐみの舌先が絡み付いて来た。  
つぐみの口内で…肉体に先んじて、二つの舌がにゅるにゅると絡み合う。  
 
「あっ…あ、んぅ…あぁ…ッ!」  
 
 その度に溢れる切なげなつぐみの鳴き声。  
何時もならホクトや沙羅の元気な声が響いている筈の茶の間を、  
今夜はつぐみの甘い声と、淫らな水音が満たしていく。  
 
「――ん…んぅ……ふはっ」  
 
 入りこんだ舌で散々つぐみの舌をなぞり、その口内を堪能してから、俺はゆっくりと唇を離した。  
そのまま、口付けの余韻に浸っているつぐみの体をソファーに押し倒す。  
 
「ぁ……はぁ……あ、ちょ、ちょっと!こんな所じゃダメよ!」  
「ダメか?その割には体の方は嬉しそうだぞい」  
「アッ…だ、ダメ…待って!―――待ちなさい、やっ…あ、あぁん…」  
 
 薄い部屋着の上から、柔かな双胸を揉み解す。  
すると、どうやらすっかり反応してしまった先端の部分が、コリコリと掌を押し返して来た。  
 
「可愛いぜ、つぐみ。はは、何て言うかさ。すっかりエッチな体になっちまったみたいだな。  
 あ、勿論悪い意味じゃないぞ?それが俺には、逆に嬉しかったりする訳であってさ」  
「ッ――あ、あん…はぁ…し、仕方ないじゃない。――あぁっ!」  
 
 素直に俺を感じてくれている事が嬉しくて、そのまま上着の裾をたくし上げる。  
白いレース地のブラを押し上げると、その下からは僅かに上気したつぐみの膨らみが現れた。  
さっきまでの行為に反応して固く尖り始めた赤い果実が、俺の目の前で脅えた様に小さくふるふると揺れる。  
 
「―――つぐみ…つぐみッ!」  
「アッ…!や、あぁ、あんっ、あぁッ!ちょ、ま、待っ――あぁ…ッ!」  
 
 何とも可憐な姿にすっかり理性のタガを外されてしまった俺は、  
そのまま二つの膨らみへとむしゃぶりついた。  
 
 むにむにとした柔かな感触と、指先を押し返してくる弾力とを楽しみながら、  
両手で重みを増し始めた乳房を揉みしだいて行く。  
 
 右の乳首の先の部分をクリクリと指先で弄りながら、  
もう片方の先端を口内へ含んで可愛がってやる。  
 
「あっ…武…あ、あぁ…ッ!や…ハァ…あぁっ!」  
「んっ…――ん、んむ…」  
 
―――ぴちゃッ…ぴちゃ、ぬりゅっ…  
 
 敏感になった果実を唇で挟み込んで、そのまま先端を舌先で突つく。  
びくりと大きく震えるつぐみの反応は可愛らしくて、俺の行為にますます拍車を駆けてしまう……。  
甘く歯を立ててみたり、唾液を絡める様にして舌を這わせてみたり。  
左の乳首に俺の物だと云う証を残すと、次は同じ愛撫を右の乳首に与えて行く。  
 
「あ………あ、あぁ…ッ…!ハァ、ハァ――武…あぁ…!武、たけし…ッ!」  
 
 何とか俺の頭を押し下げ様として埋められていたつぐみの指先。  
その仕草も…溢れる鳴き声に甘い熱が含まれていくにつれて。  
火照りを帯びた女の体を愛撫している俺の頭を、愛しげに抱き寄せる動作へと変って行く。  
 
 ぬらぬらと俺の唾液に濡れたつぐみの赤い果実が、  
茶の間の照明をの光を受けて何とも淫らな輝きを放っていた。  
その光景は、俺の下腹部にずきりと痛い様な衝動を込み上げさせる。  
 
「…本当に、可愛いやっちゃな」  
「あ……ば、バカ……あ、アァッ!――知らないわよ、バカ…ッ!」  
 
 俺は、なだらかな腰のラインをなぞる様にして、そっと右の指先を走らせた  
。少し長めのスカートのホックを外し、ソファーの下へとふわりと落とす。  
顕になったつぐみの白いすべすべとした太腿に掌を這わせて行く。  
吸いつく様な感触を伝えてくる太腿から、僅かにじっとりと蒸れた内腿の方へ。  
…そして、既にぐしょぐしょに濡れた、彼女の大切な部分へ。  
 
「ははは。何か、お互いにもうすっかり準備完了って感じだよな」  
「ばッ……!は、恥かしい事云わないでよ……」  
「だって仕方が無いだろーが。触る前からさ……もう、こんなにビチョビチョになっちまってるんだから」  
「やっ―――アッ、あぁぁぁんッ!?」  
 
 溢れた蜜で重みを増した薄い布地。その隙間から、直接体内へと指先を潜りこませていく。  
 
―――クチュッ…  
 
 粘ついた水音と共に、指先にヌルヌルとした愛液の感触がまとわりついて来る……。  
つぐみの胎内から零れ落ちて来る温かな雫。  
奥から奥から枯れる事無く溢れてくるその液体を、俺はゆっくりと指先で拭った。  
 
―――くちゅ、くちゅっ…ヌルッ、ぴちゃり…クチュクチュ…  
 
「あっ!…やっ、あぁ…ッ!?」  
 
 柔かな谷間の入り口をなぞる様に、人差し指と中指を何度も往復させる。  
その度にじっとりと溢れる愛液。  
絡みついて来る液体は溜まらなく温かくて…俺の中に沸きあがった雄の衝動を強烈に刺激した。  
 
 元々固くなって形を変え始めていた下腹部に、ますます力が加わって行くのが分かってしまう。  
そんな自分に多少呆れながらも、俺はきゅっとつぐみの下の唇にある充血した蕾の部分を摘んだ。  
 
「―――きゃうぅッ!?」  
 
 途端に、彼女の上の唇からは驚いた様な悲鳴が漏れる。  
少しだけ素っ頓狂なその声に、俺は思わず笑い声を洩らしてしまっていた。  
 
「はははっ……可愛いぜ、つぐみ。その、なんだ。  
 こんなに濡れて…俺を感じてくれててさ。嬉しいな〜、なんて俺としては思ってしまう訳であって」  
「―――ぁ……ば…バカ…ッ!ぁっ…あぁあぁぁぁんっ!!」  
 
 そのままクリクリと、可哀想な位に固くなった部分を弄ってやる。  
舌先で膨らみの先端で震える上の蕾を。指先で濡れた谷間の奥に隠れていた下の蕾を。  
同時に玩んでみると、つぐみの体は俺の下でビクンと大きく痙攣した。  
 
「アッ!あんっ…ああぁぁっ!!!――…ぁ…はぁ……あぁ……ぁぁん……」  
「ははっ。何て言うか、すっかり素直な体になっちまったよな、お前」  
「…………バカ」  
 
 軽く上り詰めてしまったのだろう。  
吐息を吐き出して軽く身体を震わせながら、つぐみは力無い、切なげな泣き声を唇から洩らした。  
 
 先にイってしまった事が恥かしいんだろうか?  
涙を滲ませた瞳を開いたつぐみが、拗ねた様に俺を睨んで来る。  
そんなつぐみの愛らしい表情に吸い寄せられる様にして、俺はもう一度自分の唇で彼女の赤い唇を塞いだ。  
 
「…ん……ぁ…はぁ…んぅ…」  
 
 甘く漏れ出るつぐみの声。そっと首筋に絡みついて来る細い二の腕。俺を信頼してくれてるんだろう。  
心も体も全てを、すっかり俺に委ねてくれている仕草が溜まらなく嬉しかった。  
そんな想いを伝える様にして、何度も何度もつぐみの舌先に自分自身の舌を溶け合わせていく。  
 
―――ぴちゃっ…クチュクチュ…ちゅるっ  
 
 室内を満たす水音と互いの吐息。肉体に伝わって来る相手の温もり。  
つぐみの膨らみが薄いシャツ越しに俺に押しつけられてくる。  
 
 胸板に押し潰されて形を変えた柔かな胸の先端で、  
尖った果実だけは相変らずの固さを保ち続けているんだろう。  
すっかり敏感になった部分が少しだけ窮屈そうな悲鳴を上げている…その感触が伝わって来る。  
 
「ん…ふは…ん、、んんっ…」  
「ぁっ、うん…ひゃうっ!…ん、んぁ…ん、んんぅ…」  
 
 熱の篭もった口付けを繰り返しながら、  
俺は苦しげな先端を解放してやろうとして、少しだけ体をずらそうと試みた。  
けれど、そんな俺の体をつぐみはぎゅっと抱き寄せて来る。  
 
 離れる事が不安なんだろうか?  
まるで小さい子供みたいなその行為に、込み上げる笑いを噛み殺しながら、  
俺は彼女を制して、そっと身体の位置をずらしてやった。  
苦しげにたわんでいた膨らみが、また少しだけその形を取り戻す。  
 
―――ちゅっ…ちゅる、クチュクチュ…  
「んぅ…んふ…ふぁ、あ…ん…はぁ、あぁ…!」  
「んっ…ハァ…つぐみ…」  
 
 舌と舌がぬめぬめと絡まり合う音を、  
重ね合わせた唇から漏れ出る切なげな声を、お互いの唇と舌で紡ぎ合いながら。  
俺達は相手を求め合う様に自分の身体を押し付け合い、何度も何度も口付けを交わした。  
 
 ますます火照り始めるつぐみの体温を感じる。  
どんどん熱を増していく自分自身を感じる。  
俺は彼女の口内を舌で蹂躙しながら…  
つぐみの身体の一番熱い部分へと、ゆっくりと指先を忍び込ませて行った。  
 
―――ヌチュッ…ぬぷっ、ずぷ…ッ、くちゅくちゅっ…  
 
「ッ!?――…んっ、ふぁっ…!そ、そこは…ッ!んッ、んぅぅっ!!」  
   
 入りこんできた異物の存在を感じて、つぐみが戸惑いの声をあげる。  
一瞬だけ離れた唇を今度は少し強引な動きでもう一度塞ぎながら、  
俺はゆっくりとゆっくりと…熱い雫に濡れそぼった女の体の奥の方へと、自身の指先を進めていった。  
 
―――ぬりゅっ、ちゅぷっ…ぐちゅ、くちゅっ  
「んっ…んふ、ふぁ…あぁ、んぅ…ッ!」  
 
 キュレイの影響もあるんだろうか?  
再会したあの日以来、何度も俺のモノを受け入れ続けているにも関わらず、  
つぐみの身体の入り口は相変わらずの狭さを残したままだった。  
 
 ただ一旦入り口を潜らせてしまえば、後は比較的楽な方だと思う。  
人差し指と薬指で入り口を押し広げ、一旦中へと押し入ってしまえば…  
火照りを帯びた肉の襞が、入り込んだ指先へときゅうきゅうと絡み付いて来てくれた。  
指先を奥へ奥へと誘っているかの様に、俺を絞めつけて離すまいとする。  
 
(本当に…可愛いやっちゃな)  
 
 熱く甘く絡みついて来るつぐみの反応が妙に嬉しくて、俺はゆっくりと入りこんだ指先を動かしてやった。  
 
―――くちゅッ、ぬちゅぬちゅっ…ぬりゅりゅっ…  
「んッ!ふ、ぅんっ…あぁぁッ!?やっ…たけ、武…んぁぁっ!」  
 
 とろとろと溢れた愛液に満ちた、つぐみの胎内を何度も指先で掻き回す。  
 
―――ぬぷっ!…ヌルっ、ヌチュ、ズププ…ッ、ぬぷ…  
「…ぁ!アァぁッ…だ、ダメよ…こんな…あ、あぁ…そ、そこ…ッ!」  
 
 ぬめぬめと縋る様な襞を掻き分けて、つぐみの奥の方を掻き回し続ける…。  
 
―――ずぷっ!ちゅぷ…くちゅ、グチュっ…ヌチュッ、ヌチュヌチュッ…!  
「あ…あぁ…っ、だ、ダメ…!わ、私また…っ、イヤ…あ、あぁぁんッ!!」  
「可愛いぞつぐみ…つぐみの中、すげぇ熱くなってる…」  
「や―…ッ!あ、アァッ!あん…あ、あぁッ!………んあぁぁぁあぁぁっ!!」  
 
 そうして、根元まで入りこんだ俺の指先をきゅうっと強く締め付けながら。  
つぐみの体は俺の腕の中でもう一度大きく打ち震えた。  
弓なりに反った身体がビクッビクッと痙攣を繰り返す。  
 
「ぁ…あぁ…いや…あぁ…」  
「気持ち良かったか…つぐみ…?」  
「―――っ!し、知らないわよ……武のバカ…」  
 
 全身を襲った甘い衝動に、つぐみの唇からは泣き出しそうな声が漏れた。  
拗ねた子供の様な彼女の仕草に、俺の方もついつい口元が緩んでしまう。  
もっとも、つぐみからすれば俺のそんな態度がますます悔しいのかもしれない。  
つぐみは、ぷぅっと僅かに頬を膨らませると横を向いて顔を反らせてしまう。  
 
「ははっ。本当に可愛いぜ、つぐみ」  
「―――バカ」  
 
 ぎゅうっと、両腕に力を込めてつぐみの細い体を抱き締める。  
すると、汗ばんだつぐみの肉体が、ふわりと香る甘い体臭と火照った肌の温もりを伝えて来てくれた。  
 
「良いよな、つぐみ…?」  
「た…けし…」  
「一杯…お前を食べちまいたい。がっついてるって言われそうだけどさ。  
 もう我慢出来ないんだよ。お前の…つぐみの中に、入り込みたい…」  
 
 つぐみの耳元へと囁きながら、ズボンの中ですっかり固く滾っている自分自身を解放してやる。  
窮屈な部分へ無理矢理閉じ込められていた肉体は、  
戒めていた枷が外れると、嬉しそうに勃起した己の姿を現した。  
 
「ぁ……っ?」  
 
 我慢しきれなかった肉体に溢れた先走りの雫。  
とろりとした液を滴らせた分身を目にしたつぐみが、少しだけ驚いた様な声を上げる。  
 
「武………武の、もう…こんなに………」  
「あ、あは、あはは…その、まぁ…何だ。つぐみも悪いんだぞい?」  
「わ、私?」  
「うむ」  
 
 俺のを見るのなんてもう何度目かも分からないくらいだろうに。  
猛り切った俺のモノを恥かしそうに見つめる彼女に、うんうんと大きく頷いてやる。  
不思議そうな表情のつぐみは何とも初々しくて、俺は自然と口元が緩んでしまうのを自覚した。  
そのまま、やや仰々しい口調で言葉を繋げる。  
 
「つぐみの反応が、あんまりに可愛いのが悪い」  
「―――はぁ?」  
「だからさ…ほれ、こんなふうにさ」  
「アッ!?やっ、あぁ!…んっ、あぁ…だ、ダメよ…あぁあぁぁッ!」  
 
 今もまだヒクヒクと細かな痙攣を続けている下の唇。  
もうすっかりその役目を果たさなくなってしまっていた薄い布地をずり下ろし  
その入り口に、ヌルヌルと熱くなった肉体を何度か摺り合せて見る。  
すると、快感の余韻を残したままだったつぐみの体は、俺の腕の中でもう一度びくりと跳ね上がった。  
 
「こんなふうに…つぐみが俺を感じてくれるからさ。  
 だから、俺の方も何というか・・・まあ、つまり溜まらなくなっちまったって言う訳だ、うむ」  
「ぁ……はぁ…ハァ……もう…知らないわよ、武のバカ…っ」  
 
 微かに上下させた腰の動きを止めて、うんうんと大きく頷くと、  
つぐみはまたジロリと涙を滲ませた瞳で俺の方を睨む。  
そんなつぐみに一度だけ軽い口付けを送ると、俺はそっと彼女の耳朶へと自身の唇を近付けた。  
 
「良いよな、つぐみ?俺…お前の中に入り込んじまいたい。つぐみと…一つになりたい…」  
「あぁ――…ッ!」  
「今夜も、お前を食べてやりたい…」  
「あ…た、武、ダメよ!ま、待って・・・待って…」  
「此処まで来て待てる訳無いだろーが」  
「―――――あぁッ!だ、ダメよ…!」  
 
 もう一度、今度はさっきよりも慎重に。  
つぐみの濡れた谷間の入り口へと肉体の先端を擦り合わせて行く。  
 
 谷間から溢れる暖かな蜜の感触。  
その温もりに誘われる様にして、俺はと硬くなった肉体を、ゆっくりと其処へと埋め様とした。だが…  
 
「ダメ…ッ!待って、武…ッ!」  
「―――つぐみ…?」  
 
 そんな俺の体を、つぐみの細い腕がぐいっと押し返した。その思わぬ強い抵抗。  
予想もしなかった強い拒否反応に、俺は思わずつぐみの表情を伺ってしまう。  
 
(まさか本当にイヤだって訳じゃないよな。  
 うむ、何と言ってもその…つぐみの体も何だかんだとしっかり反応してくれている訳では在るし。  
 それとも、何か…機嫌を損ねる様な事でも云っちまったか?  
 いやいや、少なくとも俺には心当たりが無いぞ、うん)  
 
 それとも…ひょっとしてこれも「イヤよイヤよも好きの内」って云うやつなんだろうか?  
そんな事を考えながらつぐみに目を遣る。  
 
 するとつぐみは…そんな俺の様子が可笑しくて溜まらないとでも云うかの様に、  
くすりと小さな笑みを漏らした。その艶やかな表情に、一度だけどきりと胸が跳ね上がる。  
 
「ねぇ…武」  
「おう、なんじゃい」  
 
 からかう様な表情を浮かべたまま、つぐみがすいっとその顔を近付けて来る。  
甘い体臭に混ざって香る女の匂い。  
つぐみの匂いが鼻腔を擽ると、妙に落ち着かない、そわそわとした気分が込み上げるのが分かった。  
 
 そして…そんな俺の心中を探るかの様に、つぐみは俺の瞳を真っ直ぐに見つめてくる。  
俺の顔とつぐみの顔が、再び…お互いの息遣いさえ伝わる距離まで近付いた。  
 
――…ぺろり。  
 
 そっと赤い舌を割って覗いた赤い舌が、俺の唇をゆっくりと舐め取る。  
少しだけ焦らす様な扇情的なその動き。  
赤い舌先から伝わる感触に、俺はもう一度まじまじとつぐみの瞳を覗き込んだ。  
 
「つ…つぐみ……?」  
「ふふっ…ね、武…食べたいの…?」  
「ああ…食べたいぞ。つぐみの事を、朝までゆっくりと時間をかけてさ。  
 何回も何回も…満足するまで、食べちまいたい。さっきから、そう云っておるだろうが」  
「うん。私も…武に食べられたい…」  
 
 甘い感覚に潤んだ瞳を覗き込んだまま、つぐみの言葉に応じる。  
すると、彼女は少しだけ恥ずかしそうにしながら、それでも嬉しそうに頷いてくれた。  
 
 そのまま瞳を閉じると吸い寄せられる様にして…  
差し出した赤い舌先で俺の唇を割り、そっと口内へと入り込んでくる。  
 
―――ちゅっ…ちゅる、くちゅ…っ  
 
 少しだけぎこちない動きで蠢き始めた舌先を、自分自身の舌先で絡め取ってやる。  
頬に触れる、ひんやりとしたつぐみの指先の感触。唇に押し付けられてくる、柔らかな彼女の唇の感覚…。  
そのまま俺達は、もう一度お互いを強く抱きしめ合った。  
 
―――くちゅっ、ぴちゃ…ちゅっ、ちゅぶっ  
「んっ…、ん、んぅ…ふぅ…んんッ…」  
「あっ、ふぁ…うん…あ、はぁ…んっ、んむ…っ」  
 
 何度も何度も夢中になって、お互いの唇を貪り合う。  
肉体に先んじて甘く溶け合い絡み合う唇…。  
 
 すっかり硬くそそり立って先端を濡らしていた俺の肉体に、  
溢れたつぐみの蜜がぽとりぽとりと零れ落ちて来た。  
……気付けば、何時の間にかすっかり体勢が逆転してしまっている。  
 
「ふはっ……。なぁ、つぐみよ」  
「…?なぁに?」  
「その…何時の間にか、体勢がひっくり返ってる様にな気がするのは俺だけか?」  
「あら、そう?ふふ…武の気のせいなんじゃあない?」  
 
 くすくすと、心底可笑しくて溜まらないと云った笑みを浮かべながら、つぐみは俺の瞳を覗き込んできた。  
俺の唾液と彼女の唾液…二つの液に濡れた唇が何とも艶かしい。  
そして、その唇で笑みの形を作り、少しだけ恥ずかしそうに頬を染めると。  
つぐみは、そっと俺のモノにそのしなやかな指を絡め合わせてきた。  
 
「うわっ!?つ、つぐみ?」  
「武の…こんなに熱くなってる…」  
「は、恥ずかしい事を云わんとってくれい」  
 
 ひんやりとした指先がびくびくと震える肉体に優しく触れてくる。  
少しだけ怯えた様に…けれど俺の肉体の猛りを確認するかの様に。  
 
 その感触と情欲に潤んだ瞳。  
濡れた唇から漏れる吐息交じりの言葉に、俺は自分でも情けないくらいに動揺した声を出してしまった。  
 
「ふふ。それに…また、こんなに固くなってる…」  
「だからお前のせいだろーが…なぁ、つぐみ」  
「なぁに…?」  
「いい加減俺も辛い訳なんだが…」  
 
 固くなった俺の竿の部分を、細いつぐみの指先が  
下から上へと優しく擦り上げ、柔らかな掌が慈しむ様に包み込む。  
その感触にますますその…溜まらない気分になった俺は、僅かに苦笑しながら彼女を促した。  
そんな俺に、つぐみはくすりとまた笑みを浮かべる。  
 
「本当に意地汚いんだから…ね…もう食べたいの…?」  
「ったく。だから、ずっとそう云ってるだろうが……ッ、くぁッ」  
 
 俺が不平を訴えても、つぐみはそ知らぬ顔で…  
それどころか、肉棒に這わせている掌にますます力を込めて来た。  
甘く脳を包み込む感覚。一瞬走ったその快感に俺が思わず声を上げたその次の瞬間……  
 
―――ぬぷっ…  
 
 俺の欲望に固く勃起した肉体は、つぐみの温かな唇の中に包み込まれていた。  
 
―――ヌチュッ、くちゅ、くちゅ…ぬりゅ、ちゅるるっ  
 
「んっ…ん、ふぁ…んん…ん、んぅ…っ」  
「く…つ、つぐみ…?」  
「ふは…ん…武の…熱い……ん、んちゅ…はぁ…ん、んんっ」  
 
 熱い吐息を漏らしながら、つぐみの舌先が俺の肉体へと絡み付いてくる。  
先端から溢れた欲望の雫を拭う様に…固くなった部分を丁寧に舐める様に…。  
赤い舌が俺の肉棒を這い回り、小さな口腔が切なく俺の分身を締め付けてくる。  
 
―――ぴちゅ、ぴちゃっ…ぬちゅ、ちゅっ、ちゅぷっ  
「んっ、んふ…ちゅっ、はぁッ――んんっ」  
「っ…くあ…」  
 
 その何とも云えない…温かいぬめぬめとした感触。  
ねっとりと絡み付いてくる口腔の感触と、吹き掛けられる熱い息遣い。  
硬くなった肉体をぴちゃぴちゃと音を立てながら舐め上げるつぐみの舌の動き……。  
その全ての感覚に、俺のモノは情けないくらい急速に高まって行ってしまった。    
 
「お、おいつぐみ…っ、はぁ…ちょっと待てって…く」  
「ん…ふぁ…ん、んむ・・・ふふ。ダメよ、さっきは武が私の事を好き放題にしたんだから。  
今度は…んちゅッ…ハァ…大人しくしてなさい…んんッ」  
「む、むぅ…」  
 
 上目遣いで俺を見上げてくるつぐみの言葉に、返す言葉が見付からなくなってしまう。  
ま、まぁ確かにさっきは俺がつぐみをその…弄るだけ弄ってやった訳ではあるし。  
それに、もう一つ云ってしまえば…今も甘い声を漏らしながら、  
肉棒に奉仕してくれるつぐみの行為が、非常に気持ち良かったりもする訳で。  
 
「く――はぁ、本当にワガママなやっちゃな…」  
「んふ…ん、んちゅ…はぁ、ん、ふぅ…んん…」  
 
 形の良い眉を僅かに寄せて俺の体を口に含むつぐみの頭をそっと撫でてやる。  
するとつぐみは少しだけ嬉しそうな表情を浮かべてくれた。  
 
―――ピチャ、ぬちゅぬちゅ…ちゅく、ちゅるるッ  
 
 口内に肉体を含んだまま顔を上下させる。  
裏筋の辺りをぬめぬめと這い上がり這い下りる赤い舌の感触。  
 
荒くなった息を吐き出しながら一端口を離すとチロリと先端から溢れた雫を舐め取り、  
そのままもう一度おずおずと肉棒を口内へと咥え込んで行く。  
 
(つぐみ……)  
 
 懸命に、健気な奉仕を繰り返す彼女が何とも可愛らしい。  
普段は強気なつぐみが時折見せるこうした一面。  
それを目にする度に、溜まらない愛しさが胸を満たして行くのが分かった。  
そして…同時に、柔らかな粘膜に包み込まれた肉体に限界が近づいてくるのが分かってしまう。  
 
「つぐみ…くっ、俺…そろそろ…」  
「ん…、んふ…んちゅっ」  
 
 彼女の小さな唇の中で、肉体がビクビクと大きな痙攣を始めるのが分かる。  
熱い衝動が背筋を駆け抜ける感覚。  
Lemuの中で…そしてつぐみと再会して以来、何度となく経験して来たその衝動。  
俺の気配を察知したつぐみが、そっと顔を離して肉棒を解放しようとする。だが…  
 
「つぐみ…くっ、つぐみ…つぐみ…!」  
「えっ――んっ!?ん、んふ…んっ、んんんッ!!」  
 
 俺はそんなつぐみの頭を両手で引き寄せると、そのまま背筋を掛ける衝動に身を任せた。  
 

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