(ユウが自宅で一人きりで留守番は物騒だって事もあって、
今夜は沙羅と三人で過ごすと云う話になったんだよね…)
まぁ、正直を云えば僕の方も多少「何か」を期待していた所はあったと思う。
何たって…沙羅と三人とは云っても、ユウと一つ屋根の下なんだから。
少しくらい進展があったって可笑しくないって。
そんな少しだけソワソワした気分を抱えながら、田中家を訪れたのも本当だ。でも…
(何でベッドに縛り付けられて…二人に良い様にされてるんだろう…)
食事の後に突然睡魔に襲われて…気が付けばユウと沙羅。
全裸の二人に挟まれる様にしてベッドに寝転がされていた。
まぁ多分この辺りは沙羅が「一服盛った」って云うのが正解なんだろうけど。
―――ちゅ、ちゅっ、ちゅる…ぬちゅっ
「く…ハァ、ユ、ユウ…」
「ん、んふ…ぁ…ホクトの、また硬くなって来た…」
「お兄ちゃん…あ、何か先の方から出てきたでござるよ?」
「うぁッ、さ、沙羅っ!恥ずかしい事云わないでよっ―――ぅ」
ピチャピチャと音を立てながら、二人はまた行為を再開したらしい。
我知らずさっきのお父さんと似た様な叫びをあげた僕の肉棒に、
ユウと沙羅の二つの舌が、ぬめぬめと淫らしく絡みついてくる。
ぺロリ、と先端から溢れた液を舐め取ったのは、どうやら沙羅の方らしい。
ユウの方は、僕の肉体の竿の部分を下から上へ、
上から下へと唾液をまぶす様にして丁寧に舌を這わせて来てくれる。
「ぅ、ハァ…く、だ、ダメだよ…二人とも…」
「ホクト…んちゅ…ちゅ、はぁ…。あ、え、えっと…気持ち良くない?ごめんね、少し乱暴だった?」
「ふふふ、イヤよイヤよも好きの内でござるよ、なっきゅ先輩」
「―――そうなの?」
「うむ、ほらお兄ちゃん。イヤがってても体は正直でござるよ…んっ」
「だから、どうして其処でオヤジが入るんだよ…」
そう云って沙羅はねっとりとした口腔に、一気に僕のモノを咥え込んで来た。
温かい女の子の体の感触。その中に包み込まれて、僕の体は…情けないけれど、一層硬く勃起してしまう。
―――ちゅ、クチュっ、ヌリュリュッ…ちゅぷっ
「はぁ…お兄ちゃん…お兄ちゃん、大好き…んふっ…」
「ちょ、沙羅!私だって…私だって、ホクトの事を……」
「―――ユウ…」
沙羅は健気な動きで僕の体に奉仕して来てくれる。
此処まで来ると、流石に今も続いているお父さんとお母さんの情事に意識を遣っている余裕なんて無かった。
下半身から直に込み上げてくる甘い感覚。
僕がその感覚にもれそうになる声を噛み殺していると、今度はユウが僕の上半身に覆いかぶさってきた。
胸の辺りに押し付けられてくる、ユウの柔らかい…少しだけ小ぶりな膨らみの感触を感じる。
そして僕の唇は、膨らみと同じくらいに柔らかい、ユウの唇に塞がれてしまっていた。
「んっ…ユウ…ユウ、ふぅ…ッ」
「は、あぁ…ホクトぉ…あ、あふっ…ん、あぁ…」
にゅるにゅると、進入して来たユウの舌と僕の舌が口内で絡み合う。
最初こそ大胆に入り込んできたユウの舌は、
僕の舌がユウに応えようとすると今度は怯えた様に小さく縮こまってしまった。
そんな初々しい仕草が可愛くて、僕は逆に興奮してしまう。
彼女の唇を貪る様にして、何度も何度もユウの舌に自分の舌を絡め合わせていく。
―――ちゅ、ちゅる、くちゅっ…
―――ヌリュ、ヌチュチュっ、くちゅ…ぬりゅ、ヌチュッ
唇と唇が溶け合う音が。唇が肉棒を咥え込む音が。意外に女の子らしいユウの部屋を満たして行った。
可愛く応えてくれるユウを抱きしめてあげたいし、一生懸命奉仕してくれる沙羅の頭を撫でてやりたいけど、残念ながら腕を縛られたままの現状ではどうする事も出来ない。
「はぁ…ハァ…んっ、そ、そろそろ…準備も整ったみたいでござるな…」
「―――んぅ…はふ…ホクト…」
全身を包み込む女の子の柔らかい肉体の感触に、
僕の体は素直に反応してビクンビクンと大きく痙攣を始めていた。
それに気付いた沙羅が、少しだけ名残惜しそうにその唇を離す。
するとユウも唾液の後を引き摺りながら、僕の唇から唇を離した。
「ね、お兄ちゃん…そろそろ、良いよね…?私もなっきゅ先輩も、もう…」
「って!だから!―――色々な面で問題があるだろ、こんなのは…」
「むー。何よホクト…此処まで来て女に恥をかかせるつもり?」
「いや、だから…そういう問題じゃなくて…」
確かに体の方は、情けないことにしっかり反応してしまっているんだけど。
でも、だからって可笑しい。
幾らユウと沙羅が仲が良いって云っても……倫理とか、道理とか、モラルとか。
とにかく、色んな面で間違っていると僕は思う訳で。
こう云う事を考えてしまう辺り、しっかりと
お父さんとお母さんの血を引いてるんだなと、悲しいくらいに実感してしまう。
……何だかんだ云ってもお母さんに操を立てているお父さんと、
そんなお父さんを17年間の間、信じて待ち続けたお母さんの血を。
二人が本当に相手を必要として…その存在を求めているのが分かったから。
だから僕はあの時、本当に二人に幸せになって欲しいと思えた。
心の底から…お父さんに戻ってきて欲しいと願えた。
そうした意味では、お父さんとお母さんって云うのは、僕の理想の姿なんだ。
僕も、お父さんの様になりたいと思う。
お父さんみたいに…お父さんが、その想いで閉ざされていたお母さんの心を開いた様に。
一人の人間を心の底から愛して、大切にして…そして愛し返されたい。
そんなふうな考えが、今の僕の中にはあるんだ。なのに…
「そんな…確かにお兄ちゃんがなっきゅ先輩を好きなのは知ってるけど…
でも、私だって…お兄ちゃん一筋なんだよ?」
「……さ、沙羅」
どうも、気付かない間に思っている事を口にしてしまっていたらしい。
沙羅が微かに悲しそうな表情を浮かべる。
すると、沙羅のしょんぼりした様子が伝わったのか、ユウも同じ様に悲しそうな表情を浮かべた。
「ホクト――お願い、ね。沙羅が可哀想じゃない…」
「なっきゅ先輩…」
ユウの言葉に、沙羅はもう一度すがる様な瞳で僕を見つめて来る。
「ずっと…待ってたんだよ?」
「沙羅……」
「ずっとずっと…お兄ちゃんが迎えに来てくれるのを、待ってたんだよ…?
なのにお兄ちゃんは違うの?もう、私の事…好きじゃないの?」
「う…」
それは、僕だって同じ事だ。僕だってずっと沙羅を迎えに行きたいと思ってた。
もう一度沙羅と一緒に過ごしたいと願い続けて来た。
それに、その…確かに沙羅のことは可愛いと思う。
今の世界とは違う視点の先で、ユウと結ばれて付き合っていた僕。
けれど、その記憶がBWを通じて僕の中に存在している様に…
(沙羅の手を取って、沙羅と一緒に生きていこうと決めた時の記憶も…今の僕の中には残ってるんだ…)
妹としてだけじゃなく、一人の女の子としても。
沙羅を守ってあげたいと願った「違う世界の僕」の記憶も、
確かに今の僕の中には存在している訳であって…。
沙羅にこうやってすがる様な瞳で見つめられると、その時の記憶を思い出してしまう。
「ゴメンよ、沙羅…。別に沙羅が嫌いって訳じゃないんだ。
ま、まぁ確かに今の状況はどうかと思うんだけどさ。
でも、沙羅の事はきちんと大事に思ってるから…だから、そんな悲しそうな顔しないでくれよ」
「お兄ちゃん………大好き…んちゅっ」
言葉に詰まりながらも何とかそう口にすると、沙羅は無邪気な笑顔を浮かべながら、
僕の唇に小鳥がついばむ様な可愛いキスをして来てくれた。
それから、首筋に両手を巻きつけてごろごろと僕の頬に自分の頬を摺り寄せてくる。
「はい、はい。じゃあ…良いわよね、ホクトも」
「うん、お兄ちゃんの了解も取れたし。拙者の方は準備万端でござるよ、ニンニン」
「―――へ?」
「それじゃあ、問題解決と云う事で♪えっと…どうする、沙羅?その…先に…する?」
「そんな、なっきゅ先輩を差し置いて先になんて。
それは流石に申し訳ないですってば。なっきゅ先輩さえ良ければ…先を譲るでござるよ」
「―――え?ええっ?」
途端に、コロリと一転して明るい口調になった沙羅が、ユウと互いに目配せをした。
「じゃあ…ねぇ、ホクト…あの…」
「ユ、ユウ?」
「私、その……は、初めてなの。だから…優しく、してね…?」
「―――イヤイヤイヤイヤイヤイヤ!だからっ!そう云う事じゃなくて!」
もじもじとした仕草で、照れた様に頬を赤くしながら、ユウは僕の体の上に覆いかぶさって来た。
固くなった僕のモノに跨り、一瞬だけ躊躇った様な表情を浮かべた後に…そのまま一気に腰を沈める。
「あっ…イタッ…あ、あぁぁぁんッ!」
「―――っ!」
そして…抵抗らしい抵抗をする事も出来ないまま、
僕の体はあったかいユウの中に包み込まれていたのだった。
―――ズブッ…ぬぷ、ぬぷぷ…
「あ…ハァ、あぁん…ホクトの…熱い…ッ」
「ユ、ユウ…はぁ…ハァ、ッ…ハァ…」
ユウの方も、その言葉の通り…こんなの初めてだったんだろう。
痛いくらいに肉棒を締め付けてくる襞の感触に、そのまま言葉を失って…
僕はただ、荒くなった息を唇から吐き出す事しか出来なくなってしまった。
「お兄ちゃん…私も…」
「さ、沙羅…ッ、んッ…うぁっ」
すかさず沙羅も僕の上半身に自分の膨らみをすり合わせる様にして肌を重ねてくる。
柔らかくて、ユウと同じくらいに…やっぱり小振りな沙羅の胸と、その先端で固くなってる可愛い乳首が、
僕の胸へと押し付けられて来た。ハァハァと乱れる息遣いを、小さな沙羅の唇が封じる。
―――ちゅ、クチュ、ちゅるっ…
入り込んできた沙羅の舌が、おずおずとした動きで僕の舌先に絡み付いてくる…。
―――ズブ、ズププッ、ヌルッ、くちゅちゅッ…
僕のモノを咥え込んだユウの腰が、次第にその動きを増して行く。
沙羅に良い様に蹂躙される舌と、ユウの胎内を蹂躙していく肉棒の感触を感じながら…
僕は自分の理性が次第に遠のいて行くのを感じていた。
「アッ、ホクト…ん、はぁ…あん、あぁッ!や、そんな…あぁ、や、優しくして…」
「んっ…ちゅ、んちゅ…お、おにいひゃ…ん、んぅぅ…あふ、んん…ッ」
(お父さん、お母さん、ゴメンなさい…。うぅ、僕はもうお婿に行けない体になってしまいました…)
今も二人で甘く且つ濃厚な時間を過ごしている両親に、心の中でそっと手を合わせながら。
僕は全身を包み込む二つの柔らかな肌の感触に促されて、
ゆっくりと…けれど次第に激しく、腰と舌とを蠢かせ始めたのだった。
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―――第三視点が垣間見る二つの視点の先。
その先では、今夜も或る意味対照的な光景が展開されている。
けれど、一つだけ。
誰もがそれなりに幸せそうだと言う点に置いては……二つの視点に共通している事実の様だった。
【倉成家の御泊り事情・完】