「桑古木…あぁ…っ、あぁ、桑古木…っ」
「――優…ッ!」
胸元に顔を埋める様にして、
口付を繰り返していた男の頭を優しく抱き締める。
指先に絡みつくサラサラとした柔かな髪の感触
…胸にまとわりつくヌルヌルとした舌の感触。
私の行動に、桑古木はますます熱の篭もったキスを繰り返してくる。
慣れないせいなのか、少しだけ乱暴なその愛撫が
逆に私の性感を昂ぶらせてしまう…。
「あぁぁ……ッ!あ、あん…はぁ、あぁ、やん…ああ…」
「ハァ…んっ、んむ…はぁ、あぁ…んんっ!」
クリクリと舌で弄っていた乳首を、桑古木がそのまま口内に含む。
きゅうっと身体の奥から込み上げてくる焦れた感触が、私の全身を包みこんだ。
ちゅうちゅうと、まるで赤ん坊みたいに私の胸に吸いついて来る男の唇。
そんな桑古木の様子に、
ユウが子供の頃を思い出して可笑しくなってしまう気持ちと…
ユウの時とは明らかに異なる全身を痺れさせる様な
甘い快感の両方が込み上げて来て、そんな自分に私は少し苦笑した。
―――ちゅっ…くちゅくちゅ…ちゅる…ちゅ、ぴちゃっ…
「あ――あぁ…ん、はぁっ!あぁ…んっ…ぁ………?」
唇で乳首を愛撫しながら。ゆっくりと労わる様に、
もう一方の膨らみを揉んでいた桑古木の手のひらが…すぅっと、私の腹部を伝った。
「あ…?か、桑古木……?」
「ゆ、優……こっちも」
そのまま、スカートの布地を掻き分けて、私の内腿の辺りを撫でる。
さっきまでの行為でこびりついた白濁した液体と…新しく溢れた熱い液体が、
そこを伝って、机に小さな水溜りを作っているのが分かる。
そして、そんな濡れたままの私の蜜壷に、
桑古木の指先がゆっくりと入り込んできた。
「あ―――あ、あぁ…っ、あ、あぁぁあ………っ!!」
「優…っ、あ、あったかいよ…」
「んっ!あ…そ、其処…あぁっ!や、優しく、動かして…っ」
ヌルリ、と溢れる雫を掻き分けて侵入して来た
桑古木の長い指先が…私の奥へ奥へと入り込んでくる。
人差し指と薬指が、私の谷間の入り口を押し開げて、指先の侵入を促している。
少しずつ、少しずつ…深い部分まで、彼の指を咥え込んで行く自分の秘裂。
こぽり、と受け止めていた桑古木の欲望がまた滴り落ちて、机の上の染みを広げた。
「あぁ…ッ、あ、はぁ…あんっ!
ま、混ざって…あぁん…ま、混ざっちゃう…ッ」
「―――っ!」
桑古木の指先が私の胎内で蠢く度に、其処に放たれていた
桑古木の精と私の蜜がぬるぬると混ざり合って、また身体の内側を満たした。
恥かしさと気持ち良さがない交ぜになった感情が込み上げてくる。
ひくひくと…敏感な部分の襞々が、物欲しそうに小さな痙攣を繰り返している…。
―――きゅうっ…ぬるっ、ぬぷ…くちゅっくちゅっ
まるで、女の身体の内側にあるものを探し当て様とでもしているかの様に。
周辺を探る様にゆっくりと蠢く桑古木の指先が、粘ついた卑らしい水音を立てる。
その音を耳にする度に込み上げてくる羞恥心が、
ますます私の身体に、鎮める事の出来ない熱を灯していった。
「あぁっ…イヤ、ぁあ…桑古木…ああん…」
「――優…き、気持ち良い…?」
「んっ…うん、うん…ぁ…あぁ…っ!」
ゆっくりと体内を掻き回される感触に…
脳裏がどんどんと甘い感覚で包みこまれていく…。
抗う事の出来ない圧倒的な快感。桑古木が欲しい…桑古木に愛して欲しい。
さっきの衝動とは似ている様で、全く異なる感情が込み上げてくる。
(桑古木…かぶらぎ)
私を労わる様に…全部を包みこんでくれるかの様に。
優しく求めてきてくれる目の前の男に、
身体の方も応じようとしているのだろうか?
胎内からトロトロと溢れ出す甘い女の蜜が、
指先の動きをスムーズなものへと変えていく。
溜まらない…。
掻き回されている其処から、全身を突き上げてくる様な焦燥感を、私は感じた。
甘く熱く心身を揺さぶる感覚。桑古木が欲しい、桑古木と一つになりたい。
「あ…あぁ…桑古木…お、お願い…」
「優…」
「来て…私の中に…私を、抱いて……」
「―――うん」
微かに震える――けれどしっかりとした意思を宿した
桑古木の声が、耳元で小さな肯定の言葉を紡ぐのが分かった。
ぬぷり…と粘着質の液体に濡れそぼった指先が、私の胎内から逃れていく。
「あぁ……んッ…!」
桑古木の指先が抜かれるその瞬間に、
彼を逃がすまいと膣がひくひくと収縮を繰り返した。
羞恥と喪失感の双方に、私の唇から、
留め切れなかった切なげな溜息が漏れてしまう…でも…。
―――ヌルっ…ヌププ…ッ、ズプッ、ズブブッ
「っん、はぁっ!あ、あぁっ!あぁあぁぁぁんッ!」
「――っ、う、優…っ!」
逃れ出た指先の代わりに…それよりも、もっと
熱くて太い桑古木の肉体が、ゆっくりと私の内側に入り込もうとして来た。
―――ヌププ…ッ!ズッ、ズンッ!
「ああ、あぁッ!あ――あぁ。あぁぁあっ…!」
「ゆ、優…んっ、力、抜いて…ッ」
「ぁ…ん、うんっ…あぁぁん…ね、ゆ、ゆっくり…焦らなくても良いから…」
強引に押し入ろうとして来る肉体の動き。
性急なその動きを制する様に、やさしく桑古木の首に腕を回す。
真っ直ぐに私を覗き込んでくる瞳…。
桑古木の視線と私の視線が、肉体以上に絡まり合う。
「もっとゆっくり…桑古木の事を感じさせて…」
「優……」
私が少し笑みを見せると、桑古木の顔にも笑顔が戻った。
そのまま、ゆっくりと唇を重ね合わせる。
桑古木の唇は甘くて柔かい。
そっと舌で上唇とした唇の間を突つくと、
小さな隙間を作って私を迎え入れてくれる。
「んっ――んん…はぁ…あぁん…はぁぁ…んっ…!」
「っ、ふぁ……んっ…ゆう…」
ぴちゃぴちゃと音を立てて唾液を絡め合う事で体内に生まれる新しい熱が、
秘裂からまた愛液を溢れさせて桑古木の肉体をじっとりと濡らした。
少しスムーズになった動きを更に促す様に、腰をよじって、
途中で引っかかったままの状態だった下着を、足首の方まで移動させる。
蕩け合った男女の液体を含んだ下着は
ぐっしょりと重さを増し、簡単にずり落ちて行ってしまった。
「んはっ!…優、また…い、挿れるよ…?」
「うん…ゆっくりね…?」
荒い息遣いの下から紡がれる桑古木の言葉に、私は小さく頷いた。
そんな私の様子に安心したのだろうか。
桑古木は、少しほっとした様な笑みを浮かべて
…また、ゆっくりと腰を動かし始めた。
―――ズプッ!ズ、ズブッ!ヌププププッ!!
「んっ、アッ!あぁ、あぁあっ…んぁっ、アァッ、あああぁぁぁッ!」
「――……ぅ、はぁっ…」
狭い入り口を無理矢理押し広げながら、
熱い肉の塊が私の中へと入りこんでくる。
奥へ…もっと奥へ。
ヌルヌルと、溢れ出してくる愛液を掻き分ける様にして、
根元の方まで、私の中へ入り込んで来てしまう………
「アッ、あぁッ!?桑古木…あぁん、桑古木…ッ!イヤ、こんな…ッ」
「優……?」
「こんな…あ、あぁっ!はぁ…あぁ…あ、あぁん…良いの…
あ、あぁぁ…気持ち良いの……あぁ…
奥まで、奥まで桑古木のが入ってきて…」
「ゆ、優…く…はぁ、うぁっ」
圧迫感が甘い愉悦の感覚になって、私の体を貫いていく……。
結ばれている部分から込み上げてくる未知の感覚に、
私は何度も何度も悦びの声を洩らしてしまっていた。
恥かしくてはしたない、女の泣き声……私の嬌声が室内に響く。
でも…私の中の切ない部分を桑古木の肉体が満たしてくれる。
ずっと悲鳴を上げていた私の心を、桑古木の心が優しく包みこんでくれる。
心と体の両方に入りこんできて、私を抱き締めてくれる桑古木の存在に、
私はすっかり酔いしれて翻弄されてしまっていた。
―――ヌプ…ッ、ズンッ、ズブッズブブッ!
「あ…桑古木、桑古木ぃ…」
「優…優の中、凄く…気持ち良い…」
「ん…あ、あぁ…私も…あん…あ、あぁぁッ!
そ、其処…もっと、掻き回して…!」
「うん――ぅ、ふぁッ」
「あぁぁあんッ!」
グリグリと、桑古木の肉体が私の身体の奥底に押しつけられ、
円を描く様にしてゆっくりと蠢いている。
じっとりと濡れそぼった蜜壷の中を掻き回されると、
その度に快感が大波の様に、私の身体に押し寄せてきた。
自分からねだった行為のはずなのに、
その息苦しいほどの激しさに、想わず甘い悲鳴を上げてしまう。
―――ズンッズンッ!ズブッ…ヌプッ、ぐちゅ、くちゅっ!
「あっ!あぁぁっ、はぁ、あぁぁっ!あ…あん、あぁ
…アァッ、あぁ、あぁああぁぁんッ!!」
自分の身体の中…一番奥の部分から、
今まで経験した事の無い未知の衝動が込み上げてくる。
熱い迸る様な何か。
桑古木の存在を感じる度に、私の胎内に蓄積されていた衝動が、
抗いきれない波になって、私の中に込み上げて来た。
「アッ、あぁ、ダメ…!き、来ちゃう…何か、あぁっ!
あ、あぁぁっ…何か、来ちゃう…ッ!」
「っ…優…僕も、僕ももう――…ッ!」
「あぁ…来て、このまま…あ、あぁぁっ!
あ…私も…い、イっちゃう…、あ、アァッ!桑古木…ッ!」
「優…ッ、出る…ッ!」
「あ…涼権…りょうご、りょうごぉッ!!」
全身を襲う、激しい快感の衝動。堪える事の出来ない、
その圧倒的な甘い感覚に、私はそのまま体を委ねた。
ビクンっ、と大きく背筋が弓形になって跳ね上がる。
密着した身体を離してしまう事が嫌で、
私は桑古木の背中に爪を立てる様にしてしがみついた…!
「あ…あ、あぁぁぁぁぁぁぁ〜〜〜〜〜〜〜〜〜っ!!」
―――どくっ…どくん、どくん…ビュクッ、ドクドク…ッ。
…同時に…私の身体の中に注ぎこまれた熱い液体が…
白濁した桑古木の欲望が…ヒクつく胎内を一杯に満たしていく…。
子宮の方へ叩きつけられる男の精の感触。
その感触を感じる度に、私の体は何度も何度も高みに達し、
小さく身体を痙攣させながら絶頂へと引き上げられてしまう。
「あっ、あぁ…あぁっ、あ…ん、はぁっ…あ――あ、あぁ…っ」
「はぁ…優…」
ようやく全てを放ち終えたのだろうか…?唇から大きく息を洩らしながら、
力を失った身体が私に折り重なる様にして倒れこんでくる。
温かな桑古木の体温が伝わる。早鐘の様な桑古木の鼓動の音が伝わる。
「桑古木…有難う…」
私は、少し気だるげに此方を覗き込んできた彼の唇に、
そっと優しく自分自身の唇を重ねた。
…自分が今幸福である事。
こんなにすぐ傍に…大切な人が存在している事。
その事を、心の底から噛み締めながら。