「い、痛いっ!」  
突然の出来事で、対応できなかった。  
優春は、木に叩きつけられていた。  
そのまま、ずるずるとへたり込む。  
背中がズキズキと痛んでいた。  
「くっ」  
痛みをこらえて、上を見上げる。  
そこには、ものすごい怒りの形相をした男がいた。  
まるで、燃えさかる炎の化身かと思えるくらい、その男の顔は怒りにつつまれている。  
「約束が違うじゃねえか……」  
男は、強烈な怒気をはらんだ口調で、言った。  
「あんた、『私の言う通りにすれば、倉成もココも助かる』って言ったじゃねえか!  
俺はその言葉だけを信じて今までどんなに辛い目にあっても耐えてきたんだ!  
17年だ! 17年だぞ?」  
男――桑古木涼権は、じりじりと優春に近づく。  
優春は、桑古木の視線に耐えられなくなって、目を逸らした。  
「ご――ごめんなさい」  
「ごめんなさい?これがごめんなさいで済むことかよおっ!!」  
一気に近づくと、桑古木は優春の胸ぐらをつかみ上げた。  
首が閉まる。息ができない。  
キュレイと言えど、窒息は苦しい。  
優春はバタバタともがくが、同じキュレイの男の力には到底かなうものではなかった。  
 
「見ろ!お前のやったことで、LeMUは圧潰。減圧症で多数の死者を出しておきながら、肝心の倉成とココはとっくにミイラだ。その上、つぐみの子供は2人ともLeMUに取り残されて、未だに行方不明じゃねえか!つぐみは子供を失ったショックで廃人同然だぞ?どうするつもりだ?」  
「……ごめんなさい」  
優春はぽろぽろと泣き出した。  
「ごめんなさいごめんなさい……」  
桑古木は、顔をくしゃくしゃにしてただ謝罪を繰り返す優春を見て、さらに怒りが込み上げてきた。  
なんだよ。今までさんざんこきつかってきたくせに。人一人殺しても顔色一つ変えなかったくせに。  
許せない。絶対に許せない。  
桑古木はもう片方の手で優春の胸の襟元を持つと、そのまま一気に両手で優春の服を引き裂いた!  
形の良い胸をおおう白のブラジャーが姿を現す。  
「いっ……いやああああああぁぁぁっ!」  
優春は反射的に胸を隠し、その場に座り込んでしまった。  
「犯してやる」  
桑古木は優春を押し倒すと、その上にまたがっtてマウントポジションをとった。  
そしてまたも強靱な力で、胸を押さえている両手を引き剥がした!  
「忌わしいことに俺達キュレイは殺しても生き返る」  
両腕を膝で押さえる。  
左腕が地面の石にぶつかって痛い。  
「やめなさいっ……お願いだから……こんなこと」  
優春はじたばたと抵抗するが、桑古木の力は尋常ではなかった。  
「だったら」  
桑古木の両手が優春のブラジャーを捉え、そして――  
「犯してやる!」  
一瞬で裂いた。  
 
「犯してやる! 犯してやる!」  
マウントポジションから抱きついた状態になると、下着に手をかけ、一気に引き破る。  
「いやっ! やめてぇ! やめてよぅ!」  
優春は泣きながら暴れるが、怒り狂った桑古木には抑えることなど雑作もない。  
優春の顔は、涙と、インゼル・ヌルの土にまみれてぐちゃぐちゃだった。  
桑古木は自分のペニスを出し、唾をたっぷりとつけると、優春の性器にあてがった。  
「ふんっ」  
「やっ! やああああああ!」  
濡れてもいない女の陰部に挿入するのは男の方もきついのだが、桑古木にはそんなことはおかまいなしのようだった。  
自分の槍を一気に根元まで突き刺す。  
(そんな……。)  
(私の初めてが……。)  
優春は痛みよりもなによりも、「処女を失った」ことに大きな絶望感を覚えていた。  
といっても、出産を経験した彼女には処女膜などないのだが、男性経験がないという意味では確かに処女だった。  
今の、今まで。  
(私の……。)  
(私の初めてが……。)  
(倉成に上げるはずだった私の初めてが……。)  
でも、もうその倉成はいない。  
いや、もうとっくの昔からいなかったのだ。17年前のあの時から。  
(私は彼を救えなかったのだ……。)  
(これは、そんな私に対する神様の報いなんだ……。)  
 
桑古木は無理矢理ピストン運動を繰り返し、優春の中を壊していく。  
しかし、優春の唇を奪い、舌で首を舐め回し、手で私の乳房を弄んでも、彼女の心は感じなかった。  
そう、彼女の心は何も感じなかった。  
「ひゃっ? ひゃうううん!」  
彼女の身体が感じても、もう心は何も感じない。  
「いやっ! いやあっ! 変に、なるぅ……」  
キュレイ種は痛みにも強いのだろうか。すでに彼女の神経の支配権は、痛覚から快感にとって代わられていた。  
優春は快感にふり乱れて、いっそう土まみれになっていた。  
「行くぞ、優春。中に出してやるからな」  
「やっ、やめてぇ! 中には出さないでぇ! ああん! いやあ!」  
きゅっきゅっと膣が肉棒を締めつけて、射精を求めると、桑古木は優春の腰をがっしりと持って、自分の腰に密着させた。  
びくっびくっと跳ねた筒は、優春の胎内に白い液体を発射した。  
まるで桑古木の怒りを表わすかのように、その射精は、長く、激しかった。  
 
そしてその後、殺人、殺人未遂、器物破損、横領などの罪で2人が警察に拘束されるまで、桑古木は優春を犯し続けた。  
この世の楽園のような、浮島の上で……。  
(終わり)  
 

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