ぴちゃぴちゃという水音と、下半身の疼きによって俺は目を覚ました。  
(ん・・・?)  
ぼんやりとした頭で、薄目を開けると誰かが俺のモノを一心不乱にしゃぶって  
いるのが見えた。  
(ははーん、さてはつぐみだな?)  
17年の歳月を経て、ようやく再会できた俺たちは失われた歳月を取り戻すかの  
ように昼夜を問わず愛し合っていた。あれだけキツい性格だったつぐみは今では  
人が変わったように可愛くなり、俺に奉仕するようになっていた。こうして朝、目覚  
まし代わりにフェラをしてくれることも珍しくない。  
(どれ、ひとつ頭でも撫でてやるかな)  
そう思った俺は、しっかりと目を見開き、つぐみの頭に手を伸ばそうとした。しかし  
 
(んなっ!?)  
はっきりとした視界の中に飛び込んできた頭は、見慣れたつぐみのものでは  
なかった。そうそれは・・・  
「んちゅっ・・・あ、倉成さん、おはようございます」  
俺のペニスから口を離し、にっこりと微笑んだのは空だった。  
「なっ!なっ!?そ、空、何してるんだよ!?」  
「見ての通り、倉成さんの男性器をしゃぶらせてもらっているんですけど?」  
「しゃ、『しゃぶらせてもらってる』じゃない!こ、こんなところをつぐみに  
見られたら・・・」  
慌てる俺をよそに、空はあくまで落ち着いた態度を崩さない。  
「大丈夫ですよ、つぐみさんはもう起きだして台所にいますから」  
空の言うとおり、隣にいるはずのつぐみの姿はなかった。  
「い、いやそもそもそういう問題じゃなくてだな・・・俺は結婚してるんだし  
空にこういうことをされたら・・・」  
「迷惑ですか?」  
それまでの表情とは一変して、空は悲しそうな目で俺に顔を近づける。  
「そ、空・・・?」  
「倉成さん、私の気持ちは知っているはずです。17年間待ち続けたのは、つぐみ  
さんだけじゃないんですよ?」  
空の澄んだ瞳が俺を射抜く。そう俺にはわかっていた。空が俺のことを1人の男  
として真剣に愛していることを。そしてそのことを知りながら、あえてはぐらか  
していたことを・・・  
「何もつぐみさんと別れてくれといっているわけではありません。でも・・・  
せめて、せめて一回だけでも私に思い出をください・・・」  
俺の心の中では、空に対する愛おしさとつぐみに対する背信感がせめぎあっていた。  
俺は・・・  
 
1.空を抱く  
2.空を抱かない  
 

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