ゆっくりと…俺はつぐみの傷痕を指先でなぞった。  
確かに、其処にある傷。  
それはまるで何年も前に出来た傷であるかの様に、既に塞がっている。  
 
「…っ…う…」  
「つぐみ…」  
 
彼女は声を殺して泣いていた。  
小さな肩が、ふるふると小刻みに震えている。  
暗がりの中を、ゴンドラは音も無く進んで行く。  
その闇の中に浮かび上がるつぐみの体。  
細かな傷を無数に残した…余りにも悲しい、彼女の体。  
 
俺は、その傷の一つ一つをゆっくりと指先でなぞった。  
つぐみは嗚咽を漏らしながら俺にその身を委ねている。  
そんな彼女が悲しくて…そして愛しくて。  
俺は、そのまま腕の中につぐみの体を抱き寄せていた。  
 
「武……」  
「いや…良いんだ。もう、良い」  
 
そっと、胸元に熱いつぐみの吐息が感じられる。  
鼻腔を満たす香。つぐみは溜まらなく甘い匂いがしていた。  
甘い、甘い、匂い……その芳香に誘われる様に、俺は涙を唇で拭った。  
そのまま、つぐみの唇を自分の唇で塞ぐ。  
 
「あぁ…んっ………?」  
 
重ねられてきた唇に、つぐみは一瞬だけ戸惑った様な声を漏らした。  
その僅かな間をぬって、するりと舌先をつぐみの口内に侵入させる。  
びくっと小さく震えるつぐみの体を優しく…出来るだけ優しく抱きしめる。  
 
「んっ…あっ…あっあぁ…んっ…んむっ・・」  
「ん・・・・」  
 
くちゅくちゅと俺の舌がつぐみの口内を這い回る。  
唾液の絡まり合う音が淫猥な響きと共にゴンドラの中を反響した。  
甘く洩れるつぐみの喘ぎ。  
その声が愛しくて、より深く舌を溶け合わせる。唾液を絡み合わせる。  
 
 くちゅ・・くちゅっ、ちゅっ・・  
 
クヴァレは一度闇を抜け、再びゴンドラの中を幻想的な光が照らし出す。  
腕の中で小さく肩を震わせながら、俺の口付けに懸命に応じているつぐみ。  
きゅっと寄せられた眉根。長い睫毛はふるふると揺れている。  
固く閉じられた瞳の奥に宿る光…  
そこにある光は、今もまだ悲しい色をしているのだろうか…  
 
(つぐみ・・・・)  
「あっ…んんっ…はぁ…あん…っ」  
 
普段は沈着に響く彼女の声に、甘い熱が篭もっている。  
細く、儚く…けれどしっかりと洩れる喘ぎ。  
その喘ぎさえも閉じ込める様に、俺は舌先でつぐみの唇の中を舐めまわした。  
唾液を溶け合わせるように、舌と舌を絡み合わせる。  
 
「んっ・・んん…あぁ…んむ」  
「ん……」  
「あ・・・・・・・・・・・はぁ・・・・はぁ…」  
   
長い長い口付けの後にようやく唇を解放すると、  
つぐみは切なげな声を上げて、懸命に乱れた息を整え様としていた。  
離れた唇と唇の間に、透明な唾液の橋が掛かる。  
溶け合った名残のそれは、クヴァレの幻想的な光を反射して輝いて見えた。  
 
「はぁ…も、もう…」  
 
僅かに涙の雫を残したままの瞳で、つぐみは拗ねた様に俺を睨んでくる。  
いや…今はその瞳が濡れているのは、涙のせいだけでは無いだろう…。  
漆黒の瞳は昂ぶった感情に濡れてきらきらと光っている。  
 
「…武のバカ…」  
「なんだよ、つぐみ…ひょっとしてイヤだったか?」  
「え…そ、そうじゃ無いけど…」  
「だったら問題無かろう、うん。それに、俺は…その、なんだ」  
「?」  
 
真っ直ぐにこちらを見つめてくるつぐみ。  
それが何だか気恥ずかしく思えて、俺は鼻の頭を指でかいた。  
 
「…何?」  
「俺は、嬉しかったぞ、つぐみ」  
「……………」  
「つぐみは俺を信用してくれたんだろ?だから、こんなふうに」  
「きゃっ!た、武?」  
 
もう一度、ぎゅっと腕の中につぐみ強くを抱き寄せる。  
 
「こんな事しても、もう『私に触らないで』なんて言われなくなったしな」  
「もう…バカ…」  
「はっはっは。何だ今頃気付いたのか、つぐみ?俺はバカなんだよ。  
 バカで、単純で、20歳のやりたい盛りの大学生らしく  
 まぁそれなりに人並みにはスケベであって。  
 それでいて今は…もっともっと、つぐみに触れたいと思ってたりする訳で」  
「………」  
 
さりげなく言った一言に、つぐみは腕の中で小さく身じろぎする。  
クヴァレはゆっくりと回遊を続け、再び周囲には闇が満ちた。  
けれど今は…その闇の中でも、  
相手の存在が分かるくらいに、俺達は近い位置にいる。  
 
「良いか?………つぐみ」  
「……………ヵ」  
 
耳元に囁く様に俺が尋ねると、つぐみは消え入りそうな声で言葉を発した。  
 
「本当にイヤだったら…私、こんな事…」  
「うん…」  
「こんな事…しない…」  
 
素直に俺に身を委ねたまま、真っ赤になってつぐみが呟く。  
それからゆっくりと顔を上げ…真っ直ぐに俺を見つめた。  
潤んだ瞳が…暗闇の中でも分かる程に、輝いている…  
 
「武は…良いの…?」  
「えっ?」  
「貴方は後悔しないの…私と…私なんかと関係を持って」  
「つぐみ…」  
「貴方は後悔するかもしれないわ…私なんか抱かなきゃ良かった、って。  
 私みたいな人とは呼べない様な存在と、結ばれなかったら良かった、って」  
「俺をバカにすんなよ、つぐみ」  
 
つぐみの言葉に俺は少しだけ低い声を出した。  
 
「俺は確かにバカだけど、そこまでバカじゃない。  
 つぐみが人間だろうと何だろうと、  
 今の俺はつぐみが欲しい…つぐみを抱きたい。  
 さっきみたいにさ。  
 こう…俺の腕の中で、非常に素直に俺の事を感じてくれる、  
 可愛い可愛いつぐみんを見たい訳なんだ、うむ」  
「なっ…バ、バカッ!」  
 
薄闇の中でも分かる程、かぁと頬を朱に染めて、つぐみが叫ぶ。  
その唇を…俺は、もう一度自分の唇で塞いだ。  
 
「あ………っ」  
 
可愛い声で、つぐみは俺の口付けを受け入れてくれる。  
俺の舌はつぐみの唇を割り、再び彼女の中に滑りこんだ。  
ぬめぬめと這い回る様に、つぐみの口内を味わう。  
触れ合った部分からつぐみの体が発する熱が伝わる…熱い。  
歯の裏を、喉の奥を、可愛い彼女の舌を、俺の舌先は舐め回し、絡め取り、  
その度につぐみは切なげな喘ぎを漏らしながら、ぶるぶると体を震わせた。  
 
「んっ…んはぁっ!」  
「………ふぅ」  
 
名残惜しさを感じながら、俺はつぐみの唇から舌を抜き、唇を離す。  
 
「つぐみ…抱くぞ…」  
「武・・・・・・・・・・・」  
 
もう一度俺が口にすると、つぐみは切ない響きの声で俺の名前を呼んだ。  
 
「後悔しても…知らないから…」  
「しねーよ、んなもん。ったく、もの分かりの悪いやっちゃなぁ」  
「何よ…バカなのは、武の方でしょ」  
 
苦笑を浮かべる俺に、つぐみは冷たく憎まれ口を返す。  
折角、こう…甘い雰囲気になりかけているって言うのにな。  
 
(まぁ、こっちの方がつぐみらしい訳ではあるが)  
 
そんな事を思って、自然に笑みが浮かぶ。  
その俺の考えを読み取ったのか、つぐみも小さく笑い声を漏らした。  
 
「言ったでしょう…武になら…武にだけは、全てを見せてあげるって……  
 私の事…私の心も、体も…武にだけは、全部、見せてあげる…」  
「つぐみ…」  
 
はらり、と再び衣擦れの音が小さく響いた。  
闇の中に…つぐみの白い肢体が浮かび上がる。  
ゴンドラの中を包む闇はまだ晴れない…。その闇の中で。  
先程よりももっともっと…深い所まで。  
つぐみは俺の前に、自分自身の肉体を晒していた。  
 
「それとも見えない…?この暗がりじゃ…」  
「え?いや。………ああ、そうだな………見えないな。  
 こんなに暗いと、分からないよ。触れてみないと…分からない」  
「うん……」  
 
俺の言葉に、つぐみは素直に頷いた。  
俺はゆっくりと壊れ物を扱うようにつぐみの肌に触れる。  
熱く火照った彼女の体に、どくんと心臓が大きく跳ねた。  
指先からしっとりとしたつぐみの感触が伝わって来る。  
その肌に刻まれた…無数の細かい傷痕。  
傷痕をなぞると、またつぐみの体がびくりと震えた。  
 
「つぐみ…あったかいな」  
「……バカ…」  
 
今度は彼女を抱き寄せずに…掌と掌を重ねる。  
指先を絡み合わせる。  
そして、ゆっくりと彼女の肌に唇を寄せた。  
つぐみの細いうなじに口付け、舌を這わせる。  
 
「あっ…た、武…」  
「ん・・・・」  
 
執拗に口付けながら赤い跡を残していく。  
闇に浮かび上がる白い女の体に、朱色の軌跡を残していく。  
それは…俺がつぐみに触れている証。  
つぐみが俺を受け入れてくれる証…  
 
「あっ、武…たけし…や…あぁ…っ!んっ…あっ…ああぁ…」  
 
つぐみの唇から堪え切れずに甘い声が漏れる。  
普段よりも高く響くその声。乱れた俺と彼女の息遣い。  
そんな声がクヴァレの中を満たしていく。  
 
つぐみは良い匂いがしていた。  
甘い甘い匂い…俺を誘っている様に甘い、麝香の匂い。  
 
「つぐみは良い匂いがするなぁ…」  
「んっ……あぁっ…」  
 
刻まれた傷の一つ一つに唇を寄せる。  
野生の動物がそうする事で傷を癒す様に…そっと舌を這わせる。  
つぐみの味が舌先に広がる。  
 
「それに、凄い甘いぞ…何だかお菓子みたいだ、つぐみの体…」  
「んっ…あっ、バ、バカ…あんっ」  
 
そっと掌を離し、彼女の膨らみを包み込んだ。  
程好い大きさの双胸。柔らかさと弾力の両方が掌にしっとりと伝わって来る。  
もみもみと優しく揉みながら、舌を首筋から下のほうへと移動させていく。  
 
「あっ…あぁぁ…や…はぁ、はぁ…あぁぁぁっ」  
 
一定のリズムで、俺はつぐみの乳房を揉みしだく。  
吸いつくような柔らかい二つの膨らみの感触。  
その中央の蕾が、次第に固くなって俺の掌を押し返す。  
左手で膨らみを揉みながら、俺は右手で固くなった先端を摘んだ。  
 
「やっ!んん…っ」  
 
こりこりと固くなった乳首を親指と人差し指で挟んでみる。  
するとつぐみの先端はますます固く、可哀想な位に尖り始めた。  
 
「つぐみ…固くなってるぞ…」  
「やっ…あぁ・・ダメ…っ」  
「ん?なんでこんなになってるんだろうな〜、なぁ、つぐみ」  
「あぁぁんっ!」  
 
普段の仕返しと言わんばかりに、少しだけ意地悪な言葉を紡ぐ。  
きゅっと摘んでいる指先に力を込めると、つぐみの体が大きく跳ねた。  
闇の終わりが近いのか…ゴンドラの中は少しだけ光を取り戻しつつある。  
責められると弱いのだろうか?  
つぐみの汗ばんだ肌が、薄闇の中に浮かび上がった。  
 
「ひょっとして、感じてちゃったりするんかな〜  
 …ほら、ここをこうしたら…もっと、可愛い声で鳴いてくれたりなぁ」  
「ひゃんっ!……バ、バカ、何を…あっ!あぁぁっ!?」  
 
そっと膨らみに唇を寄せ、尖った先端部分の天辺を指の腹でぐりぐりと弄る。  
その度につぐみの体はびくびくと跳ね、唇からは甘い…切ない泣き声が洩れた。  
 
「ここは…もっと甘いのかな?」  
「や…ダ…ダメ…武……」  
 
明るみ始めたクヴァレの中。  
薄紅色のラインを舌でなぞる。そのまま、固くなった先端に舌を這わせた。  
右の指で先端を弄りながら、もう一方の果実をペロリと舌で舐めてみる。  
 
「あ!」  
 
途端につぐみが一際高い声を上げる。  
俺は構わず、ぴちゃぴちゃと唾液を絡める様にしてつぐみの果実を味わった。  
 
「うん。やっぱり、凄い甘いぞ」  
「あっ…バカ…んっ…んっ、んっ…あぁ…あぁぁぁんっ!」  
 
舌で舐めたり、舌先を絡めたり、優しく歯を立てたり、  
天辺の部分を舌で膨らみの中へと押し返したり…  
散々舌と唇で弄ってから、赤い蕾を口内へ含む。  
 
「あ…あぁ……」  
 
切なげに声を漏らしながら、つぐみはきゅっと俺の頭を抱え込んだ。  
込み上げてくる感覚に必死で耐える様に…その腕に力が篭もる。  
俺は口の中一杯に広がるつぐみの甘い味を堪能した。  
口内に含んだ果実を…舌で、歯で、愛撫する。  
ちゅっと音を立てて吸い…何度も何度もその味を味わう。  
 
「あっ…武…あぁぁ…っ!」  
 
ぶるぶると大きく震えながら、  
つぐみは俺から与えられる快感に耐えている…  
ゴンドラは闇を抜け、淡い光が周囲を包んだ。  
つぐみの白い体が、上気して朱に染まっているのが分かる。  
 
「あ!あぁ…っ!武…ダ、ダメ…ダメ…や………あぁぁっ!」  
「つぐみ…」  
 
俺はゆっくりと唇を離した。  
愛撫を受けた名残の唾液に、つぐみの果実は濡れて輝いている。  
はぁはぁと息を乱しながらも、快感の奔流から解放されたつぐみは、  
ぐったりと力を抜いて俺に細い体を委ねている…  
 
「食べちまっても良いよな、全部…」  
「えっ…きゃっ!」  
 
つぐみが驚きに声を上げる。  
その声を耳にしながら、俺は体重を傾けてつぐみの体を組み敷いた。  
先程とは丁度逆になる様に、つぐみの細い体の上に覆い被さる。  
 
「あっ…た、武…っ?」  
「つぐみを食べたい」  
「……………バカ…」  
 
頬を朱に染めながら、つぐみは弱々しく呟いた。  
 
「そりゃ、俺にとっちゃ最高の誉め言葉だ」  
「あ…んんっ…」  
 
俺はそのまま、そんなつぐみの唇を奪った。  
舌を差し入れると、今度はつぐみも積極的に俺の求めに応じてくれる。  
舌を絡めあい、唾液を睦み合わせ…指と指とをしっかりと繋ぎ合う。  
肌と肌を、掌と掌を、そして唇と唇を…何処までも一つに溶け合わせていく…  
 
(一つに…なりたい)   
 
込み上げてくる欲求が胸を満たす。  
自分の体がつぐみを求めているのが分かった。  
自分の心が…つぐみの心を求めているのが分かった。  
体と体を重ね合わせて、心と心を結びつけて。  
それでもまだ足り無い程、強く、深く、つぐみと一つになりたかった。  
 
「んっ…あんっ…あぁぁ…はぁ、はぁ…んむっ…」  
「んん………」  
「あぁ……たけし…」  
 
はぁ…っと離した唇から甘い吐息を漏らしながら、  
つぐみは切なそうな声音で俺の名前を呼んだ。  
熱の篭もった潤んだ瞳で俺を見つめてくる。  
朱に染まった頬・・・・朱に染まった細い体。  
 
「つぐみ…綺麗だ」  
「………………………嘘吐き…」  
「嘘じゃないって。本当だ」  
 
傷の残る体を、つぐみは気にしているのかもしれない。  
だが…俺には、その傷さえも溜まらなく愛しかった。  
つぐみの心が抱えた痛み…その一つ一つが、  
こうして今も彼女の体に残されている。  
その傷の一つ一つを…全て受け入れて、癒してやりたかった。  
 
「大丈夫だ、つぐみの事全部全部…俺が、受け入れて見せるから」  
「たけし…本気…なの…?」  
 
俺は軽く頷くと、改めてつぐみの裸身を見つめた。  
ほっそりと華奢な作りのつぐみの体。  
優しいラインを描く白い膨らみの先端のピンク色の蕾は、  
今は固く尖ってふるふると震えている。  
はだけたスカートから伸びたすらりとした脚。  
その奥に隠された白い下着が…僅かに濡れ始めているのが分かる。  
 
「今までに確かに馬鹿な事は一杯言ったけどさ、俺は嘘は吐かないぞ。  
 ……本当に本当に綺麗だ、つぐみ」  
「・・・・あぁ…イヤ…」  
 
俺が言うと、つぐみは恥かしそうに細い声を上げて泣いた。  
裸身を隠そうとする両腕を、手首を掴んで抑えつける。  
   
「見ないで…あんまり見ないで、武……」  
「イヤだ。折角の機会なんだから、じっくり見せて貰う」  
「あっ…バ、バカ…はぁ…見ないでって…言ってるのに…っ」  
   
俺に組み伏せられたまま、つぐみは恥かしそうに上体をうねらせた。  
 
普段なら俺の力ではつぐみには叶わないのかも知れないが、今は違う。  
上手く力が入らないのか、つぐみは俺に抗えないまま  
諦めた様に切なげな吐息を漏らしている。  
 
「折角、つぐみが俺を受け入れてくれてるんだからさ。  
 全部、じっくり見せて貰いたいんだよ。  
 つぐみの全部を覚えていたいから、さ」  
「あっ…バカ…武のバカ…」  
「大体、俺に全部見せてくれるって最初に言ったのは、お前の方だ」  
「そ、それは…えっ?」  
 
つぐみの抗いの言葉が洩れる前に、俺は行動を起こした。  
彼女の手首を掴んでいた右手を離すと、黒いスカートをめくり上げる。  
そのまま、素早く白い下着に手をかけた。  
 
「きちんと、自分で言ったことの責任は取れよな?」  
「あっ…ダ、ダメ!ダメよ…絶対にダメ!」  
 
俺の行動に、つぐみは慌てて俺の右手を掴む。  
下着を押し下げられまいとしてきゅっと力を込めて俺を制そうとする。  
 
「ダメ…そんなの…絶対にダメよ…」  
「ったくぅ。我が侭勝手なやっちゃなぁ〜」  
 
真っ赤になって恥かしそうにするつぐみに苦笑が浮かんだ。  
だが、当然許してなどやらない。  
俺は一度白い下着を離すと…力が緩んだつぐみのそこを  
濡れた下着の上からクリクリと指先で押さえつける。  
 
「きゃっ!あっ…あ、あぁぁぁんっ!?」  
「なんだよ、もうビチョビチョじゃないか」  
「あっ!バカ・・・・ダメ、武っ…あ!あぁ!あぁぁっ…!」  
 
下着の上からも、彼女の其処がぐっしょりと濡れているのが分かる。  
俺に触れられた事で、じゅんっと其処が更に熱く、急速に潤い始めている。  
 
「もうこんなになって…つぐみは、結構えっちなんだな。  
 俺の事、言えないじゃないか」  
「やっ…そ、そんな事…あっ!あぁぁ…ダ、ダメぇ…っ」  
「なんだ?この口け?この口がイヤだなんて言うんかい?」  
「あっ…!やうっ…ああぁぁぁぁんっ!」  
 
可愛い声を上げながら喘ぐつぐみの下着の淵から、  
無理矢理指先を中に進入させる。  
ヌルヌルとした感触が指にまとわり付き、俺をますますその気にさせた。  
 
「なんだ…もうこんなにヌルヌルじゃないか…」  
「あっ!ダ、ダメ…触らない…あっ、あぁぁぁんっ!」  
 
指先を押し入らせて、直接彼女の下のお口に触れてみる。  
入りこんだ指先でぐりぐりと固くなった蕾を押してみる。  
人差し指で固く充血した其処を指の腹で弄ったり摘んだり。  
その度につぐみはびくんと大きく体を反らせた。  
 
「あぁぁッ!?だ、ダメ!…そんな、私、もう…んんんッ…!!」  
「もう…何だ?言ってみろよ、つぐみ…」  
「や…あぁっ!其処は…ああ、ダメ…あっ、ぁぁあ!  
 んっ…い、イッちゃ…あぁぁぁっ!?」  
 
ぐっと指先に力を込めて、彼女の体の内側へと僅かに押し入って行く。  
ぬるりと熱く潤んだそこが、ぬめぬめと絡み付いて来るのが分かった。  
 
「あ・・・・だめ…っっ!」  
 
俺の体の下で、つぐみの体がびくびくと大きく震える。  
白い太腿が切なそうに俺の右手を挟みこむ。  
俺は僅かに名残惜しさを感じながらも、彼女の内側から指先を抜いた。  
そのまま、ぐい、と下着を引っ張り下ろして脱がせる。  
片足を持ち上げて脱がせ、そのままもう片足の膝の辺りまでずり下ろす。  
 
「あ…はぁ…はぁ…あぁ…あぁぁ…」  
 
 つぐみは今度は拒めないまま、俺にされるがままになっている。  
下着をずらすと、先程まで弄っていた彼女のそこが  
キラキラと愛液に濡れながら綺麗に輝いていた。  
 
「つぐみ…お前、凄いビチョビチョに濡れてるぞ?」  
「あ…バカ…そんな事…言わないでよ…」  
 
俺が意地悪く尋ねると、つぐみは泣きそうな声で小さく答える。  
彼女自身にも分かっているのだ…俺が彼女を求めるのと同じくらい、  
彼女もまた、俺を求めてくれているのだと言う事に。  
 
「甘い…匂いがする」  
「あっ…はぁっ…や、やだ…」  
 
俺はつぐみの両脚をM字の形に押し開いた。  
その真中の濡れている部分に…そっと顔を寄せる。  
赤く可哀想な位に充血した女唇。  
その蕾が透明な液体にぐっしょりと濡れ、輝きながらひくひくと震えている。  
 
「ここも、全部…つぐみは、甘い匂いがしてるな…」  
「だ、ダメ…ダメ、あっ!あぁぁぁ−−−ーっ!!」  
「全部…食べさせてくれよ…」  
「あっ!や…!アッ、アぁっ…あぁぁぁんっ!」  
 
そのまま…つぐみの下の唇に自分自身の唇を這わせた。  
優しく口付けてから、ピチャピチャと舌で愛液を舐め、啜る。  
甘い甘い…つぐみの蜜。その蜜を丹念に、丁寧に、夢中で舐め取っていく。  
さっきまで指先で愛撫されていた赤い蕾の部分が  
俺の息遣いを感じて、脅えた様にふるふると震えながらますます充血した。  
そっと舌で玩ぶ様に…くりくりと押したり舐めたりしてみる。  
 
「やっ!武…ダメ、ダメだってば…あ!あぁ!や…イヤ…っ!」  
「んっ…でも…ここはますます濡れてきてるぞ?」  
「あっ…い、言わないで・・・・んんっ!」  
 
クヴァレは再び闇。  
海上から差しこむ微かな月明かりだけが周囲を照らし出す薄闇。  
その闇の中で、つぐみは泣きそうな声を上げながら  
俺の顔を何とか押し下げようとする。  
切なくて弱々しくて…扇情的な仕草。  
太腿がきゅっと締めつける様に俺の頭を挟みこむ。  
右足の付け根には、あの時の傷痕が残っていた。  
その足を両手で押し広げながら、俺の舌は彼女の濡れた部分を弄っている…。  
 
 
「あ…たけし…ダ、ダメ…ねぇ…あっ…あぁぁんっ…!」  
「ん…」  
「あ…あっ…んっ…あぁっ…」  
 
闇の中にぴちゃぴちゃと云う音とつぐみの切なげな吐息が響く。  
その音にますます欲望を掻き立てられた俺は、  
舌を尖らせる様にしてゆっくりとつぐみの秘裂を割る。  
じゅんっと濡れた其処が、俺の舌先を感じて更に熱く潤むのが分かった。  
甘い泣き声を漏らすつぐみの中を、ゆっくりと舌でかき回す。  
組み敷いたつぐみの肢体がびくびくと大きく震えるのが分かる…  
 
「つぐみ………」  
「あ…た…たけし…」  
 
絡み付く甘さに名残惜しさを感じながらも俺は舌を離した。  
そうして、もう一度つぐみの名を呼ぶ。  
こちらを見つめる彼女の瞳…その奥にある何かを確かめたい。  
俺は顔を近づけて彼女の瞳を覗きこんだ。  
闇の中でも互いの顔がはっきり見える程に近付く。  
悲しい、他人の全てを拒むかの様だった瞳。  
その瞳の奥に…今は俺自身の姿がうっすらと涙に潤んで映っている。  
 
「つぐみ…良いか?」  
「あ……うん…武………て」  
 
俺の意図を察して、つぐみが小さく頷く。  
微かな微かな声…今にも消え入りそうな声。  
けれど確かに「来て」と彼女の唇が紡いだ事に俺は気付いていた。  
 
その唇に一度優しく唇を重ねてから、  
衣服からいきり立った俺自身を取り出した。  
 
くちゅ…  
 
ゆっくりと、焦らす様につぐみの秘裂へと擦り合わせる。  
さっきまで俺の指先を、唇を受け入れていた其処が濡れた音を立てた。  
   
そのままつぐみの蜜を塗りつける様に何度も何度も分身を往復させる。  
先端から先走って溢れた液体がつぐみの愛液と睦み合う。  
温かく潤んだつぐみの中。  
 
欲望のままに其処に潜りこみそうになる自分自身の肉体を制しながら、  
少しづつ少しづつ…つぐみの身体の緊張が解けるまで、  
互いの身体を触れ合わせていく……  
 
「あっ…あっ、あぁっ…ん…んんっ…武…っ」  
「つぐみ…」  
「あんっ!あ…平気よ…平気、だから…」  
「ああ、でも」  
 
無理はしないでくれ、と喉まで出かかった言葉を飲みこむ。  
俺はつぐみを求めていたし、つぐみも俺を求めてくれていた。  
 
お互いの心と身体を限界まで近づけて、一つにしたい。  
つぐみの全てを受け止めて、理解したいと思ったのは俺自身だ。  
だから、その言葉の代わりに…もう一度、つぐみと唇を重ねた。  
 
「んっ……ぁ…んんっ…」  
「……………ん」  
 
甘く舌先を絡み合わせる。  
ぎゅっと俺の首筋に腕を絡め、つぐみが子供の様にしがみついて来る。  
甘い匂いが鼻腔を擽り、膨らみが俺の胸板に押されて形を変えた。  
全身に感じる、つぐみの温もりと…柔らかさ。  
 
「んっ…はぁ…あぁ…」  
「つぐみ…挿れるぞ」  
「あ…………」  
 
俺が耳元に囁くと、つぐみは一瞬体を震わせ、切ない甘い吐息を洩らした。  
月光の差し込む薄闇の中、潤んだ瞳がこちらを見つめてくる。  
 
月の淡い光…海水の深い青。  
幻想的なその薄闇の中で、小さくつぐみが頷くのが分かった。  
 
「つぐみ…」  
「んっ…………あっ、あぁぁぁんっ!!」  
 
俺の猛った部分がつぐみの身体の一番熱く潤んだ部分を探り当てる。  
既に彼女を求めて唾液を垂らしていた先頭が  
ゆっくりと濡れたつぐみの内側に呑み込まれて行く…  
 
「くっ…」  
「あっ!…あっ、あっ…んっ、あっ…い、イタ…んん…ッ!」  
「つ、つぐみ……」  
 
つぐみの体は想像していた以上の頑なさで俺を拒もうとする。  
充分に濡れている筈なのに、潜りこもうとする俺の体から逃れ様とする。  
つぐみは何かに耐えるようにきゅっと唇を噛んでいる様だった。  
けれど、堪え切れずに唇からは泣き声が洩れる。  
 
「つぐみ…もう少し力抜けって…」  
「んっ!だ、だって…あ、ああ!あっ…ダ、ダメ…」  
「くぅ…」  
「や!た、武…も、もう少しゆっくり…あぁっ!」  
「つぐみ…っ」  
 
背中へと回された腕…爪先が僅かに俺の体を掻き毟る。  
その痛みに欲望を刺激された俺は、彼女の意思に反して逃れ様とする  
体を押さえつけると、そのままやや強引に腰を突き入れた。  
   
「あ…あああぁぁぁぁぁっ!?」  
「………ッ」  
「………………あ…」  
 
入りこんだ俺の体をつぐみがきゅうきゅうと強く締め付ける。  
充分に濡れていたにも関わらず、彼女の中は動く事を躊躇わせる程に  
きつくきつく俺の肉体を締め上げてきた。  
そして何よりも…つぐみの体を貫いた時に感じた違和感。  
 
「つぐみ…お前…」  
「…………?」  
「いや…何でも無い」  
 
つぐみは涙が滲んだ瞳で俺を見上げてくる。  
痛みを懸命に噛み殺した表情…  
薄闇の中に、苦しげなつぐみの息遣いが聞える。  
それが何を意味しているのか、流石にその事が分からない程はバカじゃない。  
 
「…すまんかった」  
「謝らないでよ………バカ」  
「悪い」  
 
想わず口をついて出た言葉に、つぐみが拗ねた様な声で答える。  
その間にも、唇からは苦しげな息が洩れている…  
俺は動きたくなる衝動を押し殺して、そっとその涙を唇で拭った。  
 
「や…ぁ…っ」  
「く…」  
 
それがくすぐったいのか、つぐみはぶるっと小さく体を震わせる。  
俺のものを、熱くなったそこがきゅっと締めつける。  
 
そのまま唇を奪うと、彼女の内側の襞が  
ぬめぬめと蠢きながら、固くなった俺のものに絡みついて来た。  
 
溜まらないその感覚に遠のきそうになる理性を懸命に  
手繰り寄せながら…優しく、つぐみを抱きしめる。  
傷だらけの体を…傷を負い続けて来た心を、少しでも温められる様に。  
 
「あ…はぁっ…武…たけし…っ」  
「つぐみ…」  
 
つぐみは荒い息を吐きながら、何度も何度も俺の名前を呼ぶ。  
そうして俺の名前を呼ぶ事で、俺に名前を呼び返される事で。  
そうする事で…俺が今、ここに存ると云う事を確かめているのかもしれない。  
 
長い長い…クヴァレを包み込む薄闇。  
その暗闇の中でも互いを見失わない様に、抱きしめ合い、求め合う。  
 
「あっ!あぁ…あんっ!あぁ、やっ…あぁ、あんっ…」  
「つぐみ…柔らかいな」  
「やぁ…バ、バカ…んんっ!あぁんっ…!」  
 
痛みが和らぐ様に…そっとまた膨らみを掌で包み込む。  
敏感になった先端を弄ったり、乳房を揉んだりしながら愛撫する。  
白い体の温もりを感じながら肉体を、唇を重ね続ける…  
 
「ん……ふぅ…あぁ、はぁ、はぁ…あっ…」  
「はぁ…」  
 
解け合わせた唇を離す度に、つぐみは甘い鳴き声を洩らした。  
そう、甘い…甘い声。  
何時の間にかつぐみの声から苦痛の色は薄れ  
痛み以外の何かが代わりに含まれ始めている。  
俺は、探る様に…そっと、腰を突き上げた。  
 
「あうっ!」  
「あ…ご、ゴメン」  
 
すると、つぐみは再び苦しげな悲鳴を上げる。  
その声と微かに視界に映る表情に思わず唇から謝罪が洩れた。だが…  
 
「ん…っ」  
 
ちゅ、とそんな俺の唇をつぐみのそれが塞ぐ。  
下唇を割って、つぐみの舌が口内へと滑りこんで来た。  
 
「んっ?…ん…」  
「ん…んむ…んっ…んんっ…あ…んっ…」  
 
俺の首筋にぎゅっと腕を絡め、切なげな吐息を洩らしながら  
つぐみの赤い舌が俺の口の中をぬめぬめと這いまわる。  
歯の裏を這い、喉の奥をなぞり…俺の舌に懸命に自身を絡めてくる…  
俺がそれに応じて舌を絡め返すと、つぐみの体はびくりと震え  
それでも甘く、唇を解け合わせて来た。  
 
「お願い………動いて、武」  
「つぐみ?」  
 
唇を離し、一度はぁっ、と大きな息を漏らすと、つぐみは小さく呟いた。  
つぐみの潤んだ瞳に…俺の姿が映っている。  
 
微かに光の差し込み始めたクヴァレの中。  
穏やかな震動の度につぐみの肉体がきゅうきゅうと俺を締めつける。  
細い足を俺の腰の辺りへと絡めてくるつぐみ…  
其処には確かに俺の欲望を促し、行為を共にしようとする意思があった。  
 
「……良いのか?」  
「うん……動いて、私を感じて。一杯…私にも、武を感じさせて…」  
「ああ…動くぞ、つぐみ」  
「ええ………んっ…あっ、ああんッ!」  
 
つぐみの言葉に…俺は彼女の中で、ゆっくりと腰を動かし始めた。  
固くなった自分自身が…華奢なつぐみの体を引き裂いていく。  
 
つぐみの内側は充分に濡れてはいたが…やはり、初めてのせいだろうか。  
何とか俺に屈服するまいとして、痛いくらいにキツク俺を締め付けてきた。  
 
「く…つぐみ…っ」  
「んっ!あっ、あっ、あっ…あぁぁっ!あっ!んんッ…はぁ…ッ!」  
 
つぐみの唇から苦しげな息遣いが洩れる。  
けれど、それと同時に堪え消えず、痛み以外の…甘い鳴き声が口を付く。  
俺はそんなつぐみを感じさせ過ぎ無い様に…  
ともすれば暴走しそうになる体を押し留める様にして  
彼女の内側で自分自身を前後させた。  
 
くちゅくちゅと濡れた音を響かせ、固いままの肉の襞をほぐす様に  
俺の肉体がつぐみの中を突き上げる。  
奥へと入りこんだかと思うと、再び腰を引いて一端入り口へと逃れる。  
 
「アッ、はぁっ…武、たけし…あっ…ああぁんッ!?」  
「つぐみ…っ…つぐみの中…凄く熱いぞ…」  
「や…やぁッ…アアッ、はぁっ、ああ、あ、あ、あぁぁッ!」  
 
俺のモノは穏やかに、一定のリズムでつぐみの中を前進する。  
出来るだけ優しく、彼女が少しでも俺を感じられる様に。  
 
頑なに侵入者を拒もうとするつぐみの身体。  
その身体をほぐしていく様に、俺は、自分自身で何度も彼女を突き上げた。  
固くなってきゅうきゅうと俺を拒み、懸命に押し返そうとしていた場所が  
次第に…少しづつ少しづつ…俺のモノに絡みついて来る…  
 
「あっ、あぁ、あぁ…んっ、ひゃっ、あ、あん…あ、な、なに…」  
「…良いか?」  
「アッ…バ、馬鹿…んんッ!あぅ、あっ、はぁっ…あぁぁッ!?」  
「……ッ」  
 
つぐみの甘い声が響く中、突然クヴァレは光に包まれた。  
眩い程の光の中、クリアになった視界に細い肢体が映る。  
 
きゅっと眉を寄せて、込み上げてくる感覚に耐えようとしているつぐみ…  
唇を噛んで溢れる声を殺そうとするが、叶わないままに  
甘い喘ぎが洩れると、その度に恥かしそうに息を洩らす。  
 
その切なげな表情が、紅潮した裸身が、俺が繋ぎ止めていた  
理性を、とうとう手の届かない所へと解き放ってしまう……  
 
「つぐみ…くっ、つぐみ…つぐみッ」  
「やっ…あっ、あぁぁっ!?」  
 
細い身体を逃れられ無い様に自分の身体で組み伏せる。  
そのまま、内側に入りこんだ自分自身を…さっきまでよりも  
強引に…込み上げる感覚を更に求める様に、強く深く、突き上げ始めた。  
 
「た、武…武、たけし…っ!あっ、あぁっ!ンッ…あ!あぁ!あぁぁッ!」  
「ッ…く…」  
「ああっ…や、あ、あぁっ…や、あぁっ!アァッ!」  
 
つぐみの奥を激しいピストン運動で突き上げる。  
根元の方まで埋めると、彼女の襞がきゅうきゅうと甘く俺を締め上げた。  
そのまま更に奥へ奥へと求めるように蠢くモノに絡みついて来る。  
 
そんな何とも言えない甘美な感覚を押し殺して  
一度肉体を彼女の入り口近くまで後退させ、それから  
もう一度一気に奥の方まで突き入れる。  
 
つぐみの中で、前進と後退を繰り返しながら何度も腰をグラインドさせると  
その動きでじゅぷじゅぷと溢れた蜜が音を立てた。  
 
「あっ…あぁっ!はぁっ…あぁ…あうッ!た、たけし…ダメ…あ、あぁんっ」  
「つぐみ…」  
「あっあぁっ、ハァッ、ハァッ…あああ、ダメ…  
 そんな…あ、あぁぁっ、あっ、こ、壊れちゃう…ああぁぁッ!?」  
 
切ないつぐみの泣き声に、ますます欲望がかき立てられる。  
入りこんだ肉体で俺は円を描く様にして熱く濡れたつぐみの中をかき回した。  
 
「ひっ…ひぁッ!?やっ・・あんっ、あ、あん、あんッ!や…あぁぁっ!?」  
「つぐみ…良い…ッ」  
「た、たけ…しッ…あ…あぁぁぁぁッ」  
 
圧倒的な快感から逃れ様とつぐみが体をよじる。  
その身体をぎゅっと強く抱きしめながら何度も彼女を突き上げる。  
 
肉体が絡み合い、解け合う音がクヴァレに響く。  
クリアになった視界。俺の視線はただつぐみを見ていた。  
俺を感じて、俺を受け入れて、そして甘い感覚に戸惑うつぐみの姿。  
身体をよじっているせいか、白い肌が床とこすれて赤くなっている。  
 
痛々しいその姿に、俺は手放した理性を手繰り寄せて  
今も容赦無く彼女をかき乱していた腰の動きを止めた。  
 
「あっ…はぁ…あぁ…た、武…?」  
 
俺が制止すると、つぐみは戸惑った声を出した。  
うっすらと涙の浮かんだ瞳が問いかける様に俺を見つめてくる。  
俺は一度彼女の体内から、固くなったままの自分自身を取り出した。  
 
「あっ…?」  
 
じゅぷっと音を立ててつぐみの蜜に濡れた俺の体が抜き出される、  
そこには考えていた通りに…純潔だった証の朱が滲んでいた。  
そのまま、一端彼女の体を離すと再びゴンドラに腰を下ろす。  
 
「あ…た、武…ねぇ、どうして…?」  
 
切なげに乱れた息遣いの中から、つぐみが俺に問い掛ける。  
途中で行為を止められてしまったのが辛いのだろうか?  
頬を染めてもじもじとした仕草の彼女は何とも艶やかで、  
自分の内側でまた何とも言えない黒い感情が湧き上がるのが分かった。  
 
「心配すんな。俺だって、今更お預けなんてゴメンだ」  
「だ、だったら…ッ」  
「つぐみを、傷付けたくないんだよ」  
「え…?」  
 
身体の疼きを抱えたまま上体を起こしたつぐみの手を引く。  
 
「来いよ」  
「え?あっ…た、武…んんッ」  
 
そしてそのまま、彼女を俺の上に跨らせた。  
スカートをたくし上げて、白い太腿に手を這わせる。  
もう一度、つぐみの濡れた下の唇が俺自身に触れた。  
伝い落ちてきた彼女の熱い液体が、俺の猛った肉体の先を濡らす。  
 
「あ……」  
 
俺が意図している事を悟ったのだろう。  
つぐみはきゅっと眉を寄せ瞳を閉じると…吐息混じりの声を洩らした。  
切ないその泣き声を堪える様にきゅっと唇を噛み締める。  
俺はそんなつぐみの腰を両手で抱えると…そのまま彼女の腰を引き落とした。  
 
「………ああぁぁぁんッ!!」  
「……く…ッ」  
 
ズプリ、と音を立てて俺の体はつぐみを一気に貫く。  
一度受け入れたとは言え、彼女のそこはまだまだその感覚に馴染んではいない。  
びくん、と大きく細い体が俺の上で跳ねあがった。  
そのまま腕を俺の首筋に絡めてしがみついて来る。  
 
「んっ…あっ、はぁっはぁっ…た…武…」  
「つぐみ……感じるか?」  
「う、うん…武が…武が私の中にいるのが…分かる…」  
 
ふるふると小さく全身を震えさせながらつぐみは答える。  
俺はそのまま耳元に舌を這わせ、息を吹きかけながら続けた。  
軽く、腰を突き上げる。  
 
「あァッ!?」  
「気持良いか?」」  
「あんっ…あ、はぁ…バカ…そんな事…聞かないでよ…」  
 
耳まで朱に染めて、つぐみは涙目で俺を睨んだ。  
その表情が何とも可愛くて、もう一度唇を唇で塞ぐ。  
 
「んっ…あぁ…ああぁぁ…う…んむ…」  
 
舌を舌で絡め取ると、つぐみが可愛い声を漏らす。  
彼女の下の唇も正直に…甘く俺のモノに絡みついてきた。  
奥まで埋められた俺を、きゅうっと秘裂が締めつけてくる。  
 
「動いて良いか?」  
「あっ…う、うん…わ、私も…っ」  
「…ああ」  
 
つぐみの言葉に俺も軽く頷いた。  
ぎゅっとしがみついて来る彼女を抱きしめ返す。  
それから、さっき以上の勢いでつぐみの身体を下から突き上げ始めた。  
 
「あっ!?きゃっ…はぁっ、あっ、アァッ、あぁんッ!」  
「つぐみ…」  
「あっ!あぁぁっ!んっ、はぁっ、あぁっ、あぅ…やっ…あぁぁっ!」  
 
つぐみの細い体が重力に従って沈む込む。  
その彼女の肢体を、俺の固くなった身体が容赦無く引き裂いた。  
やや乱暴に腰を使って奥へ奥へと突き進んでいく。  
結ばれた部分からはぐちゅぐちゅと濡れた音が響いていた。  
 
「んっ、あ、はぁッ!あ…あん、あぁんっ…だ、ダメ…ぇ…あぁぁッ」  
 
美しい顔に恍惚の表情を浮かべながらつぐみは甘い声を洩らす。  
俺の首筋に回した腕に力がこもり爪先がまた背中にぴりりとした痛みを伝えた。  
長い黒髪を振り乱し、込み上げる快感に堪える様にして首を振る。  
俺が突き上げる度に跳ねあがり上下するつぐみの身体。  
その腰をしっかりと支える様にして更に大きく突き上げる。  
 
「あっ…やぁッ、あっ!あぁっ!あぁぁっ!あ…武…ッ!」  
 
そしてそんな俺に答えるように…  
やがて、つぐみの腰が何とも艶かしい動きで蠢き始める。  
咥えこんだ俺を更に強く感じようと、俺のグラインドに合わせて動いて来る。  
俺が下からつぐみを突き上げ、つぐみが上から俺のモノを呑みこんでくる。  
 
「あっあっあぅ…アッ!はぁんっ、あぁ、あぁッ!ひあっ!あっ!あぁぁっ!」  
「つぐみ…つぐみッ!」  
「あっ!あぅっ!ああっ、あっ!はぁっ、やぁッ!」  
 
ぐちゅぐちゅと男と女の肉体が絡み合う音がクヴァレに響く。  
ねっとりと甘い…男女の匂いがゴンドラを満たしていく。  
次第につぐみの声が高いものになり、それに従って腰の動きも激しさを増した。  
 
「く…つぐみ…良いか?良いか…ッ?」  
「ひぅっ!あぁ…う、うん…いいッ…あっ、す、すご…  
 んんッ…ああっ!あっ…あっ…ああっあっあッ!あっあっあんッ!」  
 
激しいピストン運動でつぐみの体を突き上げる。  
つぐみも俺も…そろそろ限界が近い。  
びくびくと震え始めたつぐみの中。熱く絡みつき締め上げてくる女の部分。  
悩ましげな声とその感覚に…頭の中が真っ白な光で満たされ始める。  
 
「あっあっ…武…私、もう…あっ、あっ、ああぁ!」  
「ああ…くっ……俺も、もう……」  
「うぅっ………ひぁっ!ああんッ!あんあんあぁんッ!」  
 
つぐみの泣き出しそうな声に、俺も素直に頷いた。  
最後とばかりにつぐみの中の一番奥深い所を思いきり突き上げる。  
何度も何度も、彼女が逃れられ無い様に腰を引き寄せ突き上げ続ける…  
 
「あぁっ武ッ!あっあっ…武ぃ…もう…あっ、あっあぁあぁ!」  
「つぐみ…」  
「だ、ダメ、もう…私、私もう…あっ!あぁっあっ!あっあぁっ!」  
「つぐみ…くっ…」  
「ダメ…い、イッちゃ…あっ…あぁぁっぁあぁぁっ!」  
「つぐみぃっ!」  
 
ぐいっ、と俺は思いきり彼女の腰を引き寄せた。  
俺のモノが彼女の一番奥に達する。その、刹那。  
肉体と頭の中が同時に真っ白な光で包まれた。  
 
「つぐみ、出すぞ…ッ」  
「え?あっ…あああぁあぁぁぁあぁぁぁーーーーーーーーーッ!!」  
「…ッ!っ、…くぅッ!」  
 
ぶるぶると背筋を伝う様な感覚。  
その感覚に身を任せて…俺はそのままつぐみの中に欲望を吐き出した。  
一瞬の戸惑いの声の後に、つぐみの体がびくんと跳ねあがる。  
俺が欲望を放ったのが先だったのか…つぐみが達したのが早かったのか。  
 
「あっ!あっ、あっ…あぁ…っ…!」  
 
体奥を叩きつける俺の精を感じてびくびくと彼女の体が震える。  
白濁した液体がつぐみの胎内を満たしていく……  
精が放たれている間、つぐみは全身を小さく震わせながら俺にしがみ付き  
彼女の肉体はそれを逃がすまいと何度も俺のモノを締め上げた。  
 
俺の欲望とつぐみの蜜が、つぐみの中で何度も解け合い、そして混ざり合う。  
やがて俺のモノ全てを受け止めたつぐみの体は、力を失って俺に倒れこんできた。  
 
「あ…あぁ…はぁ、はぁ、武…たけしぃ…」  
「つぐみ…凄く気持良かったぞ」  
「………ば…バカ…」  
 
 はぁはぁと荒くなった息遣いを懸命に整え様とするつぐみに囁く。  
すると、つぐみは耳まで真っ赤にして拗ねた様に呟いた。  
絶頂に達したばかりで力を失ったままの体は…  
ぐったりとしたまま俺の体に寄りかかっている。  
全身に感じるつぐみの温もりが心地よい。  
その温もりを、柔かな感触を感じる事で、安堵感が胸に込み上げて来た。  
 
「……ばに……て」  
「え?」  
 
 結ばれた余韻を感じる様に、つぐみもきゅっと俺にしがみついて来る。  
その小さな体を抱きしめ返すと…腕の中のつぐみが小さな声で呟いた。  
聞えるか聞え無いかの…小さな小さな声。  
胸の辺りで発されたその言葉は、俺の耳には明瞭には届かない。  
 
「………ねがい……たしを……とりに……しないで…」  
「つぐみ…?」  
「ううん…ごめんね、何でも無いの…」  
 
 上手く聞き取れずに俺が尋ね返すと、つぐみは脅えた様に  
びくん、とその体を一度だけ大きく震わせた。  
それから、今度はもう少しだけ大きな声で応じた。  
 
「良いの…ごめんなさい、気にしないで…」  
「いや、だけどさ」  
「良いから…お願い、気にしないで」  
「………あ、ああ。分かった」  
 
 正直、気にならないと言えば嘘になる。  
だが、腕の中のつぐみに申し訳そうに言われてしまうと…仕方が無い。  
最も、ひょっとしたらその悲しげな声音は確信犯なのかもしれないが…  
 
「ごめんね、武?」  
「いや、いいよ。気にすんな」  
「うん…ねぇ」  
「ん?」  
「…………好きよ」  
「なっ、バ、バカっ」  
「うふふふふふ」  
 
 …どうやら、俺の推察は当たっていたらしい。   
つぐみは可笑しそうに声をあげて笑った。俺の顔にも苦笑が浮かぶ。  
 
 カタタン…カタタン…  
 
緩やかな震動と共にクヴァレは回遊を続けていた。  
光と闇の中をゆったりとしたスピードで漂っている。  
俺のモノは全てを吐き出した後も、そのままつぐみの中に包み込まれていた。  
時折その震動が感じるのか、一度果てた筈の彼女のそこが  
きゅっと切なく俺を締め付ける。  
ゴンドラを満たすのは…今はただ静寂。  
再び包み込まれた薄闇と月光の中に流れるのは…  
何をするでも何を話すでも無く、ただ、互いの存在を感じているだけの時間。  
 
「ねぇ、武…」  
 
そんな中で、不意につぐみが口を開いた。  
 
「何もかも嫌になって…死にたいって、思った事ある?」  
「え?」  
 
つぐみの言葉に、俺は思わず息を飲む。  
いつか、何処かで聞いた事のある言葉。  
 
『私…私は、そうね。ここで死んでも良いかな』  
 
いつか…ここでは無い何処かで、聞いた記憶のある言葉…  
 
『私はただ…死にたかっただけ』  
『なんで助けたりなんかしたの?  
 あのまま放っておいて貰えれば…死ねたのに』  
 
そんなつぐみの台詞が脳裏にうっすらと蘇える。  
その言葉を思い出した時、俺は意識しない内に  
彼女を抱きしめる腕に自然に力を込めていた。  
 
「ない」  
 
きっぱりと否定の言葉を口にする。  
 
「俺達は死なない、必ず生きて帰る。  
 今こんな所でくたばる訳にはいかないんだ」  
 
つぐみは無言のまま…身じろぎもせずに俺にその身を委ねている…  
 
「この暗闇から抜け出して見せる…救い出して見せる!  
 全員だ!ここにいる全員、皆を守り抜いて見せる!  
 絶対に、一人たりとも、俺は死なせはしない!」  
   
知らぬ間に自分でも驚くくらいに強い口調になっていたのが分かった。  
胸に込み上げる不安…それが何に対してなのかは分からない。  
ただ…俺自身を飲み込もうとしているドロドロとした暗い感情。  
つぐみの中に存在している、或いはしていた、生きる事への絶望。  
そうした全ての感情を消し去ってしまいたかった。  
ひょっとしたら、さっきの言葉は…  
自分自身へ言い聞かせる為のものだったのかもしれない。  
 
(そうだ…こんな所で死んでたまるか)  
 
すぐ傍につぐみの温もりがある。  
とくとくと確かに脈打つつぐみの心臓の音が聞える。  
何故か心の奥の深い部分を温かな感情で満たしてくれるその鼓動…。  
今、誰よりも何よりも近い場所にいて、  
一つに繋がっているこの存在を、決して失ってしまいたくは無かった。  
 
「武は…強いのね」  
「へ?」  
 
腕の中で、ぽつり、とつぐみが呟く。  
その言葉の意味を測り兼ねた俺の唇からは  
思わず間の抜けた返事が洩れていた。  
つぐみは、俺の胸に寄りかかる様にしてその身を委ねているので、  
彼女の表情は俺からは伺い知る事は出来ない。  
 
「武は…あったかいね…」  
「…そうか?いや、まぁ、確かにここの所色んなトラブルが続いて  
 風邪気味だったり熱っぽかったりする訳で、多少は人よりも  
 体温が上昇している可能性は否めない訳ではあるが。  
 …それでも充分標準体温の範囲内だと思うぞ?」  
「ばぁか…そう云う事を言ってるんじゃないの」  
 
今度はくすくすと小さな笑みを洩らすと、  
つぐみは顔を上げ俺の唇に優しく自分自身の唇を重ねた。  
小鳥がついばむ様なキス。  
呆然としている俺からすぐに顔を離すと、つぐみは悪戯っぽく微笑んだ。  
 
「つまり、こう云う事………分かった?」  
「………ああ」  
 
それから、ぎゅっと子供の様に両腕を回して俺にしがみついて来る。  
 
さっきよりも大きくつぐみの鼓動が聞える。  
優しく紡がれる彼女の息遣いを感じる事が出来る。  
全身に押しつけられてくるつぐみの温かさと柔らかさ。  
膨らみが俺の身体に触れてその形を変え、  
潤んだ其処は今も甘く俺を締めつけてくる…  
 
「なぁ、つぐみ」  
「…………なに?」  
 
その感触に耐えられなくなって、俺は耳元へと彼女の名前を囁いた。  
小首を傾げるようにして、つぐみは俺の瞳を覗きこんで来る。  
情事の後の、甘い感情に濡れた瞳。  
その瞳に俺自身が映っているのを確認した時…  
もう一度、抑え切れない気持が身体一杯に広がった。  
その感情は愛しさの波になって俺を溜まらない気持にさせる。  
結ばれている部分から込み上げてくる衝動。  
それにつぐみも気付いたのだろう。  
びくり、と身体を震わせると、戸惑った様に俺を見つめ返してくる。  
 
「た、武…な、なに…?」  
「何って何だよ?」  
「だ、だから…だから、何よ」  
「…………」  
「……………」  
 
 何となく気まずい沈黙。  
その間もつぐみの身体はクヴァレが震動する度に俺を締めつけた。  
 
「ああ、もう、物分りの悪いやっちゃなぁ〜」  
「な…んんっ?」  
 
俺は彼女の頬に手を添えると、もう一度唇を奪った。  
先程のつぐみからのそれとは違う、熱の篭もった口付け。  
舌と舌を絡み合わせ、唾液を睦み合わせ、  
洩れ出る吐息さえ自分のものにするかの様に口付ける。  
 
「あ…はぁっ…はぁ、はぁ、はぁ…んんっ…」  
「………く……っ」  
 
つぐみが感じる度に、繋がっている部分は正直に俺を求めてくる。  
唇を離すと、彼女は暫く荒くなった息遣いを整えていたが、  
やがて涙目で俺を睨んだ。  
 
「はぁ…も、もう…何なのよ…」  
「何って…その、ナニだ」  
「……………」  
「つまり、その…もう一回、良いか?つぐみ?」  
「…………バカ…」  
 
半ば予想はしていたのだろう。  
一瞬だけ拗ねた様に呟くと、つぐみはぎゅっと背中へと回した手に力を込めた。  
それを了解の合図と取って、俺はゆっくりと…  
再び固さを取り戻したそれでつぐみを突き上げ始めた。  
 
「んっ…あっ…あ!あぁ!た…たけ…しぃっ…あっ!あぁぁっ!」  
「くっ…つぐみ…もっと…」  
「やっ!ゆ、ゆっくり…あっ…!んっ、んんっ…あぁ…ああぁぁ…」  
 
切なく甘い泣き声が洩れる。  
クヴァレはゆっくりと進んで行く。月光に照らされた薄闇の中。  
お互いの存在しか見えない。お互いの存在しか感じるものは無い。  
 
つぐみの身体は細くしなやかで、俺は何度もその華奢な体を抱き寄せ、  
そして突き上げた。時に優しく…次第に激しく。  
彼女の奥へ奥へと…自分自身を解け合わせていく。  
 
想いの奔流。欲望の衝動。  
つぐみは時に震え、戸惑いながらも、そんな俺に懸命に応えてくれた。  
俺もつぐみの全て…心も身体も全てを求め、受け入れていた。  
俺達は何度も何度も解け合い、そして一つになった。  
 
クヴァレはゆっくりと進んで行く。  
そこを覆う闇は、まだ暫くは晴れそうに無かった……………  
 
 

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