鈴科流水音はカフェ・レミールで音も立てず、抹茶を啜っていた。  
静謐な店内に穏やかなBGM。陰鬱な心を癒してくれる空気に、夢心地だった。  
彼が入って来るまでは。  
 
彼が入ってくると、まるで室温が低下したように空気が張りついた。  
彼を見た客は一様に口を閉じ、そして何事かと囁き合う。  
ウエイターが慌てて奥へ姿を消し、困惑した顔のマネージャーを連れてくる。  
二三彼と言葉を交わし、複雑な表情をしながらも、あっさり奥へ引き下がる年配の男性。  
もって生まれた血筋なのか、相手を圧倒する存在感は相変わらずだ。  
流水音は彼と目を合わさぬよう、慌てて顔を伏せた。  
そして、渋い抹茶に口をつけると、深いため息を漏らした。  
 
「ここ座るぞ」  
意外な宣言に、流水音は茶碗に口をつけたまま固まった。  
そのまま、上目使いに相手を見る。真紅の髪に漆黒のコート。  
もちろん唯のコートではない。心霊管理局のエージェントが常用している制服だ。  
そんな格好で営業している喫茶店に入ってくるのだから、店としては堪ったものではない。  
彼と知らぬ仲の流水音でさえ、あまりの仕打ちだと呆れてしまうのだから。  
両手で茶碗を包んだまま、流水音はゆっくりと顔を上げた。舞波聖邪の顔を正面から見上げる。  
流水音が無言で答えた事を容認と取ると、舞波聖邪は流水音の向かいにどっかりと腰を下ろした。  
 
「ちょうど良かった。私もそろそろ出ようかと思ってたの」  
今思いついた事を口にすると、茶碗の残りを飲み干そうと、口へと持っていく。  
「いや、君に用事がある」  
茶碗を口につけたまま固まる流水音には構わず、聖邪は言葉を続ける。  
「正確には、ここへ入った時君を見つけたので、話したいと思った」  
「桐生のこと?」  
少しの沈黙の後、流水音は聖邪に尋ねた。  
「それもある。ただ、その心配はほとんどしていない。もう終ったことだ」  
「じゃあ何?」  
流水音は聖邪の意図が読めず、苛立つように言った。  
「妹の事だ」  
「優希ちゃんの事?」  
「ああ……」  
先程とはうって変わり、苦悩の表情を見せる聖邪。  
あの事件の中ですら、流水音はそんな顔を見てはいない。  
「優希ちゃんが、どうしたの?」  
流水音は、聖邪の言葉を漏らさず聞こうと、身体を大きく乗り出す。  
「いや、優希がどうしたという訳じゃないんだが…元気が無くてな……」  
「そんな事?」  
拍子抜けした流水音の左肩が、かくんと落ちる。  
口をぽかんと開いたまま、挑発するような表情を聖邪に向ける。  
「あ…うむ…。妹は今まで悩み事は残らず打ち明けていてくれていたんだが……」  
「黙っている時でも、俺が聞けばちゃんと話していくれていたんだ。それが…」  
流水音には直ぐに理由が分った。桐生の事だ。  
あの馬鹿、優希ちゃんまで傷つけやがって……。  
「私が優希ちゃんの相談に乗るわ、お兄さん。心配しないで」  
「そうですか!よろしくお願いします。鈴科さん」  
『鈴科さんだぁ〜?』聖邪の豹変ぶりに辟易しながらも、彼に親しみを覚える流水音だった。  
 
「で、ここには何の用で来たの?」  
「………」  
「私を探していた訳じゃ無いようなこと言ってたわよね?」  
流水音の質問に、聖邪はしばらく沈黙を守っていたが、おもむろに口を開いた。  
「実は、この店で微弱な波動が感知されたという事で、実地調査に来たのだ」  
「店の外からは何も感じられないのでガセかとも思ったんだが……」  
「中に入って、どうやら本当らしいと判断した」  
流水音は聖邪の告白に面食らった。心霊管理局のエージェントとしては、守秘義務に該当す 
る事項ではないのか。  
それを、こうもあっさり言ってのけるとは……。  
「このことは、くれぐれも他言無用に願いたい」  
聖邪の深刻な面持ちに、ようやく流水音は合点がいった。  
この男は自分の職務と妹を秤にかけて、妹を選んだのだ。  
流水音の機嫌を損ねまい、妹の相談に親身になって欲しい。それが彼にとって一番の優先事 
項なのだ。  
聖邪の真面目な性格は良く知っている。その彼が仕事上の秘密すら妹のために話す。  
流水音は聖邪に対するイメージを新たにしなければならないと思った。  
『ま、賢いとはいえないけどね。私が優希ちゃんを見捨てるもんですか』  
 
鈴科流水音は、いつもの時間にいつもの道を学校へ向かう。  
道の脇に桜の木が、美しく咲き並んでいる。  
ぱらぱらと道を歩く生徒達、その間を小走りで抜ける流水音。  
親しいクラスメートを見つけては、立ち止まって軽く挨拶を交わす。  
走り出しては、見回して目的の一団を探す。  
『いた!』  
 
仲良く3人が、横一列に並んで歩いていた。舞波優希を中心に、右に桐生真、左に氷狩吹雪。  
朝の楽しげな登校の一幕。流水音は乱れた息を整え、声をかけるタイミングを測る。  
その時、桐生が吹雪に顔を近づけて何か言った。それに対し彼女が桐生に笑いかける。  
『あの野郎〜。見せつけやがって〜〜』  
頭に血が逆流し、眩暈を覚え両足がもつれバランスを崩す。  
街路樹に手をつき、必死に心を落ち着かせようとする流水音。  
もう一度大きく深呼吸をし、意を決して後ろから一団に近寄る。  
 
「おはよう」  
声をかけた流水音に、まず舞波優希が振り返った。次に氷狩吹雪がこちらを向く。  
お互いに笑顔で挨拶をすると、最後に桐生が顔だけ後ろに向けて、面倒くさそうに言った。  
「なんだ、流水音か」  
『あぁ〜?なんだその態度は〜!』  
流水音は毒づきそうになる口を押し止めつつ、引き攣りそうになる顔を必死にこらえ、  
さらに口元を強引に上げ、笑顔に作り変えようとする。  
舞波と氷狩は流水音の怒りを敏感に感じ取るが、桐生と流水音は彼女の不自然さに気が付 
かない。  
「最近、遅いんじゃないのか」  
吹雪が流水音に声をかける。流水音は一瞬たじろいだが、すかさず用意していた言い訳を 
口にする。  
「ちょっとね、ピアノの練習」  
「そうか。流水音のピアノ、また聴かせてくれ」  
「うんっ!」  
流水音は氷狩に元気良く答えたが、別の不安が心をかすめる。  
今の自分は、かつてほど音楽に熱中できなくなっている。  
自分はいつまでたっても満足することはできないのではないか。最近はピアノに触れてす 
らいない。  
「そうだな。流水音には思う存分ピアノを弾いて貰って、成仏してもらわないと」  
流水音の心を見透かしたかのように、桐生が笑顔で言った。  
「!!!」  
桐生を除いた3人が固まり、舞波と氷狩が流水音の顔色を横目で窺う。  
そして、意外とさばさばした笑顔に二度驚く。  
「そうだね。早く成仏して新しい人生始めなきゃ」  
流水音は青空に浮かぶ雲に向かって高らかに言った。  
 
「鈴科先輩……」  
鈴科流水音は何もする気が起こらずに、美術室で漫然と時間を過ごしていた。  
自分の名を呼ばれても全く反応できず、冷えた煎茶に手を伸ばそうとした。  
「ひっく……ぅぅ」  
その時耳に入った女の子の泣き声に、流水音ははっと振り向いた。  
部室の入り口に、舞波優希が顔をぐしゃぐしゃにして立っていた。  
「どうしたの、優希ちゃん!」  
流水音は舞波に駆け寄り、彼女を美術室に引き入れると、静かに戸を閉めた。  
美術部の活動休みで、放課後部屋にいたのはあてもなく時間を潰していた流水音一人だけ 
だった。  
流水音は優希にきれいなハンカチを渡してやり、彼女に涙を拭くよう言うと、  
小刻みに震えた肩を支えながら、自分がくつろいでいた椅子まで押していった。  
優希の正面に優希の席を作ると、彼女を座らせ自分も腰を下ろした。  
「何があったの、優希ちゃん」  
 
流水音は温かい煎茶を入れながら、舞波優希に聞いた。  
彼女は初め、何も語ろうとしなかった。  
しかし、流水音が入れたお茶を飲み、落ち着き泣き止むにつれ、徐々に語り出した。  
 
同学年の男子に告白された事、好きな人がいるから断った事、  
それでもしつこくさ、3日前にはっきりと断った事、  
彼が、諦めるから好きな人は誰か教えてくれと言った事。  
そして彼に名前を教えた事…。  
 
これだけなら、何も問題の無い出来事だった。  
純情な男の子と女の子、その片想いの一類型だ。  
しかし、事はそれでは終らなかった。  
彼は優希が想いを寄せている上級生に直に会いに行ってしまったのだ。そしてこう言う。  
『彼女はあなたの事が好きだと言っている。あなたの気持ちはどうなのか』  
『あなたが彼女を好きだとしても、僕はそれ以上に彼女を愛していると断言できる』  
『あなたが彼女と一緒になると言うのなら、彼女を幸せにできるのか。』  
『その覚悟と自信があるのか聞かせて貰いたい』と。  
 
流水音は堪らず右手を額に当ててうめいた。これでは優希が幸せになる道理が無い。  
彼が会いに行った上級生も、その返事も容易に想像がつく。  
そしてその想像が正しいからこそ、優希がここにいるのだ。  
「桐生先輩が私の所に話があるってやって来て……。それで…」  
流水音は優希の言葉を待たず、うつむいた彼女の顔を両手で優しく包んだ。  
「優希ちゃん、あの鈍感馬鹿は諦めるしかないよ」  
流水音はそう言うと、自分の額と優希の額をこつんと合わせた。  
「鈴科先輩……」  
「私もあいつの事が好きだったんだ。だけどあいつは、吹雪の事が好きなんだよ」  
「とっくに勝負は着いていたのに、自分を誤魔化して逃げていたんだ、私は」  
自嘲気味に、今朝痛いほど思い知らされた事を優希に言って聞かせる。  
二人の瞳から、大粒の涙が溢れ出した。  
「鈴科先輩!」  
 
感極まった舞波優希が鈴科流水音の胸に飛び込む。  
流水音も心の欠落を埋めるかのように、舞波を受け入れる。  
舞波は鈴科の首にしっかりとしがみ付くと、声を上げて泣き出した。  
 
「優希ちゃん、このままじゃ危ないから……」  
流水音はそう言うと、一度舞波と共に立ち上がり、改めて床に腰を下ろす。  
しがみ付いて離れない優希。泣き止まない彼女。  
流水音は自分の悲しい気持ちを押し殺し、舞波の背中をさすってやった。  
 
しばらくして、奇妙な感覚に流水音は襲われた。  
自分の胸が熱くなっている……何故?違和感は決して彼女の気のせいでは無かった。  
いつの間にか優希の手は背中に回され、自分の背中を擦っているではないか!  
「優希ちゃん……」  
『どうしたって言うの?』口にまで出かけた言葉を、流水音は飲み込んだ。  
ゆっくりと顔を上げた優希が、意を決して告白する。  
「鈴科先輩……私、先輩のことが好きなんです」  
「えっ!だって優希ちゃんは桐生の事が?」  
予想外の言葉に、流水音は自分を見失う。  
「もちろん、桐生先輩のことは大好きでした。だけど…桐生先輩は氷狩先輩のことが……」  
 
「あいつがそう言ったの?」  
流水音は思わず聞き返した。  
「はい……」  
流水音は頭を打ちつけられたような衝撃を受けた。  
やはり!というよりも、そんな!という気持ちが彼女の中を駆け巡る。  
「鈴科先輩……?」  
流水音の異変を肌で感じた舞波は、おもむろに顔を上げて彼女の様子を窺う。  
「な、何?優希ちゃん」  
動揺を悟られまいと、必死に取り繕う流水音。  
そんな彼女に舞波がすがるように言葉を繋ぐ。  
「だから…、私。勝手な事は分っているんです!でも…鈴科先輩にまで拒絶されたら私… 
…!」  
「そんな事は無い!私、優希ちゃんのこと好きよ」  
「違うんです!ついさっきまでは私も先輩の『好き』と同じでした」  
「でも…先輩に優しくされて。背中を擦ってもらっているうちに……変な気分になってき 
て」  
「もっと先輩に触って欲しくなってしまったんです!」  
次々に襲ってくる舞波の悲鳴のような告白に、流水音は感情を処理しきる事ができず、  
舞波の背中をさするのも忘れ、目を宙空に泳がせる。  
 
「んっ!」  
呆けていた鈴科流水音を現実に引き戻したのは、  
舞波優希の柔らかい唇だった。  
自分のとは比べ物にならない、まるでマシュマロを押しつけられたかのような感触。  
舞波は流水音と口付けを交わしつつ、背中に回していた手を流水音の胸元に持ってくる。  
「優希ちゃん?」  
「先輩……じっとしていて下さい」  
舞波に言われ、彼女の手を押えようとした両手を中途で止める。  
舞波は邪魔するものを退けると、両手で悠々と流水音の胸のボタンを外していく。  
とうとう流水音の胸元が開かれる。  
「きれい……」  
舞波が感嘆の言葉を漏らす。  
流水音は舞波に促されるまま、両手を下げて上着をするりと後ろに落とす。  
下着にスカートという姿にされて、流水音は恥かしさに顔を赤くする。  
すかさず舞波が流水音に身体を預け、彼女を押し倒す。  
自分の上着の上に組み敷かれた流水音は、気が動転したまま動けなくなった。  
舞波が覆い被さり、彼女の唇を奪う。  
「んっ……」  
流水音は今何が起こっているのか冷静になろうとした。  
一体私は何をしているんだろう?4歳も年下の少女に組み敷かれ、  
胸元を隠す下着まで剥ぎ取られようとしている。情けなくて泣けてきそうだ。  
「あっ…」  
流水音の口から思わず言葉が漏れる。  
自分の胸を優希に触られて、その柔らかな手に心地良くなってしまう。  
舞波はようやく流水音が自分を受け入れているのだと実感すると。  
彼女の突起を中心に小さな手で隙間無く愛撫する。  
流水音は最初こそ喘ぎ声を上げてしまったものの、その後は迫り来る快感の波に良く耐え 
ていた。  
片方で快楽に心を削られながらも、もう片方では理性の砦を築き、戦線の崩壊を阻止しよ 
うとする。  
しかし舞波の唇が流水音の唇を離れ、双丘の突起に吸い付くと、びくりと身体を痙攣させ 
た。  
 
『自分は犯されている』  
鈴科流水音がそうはっきり認識したのは、  
舞波優希に舌で乳首を弄られながらスカートを脱がされている時だった。  
 
下半身に一枚つけているだけの姿にされてしまい、  
すぐに最後の下着も膝まで脱がされてしまうと、舞波がそこを舐め始めるまで間もなかっ 
た。  
「優希ちゃん、やめて……」  
「先輩…遠慮しないで下さい。私は先輩に気持ち良くなって貰いたいだけです」  
「駄目なら、もっと丁寧にやります」  
かわいい少女に、大事なところをぺろぺろ舐められて、流水音が全身の力が抜けてしまっ 
た。  
外といわず、中といわず、ひたすら休まず愛撫され続けた彼女は、身体が熱くなってくる 
につれ、少女への愛おしさが溢れてくるのを感じた。  
「優希ちゃん、指を入れて……」  
とりあえず自分の高ぶった心を静めなければならない。全てはそれからだ。  
流水音はそう判断すると、舞波に懇願するように言った。  
 
「は、はい!」  
積極的に自分を受け入れてくれる流水音に上目で感謝の眼差しを向けると、  
白く細い指を、恐る恐る流水音の割れ目に差し込む。  
「あっ!」  
柔らかくて可愛らしい指が入ってくる。  
これが桐生の指だったらどうか。それは別の意味で興奮したかもしれない。  
しかし、他を圧する快感はどうだ。あの硬い指では不可能だ。  
舞波はいつも自分でやるよリ深く、右手の人差し指を流水音に挿入すると、  
流水音の突起を左手で軽くつまむ。  
「先輩のが立ちました!」  
舞波が喜びの声を上げる。羞恥とともに勃起した部分がより一層敏感になり、  
舞波の羽毛で撫でられているような優しい指使いに、流水音は意識が朦朧としていく。  
「優希ちゃん、中をもっとお願い」  
舞波は流水音の意図を察すると、わずかに入れた指を、膣をなぞるように動かす。  
「!!!」  
敏感な部分を責められ、流水音の大胆さはどんどん増していく。  
「かき回して!」  
舞波はクリトリスを強くつまむと、流水音に突っ込んでいる指を増やし、様々な方向に動 
かす。  
「あ、あんっ!」  
流水音の羞恥心はどこかへ消し飛んで、彼女は快楽だけを貪る。  
舞波は指を深く突っ込んで、入り口を更に広げつつ、挿入しては引き抜く運動を繰り返し 
た。  
「ああ、あーっ!」  
流水音は学校にいることも忘れ、絶叫を上げた。  
果てた彼女を見て優希が言った。  
「すごくえっちな気分のままだ……どうしよう」  

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