Lの季節  

『雨が降ったら、またおいで』  
昨日の記憶が蘇る。ぬめる舌の感触も蘇る。  
あの時は、勢いで頷いてしまっていたが………  
(おいで、って言われても)  
そこでホイホイ動ける上岡ではない。電車の中で頭を抱える。  
(あれ、絶対忘れてたよなあ)  
―――――――――――本気で帰ろうかなと思う上岡であった。  

時を放課後の理科準備室に遡る。  

 
 

意を決して理科準備室を訪れた上岡に一瞬、怪訝な目が向けられる。  
「………?ああ、そうか」  
窓に叩きつけられる雨滴に目をやり、まるで今思い出したかの様に言って、  
メモ用紙に何事か書き込む。そして手招き。  
「はい?」  
期待半分、不安半分で近づく上岡。  
草壁がすっくと椅子から立ち上がり、上岡に耳打ちをする。  
「ここじゃマズいから」  
くしゃ、と制服の胸ポケットに先程の紙がねじ込まれる。  
ついでに耳も甘く噛まれる。  
「っ!?」  
息をのむも、相手の意図が理解できずにその目を見返す。  
草壁は、察しが悪いねえ、とばかりに苦笑し、  
「私の住所。7時過ぎ」  
まるで、軍隊の通信の様だと思う上岡。  
「さすがに、一緒に行くわけにもいかないだろう」  
とん、と胸を押される。退室してよし、だ。  
一応、おざなりにだが礼をして理科準備室を出た。  

* * *  

ご丁寧に地図つきであった紙片のお陰で、二駅先の草壁宅にすんなりと辿り着く。  
何の変哲もない、住宅街。  
わざわざ探したのかどうかは知らないが、近所に酒、煙草共に扱っているコンビニがある。  
(ここ、か)  
アパートの名称を確認する。  
表札は………102 草壁。間違いない。  
すう、はあ、と深呼吸。ニ、三回の後、チャイムを押す。  
ややあって、がちゃ、と鍵が開き、ドアまで開かれる。  
無用心だなあ、と思う。誰か、位聞くべきではないだろうか。  

「いらっしゃい」  
いつも通りの気だるそうな表情。当然の様に咥え煙草だ。  
ただ、その格好はよれたワイシャツと七分丈のパンツ。  
―――――――――いつにも増して適当だった。  

「お邪魔します………」  
すたすたと奥に入って行く草壁の背中に向かって挨拶。  
1K………まるで上京した大学生の様だ。らしいと言えばらしい。  
雑誌、ビールの空き缶、それを利用した灰皿、そういった雑多な物が、  
程よく散らかったり、片付いたりしている辺りがリアルだった。  
「何か珍しいものでも?」  
「ぁい?」  
間抜けな返事。  
「まあ一応女性の部屋だ、興味が湧くのも無理はないのかも知れないが………」  
確かに興味深かった。都合の良い幻想など木っ端微塵の破壊力だ。  

また少し大人になった上岡に、  
「あ、そのソファーにでも座っといて」  
声がかけられ、大きめのソファー………ソファーベッドに大人しく腰をかける。  
いかにも眠りづらそうだ。手でその硬さを確かめる上岡をよそに、  
冷蔵庫を物色している草壁。  
(からかわれているのかなあ………)  
本日の目的は、例の続きである。  
緊張を押し殺していたものの、あまりにマイペースな草壁の様子に毒気を抜かれそうになる。  
意を決して口を開く。  
「あの、先生――――」  
「喉は?」  
「あ、少し」  
挫折。飲み物どころではないのだったが。  
缶が投げ渡される。危うく取り落としそうになる上岡の隣に、  
プルタブを開けつつ腰を下ろす草壁。  
「………ビールじゃないですか」  
「嫌いかい?」  
「いえ………」  
嫌いとかそういう問題じゃない、と思いながらも、ぷし、とプルタブを開ける。  
精神的なものもあるのだろうか、からからに乾いていた喉が心地よく潤されてゆく。  
苦笑する草壁から二缶目が手渡される。  
草壁はツマミの様に煙草を吸い、上岡が飲み干した缶に灰を落としている。  
少量の酒ではあるが、若干気持ちが緩む。  

「せんせ――」  
「上岡君」  
またしても遮られる。  
「続き」  
上岡が外堀を埋めてから聞こうとしていた事を易々と教えてくれる。  
先程から咥えていた煙草を揉み消し、殆ど空になった缶をテーブルに置く草壁。  
ソファーの背もたれの間接部分がバキキ、と音を立てて倒され、ベッドの形を成す。  
上岡のブレザーに手がかけられる。  
「は、はい」  
そこまで来て初めて返事が出来、自分のネクタイに手をかける上岡。  
「ああ、いいよじっとしてて」  
「は?」  
声が裏返る。  
「ご褒美だって言っただろう?」  
くすくすと楽しげな口調。頬が熱くなる。  
「ま、色々な疑問を解消したいのかも知れないけどね」  
両肩を押され、肘掛(枕?)に頭があたる。  

ボタンは外さず、スウェットの様にワイシャツを乱雑に脱ぎ捨てる草壁。  
下半身も同様に外気にさらす。  
あまり陽にあたらない草壁らしく、生白い肌が露にされる。  
これから何をするのか、と言うことが上岡の中で現実味を帯びた。  
草壁はというと、上岡の心情はなんとなく理解できるものの、  
目を思いっきり逸らされ、なんとも複雑な表情を浮かべている。  
上岡に跨った草壁が、彼のネクタイ、シャツのボタンを外してゆく。  
時折、指の甲が胸板をかする。その度にぴくりと上岡の眉が動く。  
もぞり、とズボンの布を押し上げてきたもの。それによって軽く草壁の秘裂が刺激される。  
「ん………」  
低く声を洩らす草壁の手によって上岡のズボン、下着共にずり下ろされ、床に落ちる。  

「ちょっと………待っててくれ」  
既に準備が整ってしまっている上岡に声がかけられる。  
わずかながら潤っている草壁の秘裂が、上岡のモノに押し付けられる。  
「う………」  
草壁の動きに伴い、しゅ、と茂みが陰茎をこする。  
その音が湿り気を帯び始めるのに、大して時間はかからなかった。  
「はぁ………っ」  
胸から絞るように息を吐く草壁。  
片手で自分の胸をこね回し、空いている方の手で  
つう、と上岡の首から鎖骨までの間を指でなぞる。  
身体の下で大袈裟に反応する上岡を見下ろし、満足げに微笑む。  

「もう………いいかな」  
草壁の腰が持ち上がり、入り口に先端が添えられる。  
そのまま一気に腰を下ろす。  
「ふぅ………っっ」  
草壁が溜息にも似たそれを吐き、上岡の肩に突っ張った腕を硬直させる。  
体内のものがびくりと動くたびに内壁のあちこちが擦られ、痺れるような感覚が這い上がる。  
「あ、つっ………っ!っっ!」  
必死、という形容がぴったりな上岡。  
口の中とは明らかに異なる、高めの温度と全体が包み込まれる感覚。  
ばり、と猫の様にソファーに爪が立てられる。  
「気持ちいいかい?」  
髪を撫でつけられ、問われる。こくこくと頷く。  
「じゃあ、これは?」  
きゅ、と突然締め付けられる。  
「うぁ!?」  
こんな不意打ちに耐えられる上岡ではない。  
「ん………」  
膣奥が叩かれる、と言っていい程勢い良く放たれた精液を受け、  
ぶるりと背を震わせる草壁。  
その身体が前に倒れ、上岡の胸に硬くなった乳首が押し付けられた。  

若干の判断力を取り戻すと同時に、  
自分が何をしたかを自覚した上岡の背に冷たいものが走る。  
先刻から上がりっぱなしなその顎に舌に草壁の舌が這わされる。  
そのまま、唇の脇からだらしなく零れている唾液を掬い取り、  
「………大丈夫」  
とだけ短く言った。さらに、  
「あんまり無節操にイってるともたないよ?」  
意地悪く言って、感触を確かめるようにゆっくりと腰を回し始める。  
射精したばかりで中途半端な硬さになっているそれを責めたてられ、  
「せ、んせ、ちょ、待って、」  
草壁の二の腕に指が食い込む。  
緊張によって呼吸が上手くコントロール出来ず、咳き込むような声しか発することが出来ない。  
動く度に、両者の体液が交じり合ったものが結合部から溢れる。  
「少し、良くなってきたかな………」  
更に熱さを増す草壁の膣内。  
「ぁぁっ………っ!」  
ただただ刺激に反応する喉、ぼんやりと霞む上岡の視界。  

 

数分後。  
どうにか達するのをこらえている上岡と、貪欲に動きつづける草壁。  
軋むソファーの音と、押し殺したような声のみが部屋に満ちている。  
ピク、と時折身脈打つ草壁の下腹部。汗で密着した上岡の肌に直接それが伝わる。  
彼女の長い髪の隙間から、時折蛍光灯の光が洩れる。  
柔らかな乳房の曲線を辿って、こちらに零れ落ちる汗がそれを受けてきらめく。  
「あ………なんか、きれい、ですね」  
思ったままを口にし、手を伸ばす。  
体内とは対照的な、低めの体温が掌に心地良い。  
愛撫とは異なる、純粋に触れたいから触れている、といった幼児的な触り方をする。  
「?………っそ、そう」  
そっけなさを装う口調。裏腹に、  
「先生………そんなに、されたら、っくっ………」  
身体は勝手に、上岡を追い詰めてしまっていた。  
直後、草壁の膣内にニ回目が放たれる。  
上岡の指に力が込められ、草壁の胸が大きく形を変える。  
それに伴う若干の苦痛は全く意に介さず、  
「はあ…っ………もう一回、もう一回だけ、な?」  
喘ぎながら上岡の髪を掻きあげ、露出した額に浮いている汗を舐め取る。  
返答を待っているのか、その腰は上岡に押し付けられたまま動かない。  

「先生………」  
今度はゆっくりと上岡が動き始める。  
徐々に硬さを取り戻し始める上岡のモノに軽く小突かれると、  
草壁の中で浅い快楽の波が生じ、引いてゆく。  
もどかしげに眉を寄せる草壁。  

「上岡君………さっきみたいに」  
「は、はい?」  
「ほ、ほら、きれいとか………」  
語尾の方はゴニョゴニョとはっきりしない。  
が、彼女が何を求めているのかは、はっきりと察する事が出来た。  
先程までとは明らかに違った情動が濁流のように押し寄せる。  
内圧で心臓が押し潰されるような感覚。  
たまらなくなり、勢いよく上体を起こし、彼女を正面から思い切り抱きかかえる。  
「っ!」  
今までとは違ったところを抉られ、息をのむ草壁。  
震える彼女の耳に口を寄せ、  
「草壁先生………可愛い………」  
望み通り、素直な感想を囁く。ですます調は意図的に排した。  

「!なっ………ぁ、あっ!」  
顔を真っ赤にし、何事か言い返そうとした草壁だが、  
上岡にすかさず突き上げられ、それを阻まれる。  
「中、暖かいし」  
背筋を指先で撫で上げる。  
ぶるっ、と面白いように反応する。  
「肌とか、少し冷たくて柔らかくて気持ちいい………」  
それを確認するように胸元に頬を寄せる。  
リズムに変化をつけて突き上げながら、ただただ思うままに言葉を発する。  
草壁はその度に身を震わせ、愛液を溢れさせた。  
「んっ………あっあっ………っ!」  
上岡の肩に指が食い込んできた直後、ぎゅう、と膣内も収縮する。  
草壁の呼吸に合わせて軽く痙攣を続ける体内。  
その刺激では、二度も放っている上岡を絶頂に導くことは出来なかった。  

上岡自身の快楽のみを求め、激しく草壁の体内が掻き回され始める。  
それにより、がくがくと草壁の身体が揺さぶられる。  
「っか、は………っ」  
今度は草壁の余韻に浸る間が奪われる。  
ただ己の内を満たしている何か、それにひたすら貪られている感覚のみがある。  
苦痛に身を強張らせるも、それは上岡を悦ばせるものでしかなかった。  
「か、上岡く、ん………あっ………うぁっ」  
言葉を発することも許されず、嬌声を上げ続ける。  
そんな草壁の様を見ていると、どこか後ろ暗い昂ぶりを感じる。  
瞼、頬、鼻梁、唇、と所構わず舌を這わせ、至近距離で草壁の吐息の熱さを実感する。  
半開きのその唇に舌を滑り込ませる上岡。  
「ん、んぅぅ………っ」  
ぐらり、と据わりを失っている草壁の頭部を右腕で固定し、深く深く舌を差し込む。  
同時に、二度、三度、強く腰を打ち付け、ようやく来た三度目の欲望の塊を吐き出す。  
「んっ………ぉ………ふ………」  
上岡が達したのを感じ、草壁の表情が安堵に緩む。  
仰向けに倒れようとするその身体に任せ、覆い被さる上岡。  
互いに口を吸いあったまま、二人はしばらくつながったままでいた………  

 

息も整い、上岡が草壁の身体から離れる。  
ずるり、と硬さの失われたそれを引き抜くと、  
「んっ」  
低く声をもらす草壁。  
上岡自身もぎょっとする程大量の白濁が溢れ出ている。  
「………大丈夫だって言っただろう?」  
いつもの調子で語りかけられる。自分よりはるかに立ち直りが早い。  
なにせ既に煙草の箱を覗き込んでいる程だ。  
まあ、薬なり日にちなり色々と対処していたのだろう、とは上岡の判断。  
「はあ」  
気のない返事。というか、なんと言ってよいやら。  
「まあ次は避妊具くらい持ってきてくれると助かる………そんな事よりも」  
上岡の頬がペチペチと軽く叩かれる。その頬に手を当てる上岡。  
「ちょっと、キツかったよ」  
囁かれた言葉の数々に対してか、やや強引な行為に対してか咎められる。  
先程までの乱れぶりが脳裏によぎる。  
「………すみません」  
「君、本当に素直だねえ」  
くっくっと笑い、上岡の頭が撫でられる。  
上岡はからかわれている事を理解するが、その優しい手の感触に何も言い出せなくなる。  
まあ次の機会には、次があるという事は………次は………  
頬の筋肉が引き攣る。  
草壁の笑顔に、薄ら寒いものを感じる上岡で合った。  

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