[妹の幸せを願う兄?]  
 
前回のあらすじ。  
クーことクード=ヴァン=ジルエットはレンへの好意を断ち切ってまもなく告白されたシスカ(コードネームの為、本名知らん)と肉体的関係を持ってしまい悩んでいた、そんな時、レンことレヴェリー・メザーランスに告白を受けそうになる  
せっかく断ち切った想いを再び起こしてしまう恐怖から一度は拒絶する、そのことをシスカに打ち明けると彼女はクーを助けるようにレンを受け入れてもいいと了承する、クーは戸惑うがシスカの優しさ溢れる(?)説得によりレンの場所に向かう  
そして彼女の告白を受けると同時にレンを押し倒し性交をしてしまう、お互いの気持ちが伝わり喜びと照れくささを心に刻みながらキャンプに帰るが、そこにはキーアのおかげで完全Mに目覚めたシスカが待ち受ける…  
ローも無事に合流して(いや置いていったんだが)街に向かう一行…  
そして今、このサンちゃん先輩ことサンウェルドが長期滞在している街でシャルロというエディルレイドとの新たな出会いが起きる…クーはそのことをまだ知らなかった…。  
 
 
「やっと着きましたわ!」  
「もう身体がボロボロですよ…」  
「あーーー!お腹すいた!お腹すいた!」  
アークエイルの皆様方はグテグテになりながら街の入り口の門で叫んでいる、残りの二人はというと…。  
「レン、疲れてないか?」  
「うん、大丈夫…クーは?」  
「俺は平気だぜ」  
3人とは空気が違う雰囲気をかもしだしている、そこだけ何故か惚気オーラが漂っているのだ。  
「クーさん…私も…わだじもぉー!」  
「うわぁ!」  
先頭にいた筈のシスカが涙と鼻水を出しながらクーに飛びついてきた、クーは化け物と思いそのままレンを引っ張って横によけた、シスカはズザーっと滑っていき砂煙を上げてとまる、そしてクーは反動でレンを自分の上に乗せてしまう結果となって。  
「わ、悪い!レン…痛くなかったか?」  
「ううん…クーが受け止めてくれてるから…クーの方こそ…」  
「だから、大丈夫だって」  
さらに惚気オーラが広がりローウェンとキーアに多大なる影響を及ぼす、ローウェンは何とか保っていた身体の態勢を崩して門に頭をぶつけ、キーアは目をぎらつかせて「フーフー」と暴走しそうになっていた。  
クーはレンを起き上がらせると自分も立ってレンの服についた埃を手で払ってあげた。  
「ううう、クーさぁん…私のこと嫌い?」  
転んだときに顔を打ち付けたのか鼻がすれて真っ赤になって泣きそうな顔のシスカがクーに尋ねた、クーはその泣きそうな顔にいつもとは違うシスカを感じて胸を打たれた。  
 
「そ、そんなことない!俺はシスカのこと好きだ!さっきはちょっと吃驚しちまって…」  
「クーさん…分かってます、分かってますよ!あなたが私を愛してくれていることは、ただちょっと甘えてみたかっただけですの」  
涙を指で払いながら喋るシスカ、クーは二カッと笑顔を見せてやる、とシスカは抱きつきたいのを抑えていたのかまた飛びついてきてクーに抱きついた。  
「やっぱりクーさんは優しいです!ああ、クーさん!クーさぁん!」  
「や、止めろよ、痛い痛い!」  
小さな身体から出るパワフルさでクーを抱きしめる。クーは骨が折れそうなシスカの抱きつきにされるがままだった。  
「あの〜とても言い難いことなんですけど…そろそろ街に入っていただけないでしょうか?」  
門番の人がドロドロの仲むつまじき一行を見てられなくなったのか話し掛けてきた。  
「お楽しみは街の中で…いろいろこっちも大変なので…」  
「あ、申し訳ありません!すぐに行きますので!ほ、ほら先輩!」  
門に頭をぶつけてたローウェンが深々と門番に謝りながら皆に手でこっちこっちと招いた、3人も見られていたことに気づいて、顔を真っ赤にしながら門番に謝るとそそくさと街の中に入った。  
「そういえばキーアは?」  
キーアがいないと気づいたローウェンがキョロキョロと探すがその姿はない、するとシスカが人差し指で街の中の道で暴れている人を指していた。  
「あれ…あそこで暴走しているの…違います?」  
「ああーーー!どうしよう!あの様子じゃ絶対!人襲っちゃうよぉーー!」  
キーアの暴走はローウェンにとっては死活問題、ただでさえ食べ物と間違えて人のお尻を噛んでしまうのだ。  
 
「わ、私達も追いますよ!クーさん、レンさん!」  
「はいはい…なんでこうも街に行く度疲れるかなぁ…」  
「クー…早く行こう…」  
レンがトントンとクーの肩を叩く、クーはやる気のない顔で答えるとレンの手を引っ張って街の中に走っていった…。  
 
 
「ふぅ〜、連日の仕事も大変だねぇ〜」  
宿の部屋に篭り、机の上にある書類を一枚一枚処理していく一人の青年、ほんわかとしていて掴み所がないこの青年の名前はサンウェルド、そうシスカとローウェンの先輩、通称「サンちゃん先輩」である。  
「終わった?サンちゃん」  
そしてサンちゃんのパートナーのエディルレイド、シャトン・バド・ウオルスローズ…通称「シャルロ」も一緒だった。  
「ま〜だまだだよぉ〜、後こんなに残ってるんだ〜」  
ドサッ!50cmはある書類の山が机の上に置かれる、シャルロの顔は青ざめるがサンちゃんは「あはは」と笑っている。  
「なんでそんなにお気楽でいられるのよー」  
「だって〜忙しいってことは〜生活が充実してる証拠だよ〜」  
にこにこしながらまた一枚一枚処理していくサンちゃんにシャルロは溜息をつく、サンちゃんの働きっぷりだけではなく妙に体がダルイからだ。  
「サンちゃんには悪いけど、私、食事してくるね」  
「うん、いってらっしゃ〜い」  
顔色一つ変えずに手を振るサンちゃんを見ると、ゆらゆらとシャルロは部屋を後にした…。  
 
 
「ありがとう、クー…僕一人じゃ取り押さえること出来なかったと思うよ…」  
「ローウェン…お前いつもこんなの相手にしてるのか…」  
宿屋の椅子に座り汗だくで俯いている二人、特に、初めてキーアを抑えるのを手伝ったクーは死にそうな顔をしている。自分のせいで二人がこんなになっている事なんぞどうでもいいようにキーアはテーブルに並べている料理を貪っている  
レンは疲れていたらしく宿に入ってすぐに部屋に入って寝てしまった。  
「あー、美味しい!これこそ私の至福の瞬間!」  
「よく食うよ…俺達の苦労も知らずに…」  
ぶつくさと文句をいっているクーはふとシスカを思い出す、キーアを取り押さえている最中にアークエイル支部の使者に捕まり強制的に連れてかれたときを…「クーさぁーーん!今日は寝せませんよぉーーー!」と言ったあの言葉…時間が進むにつれ胃に変な圧迫がかかる。  
「俺…ちょっと寝る…夜寝れないし…」  
「はは…頑張ってね…僕たちも支部に行くしかないから…先輩によろしく言っとくよ」  
クーはローウェンの方を向き「ああ」と言った。何故かローウェンの鼻には布が詰められている。  
「想像しただろう…シスカの…」  
「う、うん…それ以上言わないで…また死んじゃうから…」  
クーは苦笑しながら宿の2階に繋がる階段のほうに歩いていく、俯いて今夜の恐怖を拭う様に頭を振る。  
「あーあー、やだなぁ…あれするしかないのか…ん?あ、危ない!」  
階段に足をかけた瞬間、2階から足を崩したのか少女が転びそうになっていた、クーは急いで駆け上がるとその少女を支えて声をかけた。  
 
「お、おい!怪我はないか?」  
「う、う〜ん…だ、大丈夫…ちょっと足を………あっ…」  
その少女は桃色の髪に頭くらいあるリボンをしている…シャルロだった…顔は苦しそうな顔をしており息が荒い。  
「き、君は確か…」  
「…クード君…どうしてここに?」  
「ここに寄ったからいるんだろう…それに疲れたから眠ろうとしたらシャルロが階段から落ちてきたんだよ」  
「クード君がいるってことは、キーアお姉さまもいるの?」  
「ああ、あそこで食事してる……どうしたんだ?」  
シャルロはクーに支えられながらボーっとしている、視線はキーアではなくクーを捕らえて離さない、理由は一つ…発熱のせいで思い込みの激しいシャルロの視点ではクーの凛々しさが45%UPしているのだ。  
ちなみにさっきの会話は…。  
45クー「おっと!怪我はないかい?シャルロ…」  
シャル「う、う〜ん…だ、大丈夫…ちょっと足を………あっ…」  
45クー「ふふ、俺がいないと本当にだめな子猫ちゃんだ、君は…」  
シャル「…クードおにいさま?…でも何でここに?」  
45クー「何故か?それは君を迎えに来たのさ…愛しいシャルロ…もう一生俺の物だぜ…」  
シャル「はい…シャルロは…もうクードおにいさまのものです…」  
みたいに会話も脳内変換されている。  
「(クードおにいさま…)」  
「おーい、聞こえてるかぁー?もしかして…頭打っちまったか?」  
クーはシャルロの眼前で手を振っているがまったく気づいていない、クーは片手で頭をぼりぼり掻く。  
 
「どうしたの〜クー?」  
階段のところでいつまでも留まっているクーにやっと食べ終わったキーアが気づき話し掛けた。  
「キーアお姉さま!」  
クーの支えから抜け出すと一気にキーアの元に走っていくシャルロ、クーはそれを見るとまた苦笑してゆっくりと階段を上りながら悩む。  
「あっ!クード君!」  
シャルロの呼びかけで立ち止まるクー、シャルロはモジモジしてじれったい態度だった。  
「何?」  
「あ、あの…その…ありが…とう…」  
シャルロのお礼に無言で笑顔を見せるクー、それを見てボーっとしていたシャルロは気づいた…自分の心臓が高鳴っていることに…私…初めて男の人でドキドキしている…クードおにいさま…  
シャルロの表情は恋する乙女になっていた。  
「シャルロ?どうしたの?顔真っ赤よ…」  
キーアはシャルロのおでこに手を当てると少し熱っぽい感じがした、風邪かな?とキーアは思う。  
「クードおにいさま…」  
2階のクーの部屋を見ながら「クードおにいさま」と小言でしゃべるシャルロを見てキーアは。  
「(ははーん…風邪もあるけど、シャルロ…クーに恋心抱いてるね…このまま引っ付けば私への被害も少なくなるわね…)」  
と変な野心を抱いていた。  
「キーアお姉さま…シャルロ…病気かも…」  
シャルロはキーアの腕を掴むと気だるい感じで話し掛けてきた。「(相当きてるみたいだね)」とキーアが心の中で独り言をいう。  
「きっと風邪よ、もう寝たほうがいいわ」  
キーアはシャルロの頭を掴まれてない方の手でポンポンと叩いた。  
 
「そ、そうよね、きっと…風邪ですよね…キーアお姉さま…」  
「うーん、でも違うかもしれないわよ…多分…いや…シャルロにはありえない話よね…」  
わざとシャルロに聞こえるよう一人でぶつくさと喋るキーア。  
「えっ!一体なんですか!?キーアお姉さま!」  
キーアの腕に抱きついて答えを求めるシャルロにキーアは焦らす様に「絶対に違うわよ〜」等と言っている。シャルロは絶対に答えてもらおうと腕を放さずにいた。  
キーアは(これくらいでいいかな)とタイミングを計ってシャルロに話し掛けた。  
「恋…かもしれないわ…」  
「こ、恋…?」  
「んー、でも違うわよね、思い当たるパートナーのサンちゃんだって良き兄みたいな人なんでしょう?…ローは絶対無いし…」  
「何で僕は絶対無いんですか…」  
キーアのきっぱりとローは無いと言ったのに対して疑問を投げかけるローウェンだがまったく聞いておらず話は進む。  
「後は…クーだけよね〜、まぁそれも可能性は0…一体誰かしらねぇ…」  
「クードおにいさま…!」  
クーの名前が出た瞬間、シャルロは抱きついていたキーアの腕を放して階段を爆走していった。キーアはにやにやしながらそのシャルロを見送った。  
「ふふふ…ビンゴね…」  
「いいの〜?シャルロをクーに誘導して、クーにはレンちゃんと先輩がいるんだよ?」  
「あ…完璧に忘れてたわ…な、何とかなるでしょう!おばちゃーん肉追加ねー!」  
自分が仕掛けたことを反省の色も見せずにまた食べようとしているキーア。ローウェンは手を合わせて「神よ〜我が友クード=ヴァン=ジルエットに光と慈悲を〜」と一生懸命に祈っていた。  
 
 
「狸寝いりしてシスカ回避するかなぁ…でもそんなことしたらミサイルぶっ放して起されそうだしなぁ…」  
シャルロに好かれたことも知らずに今夜どうするか悩むクーは静かに部屋に入ると、ベットに倒れるように寝込んだ。  
「怖いなぁ…ああー眠れねぇ!」  
ベットのシーツを掻き乱しながら暴れる、シスカとの交わることが快感よりも恐怖で襲ってくる。  
「仕方ない、散歩でもしてこよ…考えても逃げられないし…」  
落ち着かない心を気分転換で静めようと、クーはベットから立ち上がり部屋を後にした。  
部屋から出てドアを閉めようとした時…前から何かが走ってくる、それは先ほど下の階から爆走してきたエディルレイドの少女シャルロだった。  
ドシーン!走り出したら急に止まれない…案の定、二人はぶつかってしまった、クーは床にたたきつけられシャルロを受け止める形になった。  
「い、痛ぇ〜!」  
左手で頭を抑えながら何が起きたのかわからず右手で辺りの状況を探ると…ムニュっとした感触が右手に広がる、柔らけぇ〜、目を開いていない状態で何だかわからなかったが  
その心地よい感触に何度もムニュムニュしてしまう。  
「あー、いい感触〜ずっと握っていたいぜ…」  
「い、いやぁん…そんなに…握らないでぇ〜」  
クーは卑猥な声に吃驚する、何だ?どうしたんだ俺?何かとぶつかって…。恐る恐る目を開けるクー…。  
すると自分の右手に掴んでいるものと上にいる少女を見て更に吃驚した。  
「ぎゃ、ぎゃあーー!マシュマロ掴んでるーーー!」  
自分の上に覆い被さるように四つん這いで跨って喘いでいるシャルロ。クーの右手が掴んでいたのは少女のふっくらとした左胸だった。…お、俺さっき…ずんごい堪能してたよな…。  
さらに股間が反応する…クーのズボンとシャルロのパンツ越しにぐいぐいとペニペニを押し付けてしまった…  
 
「ごごごごご、ごめん!俺悪気があってやったわけじゃ!」  
「ああん!」  
クーは胸を掴んでいた右手を勢いよく離したが、強く離した為に胸がプルンと弾ける。  
「わわわわわ…」  
もうパニック状態のクー、対するシャルロはぽっーとした顔でクーから身体を退ける。  
「ご…ごめんなさい…私が…よそ見してたから…痛かったですか…?」  
「い、いや何ともないよ!お、俺の方こそごめん!」  
クーはパニック状態だったのでいつもと違うシャルロに気がつかず、その場を逃げるように走り去る。セクハラプレジャーと呼ばれそうで怖かったのだ。  
「クードおにいさま…」  
ボソッとクーの名前を呟くシャルロ、クーが階段を慌てながら降りていったのを見届けるとサンちゃんがいる部屋に戻っていった。  
 
 
「おかえり〜、お昼ごはん食べたの〜」  
部屋に入るとまだ仕事をしているサンちゃんが話し掛けてきた。書類の山は20cmくらいまで減っており、彼の能力の高さがうかがえる。  
「ううん…キーアお姉さまがこの街にきてて話し込んじゃって…」  
「シスカちゃんたちが〜?」  
「うん…シスカは支部に連れ込まれちゃっていなかったけど…」  
「あはは〜シスカちゃんらしいな〜」  
いつでもお気楽サンちゃん…どうすればこの人みたいに悩まずに生きていけるのだろうとシャルロは思った。  
「?どうしたの〜、元気ないみたいだけど〜」  
サンちゃんがしょんぼりしているシャルロに話し掛けるが上の空で聞こえていない。  
「クードおにいさま…」  
「え〜?クード君がどうかしたの〜」  
「えっ!な、何でもないの!何でも…」  
「?」  
サンちゃんは頭を傾げながらも書類を片付けている、もうすでに10cmも残っていない。彼は「ふぅ」と息を吐くと椅子から立ち上がり背伸びをした。  
「僕ちょっとお散歩してくるね〜シャルロはどうする〜?」  
「わ、私はいい…ちょっと気分が…いってらっしゃい…」  
これは重症だな…とサンちゃんは思った、ノロ〜っと返事をすると部屋を後にする。  
 
「さて、クード君を探さないとね〜」  
トコトコと歩いて階段を降りると、下の階でまだ食べているキーアと鼻に布を詰めているローウェンに会った。  
「あ〜、ロー君〜お久しぶり〜」  
「あ、サンちゃん先輩!先輩もここの宿だったんですか、奇遇ですね」  
「うん、それはそうと、ちょっと聞きたいことあるんだけど〜、クード君どこにいるか知らない?」  
「もぐもぐ…サンちゃんお久さ〜、クーなら海のほうに散歩に行くって言ってたわよ」  
「ありがとう〜それじゃあまたね〜」  
サンちゃんはクーがどこに行ったかを聞くと、サンちゃんらしくノロノロと宿を出て行った。  
 
「柔らかかったな…レンよりちょっと大きめ…って俺何言ってんだよ!」  
まだ感触が残る手をニギニギしながら防波堤に座るクー、手のひらに広がるマシュマロオッパイ…それが頭にこびりついて離れない。  
「あれで挟まれたら…ヤベッ!鼻血出そうになっちまう!」  
ローウェンと同じ運命を辿りたくないクーは鼻を摘み上を向いて耐えた…レン…今度沢山揉ませてくれないかな〜とか妄想しながら寝転がると。  
「お〜い、クード君〜」  
どこからか自分を呼ぶおっとりした声が聞こえた。空耳だろうと思いその声を無視するがだんだんと聞き覚えのある声が近づいてくる。  
 
「ク〜ド君〜」  
いや確かに自分を呼ぶ声が聞こえる…防波堤の入り口の方からだ…仰向けになりながら顔を向けると天地がさかさまになって見える、トタトタと何かを持って走ってくる糸目の青年の姿…サンウェルドだった。  
「いや〜ここにいたのかぁ〜、海岸にいるのかと思ったよ〜」  
「確か…シスカとローウェンの先輩の…サンウェルド…さん?」  
「そんな堅苦しくなくても〜サンちゃんでいいよ〜」  
「サ、サンちゃん…そ、それで俺になんか用でも?随分急いでたみたいだけどさ…」  
荷物を置いてを座り込むとサンちゃんは荷物の中から何かを取り出す、それは竿と釣り道具が入っている箱だった。  
「釣り…?用って釣りを一緒にすること?」  
「まぁまぁ、慌てない、主題は釣りをしながらでも〜」  
本を読むのが趣味のサンちゃんだが、海の近いこっち街に来てから気分転換に釣りをしているようだ。  
「俺…釣りやったことないんだ…」  
「それなら教えてあげるよ〜」  
サンちゃんは手際よくクーに手順を教えてあげる、準備が出来ると座り込み釣り竿を海に向かって振った。  
「後は〜魚がかかるまで、ずっ〜と待つだけ〜」  
サンちゃんに言われたとおりにクーはボーっとしながら獲物がかかるまで待つ事にした…時間が刻々と進んでいく…無言が続きクーは暇に耐えかねてる  
ふとクーは自分に用があると言ったサンちゃんの言葉を思い出した。  
「そういえば、釣りをしながら用を話すって言ってたけど…何?」  
「ああ〜そうだったねぇ〜忘れてたよ〜」  
 
クーはサンちゃんは完璧に天然なんだなと確信した、サンちゃんはゴホンと息を吐くと話題を話し始めた。  
「実は〜僕のエディルレイドのパートナーのシャルロの事なんだけど〜」  
「ぎくっ!」  
シャルロの名前を聞いた瞬間、さきほどの事を思い出してしまう…不可抗力とはいえ胸を揉んでしまったのだ…プレジャーのサンウェルドは怒り心頭に違いあるまい…。  
「すすす、すいません!」  
「何が〜?」  
「決して疚しい気持ちじゃなかったんだ!本当!嘘つきません!」  
「だから何が〜?」  
「シャルロの胸を掴んじまって!俺!反省してるから!」  
地面に頭をぶつけながら土下座するクー、サンちゃんは困った顔をしながらクーに止めるように言った。  
「どういう事〜?」  
「は、はい…実はかくかくしかじか…」  
ジェスチャーをしながら説明していくクーにサンちゃんは頷きながら聞いていた。  
「なるほど、シャルロに元気がなかったのはそれが原因なんだね〜」  
「へっ?怒ってないの?」  
「なんで〜?別に僕が怒ることじゃないよ」  
「さ、サンちゃんはシャルロのプレジャーだよな!?普通、別の男にそんなことされたら怒るよ!」  
ぽけぽけしながら頭に?を浮かべるサンちゃんは、少し考えてどういう意味かわかったみたいだ。  
「あ〜そういうことか〜、でも別に僕とシャルロは仕事仲間で〜兄妹みたいな感じだし〜」  
「で、でも…シャルロは怒ってるだろうなぁ…」  
「触った時シャルロにビンタされた?」  
「い、いや…されるどころか俺に謝ったんだよ…」  
サンちゃんは「ふ〜ん」と言って竿をくいくいと引く、クーも見よう見まねでくいくいと引く。  
「おかしいね〜、シャルロはキーアちゃん以外はそんなこと許さないのに〜」  
「許さないって…サンちゃんも?」  
「当たり前だよ〜もしかしてクード君気に入られてるのかもしれないよ〜、あ、引いてる〜」  
サンちゃんの釣竿が凄くしなっている、どうやら大物らしい…サンちゃんは余裕こいてる顔だが確実にずるずると海のほうに引かれている。  
 
「て、手伝って〜」  
「ほい来た」  
クーはサンちゃんの腰を掴みおもいっきり引っ張る…だが二人でも海に引っ張られる…その後はお約束どおり…ボシャーン!二人は海にまっ逆さま…。  
「はぁ!…大丈夫〜クード君」  
「ぶはっ!な、何とか…あーあ、逃げちまった……ここからじゃ上れないなぁ」  
「泳ごうか〜あっちまで」  
海面に浮かぶ二人は高い防波堤を上るのを諦めて、向こうの砂浜まで泳いでいった。  
「ごめんね〜巻き込んじゃって、いつも落ちてるからさ〜あはは〜」  
「い、いつも…」  
相当の距離を泳いだのにサンちゃんは息一つ乱さずにクーに話し掛けてきた…この人見かけによらずスゲェ人なのかもしんない…とクーは思った。  
「それでクード君…シャルロと一回ちゃんと話をしてくれないかな〜?」  
「ん〜…」  
「これは私的なお願いなんだけどさ〜、いいかい?」  
「分かったよ…俺も昼間の事、ちゃんと謝らないといけないと思ったからさ…」  
「ありがとう〜クード君」  
サンちゃんはニコニコしながらクーと握手する。…どうやって話そうかな…クーはそれに悩んでいた。  
空は赤みを帯びてきている…もう夕方か…はっ!マズイ!シスカ帰ってきちまう…。クーはサンちゃんにサヨナラと伝えると濡れたまま宿の方へと走っていった。  
「お願いね〜」  
クーが返事代わりに後姿で手を振る、サンちゃんは釣り道具を片付けて宿とは違うほうに向かっていった。  
「これでよし…と、後は頼んだよ〜クード君」  
 
 

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