密室に魔方陣の淡い光が満たされる。  
「よぉ、邪魔しに来たぜ」軽く声を掛けるが、無人。  
留守かよ、詰まらん。頭を掻き、そのツルツルした質感に「ああ、俺骨だっけか、今。」  
と思い返して人間態へと変わる。  
暇つぶしに遊びに来て見れば・・・タイミングが合わない時ってのはとことん合わねぇ。  
さぁて、留守宅に来たんだし、恒例のエロ本チェックでもしますかねー  
「どうせ・・・芸の無い場所に隠してんだろ。」と言いつつ、おもむろにベッドの下を  
覗き込む。無ぇ。ハルヒコのくせにこんな王道を外すとは、なんか裏切られた気分だ。  
このままでは、ヤツの帰宅と同時にテーブルに平積みのエロ本で出迎える計画  
が狂ってしまう。  
まぁ、考えてみりゃ、ベッドで寝てんのはユウカナリアの方だろうしな。  
部屋を見回しながら、ポイントを選ぶ。呼び鈴がなったのはそん時だ。  
 
「ちっ・・早ぇーよ。」不満たらたらでドアを開ける。  
「あ・・・ハルスケさん?」  
目の前に居たのは、ハルヒコのマヌケ面ではなくユウカナリアのそっくりさん・・・・  
ユウカネェだっけ?そのネーチャンだった。  
「ああ・・・ハルヒコの先生の。家庭訪問ですか?」聞き返す。まぁ、隣に住んでん  
だから来ても不思議じゃねーけど。  
「いえ・・・あの、ハルヒコ君・・・まだ帰ってないですか?」  
困ったようにこっちに聞いてくる。ほんと、ユウカナリアとは正反対な。  
「まだみたいっスね。俺もさっき来たトコだけど。」顎で、そろそろ暗くなり始めた  
室内を示す。  
「そう・・・ですか。」伏目がちに呟く。ユウカネェを見ながら、俺には少し別の事が  
気になっていた。  
なんか・・・気が淀んでんな・・と。  
人間、弱気になったり気が重くなれば、気が淀む。そいつを溜め込み始めてる  
ように見えるのだ。  
悪い気は化け物を呼び込み易い・・・このネーチャンの質なら尚更だろう。  
「センセー、もしかして悩み事とかあります?」回りくどいのは嫌いなので、  
本題から話す。  
「え・・・?」困ったように、ユウカネェがこっちを見上げる。  
「いやね、これでも医者っスから。センセ、なんかそういう風に見えましたよ?」  
「はぁ・・・お医者様って凄いんですね。」そう言う彼女に、んなわきゃあるかい。と  
胸中で呟きつつ愛想笑いを浮かべる。  
「ま、話聞きますよ。話せば楽になる事もありますし。」そういうなり。俺はとっとと  
背を向けて部屋の照明をつけて回った。  
ユウカネェは、一瞬遠慮したものの、「身内の方にお話するべきですよね・・・」とか  
呟きながら部屋に入った。  
 
お茶淹れようとして勝手の解らない俺に代わって、彼女がお茶を淹れる。  
で・・・話を聞いてみりゃ、最近ハルヒコが夜中の外出やら突然授業を抜けたり  
やらで大分、このセンセーに心配を掛けてるようだ。  
まぁ、それこそ巻き込まれたり、後、修行とかしてんだろうけど。このセンセー何も  
知らないんだっけ。どうしたもんかねぇ。  
「なるほど・・・」とりあえず、頷く振りして彼女を眺めてみる。ユウカナリアに似てる  
だけあって・・・文句ねぇな。ま、多少の役得づくなら世話焼いてもいいか。  
「・・・・解りました。あのバカには俺からキツク言っときますよ。・・・それよりも」  
「真面目なのは結構ですが、もう少し力を抜いた方がいい。」  
「そんなっ!私は教師です。教え子を見守る義務があります!」さっきまでの  
おどおどした雰囲気はどこへやら、一生懸命にこっちを見つめて啖呵を切る。  
「何も、無責任になれってんじゃないですよ。教師ってのは、常に生徒と関わら  
なくちゃいけない職業だ。センセーが笑顔で無いと、ハルヒコも他の生徒も・・・  
同じように、先生を心配するんじゃないですかね?それは、良い環境じゃない。」  
神妙な声でそこまでまくし立てて、ユウカネェを見る。どうやら、効きすぎたらしく  
項垂れている。  
「すいません・・・ハルスケさんの言う通りですね・・・・」俯き、震える声・・・いや、  
弱すぎるだろ。このネーチャン。  
「いや、センセーみたいな人に教えて貰ってアイツは幸せモンですよ。」慌てて宥め  
ながら、フォローに入る。正直、こういうのは慣れねぇ。でも、なんとなくどういう女  
なのかは解った。  
 
「ちょっと、スイマセンね。」  
ユウカネェの方に掌を突き出し、魔力を放つ。軽い介入系の魔法だが・・・このセンセ  
ありえないぐらい素直だから、これで十分効くだろう。  
「リラックスしてください・・・」  
俺は、ユウカネェの肩を抱いて、自分の側に寄せた。術が効いているのかトロンと  
した瞳で彼女がこっちを見ている。  
・・・・正直、かなりレベル高い。これで手を出さないハルヒコが今更ながらに信じ  
られねぇ・・・半ば呆れながらそう思った。  
とにかく、彼女に溜まったモンを払う事にする。まぁ、具体的には一種のトランス状態  
に導いて、一気に淀みを飛ばすワケだが・・・手っ取りばやいのはやっぱアレだよなぁ。  
・・・・恨むなよ、ハルヒコ。胸中で呟きながら、俺はユウカネェの頬に触れた。  
 
柔らかく、きめ細かい肌。潤んだ瞳。(魔法のせいだが)この先生、まったく狙って無いん  
だろうけど、おいしいよなぁ。んじゃまずは・・・・  
「服、緩めましょうか?」呟き、上着に手を掛ける。彼女も、「はい・・・・」とだけ呟いて  
身体を預ける。  
上着を脱がすだけで、窮屈そうにシャツの中に収められた胸が突き出てくる。  
エロい。とにかくエロい。少しづつ上気する肌から、絡みつく髪をはがすように、首筋を撫でる。  
小さく開き、か細く喘ぐ唇を奪いたい衝動を抑えながら、シャツのボタンに手を掛けた。  
少しづつ露になっていく胸・・・唇からこぼれる吐息に呼応するように、大きくその乳房が  
揺れ、肌は紅く染まっていく・・・・もしかしたら、ユウカナリアよりデカいんじゃないだろうか。  
体勢を変え、俺の膝の上にユウカネェを乗せる。ブラを捲り上げ、彼女の背後から  
覗き込むようにその扇情的な景色を眺めて、思わず唾を飲み込んだ。  
正直、女にゃ不自由してないし、がっつくトシでもない。だが、この先生は・・・キツイ。  
無防備なご馳走ってのは、どのぐらいの罰ゲームだか間接的に知らされる。  
皮肉めいた感想を頭に浮かべながら・・・予想外に興奮する自分を自覚して、俺は思わず強く  
彼女を抱いた。  
 
「はぁ・・・・痛い・・・・です・・・」今やすっかり全身を真っ赤に染めたユウカネェが、呟く。  
吐息交じりのその声だけで、自分が昂ぶって行くのが解る。  
「息、荒いっスね。大丈夫です・・・?胸が苦しいとか。」ま、せっかくだから、楽しませて貰おう。  
彼女の大きな胸を抱えるように握る・・・弾力を楽しみながら、捏ね回して耳元に囁いた。  
「はぁ・・・ふわふわしてるのに・・・・身体、熱いんです・・・・胸が・・・どきどきして・・・」  
「そりゃいけない、マッサージしますよ。」両手を使って胸を弄くり倒す。ユウカナリア並みの胸で  
こんな事が出来るんだから、まさに役得だ。  
存分に、吸い付くような肌と胸の柔らかさを堪能しながら、胸の頂点、乳頭に触れる。  
それだけで、痙攣したように跳ね上がるユウカネェに、体勢を崩しそうになり慌てて  
抱きとめて。「危ないですよ。」  
「はぁ・・・ごめんなさい・・・・そこ・・・感じすぎて・・・・」顔全体を紅潮させて、彼女が呟く。  
「あんまり、こういう経験は無いんですか・・・?」聞いてみる。答えは判りきってるが、こういう  
状況を自覚させるのも愉しいモンだ。  
乳首を円を描くように指先で撫でまわすと、彼女がびくっと震えながらか細く息を吐いて悶える。  
その後、震える声で「ありません・・・」と答えた。  
いいねぇ、この反応。まぁ、処女だモンなぁ・・・と頭の中では呟きながら、尋ねる。  
「そうですか・・・恥かしいです?」  
「はい・・・すごく・・・恥かしい・・です・・・でも、身体に力が入らなくて・・・気持ちよくて・・」  
「もっと・・・欲しい・・・・です。」最後は、蚊の泣くような、この距離じゃ無いと聞き取れ  
なさそうな声。でもまぁ、見るからに奥手のこの先生に、ここまで言わせるだけでも凄い効果か。  
 
感情の開放には、開けなければならない門がある。それは、倫理観であったり、自尊心  
であったり・・・様々だが。この先生は、少なくとも・・・言動からは大分術が進んでいる  
ように見えた。愉しい方向に。  
「何が欲しいです?」  
「はぁ・・・解らないけど・・・・身体の奥が、震えるみたいで・・・・もっと、気持ちよくなりたい  
んです・・・」  
性的な知識もそれほど無いだろうこの先生には、このぐらいのセリフが精一杯なんだろう。  
それでも、このセリフは俺を興奮させるのには充分だった。  
「胸、男に触られてもっとおねだりですか?」意地悪く囁くと、彼女は捨てられた子犬の  
ような瞳でこちらを見て「やぁ・・・だって・・・マッサージだって・・・・」と言い返してくる。  
「ええ、マッサージすよ。心も身体もね。もっとして欲しいです?少し・・・エッチな事も  
しないといけないですけど?」追い討ちを掛けるように笑顔を見せる。  
「はぁ・・・はい・・・・してほしいです・・・・えっちなマッサージ・・・して下さい・・・」  
もう、耳まで真っ赤なユウカネェが呟く。・・・・アイツには見せられんなぁ。つか、これ見たら  
それだけで鼻血出しすぎて死にそうだが。冗談抜きでそんな死に方しそうなのがアイツ  
の味でもある。  
 
「じゃ・・・・一回立ってくれます?」俺の言葉に答え、彼女がふらふらと立ち上がる。  
俺の目の前に形のいいヒップラインが大迫力で広がっている。自然、息を呑む自分を  
感じながら、俺はユウカネェのスカートを捲り上げた。  
「あの・・・・恥かしいです・・・・」「じゃ、止めますか?」「・・・・止めないで下さい。」  
そんな遣り取りの後で、彼女に「ストッキング脱いで下さい。」と告げた。  
「え・・・このまま・・・・ですか・・・?」戸惑うい、助けを請うようにこちらを見るユウカネェ。  
彼女の尻は、今俺の目の前にある。この状態で脱げば当然、こちらに向かって尻を  
突き出すカタチになるワケだ。  
「ええ・・・このままで。凄く綺麗ですよ?」ワザと誉めながら、彼女の羞恥を煽る。  
一瞬の躊躇・・・・だが術と、彼女自身の、押さえつけられて来たであろう欲望には、  
そう長く抗う事は出来なかったらしい。おずおずと、ストッキングに手を掛け、引き降ろして行く。  
さっきよりさらに間近に迫り、揺れるヒップに思わず頬を緩め、俺は顔を近づけた。  
両手で彼女の膝を押さえ、下着の上から秘部に口付ける。「ひぁっ・・・!」悲鳴にも近い  
声を上げて悸く彼女の足を押さえ、俺は何度も口で彼女の秘部と、ヒップにキスをした。  
「だめ・・・・立って・・・・いられません・・・・」声までも震わせて彼女が懇願する。  
「じゃ、そこの壁に手ぇついて。」つまりは、こちらに向けて腰を突き出す格好になるのだが。  
「あああ・・・はい・・・」彼女の心からも、大分羞恥心や抵抗心が消えているんだろう。  
俺の言う通り壁に手をついて、こちらへ尻を向けた。  
「ああ・・・・・はぁ・・・・・・こんな格好・・・・恥かしい・・・・」泣き出さんばかりに瞳を潤ませ、  
羞恥に耐える彼女に、何ともいえない歪んだ優越感を感じながら、俺は彼女の最後の一枚  
へと手を掛けた。  
 
ついに、隠す物の無くなった彼女の秘部。一度も使われた事の無いその部分は固く閉じ、  
穢れを拒むようにしている。だが、指を軽く沈ませ、押し広げると・・・・まだ汚れをしらない  
その部分は、未知の体験に期待して、さらさらとした汁気を湛えていた。  
「とっても魅力的ですよ。どうです?初めて男にここを見られた感想は。」  
「っ!いや・・・・いわないでぇ・・・・おねがいですからぁ・・・・」今にも泣きそうな声音。  
充分に嗜虐心を刺激された俺は、彼女の脚に触れ、なぞり上げるように指を這わせた。  
「ひぃぃ・・・・・あぁ・・・・」背筋を、いや、全身を仰け反らせ、ユウカネェが喘ぐ。  
その可愛らしい声と、そこに混じる艶が、この非日常の空間をさらに加速させていく。  
口と指先で彼女の秘部から臀部までを丁寧に愛撫していく。時折、からかうように羞恥の  
言葉を浴びせると、その度に彼女は身体を震わせその波に耐えていた。  
「やぁ・・・・そこ・・・汚いのに・・・・そんなに丁寧に舐めないでぇ・・ください・・・・」  
「そんな事無いですよ。こんな恥かしいトコまで見せて貰って・・・俺もやらしい気分に  
なっちゃいますよ。」  
どれくらい、そうしていただろうか・・・彼女の呼吸が荒くなり、身体も、小刻みに震えている。  
そろそろ絶頂が近いのだろう。  
だがまぁ、俺も・・・相手だけ気持ちよくして終われる程、人間出来てない。骨だけど。  
立ち上がり、彼女を抱き上げてベッドに四つんばいにさせる。  
ポケットから小瓶を取り出し、俺は衣服を脱いだ。  
 
「これが・・・・男の人の・・・」こちらを振り向き、ベッドの上に座るようになったユウカネェが、  
ベッドに上がってきた俺のを見ている。  
「触ってみてます?」「え・・・・・はい・・・・」恐る恐る・・・・まさにそんなタッチでそっと触れ、  
すぐに驚いて手を離す。予想通りといえばその通りの反応だ。  
「どうしました?」解っていつつも、聞いてみる。  
「あ・・・その、びくびくしてて・・・思わず・・・・」上気した顔で、言葉を選びながら呟く。  
「感想は?」ニッコリ営業スマイルまで浮かべて、聞いてみる。セクハラは俺の愉しみだ。  
困った顔で数秒躊躇したのち、俯いて言うには「その・・・凄く、触った瞬間から熱くて、  
びくびくしてて・・・・ちょっと、怖いです・・・・」だそうだ。  
「大丈夫ですよ。」俺は彼女を抱き寄せ、引っ掛かったようにはだけるままの衣服を、彼女を  
愛撫しながら脱がしていった。  
そうして、生まれたままの姿の彼女を抱き寄せ、肌を合わせる・・・・しっとりとして、汗ばんだ  
彼女の肌の感触に酔うように、俺は彼女を押し倒した。  
 
「あの・・・私・・・初めてなんです・・・・優しくして下さい・・・」怯えた・・・でも、どこか期待  
するような瞳で彼女が告げる。もちろん、ハルヒコの手前、処女を頂くつもりは毛頭無い。  
つか、ただでさえ面倒だってのに、恨まれるなんざ割りに合うか、と。  
「大丈夫・・・俺に任せて。」彼女の背後に回り、膝立ちで四つんばいにさせる。  
さっきの小瓶の蓋を開け、そのとろっとした液体を。俺は彼女の尻肉の奥に塗りたくった。  
「えっ!?ひぁっ・・・・!」冷たい粘液の感触に腰が浮きそうになる彼女を押さえ、俺は  
最後の一滴までをそこへ塗り込む。  
「うそ・・・そこ・・・違います・・・・!」必至に捲くし立てるユウカネェ。初体験もまだだと言うのに、  
お世辞にも常識的とは言いがたい部位での性交など、彼女の普段の倫理観では到底  
信じられる物では無いんだろう。しかし、度重なる愛撫と魔術の力が、そんな倫理観を  
取り払い、正常な判断を奪い去っていた。  
 
「大丈夫・・・痛くしない為のクスリですから。」呟き、自分自身を彼女へとあてがう。  
そういう薬なのだから当然だが、彼女の菊座はあっさりと俺を受け入れた。  
「え・・・?え・・・・?」彼女は半分、何が起きたのか解らないように瞳を瞬かせている。  
「簡単に入っちゃいましたね。先生の身体がエッチだからかな・・・」耳元で囁き、腰を動かす。  
「そんな・・・嘘です・・・・・あああ・・・いやぁ・・・動いてる・・・・」先生と呼ばれた事で、  
多少正気に戻ったが、それも一瞬・・・・未知の行為に与えられる快楽と、自身の背徳感が  
何倍もの興奮を呼び、理性を押し流していく。  
「具合いいですよ、先生のココ・・・・先生はどうです・・・・?」ことさら「先生」を強調してみたり。  
「ああ・・・・わかりません・・・・身体が、おかしいんです・・・・なにか、入ってきて・・・・  
掻き回して・・・・・」俺の体重を受け、その胸と髪を振り乱しながらユウカネェが悶える。  
「わからない様な事されても、先生も困るでしょう?止めましょうか。」止める気など毛頭  
無いが、意地悪したくなる・・・この先生相手には。  
「ああ・・・ごめんなさい・・・・ほんとは気持ちいいです・・・・でも、自分が・・・わからなくなって  
・・・壊れちゃいそうで・・・・怖いんです・・・・」熱を帯びながらも、震えた声・・・本心だろう。  
 
別に怖がらせるのは本意じゃない。俺は動きを止めてもう一度背後から彼女を抱き、呟いた。  
「大丈夫っスよ。俺、得意なんすから。・・・安心して任せてみてください。」つとめて優しく、  
冗談交じりに呟く。安心させるように。  
一つ、大きく呼吸してからの、彼女の一言はまぁ、意外な言葉だった。  
「・・・・・・不思議ですね。怖いけど、なんだか・・・・どこまでいっても捕まえてくれそうな  
感じ・・・・」彼女が、微笑んだ。  
その微笑を見た瞬間、不思議と、俺の顔からも笑みがこぼれる。同時に、ちくりと胸をさす  
痛みもあった。今更良心でもないが・・・こう、まっすぐ微笑みかけられると正直・・・その良心  
とやらが疼く気がした。治療ついでに良い思いしよう程度の動機だけに、余計にだ。  
とりあえず、せめて彼女の恐怖心は取り除こう。  
「任せてください。」そう言って本心から笑う。皮肉っぽいとか、悪そうとか言われる顔だが、  
こういう自信満々の顔が役に立つ時ってのはある。  
「・・・・あの、お願いがあるんです・・・・」彼女が上目遣いにこちらを見、俺はそれに頷く。  
「優香って・・・呼んで下さい。教師とか・・・今は、忘れさせて・・・・」  
予想外の展開にも程があるが。この先生の口からそういう台詞を聞くのは、何でか  
悪い気分じゃなかった。  
 
「・・・・優香。」少しむず痒い心持ちで、その名を呼ぶ。ユウカネェじゃ無いのは何故か  
解らないが、愛称か何かだろう。  
「はい・・・」嬉しそうに微笑み、彼女がこちらへ身を寄せる・・・・  
「ハルスケさん・・・・私、本当は・・・・すごく・・・えっちな子かも知れません・・・・なんだか、  
自分が自分じゃ無いみたい・・・」安心したのか、悪戯をみつかった子供のように、彼女が囁く。  
「そりゃ、魅力ですね。クラクラきちゃいますよ。」笑い、見つめてやる。  
「これも私なんでしょうか?・・・こんな、えっちで、大胆な子が・・・」目と目が合う。  
俺は、頷き答えた。「・・・・とっても、可愛いです。」  
「えへへ・・・・嬉しいなぁ・・・・・」微笑む彼女・・・・らしくない時間だが・・・不思議と嫌じゃない。  
彼女の笑顔から、エンチャントでも受けているように・・・俺は急激に彼女の意識に呑まれていた。  
「あの・・・ハルスケさん・・・・キス・・・してもらえませんか・・・・」彼女がこちらを見詰める・・・  
真っ直ぐな瞳だ。  
「そいつは・・・・本当に好きな男が出来た時に、取って置きなさい。」  
「私・・・本気ですよ・・・・」「尚更だ。・・・・・もし、もう一度、いつかそう思ったのなら、  
その時は・・・ね。」彼女の、決意した瞳を見詰めて、やすやす唇を奪う気にはならなかった。  
正確には、微妙に気分が変わってきていた。まるで、術に掛かったのは本当は俺のように。  
 
「・・・・・非道い人ですね。でも・・・優しい人。」まともに顔を見れなくて、向こうを向いた俺の  
背中に、彼女が身体を預けてきた。  
「・・・・いや、優しい人間はこんな事しないでしょ」呟く。完全に、調子が狂ってる。  
「・・・まっさーじ、でしょ?」微笑む彼女・・・なんか、こっちがあっけに取られる番だ。  
もしかして、騙されたのは俺なのか?  
「いや・・・すげー下心アリアリでしたが。」ああ・・・喋りまでハルヒコみたいになってくる。  
「・・・・でも、それだけじゃない。」何故か言い切ってくる。思わず見詰め返した・・・まっすぐな、  
強くて優しい瞳。  
瞬間、ハルヒコの気持ちがちょっと解っちまったのが何より悔しかった。動揺する自分が  
可笑しくもある。  
「・・・・それにね、私も嫌じゃないんです・・・・本当に。」「身体も・・・・こんなに熱いんですよ?」  
そういうと、彼女は俺の手を取って、彼女の胸へと当てた。・・・さっきまでと本当に同一人物か?  
ユウカナリアと入れ替わって・・・・いや、アイツが触らせるわけねぇけど。  
柔らかくて熱い、こっちの身体が溶かされるような熱・・・その下で、彼女の鼓動が手に伝わる。  
可愛らしくて、今にも弾けてしまいそうな心臓の音が。  
ああ・・・やっぱ、コイツは・・・優香は、見たまんまの、ウブでネンネな、今時化石でも見つからねー  
ぐらいの・・・・可愛らしい、イイ女だ。  
「本当にね、恥ずかしいんです・・・・でも・・・・止まらないんです。だから・・・・お願い、抱いてください。」  
今度は、正面から俺が抱きすくめられた。  
「・・・・俺は、優しく無いですよ?セクハラ大好きだし。」「えへへ・・・はい、私も嫌じゃ無いです・・・  
ハルスケさん。」  
そんなワケで、俺たちの第二ラウンドが始まった。  
 
女は魔物だと、改めて俺は思った。随分昔から、解ってた筈の理屈。だが、目の前の生きた  
・・・あまりにも無防備で、無邪気な女が、それを痛感させている。  
きっと、彼女の精一杯だろう。今となっちゃ、術の力が働いてる事が逆に疎ましいくらいだ。  
だが・・・これに答えなきゃ、男が廃るよな?まだ帰ってくんなよ、ハルヒコ。  
とにかく、唇と処女は取っておく、ってのが俺が決めたルールだ。彼女も其処は同意した。  
というわけで・・・俺達はもう一度、後ろを使ってすることになったのだが・・・  
「ホントにいいのか・・・?」「うー・・・それは・・・恥ずかしいですよ・・・・見られたり・・・それに  
・・・入って来るなんて」  
「でも・・・して欲しいから。」そう言って微笑む彼女は妙に艶かしかった。  
「じゃ・・・いくぜ?」「はい・・・来て下さい・・・」ゆっくりと、彼女の中へ俺を滑り込ませていく・・・  
「はぁ・・・入ってくる・・・・こんなに簡単に・・・はいっちゃうなんて・・・ああ・・私・・・の身体・・・なのにぃ・・・」  
「優香の身体がエッチだからだよ。・・・・すげぇ、俺を興奮させるくらいに。」囁き、頬にキスする。  
「あ・・・」挿入によって再び高まり始めた快感で、潤ませた瞳を僅かに見開いて彼女が呟く。  
「キス・・・してくれた。」嬉しそうに微笑む。正直こっちが恥ずかしい。  
「・・・・アンタが出来ない分は、俺がしてやよ。」むしろ俺もヤケだ、畜生。キャラじゃねぇ・・・・  
「うん・・・して。いっぱいハルスケさんに感じさせて欲しい・・・・」優香が上半身を落として、  
より結合を深くする・・・狙ってやってるわけではないと思うが。こっち方面の才能あるなぁ、優香。  
俺も片腕で自分の体重を支え、優香に覆いかぶさるように身体を重ねる。二人の結合部から  
聞こえる淫猥な音に耳を持っていかれながら、優香の胸へと手を伸ばした。  
 
「ふぁぁ・・・・・いやらしい音、聞こえる・・・・こんな普通じゃないえっちして・・・ハルスケさんに  
触られて・・・」  
「・・・・・気持ちいいかい?」少し強く、刺激を与えるように胸を片手で揉みしだく。  
「はい・・・気持ちいいです・・・ハルスケさんが入ってきて・・・・違うのに、気持ちよくて・・・・」  
「ん?違うって・・・?」だんだん、腰の動きが激しくなってくる・・・・リズムが、彼女へ  
打ち付けるようになっていく。言葉と、身体と。二重の快感を貪りながら、さらに優香に求める。  
「ああ・・・その・・・・後ろの・・なのに・・・・」二人してベッドに倒れ込むように重なった時に、  
小さく呟く声が聞こえる。  
「聞こえないぜ、優香。」耳元に囁く・・・・もっと、この可愛い口で、卑猥な言葉が聞きたいと  
思う欲望がもたげる。底も無く、欲しくなる。  
「ああ・・・ん・・・・お尻の・・・お尻の方なのに、こんなに感じちゃって・・・・・えっちだから・・・ぁ・・・・」  
「ああ・・・・優香は、えっちな子だな。でも・・・・可愛いぜ?なんか虐めたくなる。」  
場違いなほど笑みを浮かべて・・・まぁ、多分やらしい笑みだが。優香に告げる。  
「意地悪・・・・でも、私も・・・ハルスケさんに虐めて欲しい・・・・・ハルスケさんにえっちな事  
言われたら・・・・すごく感じるの・・・・」腕を伸ばし、俺の首を引き寄せて、優香が囁く・・・  
「・・・ほんとに、優香はエッチだな・・・・身体もやらしいけど、言う事もそうだ。」頭を撫で、  
身体を起こしてスパートをかける。正直、俺自身もガキみたいに興奮し、自分を制御出来なく  
なってきていた。  
 
「うん・・・私、ほんとうはえっちだよ・・・・ハルスケさんのせいなんだから・・・・・・こんなに  
・・・なっちゃったんだからぁっ・・・」叫ぶように、声がうわづる・・・優香が身体をゆする度に、  
強く締め付けられて、俺自身をしごきたてる。  
「優香・・・そろそろ・・・」絶頂が近い・・・こういう事を口に出すのも気恥ずかしいが。  
「うん・・・・いいよ。私・・・もう・・・いつでも・・・・ああうっ・・!」声を震わせながら、優香が大きく  
首を振る・・・・  
「くっ・・・・・っ!」次の瞬間、俺は捻じ込むように優香の奥まで侵入し、果てていた。ちぎれんばかりに  
抱き締めた優香の身体が、声にならない嬌声と共に2,3度震えて力を失い・・・弛緩する。  
 
絶頂を迎えた俺達は、折り重なるように倒れこんだ・・・・・荒い息を繰り返し、数分がたった頃  
・・・・気が付けば、優香は眠りに落ちていた。  
苦笑交じりに頭を撫でる。掌から輝く青い光が、優香を包み、弾けて消える。  
「完了・・・・っと。」  
妙な、時間だった。なんていうか・・・ペースを奪われたというか。改めて、ユウカネェを見る。  
不思議と、悔しさや不快感は無かった。  
 
その後、アイにユウカネェの事を頼み、煙草を買って帰って来た頃、ハルヒコがようやく帰って来た。  
「いよぉ、おせーよハルヒコ。」  
「あれ?パラケルスス・・・・何で居るんだよ?」「まぁ、いいじゃねーか。」軽く手を振る。  
「ユウカナリアは?」「さぁ・・・・なんか寄り道して帰るとか言ってた。騒ぎ起こさなきゃいいけど・・・」  
そこでやっとハルヒコがユウカネェに気付く。  
「うわっ、何で優香姉がここにィーっ!?」「遅ぇよ。」  
「コラ骨!?オマエ優香姉に何をしたっ!?」「いや、何もしてねーし。つか治療?」  
「治療?」怪訝な顔でこちらを見るハルヒコに溜息一つ。改めて説明してやる。ユウカネェが  
ハルヒコを心配してた事、それが原因で気が澱んで居た事、それを発散する治療を行った事。  
まぁ、大事な部分はことごとく省いたが。  
「そうか・・・ゴメン、優香姉・・・・」すまなそうに表情を曇らせ、ハルヒコが呟く。  
「オマエさ、先を見据える視線を持ってる事と、それを実行に移して走り出す脚力がある事は  
けっこうだと思うぜ。けどな・・・」  
「前しか見てなくて蹴ッつまずいた物が、一番大事な宝物で、踏み壊しちゃいましたー、なんて  
笑い話にもなんねーぞ。まぁ、俺は指さして笑うけどな。」煙草を吹かしながら、クギを刺す。  
まぁ、こいつは大丈夫だろうが。  
 
「うん・・・・サンキュ。」呟き、優香姉の布団を掛け直そうとしたハルヒコが・・・何故か次の瞬間  
半狂乱で殴りかかって来た。  
「骨ェェェェェェェェーッ!!」「なんだよイキナリ。」受け流しつつめんどくさそうに振り向く。  
「おまっ・・・この格好!優香姉に何をっ!?」あわあわしつつ指差す方を見る。アイによって綺麗に  
身体を拭かれ、眠るユウカネェ。  
服もちゃんと着ている・・・・上は。  
振り向く。アイが丁度ユウカネェのスーツを皺にならないように掛けていた。  
ああ、そうだな。着たまま寝ると皺になるもんな・・・・でも、  
 着 せ と け 。  
「いや、寝かせたのはアイだって。」ハルヒコを宥めながらもう一度、ユウカネェを見る・・・・  
眠れる森の美女ってトコか。我ながら月並みな喩えだ。  
目が覚めりゃ・・・・もう、俺との事は覚えちゃいないだろう。そういう治療だ。  
惜しかったかな・・・と、思わなくも無い。  
 
でもま、ユウカネェにはハルヒコみたいなお人よしがお似合いだろう。一人なんとなく笑む。  
俺も、老け込んじまったかねぇ・・・そう言葉には出さずに呟き、もう一服しようとした矢先、  
「何ジロジロ見てんだよこのエロ骨ロック。」ハルヒコが半眼で割って入りながらユウカネェに  
布団を掛け直す。  
ああ、ちょっとムカツク。いい雰囲気でシメてる時に。  
「いっちょ前に独占欲ってか。いいねぇ、若い若い。」ハルヒコの肩を叩く。むっとした表情で  
こちらを見るハルヒコ。  
次の瞬間、魔方陣に投げ飛ばしてやった。「先に実力身につけろやハンパ甲斐性持ち。」  
「ギャァァァァァァーッ!?」  
「さぁて・・・アイ、今からあのTHE優柔不断☆をイビッて来るから、ユウカネェの方は任すぜ?」  
魔方陣に片足掛けながら、アイへと振り向く。  
無言で頷くアイに満足げに頷き返し、もう一度ユウカネェを見て・・・  
「じゃあな、優香。」  
 
俺は魔方陣へ飛び込んだ。  
 
                                                END  
 
 

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