「なぁ、誠。イフは?」  
電気の消えた暗い居間の横の廊下を通り抜けたあたりで  
シェーラは妙に人の気配のないことに気がついた。  
「あぁ・・イフリータは最近具合が悪いらしくて少し休まんと日中動けないんや」  
休む、ということで鬼神の故障が直るわけはない。  
自己修復機能はあるのかもしれないが定期的に休みを必要とするならば・・・  
たとえばエネルギーの循環がうまくいっていないなどで、  
蓄積するために機能を停止して最低限以上の出力を得るという事なのだろう。  
「僕にもっと力があればイフリータ直してあげられるかもしれへんのに」  
誠はうなだれながら階段を上がる。  
シェーラは何とか励まそうと思ったが言葉が思いつかなかった。  
月並みな台詞で場を誤魔化すのが精一杯だった。  
「誠のせいじゃねぇよ・・・」  
きにすんな。と言いたかったが、言えなかった。  
イフリータの故障は確かに誠のせいではない、  
1億年以上経過してなお稼働しつづける彼女が満足に動くという方がおかしい。  
だが、最愛の彼女が明日目覚めなくても不思議ではない、  
そんな状況の誠に何を言ってやればいいんだ?  
シェーラは浮かれた気持ちでここに来たことを悔悟したが  
そんな状況でも誠を思うこの気持ちは消えることなく息苦しかった。  
 
誠の部屋はシンプルで飾り気のない部屋で、黒い鉄パイプを組んだベッド  
学習机に地球儀、本棚には科学の本や大量のノートが整理された状態で収まる以外には  
カレンダーとクローゼットくらいしかない。  
おおよそこの年代の男子の部屋としては清潔すぎるくらいだ。  
それから壁の梁に引っかけるように一着だけ学生服が掛けられている。  
「へぇ、片づいてるんだな」  
シェーラは誠の几帳面さにちょっと感心しながら、誠らしくはあるけど  
男の子らしい部屋の方が良かったかなと、つまんなくも思った。  
「まぁそへんたいした趣味も無いですからね」  
タンスからタオルを探しシェーラに差し出す誠。  
「サンキュー誠」  
シェーラはそれを受け取る。  
それから誠が学習机の椅子を引き出してくるとそれに座る。  
誠はベットに腰掛けるとくつろいだ様子でシェーラから受け取った八つ橋の箱を  
その脇の方に積んで置いた。  
「で、桜海さん元気やった?」  
「いや、それがよ。会ってねえんだよ。遅くまで菜々美と一緒でさ」  
誠は一瞬の間を置いて、  
「へぇ、そうなんや。残念やなぁ。僕も桜海さんとはこっちに戻ってから  
 2、3べんしか会っとらんし。近況など聞きたかったんやけどな」  
と残念そうに言う。  
「まあ、あのじじぃなら殺しても死なねぇよ。心配するだけ無駄だぜ」  
シェーラは違和感を感じていた。  
何だろう、なんか勘のようなものがざわざわ働く感じだ。  
 
シェーラは立ち上がり誠の学生服を手で触ってみる。  
ひんやりと冷たく湿っている。乾燥しかけの学生服。  
「なぁ、誠の学校ってさ、楽しいか?」  
唐突に切り出す。  
「えっ急にどうしたんです? まぁ楽しいちゅうたら楽しいかもしれへんけど」  
いつものシェーラの様に鈍感であればどんなに良かっただろう。  
その事実に気がついてしまった。  
「・・・今日はどうして帰るのが遅くなったんだ?」  
誠はハッとしてシェーラの方を見つめた。  
「なんで、分かるんや?」  
本当に不思議そうにしている、演技かとも思ったけど根本的に鈍いだけだ。  
「服、雨に濡れてるから。菜々美も雨に降られてさ」  
「ああ、ちょうど菜々美ちゃんの部活の手伝いしとってん。でもよう分かりましたね?」  
鈍い誠は本当に感心したといったようにシェーラににこやかに語りかける。  
シェーラは菜々美が手伝わなくてもいい、と言っていたことを思い出した。  
そういうことか、そういうことだったのか。  
アタイってなんてお目出たいやろうなんだろうな。  
勝手に自分でルールを決めて菜々美との友情みたいに思っていた。  
でも、現実は・・イフリータの事にも遠慮せず菜々美は宜しくやっているんだ。  
東雲高校の生徒だから? 違う菜々美が誠を好きだからだ。  
誠が鈍いのは昔からだったけど、アタイの鈍さも相当なものだ。  
ルールなんて最初から無かった!アタイは世界一の大間抜けさ!  
 
次の瞬間、シェーラは誠を押し倒していた。  
身をかわす暇もなく、誠はベッドに突き倒される。  
「なっ何をするんですか。シェーラさん」  
大阪弁のイントネーション混じりで誠は興奮気味にシェーラを押しのけようとするが。  
こと身体能力においてシェーラにかないやしない。  
すぐに押さえつけられて、マウントポジションの大勢をとられた。  
股間と股間が擦れ合うような位置に来る、不完全なマウントポジションだ。  
「やめてください。何するんです、シェーラさん」  
そう、ルールなんて無い、誠が欲しければ最初からこうするべきだったんだ・・・  
シェーラに後悔はない、捧げるのではなく奪う・・そうすれば良かった。  
 
「別に、悪いことをしようという訳じゃないぜ」  
 
シェーラは誠の股間の部分を自分のそれで服の上からゴリゴリ擦り刺激してやる。  
処女のシェーラでも何となくどうすれば男が勃起するかぐらいは見当がついた。  
ぐいぐいやっていると、ドクドクと海綿体に血液が集まりだし硬くなるのを  
シェーラの股関節で感じ取ることができた。  
 
「誠が鈍感だから本当のことに気がつかせてやろうと思ってさ」  
 
なんだ、アタイのでもガチガチに堅くなるんじゃないか・・・  
イフリータの尻ばかり追っかけてるから  
アタイみたいんじゃ満足できないのかと思ってたぜ。  
何で、早くこうしてあげなかったのか、  
アタイとしたことが何やってんだろうな。  
シェーラはもっと誠を気持ちよくさせてやろうと、  
考えつく限りいやらしい腰つきで誠のあそこを刺激する。  
強制的に勃起させられ女の子のあそこを擦りつけられている  
異常な状況に誠は次第に興奮しだしていた。  
(このままではあかん)  
だが、黙っていれば快楽を得られるこの状況に少しでも甘んじていたい、  
そう思うのは思春期の健康な男子なら仕方のないことだ。  
誠の愚息は信じられないほど大量の我慢汁をにじみ出させていた。  
それはトランクスどころかシェーラのデニムのスパッツまでも  
ぐしょぬれにして糸まで引いているのだ。  
 
秘肉にまで浸みてくる誠の我慢汁が潤滑油となって  
シェーラの性感を心地よく刺激する。  
そんな中獣のように短く浅い息を はぁ はぁ と弾ませる誠。  
誠の我慢は限界に近づいていた。  
オナニーですら満足にしたことのない童貞チンポの誠には  
耐え難い刺激だったのだ。  
 
「いやゃ、やめてシェーラさん・・僕っ僕・・」  
 
シェーラは恍惚となってその誠の情けない表情を見下していた。  
菜々美やアタイを今までさんざん振り回してくれた男が  
目を潤ませながらとどめを刺してくれと哀願している。  
そんな歪んだ錯覚に陥る。  
 
「何が嫌なのか、はっきり言わなきゃだめだぜ」  
「シェーラさん、なんか出そうやっ」  
 
童貞丸出しの台詞に思わずシェーラのサディスティックな部分が反応してしまう。  
腰を少し離して、誠の剛直にひとときの休息を与えてやった。  
 
すでに射精したかのようにお互いの股間はぐしょ濡れだが、  
本射精まで至らなかった誠の肉の棒は堅く張りつめ  
ビクッビクッと切なげに震えている。  
望み通り行為をやめてあげたよ、誠。  
もうちょっと保ってくれなくちゃ面白くないからね。  
 
「はぁあああ」  
 
誠はため息とも感嘆の声とも分からぬ声を吐いた。  
 
「気持ちイイだろ? 誠、アタイも気持ちいいぜっ」  
 
精一杯じらす。けど、萎える暇なんか与えない。  
 
「だから、良いんだ。これは悪いことなんかじゃない」  
 
シェーラはズボンの止めボタンを外しショーツとともに脱ぎ捨てた。  
褐色の逆Vの字ラインを描く太ももはその中心に位置する秘裂を  
誠の肉棒の真上にねらいを定めるように位置している。  
そしてシェーラの手によって誠のズボンやパンツも脱がされた。  
直情のシェーラの生マ○コから誠のそそり立つ生チ○コまでの空間に  
遮るものは何もない。誠はすでに抵抗する気力を失っていた。  
放心状態で目を潤ませ息を荒げているだけである。  
そんな状況であったがシェーラはいきなり挿入する様なことはしなかった。  
 
再び腰を下ろすと、入れることはせずに  
秘肉を肉棒に押しつけぐにゅぐにゅと腰を揺すって刺激する。  
 
ぬっちゅぬっちゅぬっちゅぬっちゅぬっちゅ  
 
先ほどとは違った生の秘肉の感触と暖かさに誠は呻いた。  
誠には女肉の感触は衝撃的な快感だった。  
 
生まれて初めての生の女の子のあそこの感触に誠の生殖器官は悲鳴を上げて終わりを叫ぶ。  
 
びゅうるぅ ぴゅ ぴゅ  
 
白く粘っこい精液が誠自身の褐色のシェーラの肌を白く染め、腹と恥丘にぶちまけられる。  
情け無く硬さを失っていくものの、相変わらず肉の花びらに押しつけられている  
若い誠の肉の棒は半分くらいの堅さから持ち直し、堅さを取り戻してきていた。  
 
「すっきりしたかい? 誠? でももっと気持ちいいことがあるんだぜ」  
 
手を添えてぴたりと女肉の中心に誠の勃起した亀頭をあてがったシェーラは、  
ゆっくりと腰を沈めていった。  
 
ずにゅうぅぅぅぅぅ・・  
 
処女の膣肉を押し開く誠の剛直はすんなりと根本まで収まった。  
出血は特になかったし痛みもそれ程ではない。  
極希にそういうこともある。  
そのことはシェーラにとって積極的に攻めることが出来て優位ともいえた。  
 
「誠、全部入ったぜ」  
 
シェーラが腰を左右に揺すって誠を刺激する。  
確かにその部分はがっちり咬み合っていている。  
誠の肉棒は再び限界まで硬化しきっていた。  
 
「うぁあぁ・・・うっ・・・ぐぅ」  
自分との行為に誠があえぐ、そのことに興奮を覚えながら。  
 
「あぁイイぜ誠、堅くてゴリゴリしてて・・」  
 
ぬちゃ ぬっち ぬっち ぬっち ぬっち  
 
シェーラは騎乗位のまま腰を上下に振り自らの肉の穴に剛直を出し入れする。  
 
ふぅっふぅっふぅあ  
 
短く息を刻みながら繰り返されるエンドレスなその行為。  
ただただ受け入れるしかない誠は、間違っても精をこぼさぬように耐え続けた。  
衛生器具すら使用していない生の行為の最中に万が一事故が起きたなら・・・  
誠は未曾有の快楽にただ耐えるしかなかった。  
 
「はぁはぁ誠、どうした?もっと気持ちよくなってもいいんだぜ」  
 
意地悪くそう言い放つと、腰の動きをいっそう激しいものにするシェーラ。  
 
ずちゅ むちゅう ずっちゅ むちゅ ぐっぽ ぐっぽ  
 
浅く深く前後に左右に時計回りに反時計回りに、不規則に情熱的にそれは振り回された。  
その腰の動きに誠はついに耐えきれなくなってしまう。  
 
「だっだめや。もう限界や・・・抜いてっ抜いてくださいっシェーラさん」  
 
だがシェーラはその悲痛な声を聞き入れない。  
 
「だめだぜ。シェーラさんだなんて他人行儀な呼び方をする様な奴の言うことは聞いてやれないなぁ」  
 
ぬちゅぅぬちゅう ずっぽ ずっぽ ずっぽ  
 
ぬめる襞で締め上げながらシェーラはいたずらっぽく言う。  
誠は要求にしたがって恋人でも呼ぶように懇願する。  
 
「シェーラっはぁシェーラもうイッてまう。御願いや抜いて はっ はぁ」  
 
それでもシェーラは意地悪く挿入を繰り返す。  
 
「アタイの膣内気持ちいいかい? 誠?」  
 
ずちゅずちゅずちゅ  
 
「うぁ」  
 
誠に答える余裕はない。  
 
「ん?」  
 
ぐっぐっぐっ  
 
もう限界だろうとばかりに思いっきり膣の奥に押し込むようにして緩やかに刺激する。  
このまま射精したならその精は確実にシェーラの奥まで届くだろう。  
 
誠はこの天国のような地獄から逃れるために何とか「正直な言葉」を言い放った。  
 
「きっきもちいいっ気持ちいいですから。早くっ抜いて。気持ちよすぎて・・・射精るっ」  
 
すんでの所でシェーラが腰を持ち上げ、誠の剛直をその体内から吐き出した。  
間髪を入れず誠のそれは白く白濁した精液を上方に吹き上げるのだった。  
 
どぴゅるるるるっ ぴゅう ぴゅ ぴゅ  
 
間欠泉のように間を開けて何回も吹き出るそれは、シェーラの褐色の背中を  
白く染め上げ髪の毛まで達したのだった。  
 
「ふふふっ、沢山、射精したじゃないか・・・誠。」  
肉の活火山は、まだ時折びくびく痙攣しながら  
ぴゅぴゅっと精液を吹き出している。  
 
その迸りを受けながら妖艶な顔つきで褐色の小悪魔が囁いた。  
 
「ほんと気持ちよかったんだな。これからはいつでもこの快楽はおまえのものだからな」  
 
 
*****  
翌日、夕刻PM7時、シェーラは家を出た。  
それは偶然だった。玄関を出ようとするそのとき帰宅の途中の菜々美を見かけたのである。  
菜々美は幸せそうに惚けて歩いてる。  
−−今日も口実を付けて誠と一緒に居たのだろうか。  
−−−おそらく誠の家の前まで一緒に帰ったのだろう。  
 
シェーラは菜々美を玄関先でやり過ごした  
それに菜々美が気が付くことがなかった。  
通りすぎてからシェーラはその道を反対方向に歩く。  
 
まぁいいや、今まで誠と一緒だった菜々美と「これから」つながりに行くアタイ。  
手には誠に返す傘、ポケットの中には今日の為の衛星器具。  
(責任なんてとってもらう必要はない、誠がアタイのかわいい人形であってくれればそれでいい)  
 
イフリータも菜々美も味わったことのない禁断の果実をむさぼったシェーラは  
蛇に魅入られたエヴァの様にエデンを追われ元の無垢な存在には戻れない。  
 
そのおかげで!無感動に彩られた停滞した時間が再び動き出そうとしていた。  
極彩色の入り乱れるぐちゃぐちゃとした淫靡な世界へと・・・  
シェーラは期待感に胸をふくらませた。  
 
菜々美にはそうして生まれる二人の間の黒い絆はきっと想像できないのだ。  
 
これからも彼女との友情は続いていくだろう。いや続けていくつもりだ。  
だけど「そのこと」を知ったときの彼女の反応が見たい気もする。  
脳を焼くような背徳感とスリルに思わずニタリと白い歯の輝きがこぼれる。  
シェーラは振り返らず、菜々美と反対方向へ歩く、彼の家へと・・  
 
気が付かぬ菜々美と気が付いているシェーラ、今二人は背中合わせに遠ざかっていった。  
(終幕)  
 

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