これほど無防備な鬼神の姿は見たこともない。  
「ほんとに此奴は最強無敵の鬼神なのか?まったく信じられん」  
苛立たしく陣内はカーリアの眠るベットの隅の方に腰を下ろした。  
 
ランプに火を入れていない陣内の部屋だが、大きく開いた窓が月明かりを取り込み  
十分に明かりを引き込んでいる。  
この部屋は新バグロム城の中でも高層に位置している。  
遠くまで広く見渡せるように作らせたスイートルームである。  
 
規則正しい寝息を立てているカーリア。  
疲れ知らずのはずの鬼神が眠るなどと言うこと自体が陣内には疑問で  
あったが、イフリータも不調になれば横になることはあった。  
 
「よもやカーリアも・・」と不安にならなくもない。  
イフリータのようにガタがきているのではあるまいな・・・  
 
そもそも、勝手に陣内の部屋で寝るとはけしからんのだが  
褒美も求めずよく働いてくれるカーリアであるし、  
ここ最近の労をねぎうこともできなんだ陣内は何となく起こしにくいのである。  
この数日カーリアはよく戦ってくれた、エルハザード制圧まであとわずかという  
ところまで迫っている。  
 
普段は傍若無人に見える彼のその根幹にあるやさしさの一欠片がカーリアに  
向けられていた。  
ただ、陣内自体もそれを意識はしていないのだ。  
 
宿敵の水原誠は現実世界に足止め状態であるし、バグロム軍の道を遮るものは  
何もない。  
あとは現実世界への進行のきっかけを探るだけである。  
陣内はその夢と栄光の未来を想像しほくそ笑んだ。  
 
私の千年帝国が・・うひゃ・・・今始まろうとしているのだぁ うひゃひゃひゃひゃぁ  
 
見ていろよ、水原誠ぉ 私が両世界のすべてを手中にした暁には・・  
貴様に最大級の屈辱を与える世界作りに専念してくれるっ  
ふはははぁっはっはっ私の舐めた辛酸をまとめて返してくれるわっ  
 
それにしても・・・と陣内は再びカーリアに方に視線をやる。  
なぜ、鬼神というやつはこう・・精巧に作られているのだろうか。  
 
相手が鬼神であってもこれほど無防備な少女の寝姿である。  
陣内だとて目の前に投げ出された若々しい褐色の肌にドギマギする事だってある。  
 
白いシャツに着替えたカーリアの胸元が大きくはだけている。  
両腕のガントレットや足についてる多少のパーツは内蔵みたいで  
取り外しが効かないのだが、服自体は脱げるらしい。  
薄い着衣がこう・・扇情的だ・・  
 
だいたい・・女であるということは不要な見た目だけの機能ではないか?  
四角い箱のような形でも、モンスターのような姿でも一向に構わぬはずだ。  
だが、イフリータもカーリアも現に女性の姿・・それもかなりの美形である。  
お人形遊びの感覚で殺人兵器を生み出す旧エルハザードの賢者どもというのは  
きっとバカか妙な性癖の持ち主に違いあるまい。  
と、合理主義の陣内の理解を超えるのである。  
・・・もしや、この女性型・・ということにも何か深い意味があるのだろうか?  
 
いつの間にやら、腕組みをして小難しいことを考え込んでしまう陣内であった。  
そんな事はお構いなしに  
 
「うぅーん」  
 
と、陣内の脇で仰向けに寝返りを打つカーリアは幸せそうな寝顔である。  
よだれすら垂らしそうな大口を開けてスカースカーと幸せ寝息の彼女。  
その右足が陣内の膝の上に投げ出される。  
 
「(怒)・・・」  
 
顔をしかめて、ぷるぷる肩を振るわす陣内であった。  
 
「おおぉおぃ、貴様、いい加減にせんか」  
 
少し優しい気持ちになっていた陣内の心にも、さすがに怒りの熱が立ちこめてくる。  
 
「ん」  
 
カーリアが小さい寝声を上げると逆側に転がり戻る様に再び寝返る。  
 
「うぉおっぉおお」  
 
二つの柔らかなふとももに巻き込まれてカニ挟みの様にベットに引きずり込まれる陣内。  
いつの間にか陣内の体はカーリアのふとももに挟まれ抱え込むみたいな体勢、まるで  
抱き枕でも抱くような体勢である。  
 
顔面から布団に顔を埋められた陣内は何とか脱出しようともがくが、  
カーリアのふとももがそれを許さない。いくら解こうとしてもビクともしないのだ。  
仕方が無く、ふとももの間で体をひねって顔を横に向ける。呼吸が出来る。  
 
「ぷはぁ」  
 
何をするかっと怒鳴ろうと思ったとき、陣内の目の前にカーリアの顔が近接しており、  
思わず陣内の言葉を飲んだ。  
 
それに気がついたが無機質だと思っていた彼女の体は柔らかく  
何とも言えない良い匂いがするのだ。  
うっすらと漂うコンデンスミルクのような甘い芳香のようにも、  
男を惑わす魔性の香水の香にも感じられる 形容しがたい誘惑的な匂いである。  
 
いつの間にか彼女の腕は陣内の背に回されていた。  
人形でも抱きしめるかのようにギュっと抱きしめられる。  
必然に陣内の胸はカーリアの柔らかな乳房に押しつけられている。  
 
弾力を持った二つの乳房は柔らかいながらも確かな抵抗を持って  
密着している。  
 
カーリアと陣内の胸の部分の着衣が汗ばんでしっとりとしてきていた。  
おそらく陣内の発汗したものであろうが、もしかすると鬼神も汗を流したりするのだろう  
か・・と陣内はどうでも良いことを考えてしまっていた。  
この状況よりもほかのことを考えていないと陣内の男の部分が目を覚ましそうだったので  
ある。  
プライドの高い陣内がこんな経緯で勃起するとは何とも屈辱的に感じた。  
もし、カーリアが今、目を覚まして、陣内が勃起した体勢で横に居るとなればどうなるだ  
ろう。  
意外とからかわれるくらいですむかもしれないが、屈辱的な展開であることにかわりがない。  
変態扱いされて拗ねられても困る。  
とはいえ、脱出できない女肉の檻に捕らわれてしまっている陣内には如何ともし難かった。  
 
陣内の股間の愚息はもうすでにこれ以上ないくらい張っていたのだが、  
陣内はそれを認識しないようにして何とかやり過ごそうと逃避していた。  
 
股間の剛直がやわらかな彼女のふとももに刺さったとき、彼の精神は敗北宣言した。  
そのとき、(なんてことだ、この状況をどう切り抜けるか・・・)と陣内らしからぬ  
弱気な気持ちと、(そもそも私が悪いのではない!カーリアが悪いのだ!)という  
責任逃れの渦巻く葛藤の世界に逃げ込み彼の頭はすでに混乱していたのだ。  
 
彼自身、性的な行為は初めてではない、ディーバに求められて数回経験したことはある。  
彼の唯一水原誠に勝っていることといったらコレしか無いと言うくらいには  
早い脱童貞記録であるが、今まで決して彼自身が自分から求めたことはなかった。  
 
性行為自体は好きかと言われれば、やりたい盛りの男子であるから  
当然大好きなのであるが、  
男が自分から求めてすると言うことに抵抗があった。  
彼なりの美学かもしれない。  
今までの歴史上の多くの支配者達は女に溺れて失脚した愚者が多い。  
だから女になど流されぬ。  
そういう理屈ぽい男なのである。  
 
そして最近では頻繁に断られるのでディーバも誘いづらいのである。  
 
陣内はディーバにとって尊敬する唯一の男性であり決して嫌われてはならない存在である  
がゆえ。うざい女と思われたくないからだ。  
 
そういうこともあって、陣内の子袋には大量の子種が準備されている。  
最近は戦場続きでそういうのを抜く暇も無かったので、より一層溜まってしまっている  
のであった。  
 
セックスが気持ちいいのは刹那のこと、征服の喜びには勝らない・・  
女などくだらないと思っていたが・・  
目の前の少女を自分だけの・・すなわち彼女を征服する。  
そう考えると、セックス以上の喜びがあるのではないか?  
 
甘く蠱惑的な女の子の香りに思考もまともに回らぬ陣内は、気がつくと彼女の  
肩先に手を掛けていた。  
 

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