閉園時間をとっくに過ぎたロシュタリア王立フラワーセンターは静寂に包まれていた。
満開の桜の木々の間をやわらかい夜風が吹き抜け、花びらを散らしていた。
月明かりに照らされ、うすぼんやりとした砂利道をゆく二人の人影。
「うわ〜、きれ〜。ファトラさま、見てください!」
両手で桜吹雪を受け止め、子どものようにはしゃぐアレーレ。
「こら、アレーレ。ふたりっきりのときは『おねえさま』とおっしゃい」
アレーレのうしろからついてきたファトラが言った。
「えっ・・・」アレーレは足を止め、振り返った。
「ほら・・・」ファトラはアレーレの髪を指で梳きながらアレーレを見つめた。
「・・・おねえ・・・さま・・・」アレーレは頬を染めてうつむき、小さな声でつぶやいた。
「うふふ、かわいい・・・」ファトラはアレーレをそっと抱き寄せ、キスをした。
くちびるを離すとアレーレはとろん、と夢見るような表情を見せた。
「あっ・・・!!」突然耳たぶを甘噛みされ、アレーレは思わず声をあげた。
「ダメぇ・・・おねえさま・・・」アレーレは逃れようともがいた。
「イヤなの・・・?」ファトラはアレーレの首すじに舌を這わせながら言った。
「イヤじゃないけど・・・あんっ、ダメぇ・・・」アレーレはファトラにしがみついた。
「ヘンな気分になっちゃう・・・」アレーレは瞳をうるませながらうったえた。
「かまわないわよ、かわいがってあげる・・・」
「でも・・・」アレーレは不安そうにあたりを見回した。
「この時間なら誰も入ってこれないわよ、大丈夫」アレーレを安心させるため、やさしくささやいた。
「ん・・・」ファトラにうながされ、アレーレは芝生に身を横たえた。
ファトラがアレーレの服のボタンをひとつずつはずしていく。
アレーレは抵抗せず、ただファトラの妖しい指先の動きを見ていた。
「ああっ」あらわになった胸をもみしだかれ、アレーレは身を震わせた。
全身を愛撫され、これから起こるであろう快感の期待に胸をふくらませ、どんどん呼吸が速くなっていく。
ふと、ファトラは手を止めた。
そしてキスをひとつし、
「『おねえさま、どうかアレーレをかわいがってください』って言ってごらんなさい」と言った。
「っ!! そ、そんなはずかしいこと言えません・・・」アレーレは必死に首を振った。
「言ってくれなきゃしてあげない」ファトラはいたずらっぽく言った。
「いじわるしないで・・・」アレーレは消え入りそうな声で言った。
「ダ〜メ」ファトラはアレーレの太ももの内側をなではじめた。
「んん・・・」アレーレははじらいと欲望のはざまで揺れ動き、もう泣きそうだ。
なんとか理性をつなぎとめようとしていたが、それももはや限界だった。
「あっ、あっ、おねえさまぁ〜・・・。
どうか、アレーレを・・・ああ・・・かわいがって・・・ください・・・」
たどたどしくも、どうにか言うことができた。
「ええ〜? よく聞こえなかったわぁ〜。もう1回言って〜」ファトラは平然と言ってのけた。
「うそよ、いや、おねえさまぁ、もう許してぇ・・・」アレーレはファトラをぎゅっと抱きしめた。
「うふふ、しょうがないわね・・・」ファトラは手を動かしはじめた。
「あああああ〜!!」アレーレは激しい快感におそわれ、身をのけぞらせた。
「あらあら、もうこんなにしちゃって。いけない子ね」アレーレはすでに大洪水だった。
アレーレは押し寄せる快楽の波にかろうじて押し流されずにすんでいるような状態だった。
「気持ちいい・・・?」ファトラはわかっているくせに、アレーレの口から言わせたいらしい。
「は、はい・・・気持ち・・・いいですぅ・・・」アレーレも今度は素直に答えた。
「もういきそうなの・・・?」
「あっあっあっ」アレーレは返事もできない。
「うんといかせてあげる」ファトラは指の動きを速めた。
「ああ、おねえさま、好き、好き、あああああ〜」
芝生にあおむけになったまま、
ぼんやりとしたまなざしでアレーレは桜の枝ごしに輝く月をながめていた。
心は満たされ、指先、足先にまでしあわせがめぐっているような気持ちだ。
「寒くない?」ファトラがアレーレの髪をなでながら言った。
「おねえさま、大好き・・・」アレーレはファトラの胸に顔をうずめた。
「私も大好きよ・・・」ファトラはアレーレをしっかり抱きしめた。
☆★☆おわり☆★☆