僕は、どうして、ここにきたんだっけ??  
 
薄暗い。もとは店が集まっていたところみたいだが…  
長くずっと家にいたから、もちろん見覚えなんて無い。  
 
「うぅー、どこだここは…」  
 
隣で誰かの声がした。  
ちょっと太り気味の男が、起き上がった。  
その男は、服を着ていなかった。  
 
まわりで、次々と人影が起き上がった。大体の人が、服を着ていないか、着ていてもパンツ一丁か、タオルだけのようだった。  
しかも…ちょっと残念なことに…全員、男のようだ。  
 
僕も、気づいたら、服は着ていなかった。  
 
ざわざわとした雰囲気が続いたあと、突然、スピーカーから、男の声が響いた。  
聞いた感じ、僕らと同じくらいの年代の男のような気がする。  
 
「俺は、滝沢朗という。今日は、ここに2万人のニートの男に、ちょっと手荒なまねをして申し訳なかったが、来てもらった」  
 
「ウルセー!」  
「ニートで何が悪い!」  
「職がないのが悪い!」  
 
周りから口々にどなり声が聞こえた。  
 
話している、滝沢っていう奴は、この吹き抜けの空間から見える、一つ上の階にいるようだった。顔は見えない。そいつの後ろから光が照らされている。  
 
「俺は、君たちにお説教をしようと思っているわけではない。君たちに、少し希望を、持ってもらおうと思った」  
 
「偉そうに!」  
 
 再びどなり声が響く。  
 
 そのとき、側面の扉がいくつか一斉に開いた。そして…背後からの光に照らされ、人影が入ってきた。  
 女…服を着ていない?!  
 
 フロアに男のどよめきが広がった。  
 
 女も、男と同じように、全裸か、パンツ一枚か、タオルだけまとっているか、だった。そんな女でだんだん男ばかりのフロアは満たされていった。  
 女たちは、日本人ばかりではないようだった。金髪もいたし、黒人もいた。また、一見日本人だけど、言葉を聞くと、日本語ではなさそうな言葉を話している女もいた。  
 
 僕のものは、いよいよ固くなってきた。普段ならとっくに“恥ずかしい”と思っているだろうが、今はそれどころではなかった。  
 DVDでしか見たことのなかった女の裸が、今目の前を通り過ぎていくのだ!  
 
「君は、あたしでいいかな?」  
 
 僕に話しかけてくれたのは、僕よりちょっと背が低く、年下っぽい、ショートの黒髪の、目が大きい子だった。  
胸は普通くらいかな?  
 
「は、はい」  
「君はもうセックスしたことある?」  
 
 いきなり何だろう??  
 
「い、いや、まだ…」  
「じゃあ、あたしが教えてあげる…仰向けになって」  
 
 その子は、僕が答える間もなく、僕の唇に舌を入れてきた。僕は、キスも初めてだった。  
 彼女の舌が僕の口の中をかき回した。  
 
 そして彼女の舌は、僕の小さい乳首へと来た。  
 
「あぁっ、気持ちいいよ!」  
 
 もう、液が、うっすらと出てくるのを感じた。  
 
 彼女は、僕のものを握った。  
「もう、入れる?」  
 
 僕には、他に選択肢は思いつかなかった。後から考えると、エロDVDで仕入れた、いろんなことを、やってみれば良かった…  
 
「は、はい…」  
「じゃあいくよ」  
 
 彼女は僕のものを持ち、暖かい中に、導いていった。暖かい、ぬめっとした中に、僕のものが包まれた。  
 
「あぁん…」  
 
 彼女はそんな声を挙げて、腰を上下し始めた。  
 あ、もうちょっとゆっくり、オナっている時なら調整できるけど、これだとすぐに出てしまう…  
 
 ………  
 
 僕は、すぐに発射してしまった。  
 
「ごめん、僕、早かったでしょう」  
 
 僕は、すかさず謝った。  
 
「はじめてだからしょうがないよ。これから、もっと、いっぱいやって、うまくなってね」  
 
 彼女は立ち上がりながら、そういって、にっこり笑った。  
 
「それじゃあね。またどっかで会えたらいいね」  
 
 彼女は、股間をティッシュで拭きながらそういって、立ち去っていった。  
 
………  
 
 何だったんだろう??  
 
 しかし、我にかえって改めて周りを見ると、周り中の男が、同じようなことをしていたのだった!  
 
 僕のように、上に乗ってもらっている人が多かったが「正常位」っていうのかな?女が下になる、さらに、男が女を背後から突く…DVDで見たような、あらゆることが、僕の周りでは起こっていた。  
 
 これは、夢かな?でもいいや、こんないい夢。  
 僕も、明日、外に出てみたら、また、セックス、できるのかな…まあ、無理かなあ…  
   
 僕は、こんなことを考えながら、目を閉じた。  
 
 
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 …2万人に一人当たり5万円。国内だけでは一度に集められなかったから、外務省と交渉して外国からも呼んできて…10億円かぁ、これで、少しは希望を与えることができただろうか…  
 
 滝沢は、天を仰いだ。  
 
 しかし、瞼の中には、さっきの、2万組の、セックスのシーンが、焼きついてしまっていた  
 
 僕はかぶりを振った。  
 
 俺は、彼らに希望を与えたかったんだ!決して、俺が見たかったわけじゃない!!  
 
「…100億円を個人の欲望に使用し続けた場合、サポーターに殺される」  
 
 俺は、そういうつもりじゃない!  
 俺は、携帯のボタンを押した。  
「Juiz、おれの記憶を消してくれないか?」  
「受理されました」  
 
-fin-  
 

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