今日、町の猫の集会みたいな物で、ボクは人間の女の子の間で変な話が流行ってるって聞いたんだ。
それは、お嫁さんになるなら誰のお嫁さんになりたいか、だって。
馬鹿馬鹿しいよね。
だって、本当にその人のお嫁さんになれる訳じゃないのにさ。
ちなみに、一番人気はライアット。後は好き好き。
ジェドみたいに冷たい人が良いって人もいれば、ウィルやハルカみたいな可愛い男の子が良いって人もいるみたい。
本当に馬鹿馬鹿しい。
まぁ、町が平和な証拠だからいいけどさ。
でも、町の女の子の好みには興味は無いけど、ボクはサララの好みには興味がある。
女たらしのハイラインが良いなんて言い出したら大変だ。
早速サララのいる店に帰って聞いてみよう。
「ただいま」
「おかえり、チョコ。早かったね」
店の主であり、ボクの大事なパートナーでもあるサララは、いつものようにボクを出迎えてくれた。
「今日はあんまり実りのある話がなかったからね。ところでサララ…」
「うん?どうかした?」
「だんじょんの町の男の人で、お嫁さんになるなら誰がいい?」
唐突な質問に驚いたのか、サララは(多分)目を丸くして黙ってしまった。
長い付き合いのボクには何となく分かる。
「いきなりどうしたの?」
「別に何でもないけどね。町の女の子の間でそう言う話が流行ってるんだってさ」
そうなんだ、と答えてまたサララは黙ってしまった。何気無く聞いたんだけど、サララは真剣に考えてしまった。
少しの沈黙の後、サララが口を開く。
「今はお店で手がいっぱいだから、恋愛とかはいいかな。それに、私にはチョコがいてくれるし」
普段の営業用とは違った笑顔でサララは答えた。
今度はボクが驚いて黙ってしまう。
どうしてボクのパートナーはこんなにも可愛いんだろう。
「ふーん、そっか。ねぇサララ、今日は久しぶりにサララのベッドで一緒に寝てもいい?」
照れてるのを悟られたくなくて、精一杯さりげなく甘えてみた。
鈍いサララは案の定ボクの甘えに気付いてない。
「うん、もちろん。チョコと寝るのは久しぶりだね」
気のせいか嬉しそうなサララを見てボクも嬉しくなって、滅多にしない愛の告白をしてみる事にした。
「ありがとうサララ。大好きだよ」
えっ、と言って俯いてしまったサララを見て、ボクは前髪でよく見えないけど、きっと真っ赤になったサララの顔を想像して笑った。