ふう〜。
やっぱり部屋は落ち着くね。
…こんなヤツさえいなければ。
とにかくソイツときたら生意気だった。
魔女の店の屋根裏部屋。サララのベッドの隣。そこがボクの特等席。
だというのに、だらしなく四肢を伸ばしてソイツが寝そべってるもんだから、
温厚なボクもちょっと怒った。
「ちょっと…あつかましいんじゃないの?」
ちょんちょん、と叩いてみた。
だけどソイツは寝返りすら打たなかった。
「あのね! そこはボクの指定席なの」
耳元で怒鳴っても起きやしない。
こうなったら、ボクだってツメをむき出しするぐらい、するよ。
「どいてほしいんだけど!」
ザクッ! 飛び掛った!
・
・
・
ソイツは音もなく転げ落ちた。
そして、ボクがツメをつきたてたところからは…
ま、真っ白なはらわたが!!
そ、そこまでやるつもりはなかったのに……
あーあ…皮が裂けて真っ白な……真っ白な…?
…なんだ、ぬいぐるみじゃないか。
「チョコ〜〜」
サララの声がする。屋根裏に上がってきた。
「お得意さんから頼まれてた猫のぬいぐるみ、そこにおいといたんだけど……」
えっ…?
…………
ボクの視線は宙を彷徨った。ボクが人間なら、口笛でも吹いてるところかな……
サララが引き裂かれたぬいぐるみを見つけるまで、そんなに時間はかからなかった。
「チョ〜〜〜コ〜〜〜〜ォ」
ピンク色の髪の毛の下で、サララの目が光る。こ、こわいからやめてね…。
だ、だいたい商品だったらちゃんと魔女の大鍋に保管……
「サララさん、お願いした猫のぬいぐるみ、受け取りに来ましたできゅ」
うわっ、このタイミングでキュティ…。
サララの視線が冷たい。
ごめん、サララ。なんでもするから許してよ……
「サララさん…お留守ですきゅ?」
「…チョコ」
え、サララ、どうしたの。ぬいぐるみとボクを見比べたりして…
「…なんでもするって、言ったよね?」
い…言ったけど……?
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「うん、似てる」
そうかなあ……。
ぬいぐるみと同じ格好にされたボク。正直、ボクの方が数段男前だと思うんだけど。
「すぐぬいぐるみを修理して取り替えに行くから、それまで我慢してね」
リボン付の箱に包装されてボク。剥製にでもなった気分…。
「いい? 絶対、動いちゃダメよ」
息は?
「できるだけしないで」
………。
「キュティさん、もうすぐ包み終わりますから」
「はいできゅ。伯爵さまもきっとお喜びになりまきゅ」
ねえ…ホントにやるの…?
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暗いお屋敷の暗〜〜い部屋。棚の上に飾られたボク。
窓の外には満月。光といえばそれくらいで、クラシック調のベッドは薄暗闇の中だ。
おかげでちょっとぐらい動いてもバレないのはいいんけど、
あらためてココって吸血鬼の屋敷なんだな、って感じちゃうね。
キュティは明かりもつけずにベッドに腰掛けて、たまに時計に振り向く。
まるで待ち合わせでもしてるみたいだけど…まさか寝室で待ち合わせなんて、ねえ?
…と、思ってるとノックの音。
「伯爵様…お待ちしていましたできゅ」
入ってきたのはブラム伯爵だった。
「キュティ…今日も…」
「はいできゅ。伯爵様」
そして二人は抱き合った…?
こ、この二人、そんな関係だったの?
伯爵の手がキュティの肩からドレスをずらして……
細い首筋からうなじにかけて、透き通るような肌が空気にさらされた。
伯爵の真っ赤な舌がその柔肌をチラ…と舐め上げると、キュティはピクッと震えた。
そして……伯爵は首筋に唇を押し当てた。
「あ…あぁ……」
キュティの紫色の唇が切ない声をもらす……。
伯爵を抱きしめていた手も、だんだん力を失って、だらんとぶら下がった。
身体をのけぞらすように、伯爵にもたれかかって…
「ん…ぅ……」
つま先からも力が抜けてる。
ドレスが肩からずれ落ちて、キュティの小さな乳房があらわになった。
ボクは……
ぬいぐるみだから、顔を背けるわけにもいかず、じっとそれを見つめてた。
伯爵がキュティの肌を吸うたびに、小さなふくらみがプルプルと震えて……
「ぅん……はぁ…ぁ……ぁ…、あぁ…うぅ……」
キュティの息が乱れてきた。ガクガクと体が震えてる。
なんて濃厚なキス……。思わずボクもドキドキして震えちゃうくらい…。
ん……?
伯爵の口から血が一筋、流れてる…
それをみてボクはようやく二人のやっている意味がわかった。
これって……「お食事」ってこと……。
やがて伯爵が首筋から牙を離すと…
「あ……んぅ……」
力を使い果たしたみたいに、キュティは伯爵の胸に倒れこんだ。
伯爵はそれを優しく抱きしめると、一言「すまん…」と呟くと、彼女をベッドに寝かせてあげた。
「いいんできゅ…。私は…伯爵様のためなら……」
伯爵が去っていく。
血を吸わなきゃいけない吸血鬼がどうして人間も襲わずに元気でいられるのか
不思議に思ったこともあったけど、こういうことだったんだ……。
「はぁ…はぁ…はぁ……」
ベッドの上、荒い息のまま寝そべったキュティの胸ははだけたままだ。
月明かりの中、薄闇から浮かび上がった肌は美しかった。
少し汗ばんで、湿り気を帯びた肌が夜の光にさらされて………。
ボクの視線は、彼女の胸に吸い込まれていった。
「伯爵様……」
キュティは、夢の中にいるような、熱を帯びた声で呟き始めた。
「伯爵様……本当は、私なんかより…サララ様の……」
サララの血!? いっぺんでボクは目が覚めた。まさか、そんなこと……
でも、キュティは目が覚めるどころじゃないみたいだった。
「はぁ…は、伯爵様…それでも、私は…キュティは……」
キュティが自分自身を抱きしめて…そして、そのまま自分の体からドレスを剥ぎ取っていった。
胸に…乳首に……指を重ねて……
そしてショーツの中にも指を入れて……
「あぁ…伯爵、さま…ぁ」
アイマスクから涙がこぼれて、キュティの両手は激しく身体をまさぐり始めた。
つまり、その……
お、おなにぃを、はじめちゃった……。
ボクは…ボクは、ムラムラする気持ちを抑えて、必死で動かないように耐えてた。
キュティのショーツの中で、指がうごめいてる。
あの中できっと、キュティの割れ目を、細い指がなぞってるんだ……
「んんっ! あぁ…わたし、ほんとはぁ、こんなに、はぁ、はぁ…され、たい…で、きゅ…ふぅ……」
ピクン、ピクン、と体が震えて…
「あ、あぁっ!」
喘ぎ声と同時に、うずくまるように背を丸めた。
お尻を突き出すような姿勢になって、アソコをいじってる。
だんだん、指に腰をすり当てるように動かすようになって、
ボクの前で、キュティの小さいお尻が何度も何度も揺れて…
「ふぅっ、うぅん…あぁ、あぁ……わたし、はくしゃく、さま、もっと…きゅ……んうぅっ!!」
ビクビクッ! お尻が大きく突き上げられて、キュティのショーツにシミが広がった。
キュティ、イッちゃったんだね…。
愛液の半分ぐらいはショーツを通り越して、糸を引いてたれていく……。
「ン……」
力なくキュティのお尻がベッドの上に落ちていく。
小刻みに震えたまま、しばらく彼女はうつぶせになっていた。
…やがて、ゆっくり起き上がると、彼女は下着まで全部、服を脱ぎ始めた。
きっと身体を洗うつもりなんだろう。
絶頂を迎えた直後のキュティの裸を月光が照らしてる。
そして湯を使うために、隣の浴室に……
…浴室に通じるドアって、ボクのいる戸棚の隣だよね…。
ボ、ボクに近づいてくる。裸のキュティが……
近くで見ると、まだ割れ目の中に残ってる愛液が、糸を引いて内股に垂れてるのが見えた。
な、なんて…えっちな……
「……? おかしいできゅ」
えっ!?
彼女はボクの方を見てる。
ま、まさか…バレた…とか…?
「さっきと形が違いますできゅ……」
首を傾げてる。
……や、やばいよ。でも、ボクはさっきから、ちっとも動いてないのに、どうして…
…………。
彼女の視線を追いかけて、ボクは理解してしまった。
つまり、動かさないようにしてもどうしても動いちゃう、オトコのどうしようもない部分……
ボクのアソコがビンビンに膨れ上がって起き上がってたんだ。とほほ……情けない……
「こんなトコが…どうして…。このぬいぐるみ、おかしいできゅ…」
あぁっ、顔を近づけないで。息が当たると……ますます興奮して……
ぼ、ボクのいきり立ったアレの目の前に、キュティの顔が…唇が……
「どうして、こんなモノがついてるんですきゅ…?」
あっ? ま、まさか、そんな大胆な……
キュティが、ボクのアソコに手を伸ばした。
彼女、ボクをぬいぐるみだと思ってるから、遠慮が無いんだ……
ダメだよ、さわられたら、本当に……アッ……!
キュティの小さな、柔らかい手がボクのアソコを掴んだ。
細い指がアソコをギュッと包み込んで……
ボクは……
思わず腰を突き出していた。
ビュッ! ビュビュビュビュビュッ!!
「!?」
キュティの青白い顔が、ボクの精液で汚れていく……
ボクはもぉ、気持ちいいやら、情けないやらで……はぁ……
ポカンと開いたキュティの口の中にも、勢いよく液体は飛び込んでいった。
「ぁン…?」
ごっくん。思わず飲み込んじゃったみたい。
ややあって、キュティはヘナヘナと床に座り込んだ。
その髪の毛に、残った精液がダラダラと降り注いだ。
…………どーしようかな、この状況を………。
キュティは何が起こったのかわからず、座り込んだまま呆然としてる。
呼び鈴が鳴ったのは、その時だった。
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「ごめんなさい、キュティさん。あのぬいぐるみ、手違いで別のものを渡してしまって…」
「そ、そうなんですか。きゅ…。へ、ヘンだと思ってましたできゅ」
「えっ? ヘンって、何か…?」
「い、いえ、なんでもありませんできゅ。ちょ…ちょっと、オトナ向けなだけで……きゅ……」
「????」
サララの視線がまた冷たい。
はぁ……深くは聞かないでよ。ボクだって、大変だったんだから。
ボク、もう二度とぬいぐるみの代わりなんてしないからね。
「猫のぬいぐるみ」
お し ま い