東京都,渋谷。明治通りを歩く人の中には色んな意味で目をひく人間がいるが,その中でもある少女は特に周りからういてた。
白というよりは銀色に近い髪の毛だけでも目立つというのに,自分の上半身が隠れるほどの大きさの紙袋を両腕に抱えながらも平気で通りを闊歩しているのには,すれ違う人々は不思議そうな視線を送ってくる。
そんな周りからの視線に気付いてはいるが,特には気にしない様子でひたすら歩いていく。
裏通りに入り,数百メートル歩いた所にある普通の四階建てのビルに入った。警視庁刑事部,捜査第六課分署と呼ばれている場所である。二階に続く階段の一段目に足をかけたところで,人より何倍も鋭い五感がいつもとはどこか違うことを訴えてきた。
(…………二階に誰かいる?)