「(今なら……今なら塩田鉄人の気持ちがわかるっ!!)」  
 かつて同じ状況に陥った尊敬すべき(ジャンプの)先輩を思いながら自らの無力を呪う。  
「(やばい……!!)」  
 
 
 
 
「(やばい……チ○ポが馬鹿になってしまったっ!!)」  
 自然と前のめりになる姿勢に感付かれぬよう、少し足を速める――が、  
「……キリさん?」  
 流石に不自然だったのか、怪訝な顔をしながら声をかけられてしまう。  
「な、なにかな!?」  
 不自然さに拍車をかける反応に自分で気付きつつも顔だけなんとか  
 彼女の方に向ける。  
「いえ……その、特になんでもないんですけど……」  
 うかがうようにこちらを見るエルーに、空気を読まずに馬鹿度が上がっていく。  
「(可愛い……じゃなくて、このままじゃ気付かれる!! た、確か……)」  
 先人の知恵を借りるべく必死に静める方法を記憶から――  
「……赤木ゴリ子?(ぼそ)」  
「えっ?」  
「い、いやいやいや何でもない」  
 思わず口に出してしまった事に更に慌てながらも愚息を確認すると  
 少し馬鹿度が下がっている!!  
「(よしっ!)」  
「どうかしたんです――あ」  
 喜びも束の間――おそらく愚息を確認した視線を追われてしまったのだろう。  
 エルーの視線は完全にエレクトした愚息にロックオンされていた。  
「い、いや、これは違っ!!」  
「ご、ご、ご、ごめんなさいっ!!」  
 顔を真っ赤に染めて目を逸らすエルー。  
「キ、キ、キリさんだってそういう時もありますよね!!(?)」  
「いや、ほんとに違くてコレは――」  
「ごめんなさいっ! わ、私がずっと近くにいるからですよね!!」  
 こうなったらこの暴走機関車は簡単には止まらない事を俺は知っている。  
 ようやく「そういう事もある」と説明できたときには既に2分近く経過していた。  
 
「(あれ……?)」  
 いつも自分のペースに合わせてくれる優しいキリさんが急に早歩きに。  
「……キリさん?」  
「な、なにかな!?」  
「いえ……その、特になんでもないんですけど……」  
 キリさんの不自然な反応に「何かあった事」を確信する。  
 もしかして――ガゼルが近くに?  
 そういえばキリさん険しい顔で何か考えてるみたい……。  
「……赤木ゴリ子?(ぼそ)」  
「えっ?」  
「い、いやいやいや何でもない」  
「どうかしたんです――あ」  
 すごく慌てた様子のキリさんに緊張を高めながらキリさんの視線の先を追う――と、  
 テント(/////)がありました。  
「い、いや、これは違っ!!」  
「ご、ご、ご、ごめんなさいっ!!」  
 初めて見る男の人の男の人(?)に慌てて目を逸らす。  
「キ、キ、キリさんだってそういう時もありますよね!!(?)」  
 そ、そうよ。男の人なんだからそういう時くらいある。  
 あれでもコレってHな事とか考えてる時に大きくなるってマーサが……(←ロクな事教えねぇなコイツ)  
「いや、ほんとに違くてコレは――」  
「ごめんなさいっ! わ、私がずっと近くにいるからですよね!!」  
 そ、そうだ。私がずっといるせいでキリさんきっとずっと我慢してて――  
 
 (キリ説明中)  
 
「何も無くてもなっちゃう事もあるんですね……」  
 説明されながらもどうしても気になって視線が行っちゃうわけで……  
「そ! だからちょっと悪いけど気にしないでもらえる?」  
「え、えぇ! だ、大丈夫です! ちっとも気にならないな〜……」  
 言いながら視線が釘付けになっていたことに気付き慌てて目を逸らす。  
 顔に手をあてて大きな溜め息をつくキリさんから視線を逸らしたままおそるおそる声を出す。  
「そ、それ……」  
「ん?」  
「どうしたら治まるんですか?」  
「ちょっと放っておけば大丈夫だから気にしな――」  
「だ、だってさっきからずっとそのままじゃないですか!」  
「あ、あとは出せばたぶん治まるけど……」  
「出せ……あ」  
 キリさんの言っている意味に気付くと同時に顔に血が集まってくるのを感じる。  
「い、いやっ! ホントにちょっと放っておけば――」  
「――せてください」  
「え?」  
「わ、私のせいなんですからお手伝いさせてください。  
 私だって(マーサに渡された本を読んで)何すればいいかくらい知って……」  
「いやいやいや、ほんとに気にしないでもらえると一番嬉しいんだけ――」  
 キリさんの言葉をさえぎり、人目に付かなそうな路地に引っ張っていく。  
「ちょっ!? アンタまさか本気かっ!!?」  
「本気ですよ。私、キリさんのためならどんな事でも出来るんですから!」  
 言いながら大きく深呼吸して覚悟を固める。  
 ――大丈夫、きっと出来る。  
 キリさんの背中を壁に押し付け、前にしゃがみ込む。  
 ちょうどテント(/////)が目の前に来て鼓動がすごく早くなっていくのを感じる。  
 固まっているキリさんを上目に見上げて、少しだけわがままなお願い。  
「――キリさん。お願いがあるんですけど……」  
 言葉も出せずにコクコクうなずくキリさんに――少しだけ――安心して、  
「両手使いたいから……頭撫でててくれませんか?」  
 別に撫でてもらっている必要は無いけど、少しだけわがまま。  
 キリさんの手が優しく頭に乗ったのを感じて、そっと手を離す。  
「じゃ、じゃあ……始めますね」  
 ズボンに手を伸ばしてボタンを外し、そのまま下着ごと下ろす。  
 
「ふわっ!!?」  
 勢いよく飛び出してきたキリさんの男の子(?)がほっぺに当たり思わず声をあげてしまう。  
「だだ、だ、大丈夫?」  
 キリさんがかけてくれた言葉に行動で反応すべく男の子に向き直る。  
 ――大丈夫、頑張れ! エルレイン!  
 本で見たのよりずっとグロテスクな見た目に感じる気後れを払拭すべく自分を鼓舞する。  
 意を決し、目を閉じてそっと口を近付ける。(←いきなり口なあたりがマーサの教育間違ってる)  
 ――たぶん、もう少しで届く。苦くないといいな……  
「ちょっと待ったっ!!」  
 届く直前、キリさんの声にびっくりして思わず動きを止める。  
 開いた目の前が大迫力だったけど気にせずに視線をキリさんにあげる。  
「……どうしたんですか?」  
 私の質問にキリさんはしばらく固まって、ようやく口を開いた。  
「あ〜……、アンタこういうの初めてなんだろ?」  
「あ、当たり前ですっ!!」  
「その、なんつーんだろ。初キスなんだとしたらそれじゃない方がいいと思うんだけど」  
 ――そっか。私、キスより先にしようとしてるんだ……。  
「だだだ、だって、仕方ないじゃないですか!   
 キリさんだって好きでもない子とキスしたくないでしょっ!」  
「そりゃ勿論そうだけど、フツーはフェラも好きでもない子にはされたくないと思うぞ」  
「――っ!!?」  
 思いもかけないキリさんの言葉に一気に頭に血がのぼる。  
 確かに私が強引に連れてきたけどキリさんのためを思ってしてるのに  
 そんな事を言われるとは思ってなかった。  
 キッ! と見上げるとキリさんは困ったような顔をして空いている手で  
 頬をかいていた。  
「あー、エルー。聞いて欲しい」  
 
「なんで――っ!?」  
 大きな声で言い返そうとした瞬間、体がぐっとキリさんに抱き締められていた。  
「エルー、聞いて欲しい」  
 そこでキリさんは深呼吸をして――  
「――好きだ。キスさせて欲しい」  
「――っ!!」  
 唐突に重ねられた唇に驚いて目を見開いた後、ゆっくり目を閉じる。  
 唇が触れるだけのキスだけど、心が幸せで満たされていく。  
 唇がそっと離れた後は、ドキドキがすごいけど何故か気持ちは落ち着いていた。  
「……騙されませんよ?」  
「なんでだよっ!?」  
 精一杯の照れ隠し。  
「舌、出して……」  
「ん……」  
 キリさんに言われるまま目を閉じて舌を出す。  
「んぅ……っ」  
 初めての感覚にオーバーヒート気味の頭で、ごめんなさい、私こんな事考えてました。  
 ――キリさんきっとさくらんぼとか結べるんだろうな〜 (←教育が間違(ry  
 
 

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