キリさんの家に帰り、後は寝るだけになった。今日は本当にいろいろなことがありすぎて、  
気持ちが高ぶっている。ゼスゥ、ガゼルの幹部の襲来は一刻も早くこの町を離れなければならない  
ことを私たちに痛感させた。  
「お祭りを放りだしておくのは気が引けるけどそう言ってられないなぁ」  
キリさんは心底残念そうにしている。私もお祭りには興味あったけれど…。明日起きたらこちらに  
向かっているはずの本部の護衛騎士たちと合流するために出発だ。  
おやすみなさい、キリさん。  
「おやすみ。…」  
キリさん。あなたの決意は十分に見せてもらいましたから、そんなカオ、しないでください…。  
 
 
 
―――コン。  
なんだろう?  
―――コン。  
窓?  
―――コン。  
外から石が投げられているようだ。手をつないでいるから小さくても聞こえる。キリさんも起きたの  
かな?カーテン越しに寝ながらごそごそと何かやっている。月明かりがつくる影がにゅっと  
伸びる棒を映し出した。  
鍵の外れる音がする。さすがに器用だなぁと思ったとたん誰かが窓から入ってきた。  
「よう、しばらく会わんだろうから、思いっきり、ヤりに来た」  
 
 
―――え!?スイさん?!ていうか今とんでもないこといってたような  
「いや、となりでエルーねてるし」  
「お!3倍か!ていうか3人でか!」  
「話聞いてる?」  
「窓開けてくれたんならOKってことだろ?」  
「閉じてたら窓破ってはいってきたのは誰だよ…」  
夜這い?ていうか初めてじゃないみたい…。あ、衣擦れの音がする…。ここは寝たフリで  
やりすごしたほうがいいよね?3倍とか3人とか普通じゃないよね?うん、やりすごそう。  
 
とはいっても3倍状態だといやでも聞こえてくる。  
「あのシスター、エルーだっけ?カタそーだもんなー。おまえもそうとう溜まってるだろ?  
 目の前にいるのになー」  
なにかをこするような音が聞こえる。カーテンから顔をそむけてはいるが気になってしまう。  
にぎっているキリさんの手の動きが伝わってくる…。  
「…っ!」  
「お、やっぱ早かったな今日は。溜まってるのもあるがやっぱ3倍だからか?…はやく俺も  
 ヤりてーな。それ。」  
「いてっ。ていうかいい加減にしないとおきるだろ!」  
なにかをはじく音がした。と一緒に手を強く握られ、体が反応してしまう。…なんだかアツイ。  
「お、元気になったな。それじゃあ…」  
ぬれたものが触れ合う音がする。…意味は知っている。トロイを治療する者、シスターとして  
医者並みとはいかなくても知識はある。キリさんがとなりで、女の人と繋がっている――  
胸がちくちくするのに、脚はもぞもぞする。  
「あっ、は、すげぇ!いつもより、いぃ!」  
「あんまり、うご、くな、  うぁ!」  
もっと強く握られる手に痺れるような感覚をおぼえる。太ももをすりあわせる。手が伸びる。  
はしたない―――とは思っても、とまってはくれない。  
 
 
 
「あ――」  
声が出てしまった。向こうの動きも止まる。思わず振り向いてしまった私が見たのはひらかれた  
カーテンの向こう、息を切らすキリさんと、あらたな獲物を見つけた獣の瞳であった。  
 
スイさんの口の両端が持ち上がる。瞬く間にひっつかまれて、スイさんが私とキリさんをだき  
しめる形になった。  
「3人でぇーえ3倍♪」  
それから先はおぼえていない。  
 
 
 
 
スイさんに感染る…!と思ったが、服の上から肩をつかまれていたようだ。直接触れられたと  
思うほど敏感になってしまっている。キリさんとくっついている頬が熱い。たぶん、顔も  
真っ赤なのだろう。  
「…やっぱまんざらでもないみたいだな?顔真っ赤だぞ」  
う…。  
「はじめてで三人じゃーなんかケチでそうだな。まずあんたからだな。  
 キリ、準備できてるだろ?」  
「準備ってーかお預け状態ってか…」  
あ。――あれキリさんの…って。  
「何言ってんですか!!!ま…ま…混ざったりしませんって私!!ね…寝ますよっ」  
「え―――。かわいそうだよなぁキリの奴。こんなにおったてて…今日も大変だったんだよな?  
 それでなくてもいつも我慢してるってーのに」  
う…。  
「あー聞かなくてもいいぞ。俺のは気にしなくていいし。コイツのせいだし」  
キリさん…。私は…。  
スイさんがこっちをみている。はじめてみたときのあの笑顔。  
……。  
 
「…い、いいですよ。キリさんがいいなら。やりますよ私。ふ た り で」  
あれ?なんでムキになってるんだろう。  
「いよっしゃ!そうこなくちゃ!よかったなーキリ。おまえヤってる最中も隣ばっか  
 気にしてたもんなぁ〜。いつもは眼も両手も合わせるのに」  
「…言わんぞ」  
いつもそんなことを?  
「やりかたはわかるよな?あ、手袋借りるぞキリ。んーと」  
「あっ…!」  
スイさんが私の股に手を伸ばしてきた。ゆびが…。  
「もう結構濡れてるし、感度は良さそうだし、こりゃいっていいってことだな!」  
「…エルー、俺ももう限界だし、訊けるうちに言う。…いいのか?」  
つないだ手が握られる。キリさんの瞳はこちらを捕らえている。キリさん…  
「…はい。――ひとつだけ、その、キ、キス…から先にお願いしていいですか?」  
「ひゅ〜。そういやそうだよな」  
キリさんが穏やかに笑う。  
「わかった」  
キリさんが覆いかぶさる。唇が触れ合う。  
はじめての…自覚しての…キス。シスターになってできるとは思わなかった。キリさん…。  
「浸ってるとこ悪いけど、次」  
「んむ…!」  
舌?入ってくる!  
「んっ!」  
こっちの下も!?  
水音が聞こえる。キリさんがいつの間に脱がしたのだろう。衣服が取り払われていく。  
スイさんも手伝っている。キリさんが腰を移動させた。いよいよだろう。初めては痛いと  
いうけれど…。  
「おまじないってわけじゃないけど、こっちの手も握るな。…いくぞエルー」  
「あ…!ああ、い…」  
いたい!いたい!口から言葉が出ない!息が…  
「はぁっはぁっ…」  
「は、はいった…。エルー…」  
あ、おわったん、ですか  
「…あーまだるっこしい」  
スイさん…その手つきは何企んでるんですか?  
「俺も入る!」  
え、あ、引っくり返さないで、  
「無茶すんなよスイ!」  
「これなら俺も楽しめるな。キレーな背中だなぁ〜直に触れないのもったいないよな〜」  
スイさんに手袋越しに背中をなでられる。ぞくりと震える。  
「…そろそろ俺も動いていいか?」  
ゆっくりと、でもだんだんはやくなっていく。  
「あ、あ、キ、キリさぁん!」  
汗が飛び散る。またお風呂か…。キリさんと…。キリさんの瞳とかちあう。両手は痛いほど  
握り合っている。キリさんが口を開く。  
「エルー」  
なんですか?私もう…  
「好きだ」  
同時に私のなかを何かが駆け抜けた。  
 
 
「うおっ。初めてなのに…。やるな〜キリ」  
「はぁ…はぁ…エルー」  
「キリさん…」  
私も、あなたのことが――  
「これから本番だ!息切らしてる場合じゃねえぞ二人とも!」  
がしっ  
え!?おしり?  
「あーいいしり、いいしり〜」  
あ、スイさんそんなにいじらないで…。て、もうひとつの感触が…。  
「エルーわり。おさまんねぇわ」  
えええええええええええええええ!?  
 
 

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