キリは目覚めた  
「(う・・・ん・・・なんだ?何がどうなったんだっけ・・・!・・腹が痛い・・  
そうか・・確かゼズゥに殴られて・・・)」  
「&%$%&ではこの小僧を始末するとするか」  
「(小僧?・・始末?・・俺のことか?!・・まずいな・・どうすれば・・・そういえばエルーは?)」  
キリは目を開けてつながった手の先にいるエルーを見た  
「(!!!!っ!!)」  
そこには無残に衣服を剥がされ背中には地面の摩擦による擦り傷、顔は白く汚された  
ボロボロの状態で横たわるエルーの姿があった  
「(あいつ!!!)」  
キリの中でとてつもない怒りの感情が湧き上がっていた  
 
「おとなしく死ね!!」  
ゼズゥの刃がそこまで迫っていた次の瞬間  
『ガキィーーーン』  
ゼズゥの刺した場所にキリはいなかった  
「何?!消えた?!」  
 
キリは一瞬のうちに立ち上がっていた  
「き・・きさまいつの間に?!」  
「よくもエルーを!!」  
キリは渾身の右ストレートを繰り出す  
「(は・・・速い!!)・・・ぐあっ!!!!」  
ゼズゥの体が吹っ飛ぶ  
「(あ・・当たった?!・・・ていうか何だ?この力・・・)」  
キリはさっきよりもはるかに大きくなった力を自分の中に感じた  
キリは自分の足元を見る・・・誰かが自分の足を掴んでいる  
ローズだった  
 
ローズがキリの足を肌を露出させて掴み、さらにローズの足を別のシスターが掴み  
数珠繋ぎでつながっている  
「(だからか)」  
キリは納得した・・シスターたちが地面をはいずり必死でこの状態までたどり着き、キリの『フレア』の  
能力でキリのパワーやスピードが数倍に増しているのだ  
さらにフレアにより気絶からの回復速度もゼズゥの予想をはるかに超えていた。  
「(まさかここで『フレア』の能力が役に立つなんて・・・)」  
 
「ぐっ!!!」  
ゼズゥは痛みながらも立ち上がった  
「く・・くそっ・・・小僧がああああ!!」  
ゼズゥは消えた  
「(死ね小僧!!)」  
そしてキリの背後より現れてキリを襲う  
「同じ手はくわない!!」  
キリの鋭い視線がすでに後方のゼズゥを捉えている  
「(何?!)ぐわあ!!!」  
キリの裏拳がゼズゥの顔面に炸裂  
再び吹っ飛ぶゼズゥ  
「く・・・くそ!!覚えていろよ小僧!必ず殺してやる!!」  
そういうとゼズゥは今度こそ姿を消した・・・  
手下2人もそれを見るやあわてて走り去った・・・  
 
「おいあんた!大丈夫か?」  
キリはエルーをゆすり起こす  
「・・ぅ・・・・ぁ・・・キリさん・・・無事だったんですね・・よかっ・・・た・・・・」  
エルーは一瞬目覚めたものの度重なる責めによる疲れで再び気を失った  
キリはエルーの体を自分の服で覆った  
 
しばらくして  
フレアの効果で何とか立ち上がれるまで回復したシスターたちはヘイムを病院へ  
傷ついたエルーを隠れ家まで運んだ  
 
そしてエルーの体を洗い、着替えさせてベッドに寝かせた  
 
もちろんその間もキリはつきっきりだった  
ずっと手をつないで、そしてエルーのほうを見ないようにシスターたちに釘を刺された  
「覗いちゃだめですよ」  
「いつものぞいてねーし」  
そんなやりとりをしながらその日は眠った  
 
そして次の日  
エルーは目を覚ました  
「・・・・ん・・・ここは・・・」  
「あ・・・起きた?」  
「あ・・・キリさん・・よかった。ほんとに無事だったんですね」  
「ああ・・・」  
「よいしょっと」  
エルーはベッドから起き上がって立とうとする  
「おい!もう大丈夫なのかよ?!」  
「ええ、大丈夫です。いつまでもキリさんを寝室に閉じこもりっきりにさせちゃ悪いですから・・・」  
「そんなの気にすんなよ、ちゃんとメシは持ってきてもらってるし・・・」  
「いいえ、もう起きます!」  
エルーは半ば強引にベッドから立ち上がった  
「ほんと大丈夫かよ・・・」  
「大丈夫ですよ!・・・ていうかもう帰りませんか?」  
「はあ?まだあんた起き上がったばっかだぞ?!だめだろ、もうちょっと休んでないと。」  
「もうここはガゼルに見つかっているんですから長居は危険です。それよりタームに戻ってキリさんの  
家にいた方がまだ安全だと思います。町まではバレてても家まではバレてませんし」  
「う〜ん・・・そりゃそうだけどさ・・・」  
困るキリの手をエルーは強引に引っ張って階段を降り、一階にいるローズの所に行く  
 
「私たちは帰ります。どうもありがとうございました」  
「そう・・・で、これからどうするんです?」  
「ほんとは護衛の1人でもつけて普通に生活しようとは思ったのですがヘイムさんのこともありますし、  
ガゼルもかなりの力を入れてきていますから・・・ここは普通の生活を捨ててなんとかファルゼンの  
到着をタームで潜んで待ちたいと思います」  
「そう・・・それがいいわね」  
「ヘイムさんのこと・・・申し訳ありませんでした」  
「あなたが謝ることではないですよ、エルレイン。  
幸いヘイムさんは意識はすでに戻っているみたいだし代わりの護衛の方もまもなく来るって本部から  
連絡があったわ」  
「そうですか・・・」  
「エルレイン・・・」  
「はい」  
「あなたは私たちシスターにとっての希望の星なの。それを忘れずに・・・  
そして彼を導いてあげて」  
「・・・・・・はい・・・・」  
エルーはなぜか寂しげに返事した  
 
その表情をローズは見逃していなかった  
 
2人はシスターの隠れ家を去った  
その後ろ姿を見送るシスターたち・・・シスターの1人がローズに話しかける  
「よかったですね、被害者が1人も出なくて」  
「それはどうかしら」  
「え?・・」  
「エルレイン・・・心配ね・・・」  
「どういうことです?ローズさん」  
 
「シスターっていうのはね、その運命を背負ったときから命は半分捨ててるの・・・  
どのみち長く生きられない命だからこそ、他人(ひと)よりも簡単に命を投げ出せる・・・  
それはいいことかもしれないのだけれど  
逆にいえば自分で命を捨てることにも歯止めがかかりにくいということでもあるの・・・・  
 
シスターの命・・・生きる意欲を支えているのは、どんなに人から白い目で見られても避けられても  
一途にトロイに立ち向かえるほどの誇りと自尊心・・・自分が必要であることを強く自認することなの・・・  
それを認識できなくなったらそのシスターは周りの精神的圧力に押し潰されて・・・死を選ぶ・・・  
エルレインは今回の件で護衛を求めてここに来たけれど、結局それが災いして護衛を失い、  
私たちを危険に晒し、キリ君までもを危険に晒してしまった・・・・  
彼女はこのことを自分のせいだと思っている・・・  
『もし自分が存在しなかったら昨日のことはなかった』  
そう思い込んでるかもしれないわね」  
「そんな・・・エルレインさんは私たちを助けて・・・」  
「そう・・・あともうひとつはそれ・・・あなたはエルレインに昨日のお礼は言いましたか?」  
「い・・・いえ・・・とても言えませんでした・・・」  
「なぜですか?」  
「エルレインさんは私たちを助ける代償に女性として一番屈辱的な行為を受けました  
もし私がお礼を言ったらそのことを思い出してしまうのではないかと・・・  
エルレインさんにとっても思い出したくないことでしょうし・・・」  
「でしょうね・・・人は恥ずかしい部分を見られるとそれを見た人、知っている人とは  
顔をあわせたくなくなるものです。・・・・なぜならプライドが傷つくから・・・  
だからこそエルレインは昨日の状況を知っている私たちから早く離れたかったのでしょう・・・  
しかし不幸にも彼女はキリ君とは手が離せない・・・男性であるキリ君と・・・  
彼女は存在意義を見失い、誇りをズタズタにされた状況で、1人で心を癒す暇もなく  
男性と同じ空間で過ごさなければならない・・・」  
「そ・・・それってかなりまずい話では・・・」  
「いえ・・・不幸中の幸いと考えています」  
「えっ?何で?」  
「近くに常にキリ君がいる・・・・あの絶望的な状況で私たちを助けに来たキリ君ですもの。  
エルレインを見捨てるわけがないし、全てを投げ出して彼女の心を救ってくれるはず」  
「はあ・・・・」  
「それならばいっそ彼に全てを賭けてみようと思ったの・・・  
苦労するかもしれないけど、ふたりできっと乗り越えてくれるでしょう・・・」  
「よく言ってることが分からないんですけど・・・」  
首を傾げるシスターの横でローズは2人を穏やかに見つめていた・・  
 
キリとエルーは手をつないで帰っていた。一言も言葉を交わさず・・・  
ただただ歩を進めてタームへと帰っていった  
 
 
キリの部屋  
 
2人はベッドで背を向けて座っている  
一言もしゃべることなく互いの手をつないで。  
 
2人の間を流れる静かな時間だけがいつもとかわらず流れていく  
 
ふとエルーの手がキリの手を振り解こうとする  
しかし急な力にもキリはエルーの手を握り返し、離すまいと制する  
 
「・・・・」  
 
「・・・・」  
「離してください・・・・」  
「・・・・」  
「もう耐えられません・・・」  
「・・・・」  
「もう消えてしまいたいんです・・・」  
力なくエルーの口から出る弱音  
それを黙って聞くキリ  
 
「私が生き残らなければ・・・あなたと会ったときそのままトロイで消えていたら・・・  
あなたを危険に目に晒すことはなかった・・・」  
「・・・」  
「私は何の役にも立てなかった・・・」  
「・・・」  
「こうやってキリさんに手をつないでもらって生かしてもらって・・・・  
キリさんの動きを制限して・・・それでなんの役にも立てない」  
「・・・」  
「挙句の果てには敵の幹部に体を弄ばれて・・・・・・うっ!!!・・・」  
エルーの言葉が心の中に湧き上がるさまざまな感情で詰まり  
目からは涙が溢れ出る  
「あんたは何を言ってんだよ・・・昨日の話はローズさんから聞いた。  
あんたはその身を投げ出してまで俺らを助けようとしたんだろ」  
「そうですよ!私が馬鹿だから!!・・・あいつらの嘘も見抜けずにこんな・・・こんな!!・・・」  
エルーの頭に昨日の記憶が蘇る  
「それはあんたがやさしいから・・・人を疑うことができないぐらいやさしいから・・・」  
「やさしい?他人を疑わない?・・・ちがいますよキリさん・・・私は疑ってますよ・・・・  
今日目が覚めたときからずっと・・・キリさん・・・あなたを・・・」  
「・・・・・」  
「いままでなんとか我慢できてましたけど・・・もう耐えられません・・・  
男性の手に触れているだけで・・・・震えて・・・涙がでちゃうんですよ・・・」  
「・・・・」  
「キリさんがいい人だっていうことは分かってるのに・・・・  
キリさんがいい人だって頭では思っているのに・・・・  
心の奥底でキリさんがゼズゥのように私を襲うんじゃないかって・・・  
そんな心配がよぎって手を・・・そして体を震えさせるんですよ・・・」  
つないでいるエルーの手が震えているのをキリは今日ずっと感じていた  
「・・・・」  
「私は・・・体も穢れていれば・・・心も荒みきっただめな人間です・・・」  
「・・・・」  
「私は・・・・キリさんを疑ったままでキリさんの手に触れて生きるなんて耐えられないし、  
キリさんだってきっと嫌になるはずです・・・・  
他人から疑いや嫌悪の目で見られることのつらさは・・・  
シスターである私が・・・・一番分かっていると思いますから・・・・」  
「・・・・」  
「世の中からトロイを消滅させるのには・・・キリさんさえいてくれれば十分なんですから・・・  
この手を離して・・・私の夢をかなえてください・・・・」  
 
しばらく沈黙の時が流れる・・・  
静かでそして限りなく長く感じる空白・・・  
キリはエルーの手を離してベッドから立ち上がった  
「(それで・・・それでいいんです、キリさん・・・あなたの手で・・・きっとトロイを・・・)っ!!!」  
 
キリは背後からエルーを抱きしめた  
 
「絶っっっ対いやだ・・・」  
「な・・・ん・・で?・・・・」  
「あんたは間違ってる・・・」  
「!!!・・・・な・・んで?・・なんで!あなたは私の気持ちを少しも分かってくれないんですか!!」  
涙を流して激怒するエルー  
「俺さ・・・いつも考えるんだ・・・トロイのない世界が実現したときのこと・・・  
俺の横であんたが笑って・・・あんたが治療した人たちが笑顔であんたにお礼を言いに来て・・・  
それにあんたが明るい笑顔で応えて・・・俺、きっとそんな光景を見たくてあんたに協力する気になったんだと思う  
あんたのいない世界でトロイのない世界が実現したって、  
あんたの墓の前で涙を流しながら人々がお礼する様を見たって、  
しょうがないじゃんか・・・あんたが一番望んだ世界なんだろ  
一番あんたが見たかった世界にあんたがいなくて何になるんだよ・・・」  
「・・・キリさんの言ってることは分かります・・・でもキリさんには分からないんです!  
こんな目にあった女の気持ちなんて!!」  
 
張り詰めた空気の中静かな時間は流れる・・・  
エルーは背中にキリの鼓動を感じていた  
この沈黙の中でキリの鼓動がどんどん速度を上げている  
 
『(キリさん・・・困ってるのかな・・・怒ってるのかな・・・・でも・・・私にはあなたといる資格なんて・・・  
あなたと手をつないで生きる資格なんて・・・ないんですかr)』  
「いやだ!!!」  
沈黙がキリの声によって途切れる  
「俺・・・あんたと初めて手をつないだとき・・トロイがなくなるまで絶対この手は離さないって誓った。  
そしてあんたとこうやって過ごしていく中でその気持ちはさらにでっかくなって・・・  
いつかこの手を離すときが来ても、あんたから離れたくないって思うようになった・・・  
でも・・・・それはあんたにとって迷惑だと思ったから・・・俺はその気持ちを自分の中で押し殺してた・・・  
そんな俺の気持ち・・・エルーだってわかってくれてないじゃん・・」  
「キリさん・・・」  
「確かに俺はエルーの気持ちは理解してやれないのかもしれない・・・  
でも・・・俺にトロイを抑える力があるのなら・・・・  
人を元気にする力があるのなら・・・  
エルーの心も体も・・・俺が浄化する・・・俺が元気にする  
俺が・・・エルーを助けたい・・・・」  
「・・・・」  
「俺じゃ・・・だめかな・・・」  
慣れない言葉をキリはたどるように紡ぎだす  
そんなつたない言葉もエルーの心にはダイレクトに響く  
 
「・・・・・・・ごめんなさい・・・」  
キリは否定されたのだと解釈した  
「そっkk・・」  
返事をしようと思ったがエルーの言葉は終わっていなかった  
「やっぱり私は・・・あなたに助けてもらわないと生きられないみたいです」  
「え?・・・」  
「キリさん・・・私を助けて・・・くれますか?」  
力なく泣き崩れる彼女をキリは力強く抱きしめた  
 
そして涙で濡れる彼女を慰めるようにキリは唇を重ね、  
そのまま2人はベッドの海へ沈んでいった  
 
 
ベッドの上で絡まりあう2人  
「怖い?」  
「ちょっと・・・でも・・・それ以上にうれしいです」  
「そっか」  
再び彼らは口づける  
その顔の横では互いの手も抱き合う男女のようにまさに今の彼らのようにつながっている  
 
キリはエルーの衣服に手をかけるとエルーの体がわずかに硬直する  
 
「服脱がすよ」  
「・・・はい」  
片一方の手を繋ぎながら一枚ずつエルーの服を器用に脱がしていく  
それにつれてエルーの白い肌が徐々に露出部分を広げていく  
脱がす過程でキリはエルーの胸に触れる  
 
「あっ・・」  
胸に感じる優しい感触にエルーの口から声が漏れる  
「エルーのおっぱい・・・やわらかいな」  
「恥ずかしいですよキリさん・・んんんん・・」  
キリの手はエルーに心地よさをもたらす  
同じ事をされているのに昨日とは何もかもが違う  
 
痛みと屈辱と絶望感を突きつけられた昨日  
それに対して甘い羞恥と快楽と幸福感に満たされる今日  
 
恥ずかしい部分、触られたくない部分を触られているのに  
それが恥ずかしさと表裏一体の部分にある快楽を呼び起こして  
エルーから悲鳴ではない  
淫靡なあまい喘ぎ声を引き出す  
 
キリの手が服の中に侵入してエルーの胸に直接触れる  
「ふああ!!」  
ダイレクトに感じる他人の手の感触  
 
キリは器用な手で彼女の小ぶりな胸を揉みしだきながら  
上半身を下着一枚にしてしまう  
 
胸以外の白い肌がキリの前に晒される  
「きれいだな・・・エルーって」  
「あの・・そんなにじろじろみないでください・・恥ずかしいです」  
顔をそらすエルーの身体を  
「いや・・・ずっとみていたい」  
キリはまっすぐみつめていた  
「下着もとるよ」  
胸を覆う下着をやさしく取り去ると  
そこにエルーの余った手がさえぎるように覆う  
 
キリはその手をやさしくつかむと静かにどけて固定する  
 
白くきれいな丸みを帯びた身体とその中心で  
二つ丸く膨らんでいる女性の象徴。そのひとつにキリは口づける  
「ああっ!!」  
キリは乳首を転がすように舌を動かし  
両手をふさがれた状況でエルーはその舌の動きに身体をよじって喘ぐしかなかった  
 
キリがエルーに与える刺激は彼女の細胞の活動を活性化させて  
身体の異常な火照りと発汗を促し、そして呼吸も荒くなる  
 
キリはエルーの手を封じていた手をエルーの股間に伸ばして下着の上から触れてみる  
 
「だいぶ濡れてる」  
「・・・やだ・・・」  
言葉とは裏腹な表情で答えるエルー  
「いや俺うれしいんだ・・・エルーが感じてくれてるのが・・・  
俺、エルーの全てが見たい」  
キリの言葉にエルーはコクっと頷いた  
 
エルーに自分の足を掴ませて下半身も下着一枚にする  
エルーの身体全体のラインが完全に表れ  
スラっとした足、女性らしい丸いくびれが見て取れた  
いつもだぶだぶしたシスターの服を着ているせいかいっそう細く華奢に見えるエルーの身体  
 
キリは昨日もこの身体をみたはずだけれどもとてもそんな感想を持つどころではなかった  
ボロ雑巾のようにズタズタにされた彼女を直視することさえはばかられた記憶  
 
でも今は目の前にあのときと同じではあるけれど  
背中の傷はまだ消えてはいないけれど  
昨日と違って美しい彼女の姿がここにある  
とても美しく輝く彼女の姿が  
 
キリは静かに最後の一枚に手をかける  
エルーが無意識に足を閉じようとするけれどその動きも愛らしい  
 
きれいな部分、恥ずかしい部分、ちょっと変わった部分  
全てがキリの前に曝け出される  
 
キリは全裸のエルーとキスをして手を股間に伸ばし  
やさしく敏感な珠を刺激する  
「んんん!!ふ・・んん!!!」  
触れ合ったエルーの口から甘くて熱い吐息がキリの口の中に流れ込んでくる  
その吐息を再びエルーの口の中に戻すようにキリの舌がエルーの口の中に入り込み  
エルーの口内のあちこちに触れ、そしてエルーの舌と絡み合う  
 
口を離すと二人の間にだ液のアーチがかかる  
それがプツリと落ちてエルーの唇の端に落ちる  
「なんなんでしょうか・・・いままでこんなこと絶対しちゃいけないって・・・  
イケナイことだって思っていたのに・・・・  
キリさんとこうしてると・・・楽しくてしょうがないくらいです」  
「俺・・・もっとイケナイ姿のエルーが見たいな・・・」  
キリはエルーの中に指を埋めた  
 
「ん!!!!」  
まるで彼女の中を探るように動く指  
奇妙で心地よい感触に、エルーの表情がうつろになる  
その表情をキリは見つめていた  
「ふあああ!!!・・・は・・・はずかしい・・」  
自分の手の中でもだえる彼女を愛らしいものをみる穏やかな目で見つめていた  
 
次第にエルーの中から水音が響きだしそれがエルーの羞恥心を更なる高みへと引き上げる  
「エルーのアソコが小鳥のように鳴いてる」  
「い・・いやあんんんん・!!!ああああ!!」  
 
キリがエルーの中から指を引き抜くとその指はエルーの液できらきらと光っていた  
 
「ほら・・・こんなに濡れてる」  
エルーは恥ずかしさで顔を覆った  
 
「それじゃあ準備もできたし俺も脱ぐか」  
キリが言った瞬間に急に起き上がったエルーに押し倒される  
「うわっ!!・・・なんだよ?」  
「あ・・・あの・・・私がキリさんの服を脱がします・・・  
な・・・なんでか分からないんですがそうしたいんです」  
「ああいいよ」  
顔を赤らめながら若干テンパるエルーにキリはさらっと返した  
「ただし・・・俺その間エルーのおっぱい触ってるから」  
「へっ?・・・」  
キリの視点からは重力にしたがっていつもより体から突き出しているエルーの胸が見える  
それを掴むと宙に浮いたさらにやわらかい胸の感触がある  
「うああ!!」  
「えへへへ・・・やわらかい」  
「もう!・・・キリさんのエッチ!・・」  
キリの愛撫に震える手でエルーは一枚ずつ服を脱がしていく  
 
上半身を脱がすと男性のがっしりとした胸板がある  
そしてキリのズボンに手をかけてゆっくり脱がす  
その下にあるキリの下着は膨れ上がっている  
そこに何があるか・・・そうよく知っている  
昨日自分を絶望に叩き落したものだ・・・  
トラウマを振り払うように  
覚悟を決めて下着に手をかけてそれをずり下げる  
 
ひょっこり男性の象徴たるものが自分を押さえるものから解放されて天に向けて起ちあがる  
一瞬たじろぐエルー  
しかしキリの顔と分身を交互に見てみる  
愛する人の身体とつながっていると思うと男性の象徴もとても愛らしいものに見えてくる  
 
「・・・なんかかわいいですね」  
「はあ?!・・・か・・・かわいい?!!・・・う〜ん・・・なんか男としては馬鹿にされた気分なんだが・・・」  
「そんなつもりはないですよ・・・キリさんのだからこそ愛せる気がします」  
エルーはキリのものを掴むと実の息子を撫でるようにやさしく擦る  
「うおっ!!」  
急所に感じる刺激にキリが声をあげる  
「なんかさらに硬く大きくそして息づいてきてますよ!」  
エルーがその細い手でキリの分身を上下に扱く  
「うあああ・・・・」  
 
「本当にごめんなさいキリさん・・・あなたの気持ちを全然分かってあげられなくて・・・  
でもこれからは・・私でよければ、キリさんがよろこんでくれることたくさんできるように  
がんばりますから・・・」  
エルーはそういうと手を止めてキリの分身をその口で咥えて扱きだす  
いきなりのエルーの行動にキリは対応できない  
「うわ!・・・ちょ・・・・っと!!・・・まっ!!・・て!・・あああ!!!」  
エルーの最大限の奉仕に言葉もまともに出せないキリ  
キリの分身がどんどん元気になってくるのが口で直接感じられて  
そのことでさらに奉仕の度合いが強くなる  
「あああああ!!!・・もう・・・!!・・・ああああああ!!!」  
「っ!!!・・」  
2人の動きが同時に止まった  
 
「あああ・・・」  
「・・・」  
 
キリは耐えられずエルーの口内に発射してしまった・・・  
エルーの口内に生暖かい液体の感触が広がる  
それと同時にキリの分身は小さくなっていく  
 
「はあ・・・はあ・・・・はあ・・・エルー・・・はやく・・洗面所いって・・吐いてこよう」  
キリは身体を起こして息絶え絶えにエルーを促すがエルーは動かない  
ずっとキリの分身を咥えたまま静止している  
 
「おい、エルー・・・」  
『ごくり』  
キリが再び呼んだ瞬間、エルーの喉が波打つ  
「ぐっ・・・はあ〜〜〜〜」  
エルーはキリが放出したはずのものを少しも出さずにキリの分身から口をはずして  
大きく口を広げた  
「おいおい・・・わざわざあんな旨くもないもん飲まなくても・・・・」  
「いいえ、いいんです。キリさんのなら何でも愛せる自信があります。  
それにキリさんのを飲んだらフレアの能力が得られるかもしれないじゃないですか  
いまから体を離してみますか?」  
「・・・・あほな事いうなよ・・・そんなことはまったく根拠がないし  
第一そんなことになったら俺がシスターたちに襲われまくらにゃならんだろうが」  
「いやなんですか?」  
「いやじゃねえけど・・・多分そうなったら何もかも吸い尽くされて死ぬ・・・・  
って、ああ!!あほな事考えさせるから萎えちゃったじゃん!!」  
 
「フフ・・・じゃあもういちど失礼しますね」  
エルーはキリの前に跪いてキリの分身を再び嘗めて触れて刺激する  
その姿はまるで餌を食べる猫とそれを撫でる飼い主のよう  
その光景がお互いの征服欲、被征服欲を刺激し、気分の高まりを促す  
 
キリの分身は即座に起ちあがり、徐々に血が流れ込んで成長していく  
 
エルーにとって慣れない事ではあるけれど一生懸命に愛するもののため  
アイスを懸命に嘗める子供のように無邪気に陰茎に挑むエルー  
好きな人が自分の陰茎を懸命に咥えてがんばる姿が愛らしくて仕方がない  
そんなエルーの髪をキリはやさしく梳いた  
 
「ありがとう、エルー、もういいよ」  
エルーは頷いて程よく元気になった分身から口を離すとキリと向かい合い  
『チュッ』  
始まりの合図とでも言うように音を立ててキスをした  
「キリさん・・・」  
「ん?」  
「中には出さないでくださいね・・・私が身重になっちゃったら生活が大変になっちゃうから・・・」  
エルーは明るく言った  
がキリはその笑顔の裏にある暗い影を感じていた  
「ああ、分かった」  
だが彼は素知らぬ顔で平然と回答した  
 
キリは陰茎をエルーの膣口に宛がう  
「いくぞ」  
「・・・はい」  
エルーはうなずく  
 
「んん!!」  
確かめるようにゆっくりとエルーの膣壁を押しのけながら  
徐々にキリの陰茎は奥へと進んでいく  
最奥まで到達すると2人は安堵の表情をうかべて微笑みあう  
「うごくよ」  
「はい」  
 
キリはゆっくりエルーの中で動き出す  
「ううう〜」  
「んあああ!!」  
動きにあわせて2人の性器が擦れあい  
それによって生まれるキリの低い喘ぎ声と  
エルーの高い喘ぎ声  
 
最初は痛いぐらいの感覚だったものも  
時間が経つにつれ滑らかになっていき、二人に更なる快楽をもたらす  
それは日ごろのトロイをこの世から消滅させる使命感や  
ガゼルに襲われる危険を一瞬でも忘れさせてくれる  
 
「じゃあ今度は上になって」  
「えっ?」  
 
キリはエルーの身体を起こして自分は横になる  
「動いて・・エルーが主体になってするんだ」  
「・・・は・・はい」  
エルーは競馬の騎手のように前かがみになって腰を振り始める  
最初はゆっくりと・・・そして中にいるキリを確認しながら徐々に速度を上げ  
キリの上でトランポリンのように跳ねる  
 
キリはおもむろにエルーのくびれた腰をつかみ  
エルーが身体を落とすタイミングにあわせて思いっきり下から突き上げる  
「!!!あああああ!!!」  
エルーが空に向かって叫ぶように思わず身体をよじる  
下からの激しい責めにエルーの口の端からだらしなく液体がでる  
 
キリは身体を起こして繋がったままエルーに口づける  
上と下で激しく繋がる2人  
上では熱い吐息であふれ  
下では熱い愛液であふれ  
そして互いの癖のある髪を撫であった  
 
唇を離した後も2人は近い距離で互いの顔を見つめあう///  
 
普段は見ることがない・・・いや、誰にも見せて事がない  
うっとりした緊張感のない顔で・・・  
 
キリはエルーを寝かせる  
腕をエルーのひざの下に入れて持ち上げ開脚させる  
足を広げられる羞恥と互いの性器の密着感がエルーの気持ちを高揚させる  
キリが動き始め、その速度は徐々に速くなっていく  
 
部屋中が暑くなりそうな激しい行為  
その激しさにしたがって大きくなるエルーの声とキリの表情のゆがみ  
「エルー・・・!!俺!!・・もう・・・いく・・!!」  
「わたしも!!・・・で!・・・す!・・・キリさん!!」  
「うあああああ!!!!」  
「あああああああ!!!!!」  
 
キリの分身は解放されたように思い切りエルーの中に精を放った  
 
「はあ・・・はあ・・・はあ・・・」  
2人は目を瞑って、達した快楽に浸った  
 
キリが目を開けるとエルーの目が涙であふれていた  
「どうした?・・・何か悪かった?」  
心配そうに問いかけるキリ  
エルーは首を横に振った  
「違うんです・・・私、ほんとに今日目が覚めたときから死にたいって思ってた・・・  
どうしたらあなたから手を離して消えることができるか・・・そんなことばっかり考えてた・・・  
でも今は違う・・・なにがなんでも生きていたい・・・あなたと一緒に生きていたい・・・  
トロイをなくして・・・好きなことやって・・・あなたと生きていければ最高って・・・  
考えられるようになりました・・・・・ありがとう・・・・ございます・・・」  
 
「礼を言うのは俺の方だよ・・・エルーのおかげでみんな助かったし  
エルーとひとつになってとっても気持ちよかった」  
「私もです・・・あなたとひとつになれて・・・気持ちよかったです・・」  
「エルーはエッチだな」  
「キリさんこそ」  
「・・・はは・・・ハハハハハハハ!!!」  
「フフフ・・・ハハハハハハ!!」  
2人は大笑いした  
 
「ハハハハ・・・・!!!!ってキリさん!!そういえば思いっきり中に出しちゃってるじゃないですか!」  
「・・・ん?・・そういやそうだな」  
「なななななんてことしちゃうんですか!中はだめって言ったのに・・・」  
「まあいいじゃん、出来ちまったら出来ちまったで。  
俺手が器用だしエルーと子供ぐらいは養えると思うぞ」  
「い・・・いや・・そうじゃなくて・・・子供が出来ても・・  
それはあなたの子とはかぎらないんですよ・・・ひょっとしたらあいつの・・・」  
エルーの言葉が途切れて、ばつが悪そうに視線をそらす  
エルーの脳裏に蘇る昨日の屈辱と事後に残ったゼズゥの生暖かい精液の感覚  
 
目が覚めてからずっとエルーは悩んでいた・・・隠れ家にいるときも  
隠れ家からタームに帰る間もキリの家に帰ってからも  
 
もし妊娠していたら・・・  
 
この心配がエルーの生きる意欲を確実に奪っていた  
好きでもないどころか自分を犯した相手の子など生みたくはない・・・  
しかし生まれてくるかもしれない子には罪はない・・・  
せっかくこの世に宿った命を自分の感情で消す権利などあるのだろうか・・・  
人を救う存在であるシスターが自分のお腹に宿った命を消すことが正しいのか・・・  
自分の感情と倫理観の中で考えて、思い悩んで、苦しんで・・・  
そして出した結論が  
『屈辱の記憶とともに自分の存在を消すこと』  
もしかしたら誕生したかもしれない生命を消すことへの罪滅ぼし  
これ以外の回答にはたどり着けなかった・・・  
 
悲しい表情をするエルーにキリはさらっと回答する  
「はははは、馬鹿だな〜エルーは・・・俺とエルーが好きで身体を重ねて  
エルーに子供が出来たんならそれは俺の子供だろ〜」  
「!!!」  
涙の残るエルーの目の底からさらに涙があふれる  
 
誰からも望まれない・・・・母親となる自分すら歓迎しないかもしれない命・・・  
しかしキリはそれを受け入れると言ってくれた  
心の奥底にある氷が音を立てて崩れていく気がした  
 
「さあ今日は今まで疲れたから夕方まで寝よう  
手は俺が結んどくから」  
「(そういえばすごく疲れた気がする  
ほんとに・・・ほんとに悩んだから・・・)・・・はい」  
服を着ようかとも思ったがもう疲れてしまったし、  
なにより同じ空間にいるのは全てを曝け出せるこの世でたった一人の男(ひと)  
なにも気兼ねする必要はないだろう  
静かにエルーは生まれたままの姿で眠りに落ちた  
 
キリも手を結んで固定すると  
「おやすみ」  
エルーの頬にキスをして倒れるように眠りについた  
 
 
 
 
「キリ〜何してるの〜もうご飯の時間よ〜」  
ミンクの声と足音が近づいてくる  
「(・・・ん?母ちゃんか?・・・ていうかいま真っ裸じゃん!!  
隣にはエルーも・・・あれ?)」  
エルーは掛け布団をかぶって寝ていた  
「(・・・俺も掛け布団かぶろ・・・)」  
キリはあわてて掛け布団をかぶった  
その瞬間にドアが開く  
「何やってんの?もうご飯の時間だよ」  
「あ・・ああ・・今行くよ」  
「エルーちゃんおきてる?」  
「はい、起きてます・・・すぐ行きますから」  
明るいエルーの声を聞くと安心したようにミンクは部屋を立ち去った  
 
「おいエルー」  
キリが呼びかけるとエルーも体を起こす。服は着ていなかった  
「ほんと危ないところでした」  
「ああ・・ほんとだよ・・・こんなの母ちゃんに知れたら何を言われるか・・・」  
考えただけでもぞっとする・・どれだけ肩身が狭くなることか・・・  
「よかったですね・・・・っ!!!」  
急にエルーの顔が青ざめる  
「どうした?エルー」  
「な・・・なんか・・だれかに見られてる気がします・・・」  
「はあ?んな馬鹿な・・・」  
エルーは振り返って窓の外を見る  
それに従うようにキリも窓の外を見る  
「ゲッ!!!」  
通りの向かいの家の屋根の上に1人の人間がしゃがんでこっちを見ている  
髪が異常に長いその人物  
 
・・・スイだ  
裸の背中を外に向けてるエルーと目が合う  
その横に裸のキリの存在も確認すると  
『ニィ』  
口の両端が持ち上げ奇妙な笑みを浮かべるスイ  
そして意気揚々と屋根から飛び降りた  
 
「・・・・い・・・いかん!きっとあいつこれをネタに勝負しろとか無茶言ってくるぞ!  
エルー!!今すぐ荷物まとめてここを出よう!!」  
キリは突如として慌てふためきだす  
「はあ〜〜〜〜・・・・」  
エルーはキリのテンパリぶりとキリ以外の人間に裸を見られたショックでため息をつくと  
「もう私は疲れました・・・寝ます・・・」  
また布団に横になる  
「ぎゃああああ!!!寝るな!!早くしないと!!!」  
『ピンポ〜〜〜〜〜ン』  
「キリー!スイちゃんが遊びに来たわよ〜〜」  
「ぎゃあああああああ!!!!!!!」  
 
キリにとっての悲劇が始まろうとしていた。  
 
おわり  
 
 
 

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