学校帰り
家に帰ろうとは普通に思う
しかし、何かと急ぐ理由はない
からと言って、別に何もしないというわけでもない
ポケットの中には、500円玉
いつ入れたのかもわからない
思い出そうとしたが、やめた
めんどくさい
とりあえず、近くの公園に行く事にした
16時とはいえ、冬の時期だと流石に暗くなる
小さい子供の姿が一切見当たらない
子供は既に、自分の周りにたちはだかるマンションや家に帰ったに違いない
そんなイメージしか浮かばない
期待はずれでないが、物足りなさを感じた
いくら遊具がいくつもあるからと言って、
人が遊ばないと何も起こらない
いくらカラフルな色がついていたって
暗ければ、色は捕らえられない
さっきから、なにを考えているんだろうか
不安をまぎらわそうとしているのか
不安か
悩みという悩みは確かにある
受験
買いたい物
と、これしか浮かばない
こんな悩みはハナッから解決してもしなくてもどちらでもいい
受験では成功したら、良い
失敗したらまたやり直せる
買いたい物はお金をためれば何とかなる
ポッケにあった500円を使わなければ足しにもなる
そんなのはどうでもいい
気になるのは
桜君だ
自分は男、西田昭典
女を好きになるはずの自分(おとこ)が
同性とは・・・
始めて抱いた恋心はその少年(おとこ)によって生まれた
同性趣味、ホモ、ゲイ
言い方はそれぞれあるが
全部自分に当てはまる
桜君は無論、異性愛だ
だから自分(おとこ)からの愛を伝えるのが難しい
難しいというか、無理だ
どうすれば、いい
僕はどう彼にこの事を上手く伝えられるか
「おい、おめぇ
大丈夫か?」
西田「・・・あ」
いつからそこにいたのか
いや、自分が考えことをしていたから上の空だったんだろう
だから気付かなかった
すぐにそう解釈した
そして、声をかけてくれたのは
チンピラっぽい人
やばい
そう思った
西田「うわうわうわ・・・す、すいません!!
見逃してください!!」
「ちげぇよ馬鹿
おらぁ、たこ焼き屋だよ」
西田「・・・
・・・ぅえ?
た・・・たこ・・・」
「たこ焼き屋」
西田「・・・あ、すいませんでした
あの・・・僕・・・」
「いいよ、んなの
よく間違われるよ」
この人は何度もチンピラに間違われている
だから、僕の言いたかったことも理解できたのだろう
そう僕は解釈した
「表側はな」
西田「え・・・」
「それより兄ちゃん
たこ、買ってくか?」
「・・・はぁ」
貯めると決めた500円を使う事はなんのためらいもない
この人とあった事で、僕は悩みが解決したのだ
2へ続く