第一話『もしもドクロちゃんが「ぴ」と「る」以外しゃべれなかったら』  
 
中学二年の健康優良児、草壁桜とは僕のコトです。  
コンゴトモヨロシク。  
窓の外では小鳥が〈ちゅんちゅん〉と僕に気持のいいモーニングコール。  
上半身を起こし、のびをしながら今日という一日に期待に胸を膨らませます。  
「ぴ〜……」  
振り向けば押入れのふすまを開ける、頭に〈きらり〉と輪っかを浮かべるエンジェルな寝起きの女の子。  
「おはよう、ドクロちゃん。今日は早いね」  
学校の日は、たいていは僕がドクロちゃんを起こすという危険キワマリナイ橋を渡るハメになるのです。  
「ぴ?」  
「……ん?どうしたのドクロちゃん、変な声出して」  
ドクロちゃんはなぜか発声練習でもするように自分の喉に手をあて、「ぴー」というような声を発しています。  
「ぴーぴー! ぴぴるぴー!」  
「おわあ! ちょっと何で復活の呪文唱えながら僕の首を絞めるの! あがががが……死ねる死ねる……ザクロちゃーん! おかあさぁーん! ドクロちゃんが朝から僕を亡きモノにしようと……!」  
一体どうしたというのでしょうか。  
ドクロちゃんは急に僕にすがりついて(首を絞めて)涙目で「ぴー」とか「ぴるるー」とか言っているのです。  
変なのはいつものコトですが、今朝のコレはタダ事ではありません。  
程なくして〈ドタドタ〉と階段を駆け上る音。  
「おねえさま! 桜さん! 一体何が……」  
外見は十九歳だけど、心はまだまだ九歳なザクロちゃんが〈がちゃり〉とドアを開ければ、目に飛び込んでくる惨状。  
床に敷かれた僕の布団の上でドクロちゃんはマウントポジション。  
涙目で僕の身体を〈がくがく!〉と揺らしているのです。  
「失礼しました……」  
再び〈ばたん〉とドアが閉ざされます。  
「待たれえー! コレは決して中学生の朝の情事とかそんなんじゃあない! 何でザクロちゃん涙目なの! 違うって言ってるでしょ!」  
決死の思いでドクロちゃんのマウントポジションを解き、走り去ろうとする妹天使を必死に説得します。  
「聞いて、ザクロちゃん。ドクロちゃんの様子がおかしいんだ」  
ゆっくり振り返る妹天使。  
 
「……おねえさまが?」  
 
   ★  
 
「そういうことですか」  
姉であるドクロちゃんに朝ごはんを食べてくるように促した、軍服を着た天使はうなずきつつそう言いました。  
「ど、どういうこと?」  
「天使はニンゲンと違って不安定な存在ですので、こう言ったコトはよくあります。おそらく、お姉さまの心を乱す何かが、昨日あったのだと思います」  
「心を乱す何か?」  
「おねえさまは昨日起こった何かに精神的にショックを受けたのですよ。わたくしたちルルティエの天使はつらい修行を受けているので、おそらく相当のことなのでは……」  
僕は首をひねります。ドクロちゃんにとって相当なショック。何でしょうか。  
何かドクロちゃんにとって、それほど大切なコトに関係していると思われます。  
「うーん……何だろう? マヨネーズ?木工ボンドにびんかんサラリーマン……」  
僕がドクロちゃんがショックを受けそうなコトガラを羅列していると、ザクロちゃんがソレをさえぎって口を開きました。  
「おねえさまが何より大切にしている、大好きなものがありますよ」  
「え? 何?」  
そんなものがあったでしょうか。ドクロちゃんが木工ボンド以上に大切にしてるモノって……  
「桜さん、アナタです」  
 
   ★  
 
普段の通学よりも少し遅い時間。  
朝のホームルームはとっくに始まっている時間です。  
いつもの通学路はやけに静かで。  
「ぴるるるー♪」  
隣にはこんなときでも笑顔を絶やさない天使の少女。  
このときばかりは彼女は本当の天使なんだと実感させられます。  
「ドクロちゃん、僕が絶対治してあげるから、心配しないでね」  
「ぴー!」  
そう言って僕の腕に抱きついてくるドクロちゃんを見ていると、何だか微笑ましくて、そっと彼女の頭を撫でてあげます。  
ザクロちゃんにああ言われてから、昨日僕がドクロちゃんに対してとった行動を一つ一つ確認してみましたが、特に思い当たるコトはありませんでした。  
言われてみれば、ドクロちゃんは二言目にはいつも「桜くん」と口にしていた気がします。  
自分勝手だけどとっても寂しがりな彼女のキモチは、身近ゆえに気が付きにくいのかもしれません。  
 
誰もいない下駄箱空間。  
遠く生徒たちの声が聞こえるということは、ちょうど朝のホームルームが終わる時間でしょうか。  
 
階段を上り、僕たちの教室のある階に到着し、僕とドクロちゃんが廊下を歩いていると後ろからかけられる声。  
「よう桜、それにドクロちゃん。二人そろって重役出勤か?」  
いかにも運動部な爽やかスマイルを僕たちに向けるのは宮本でした。  
朝から気持のイイやつです。  
「ドクロちゃんがちょっと大変なことになって……朝のホームルームで先生、何か言ってたか?」  
「いや、何も言ってねーな…………というか半分寝てた。すまん。くはは」  
「お前に聞いた僕がバカだった……」  
仕方ありません。バカは放っておいて、朝の連絡事項は静希ちゃんにでも聞くとしましょう。  
「しかしお前ら並んで歩いてるとカップルみたいだぞ? いやマジで」  
「なっ!」  
宮本の言葉にドクロちゃんは「ぴぴぴー」とか言いながら頬を染めて後頭部をかいていますが、僕としては堪ったものではありません。  
何故ならここは静希ちゃんもいる学校内。  
いつ誤解が生じるか分かったものではありません。  
ドクロちゃんと気持ち三歩距離をとります。  
「ほら、ドクロちゃん、早く教室入ろう?」  
 
僕はそのときのドクロちゃんの悲しげな表情に気付くことができませんでした。  
 
   ★  
 
国語、数学に音楽と、いつもに増して言っていることがニンゲンからかけ離れているドクロちゃんですが、何故だかソレらを難なくコナシ、今は夕暮れ、放課後です。  
茜色に染まり、遠くから部活にいそしんでいるであろう運動部のかけ声や、吹奏楽部の楽器の音が小さく聞こえる教室で、僕は天使の少女と二人きりでいました。  
僕は誰もいないコトを確認し、ゆっくりとドクロちゃんに話を始めます。  
「ドクロちゃん……」  
「ぴ?」  
天使の少女は不思議顔。されど僕と二人きりなのが嬉しいのか、どこかうきうきした様子。  
僕は今日ずっと、授業のあいだだって、僕が昨日犯した過ちについて考えていました。  
けれど答えは出てきませんでした。  
ドクロちゃんは未だに「ぴるる?」などと言いながら、うつむく僕の顔をのぞき込んでくるのです。  
 
〈ぱた〉  
 
頬を伝い、机の上に落ちた水滴。  
それは間違いなく僕のモノでした。  
「いやだよ……どうしてドクロちゃん、何もしゃべってくれないの? ……ねえ、ずっとこのままなの? いつもみたいに僕のこと“桜くん”って呼んでよ……」  
 
この一日、たった一日で僕は実感するコトができました。  
誰かが自分のコトを呼んでくれる。ソレが、どんなにかけがえのないコトなのか。  
一度せきを切れば次から次へと流れる涙。  
ドクロちゃんまでがうつむいてしまいます。  
元気さだけがとりえなのに。ドクロちゃんにこんな表情をさせてしまう僕はつくづく最低なヤツです。  
「ドクロちゃん、ごめんね? ……やっぱり僕、わからないよ。何がキミを傷つけたのか。……僕が悪いコトをしたのなら、ハッキリ言ってくれてかまわないよ。だから……」  
途切れるコトバ。  
うつむいていた天使の少女は急に〈ぱっ〉と顔を僕に向けると、  
「もうっ! しょうがないんだから! 桜くんは!!」  
〈にこっ〉と僕に向かってスマイル。  
同時に繰り出されるのはおなじみの鋼鉄バット。  
ドクロちゃんの言葉に反応する間もなく、ソレは僕の脳を頭部より〈ごめるり〉とこそぎ落しました。  
脳信号が途絶え、鮮血をまき散らしながら千鳥足で教室のイスや机にぶつかりながら〈がっしゃあん!〉と倒れる本体。  
 
ぴぴるぴるぴるぴぴるぴー♪  
 
「いきなり痛いじゃないか! どうしてキミのために涙を流す僕の頭部を黒光りする鈍器で引っ叩くの?!」  
「だって、桜くんが女心が分かってないから……」  
「だからってエスカリボルグは…………え……?」  
硬直。渇いていく涙。だって、今目の前にいるドクロちゃんが  
「アナタ、しゃべれるようになったの?!」  
「ボクは最初からしゃべれるよ? 桜くん」  
そのくりくりボイスで発せられる“桜くん”という単語。僕の名前。  
「そういうコトを言ってるんじゃない! 今朝からさっきまでドクロちゃんは『ぴ』と『る』しかしゃべれなかったでしょ?!」  
「うん。桜くんを反省させるために、ボクとザクロちゃんで、桜くんを騙すお芝居をしたんだよ? 桜くん、引っかかった? えへへっ!」  
「何でそういうコトするの?! 僕は本当に心配したのに! 純情な中学二年生のココロを持てアソビましたね?!」  
僕の説教も終わらぬうちに、ドクロちゃんは〈くるり〉と後ろを向いてしまいます。  
「待ってよ! まだ話は……」  
「ねえ桜くん」  
いつもと違う声色。それは、悲愴漂う声。  
「昨日の放課後のコト、本当に覚えてないの?」  
「え……?」  
身体に電気が走ったようでした。  
それは脳に焼きついた昨日の記憶。  
 
   ★  
 
それはドクロちゃんを校門で待っていた放課後のコト。  
 
「あーもう! 一体いつまで待たせるつもりなんだよ!」  
帰りのホームルームが終わってはや三時間。  
「ボク、ちょっと用事があるから、校門で待ってて(はぁと)」と言ったドクロちゃんが校内から出てくる気配は未だありません。  
さすがにガマンの限界というものです。  
部活をし終えて、帰り始める生徒たちも、少し目立ち始めました。  
このような人通りの多いトコロで待ち合わせをするのは非常に気が引けるのです。  
もうすぐ陸上部に所属する静希ちゃんだって来るかもしれません。校門で待ち合わせなんてシチュエーションを彼女に見られた日には自殺モノです。  
「よう桜」  
跳び上がる心臓。唐突に後ろから僕に声をかけた人物の姿を確認するために後ろを向けば  
「何だ宮本か」  
「何だとは失礼なヤツだな。何だ?彼女と待ち合わせか? 相変わらず仲がいいな、お前ら」  
僕は三時間も待たされて少しイライラしていたのかもしれません。  
「なっ……! 仲がいいワケないだろ! 毎日毎日ドクロちゃんのワガママに付き合わされる身にもなってみろ! もう、うんざりだよ!」  
肩をすくめて  
「そうかよ。じゃあな」  
そう言って帰途につく宮本の背を見送り、十分ほどして現れたドクロちゃん。  
 
思えばそのとき彼女の眼が、少し赤かった気がしました。  
 
   ★  
 
「……あ……聞い、て、たんだ……」  
今さら、取り返しのつかないコトを口走った自分に気がつきました。  
過去に戻ることが出来たなら、その自分を力いっぱい殴りたい気分です。  
ドクロちゃんがいなかったから、とか、そういうコトではありません。  
ワガママばっかりで、いつも僕に迷惑をかけるドクロちゃんだけど、彼女がいっつも僕のコトばかり考えているってコトぐらい、いつもいっしょにいれば分かってたハズなのに。  
「ねえ、ドクロちゃん。ごめんね? 僕、別に本気であんなこと言ったワケじゃないんだ。ただ、ドクロちゃんに待たされて、少しイライラしてたんだ。僕がどうかしてたよ。ごめんねドクロちゃん」  
謝ってもどうにもならないけど。気づけたことは大事だと思うから。  
「桜くんは、静希ちゃんのコトが好きなんだよね?」  
それでも彼女は振り向いてくれなくて。  
突然発せられる脈絡のない質問。  
でもそれはどこか鬼気迫る声で。  
しばらくして僕が返した答えは、  
「…………うん」  
 
嘘をつくことなんか出来ません。  
誰よりも真っすぐなドクロちゃんに嘘をつくことが、彼女に対してどれほどの裏切りになるのか、言うまでもないから。  
「桜くん、ボクのこと、犯していいよ?」  
「え……?!」  
ドクロちゃんが僕のほうを向けば、すでにはだけられている制服。  
「なっ……! ドクロちゃん、何やって……!」  
「ボクはね、桜くんのコトが大好き」  
僕の言葉をさえぎって発せられるドクロちゃんのキモチ。きっとドクロちゃんの、初めての告白。  
「だから、ボク、桜くんに犯されても平気だよ? ほら、気付いてくれたお礼。静希ちゃんと桜くんが恋人になったとき、ちゃんと女の子のコト知ってたほうが安心でしょ?」  
きっと、ドクロちゃんは昨日のあのときから、このシナリオを考えていたのでしょう。  
その上でザクロちゃんと相談して、僕のキモチを確かめるようなコトをしたのです。だって今のドクロちゃんの眼差しは、真剣そのもの。覚悟ができていなければ、こんな表情はできません。  
そして、これがきっと僕のキモチを確かめるための最後のステップ。  
「ドクロちゃん……」  
しかし僕の下半身は正直に反応を示し、『ドクロちゃんを犯す』という黒々とした欲望が心に満ちます。  
少しずつドクロちゃんに歩みより、ついには興奮した僕の鼻息が肌で感じられるほどの至近距離。  
「優しくできないからね?」  
ドクロちゃんは数秒うつむき、  
「うん。桜くん、来て……」  
僕に向けられた表情は、今までの、どのドクロちゃんの笑顔とも違った、卑屈な笑み。  
彼女のこんな表情は初めて見ました。  
 
ドクロちゃんを机の上に押し倒し、教室に誰もいないことを確認し、すでにはだけられたドクロちゃんのワイシャツの胸元から、乱暴にブラジャーを〈びっ〉と引きちぎります。  
自らを守るモノを失い、解放されたドクロちゃんの二つの大きなふくらみが〈ぷるんっ〉と、ブラジャーを引きちぎられた勢いで激しく上下、重力に逆らうかのごとくその存在を主張します。  
ドクロちゃんは横を向き、頬を赤く染めています。  
張りのあるふくらみの先端には綺麗な薄桃色の突起。いつも際どい格好をしていても、決して見せたことのないドクロちゃんの胸が、今、一糸まとわぬ姿で僕の目の前に晒されている。  
その事実が僕の興奮を最高値まで高めます。  
思春期の男の子が女の子に「いいよ」と言われて正常な精神状態を保てるでしょうか? 答えは『否』。  
僕の心臓は初めての体験に激しくロデオされ、今にも破裂せんばからに超速のビートを刻んでいます。  
「ぃひゃあっ!」  
鼻息も荒く、僕がドクロちゃんの突起を口に含み、飢えた子どものように貪ると、ドクロちゃんが嬌声を上げました。  
「あ……はっ……桜くんがボクのおっぱい吸ってる……えへへ……」  
 
それは最早、快楽に身を任せた少女の声。  
そんな普段とは違うドクロちゃんの艶やかな声に、僕の興奮は止まることなく、口に含んでいないもう一方のふくらみに手を伸ばし、手のひらで揉みしだきます。  
「ん……きゅっ……桜くん……」  
ここぞとばかりに僕はドクロちゃんの胸を堪能しつくました。  
 
どれくらいの時間がたったでしょうか、僕が口を離したときには、ドクロちゃんはすでに呼吸も荒く、グッタリしていました。  
初めての体験にドクロちゃんは胸だけで何度か果ててしまったようでした。  
 
再度、教室に誰もいないことを確認すると、僕は早まる気持ちを抑えきれず、自分がはいているトランクスをズボンごと一気にずり降ろしました。  
「きゃっ?! 桜くん?!」  
せっかくの機会です。『アレ』を経験しないワケにはいかないでしょう。  
僕の下半身の怒張はすでに真っ赤に充血、脈打ってます。ドクロちゃんはさも恐ろしいものを見るかのような目つきで僕のソレを見ています。  
「ドクロちゃん。僕の、ドクロちゃんの口で気持ち良くして」  
命ずるまでもなく、ドクロちゃんは机の上から身を起こし、僕の正面にしゃがみこみます。  
しばらくうつむいた後、顔を真っ赤にしながら口を開け、おずおずと舌を出し、先端を舐めます。  
「さ……くらくんの……おちんちん……」  
最初は怖がっているようでしたが、まるで呪文か何かのように僕の名前を繰り返し口にしては、しだいに僕のソレを愛でるかのように、両手でしごき、丁寧に舐めまわして行きます。  
ドクロちゃんの小さな舌が〈ちろちろ〉と僕の敏感なとこを余すとこなく、舐めます。  
「うっく……」  
漏れたのは僕の声。僕だってこんなことされるのは初めてです。あまり長くは持ちそうにありません。  
「ドクロちゃん、口に含んで……」  
そう言うとドクロちゃんは素直に僕の棒状のソレを〈かぷっ〉とスッポリと口内に含みました。  
そして僕の内にわき上がる支配欲。ドクロちゃんの口内を犯したい、という欲望。  
「んぶっ! あっぐ……んっ!」  
僕はドクロちゃんの頭を両側から〈がしっ〉と鷲づかみにすると、そのまま縦に激しく動かし、ドクロちゃんの口内への抽挿を繰り返します。  
「あっんぶっ……はふは、ふんっ……ふふひひほ……」  
彼女の唇、そして口内の頬の湿った肉が僕の怒張を激しく擦り上げます。  
「うぐっ……ドクロちゃん……!」  
ドクロちゃんの頭を抱き抱え、僕の怒張を彼女の小さな口内の奥に突き刺します。その瞬間、僕の尿道を一気に駆け上がってくる射精感。  
 
〈びゅっびゅーっ〉  
 
音が聞こえるほど、大量に僕は自らを彼女の中に放出しました。  
「うぶっ……んんーっ!」  
ドクロちゃんが目を見開いて、一瞬苦しそうにしますが  
「んくっ……んくっ……んっ……こくっ……くぴっ……」  
目を閉じ、大切な飲み物であるかのように、僕の精液を飲み込み始めます。  
最後まで精液を体内から絞り出し終えた僕は、ゆっくりドクロちゃんの口内から怒張を引き抜きます。  
彼女の口端から〈どろり〉と流れる僕の白い精液。  
彼女は泣くのを必死に我慢しているような表情をしていますが、それは逆に僕の興奮をより高める結果となりました。  
再びドクロちゃんを机の上に押し倒し、スカート下のパンティに手をかけます。  
「あっ! 桜くん……ッ!」  
ためらいもなく一気にパンティを下します。  
〈つーっ〉と長くドクロちゃんのソコからパンティに糸がかかります。  
「いやああああ……」  
ドクロちゃんが両手で顔を覆い、顔を左右に振ります。  
「ドクロちゃん、僕のくわえながら、感じてたんだ。Hだね……」  
「ち、違うもん! ボクは……」  
ドクロちゃんの言葉も聞かず、ドクロちゃんの腰を両腕で〈がしっ〉と固定し、未だその狂暴な形状を保つ怒張を彼女の濡れた秘裂に〈ぴとっ〉とあてがいます。  
「あっ! 桜くん待って! まだ……」  
 
〈ずぶっ〉  
 
ドクロちゃんの言葉を無視し、怒張を一気に彼女の最奥まで突き入れます。  
「あっぐ……ああああーっ!! 痛いいーっ!!」  
ドクロちゃんが体を仰け反らせ、両手で机を力一杯掴んでいます。  
一瞬遅れて〈つーっ〉と結合部から流れてくる赤い液体。  
「うっ、ううーっ……痛いよぅ……」  
やがてドクロちゃんは〈はらはら〉と涙を流し始めます。  
構わず自らの欲望を満たすため、腰のピストン運動を開始します。  
「いっ……たいっ……! 桜、くん……! 本当に痛いの……ちょっと待って……ッ!」  
抽挿を繰り返すたびにドクロちゃんと僕の恥骨がぶつかり合って〈ぱんっぱんっ〉と激しい音が教室に響きます。彼女の奥に突き入れるたび、怒張の先端、尿道口がドクロちゃんの子宮口に当たるのを感じます。  
「いっ……あっ……さ、くらくん……ボク、壊れちゃうよっ……!」  
未だ体中に走る激痛に耐えるように苦渋に顔を引きつらせたドクロちゃんが、必死に僕に訴えかけます。  
「はっ……はっ……」  
 
もう何も考えられない。  
まるでドクロちゃんが僕の自慰のための道具であるかのように、彼女の痛みも顧みず、機械的な動きを繰り返すのみ。それでも  
「あっ……ぐ……さ、く、らくん……桜く、ん……桜くんッ……!」  
うわ言のように僕の名前を繰り返し、やがて恍惚とした表情で僕の機械的な運動を受け入れ始めるドクロちゃん。  
「イクよッ……! ドクロちゃんッ……!」  
「あっ! 待って桜くんッ! 中は……ッ!」  
 
〈ぴゅっびゅーっ、びゅくっ〉  
 
「あっ! やっ、は……! 熱いッ……! 桜くんのが、ボクの中にッ……!」  
「うっく……はあっ……」  
ドクロちゃんの中に、僕は自分の全てを吐きだしました。  
 
コトの後、僕は乱れた自分の制服を元通りに整えました。  
ドクロちゃんはまだ乱れた制服姿のまま、机の上に横たわり、〈はらはら〉と涙を流しています。  
僕はゆっくりと彼女に歩み寄り、隣の机に腰掛け、  
「ごめんね、ドクロちゃん」  
彼女の目を見て、そう言いました。  
「うっ……ううん。ボク、桜くんのコト、好きだから。だから、大丈夫だよ?」  
努めて明るく振る舞おうと、いつもの笑顔を僕に向けてくれるドクロちゃん。  
そんな彼女の両肩の側に両手をつき、ゆっくりと顔を近づけ、  
 
〈ちゅっ〉  
 
唇を重ねました。  
「え…………?」  
ドクロちゃんが驚いた顔をしています。  
「僕、やっぱりドクロちゃんのコトが好きみたい」  
驚く彼女にそう告げました。  
「え……え?」  
戸惑うドクロちゃん。  
「あはははっ! ドクロちゃん引っかかった? ごめんね。痛かったでしょ? でも僕だっていつも撲殺で痛い思いしてるんだから、おあいこだよね?」  
「え……何で……? 桜くんは、静希ちゃんのコトが好きなんじゃ、ないの……?」  
「ドクロちゃんが来るまではね。……もう、ドクロちゃんのせいなんだから。いつもドクロちゃんが僕にべったりくっついて来るから、好きになっちゃったじゃん……」  
照れ隠しに一気にしゃべったものの、やはり恥ずかしくて、赤面してしまいます。  
「でも、今までそんなこと一言も……」  
「うん。今日、ドクロちゃんがしゃべれなくなって、改めて気付いたから」  
「じゃあ、何でさっきあんなコト……」  
「だってドクロちゃんが“犯して”なんて言うから、僕、頭に来て。……あんな悲しいコト、言わないでよ。……でも、ドクロちゃんも僕のコト騙したし。本当にごめんね?」  
 
そう言った僕は、ドクロちゃんの小さな肩を抱きよせます。  
「ドクロちゃん、好きだよ…………ってアレ? 何でうつむいたまま肩を震わせてるの? ちゃんと僕の顔を見……」  
「…………たかった」  
「え?」  
「痛かったんだから―――ッ!」  
〈りるめご〉と僕のアバラから脳髄を根こそぎ削りとったのは何でも出来ちゃうバット☆エスカリボルグ。僕の意識はブラックアウト。走馬灯の上映会。  
「えへっ……えへへっ……桜くん……」  
再び両の眼よりこぼれ落ちる涙。でも、それはとても暖かくて。天使の少女は胸を締め付ける幸福感に戸惑い、頬を染め、カラダをもじもじさせています。  
ドクロちゃん? キミの愛しの彼のお肉が冷めちゃいますよ?  
「あっ! ボクの桜くん! どうしてこんな……待ってて! ボクが、ボクが今すぐ……!」  
 
ぴぴるぴるぴるぴぴるぴー♪  
 
天使の少女が魔法のステッキよろしくバットを〈くるるる〉すれば茜色の放課後の教室に満ちる幸せの光。  
教室の窓より射しこむまばゆい白い光が厚い雲を形成し、教室を優しく包み込みます。  
しだいに雲が晴れ、そこより爆誕するのは光に包まれた中学男児、草壁桜(14)。  
「桜くんっ!」  
イチローのレーザービームなみの速度で復活した僕に衝突し、抱きついてくる天使の少女。  
「ねえ、ドクロちゃん?」  
「なあに? 桜くん」  
さっきまでの涙はどこへ行ったのやら、いつもの天使の笑顔を僕に向けてくれます。  
「もう一度、キスしてもいい?」  
「んー?……」  
ドクロちゃんはイタズラっ娘のように、僕から一歩距離をとり、脚を〈くねくね〉させて、  
「しょうがないんだからっ! 桜くんはっ!」  
そう言って僕に再び歩み寄り、顔を上げて、目を閉じます。  
僕はその可愛い天使の顎を指で持ち上げて  
「んっ……」  
契りを交わしました。  
 
   ★  
 
「そっか」  
小さくつぶやく。  
教室の扉の影に隠れ、一部始終を見たわたしは、何だか、妙に納得した気分だった。  
何だか、そんな気はしていた。  
普段からあの二人を見ていれば、誰だって分かることだろう。  
「何だろうこの気持ち」  
 
廊下を歩きながら、胸をうずまく複雑な気持ちに戸惑う。  
しばらく歩いていると、下駄箱のほうから歩いてくる黒い長髪の女の子。南さんだ。  
「……? 静希ちゃん? どうしたの?」  
彼女にしては大変珍しく、慌ててわたしに駆けより、心配そうに声をかけてきます。  
「…………え?」  
気がつけば、頬を伝う水滴。  
指で拭い、それが眼からこぼれたものだと気付きます。  
 
……そっか。わたし、失恋したんだ。  
 
薄暗い、下駄箱が並ぶ昇降口が、やけに寂しく感じられました。  
 
-fin-  
 

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